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StellaSora_DataLua/data/language/ja_jp/characterarchivecontent.json
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2025-12-26 17:30:00 +09:00

910 lines
414 KiB
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{
"CharacterArchiveContent.10301.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.10301.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.10302.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.10302.2": "星ノ塔に行けるから。いろんな情報が集まるから。猫を飼いたいから。",
"CharacterArchiveContent.10303.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.10303.2": "ケータイの文字入力速度\r\n\r\nドキュメント名:『ノヴァ人と星ノ塔』\r\nドキュメントの文字数:1413文字\r\n所要時間:4分33秒\r\n平均速度:310字/分\r\n最高速度:352字/分\r\n正確に入力されたテキスト:1413文字\r\nランキング:1位\r\nハンドルネーム:にゃおみ~る1911",
"CharacterArchiveContent.10304.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.10304.2": "ケータイのチャットログ\r\n\r\nセイナ:ねえねえ!ショッピングモールにでっかいキャットフードのポスターが貼ってあったよ!\r\nあれって、おいしいのかな~食べてみたいなぁ~!\r\nアヤメ:落ち着いて。あれは猫の食べ物よ。\r\nコハク:あたし、食べたことあるよ^_^!\r\nセイナ:ホントっ!?\r\nそれで、どうだった?\r\nコハク:星ノ塔のキャットフードは、食感はちょうど良かったけど全然味がしなかった。\r\nその星ノ塔のキャットフードを再現して作られたのがアグリ・ユニオンのやつだけど、ヨタカブレッドといい勝負。\r\nあとは、アッシュエリアで流行ってる猫用のおやつがあるんだけど、いまいち味が安定しなくて……おいしい時とゲロまずの時があるから手を出さない方がいい。\r\nアヤメ:まさか全部試したの?\r\nセイナ:全部微妙そうね……今度野良猫ちゃんがいたら、私たちのごはんを分けてあげよっか?\r\nアヤメ:でもそれ、結局ヨタカブレッドよね?",
"CharacterArchiveContent.10305.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.10305.2": "『隅っこ』に関するケータイのメモ\r\n\r\n隅っこの快適度評価\r\n1. 地理協会のエントランスの屋根裏:普通\r\n身を隠して偵察するのにぴったり。\r\nでも梁が硬い。\r\n2. アモールアッシュエリアの水道橋の2つ目のアーチの下:微妙\r\n虫がたくさんいる。\r\n汚れてて休憩には不向き。現在は橋の修繕中。\r\n3. フィーリエのアグリ・ユニオン産業パークの温室の二区にある研究開発部の3階の観葉植物の裏:悪くない\r\n向かいに自動販売機があって、職員がいる時はうるさい。\r\n朝、植物の後ろに隠れてひとりごと言ってたフユカがいた。今度話しかけてみようかな?\r\n4. オアシス号の上:最高\r\n超気持ちいい。うっかり寝ちゃいそうになるけど。\r\nアヤメが猫柄のクッションを置いてくれた。\r\n一番お気に入りの場所。",
"CharacterArchiveContent.10306.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.10306.2": "『クレーンゲーム』に関するケータイのメモ\r\n\r\nクレーンゲームの対戦記録\r\n1. VS. 『フィーリエのクレーンゲーム達人』ナズナ\r\n109:58\r\nアームの力が強くてよかった。\r\n勝負が終わった後、ナズナが泣きながら笑ってた……悲しいのか、嬉しいのか、どっちだったんだろう?\r\n2. VS. 『アモールのクレーンゲーム達人』ジャックピッピ\r\n10:0\r\nアームが全然ダメだったから、『投げ技』を使うしかなかった。\r\n軽い気持ちで「本当に『達人』なの?」って聞いたら、\r\nジャックピッピが泣いちゃった……あたし、なにか悪いこと言っちゃったかな。\r\n3. VS. 『フィーリエのクレーンゲームのエキスパート』ミミ\r\n56:56\r\n引き分け。メダルがなくなっちゃった。\r\n正真正銘のエキスパート。超強かった。\r\nお小遣いをもらったら、最終決戦をやるって約束した。",
"CharacterArchiveContent.10307.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.10307.2": "洗濯をしている時に発見したこと:\r\nあたしのマフラー、セイナのぬいぐるみ、それからアヤメの帽子、どれも縫い方がすごく似てた。",
"CharacterArchiveContent.10308.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.10308.2": "コハクが見せてくれるにゃおにゃおの写真……可愛い。\r\n――ホタル\r\n隅っこに隠れたいのに、どこに行っても、\r\n寝ているコハクさんか、潜伏しているシャトンさんがいるんです。\r\nフィーリエには隠れられる場所が少なすぎます……\r\n――フユカ",
"CharacterArchiveContent.10309.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.10309.2": "事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n彼女の偵察能力は極めて優秀であり、過去に担当した探し物の依頼はすべて高評価を獲得しています。\r\nこの履歴書を提出しにきた際、彼女のほうから挨拶をしてくれるだなんて。\r\nこれは、==PLAYER_NAME==がもたらした変化かもしれません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.10310.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.10310.2": "手書きの領収書\r\n\r\n星歴9██年熱月8日\r\n猫吸い(手作りのにゃおみ~る1本付き)1名様\r\n料金:570ドーラ\r\n\r\n裏面の小さな文字\r\nみんなカゴに閉じ込められてて、ちっとも幸せそうじゃなかった。",
"CharacterArchiveContent.10311.1": "猫の国(上)",
"CharacterArchiveContent.10311.2": "コハクの誕生日の当日。\r\nコハクは貯めたお小遣いを使って、アモールアッシュエリアの猫専門店で猫吸いセットを自分へのプレゼントとして購入した。\r\n\r\nその夜、コハクは夢を見た。\r\nそれは、猫になる夢だった。\r\n\r\n猫の目から見ると、人間はとても大きく恐ろしい生き物に見えた。\r\nコハクという名の黒猫は、慣れない手足を懸命に動かし、背中を丸めて人込みを通り抜けた。人間とすれ違うたび、死神に捕まらないようにと必死に祈った。\r\n警戒心を全開にして、黒猫は全身の毛を逆立てる。仮に誰かがその姿に気づいても、この寒い冬の日に、どこかの野良猫が吐き出した毛玉が、アッシュエリアの汚れた地面で転がっているとしか思わないだろう。\r\n\r\n「にゃあ、みゃお(こっちにおいで)」\r\nコハクは左耳を軽く震わせた。猫になって鋭くなった聴覚は、喧騒の中にいても、向かいのダンボールから聞こえてくる猫の声をしっかりと捉えていた。\r\n目の前の道を渡れば、仲間に会えるかもしれない。\r\nしかしコハクは、その場でたじろいでしまった。人間であれば数歩で辿り着ける距離が、黒猫にはまるで大きな谷のように見えた。\r\n\r\nするとその時、急に手足が地面から僅かに浮き上がった。首を掴まれ持ち上げられてしまったようだ。コハクはもがこうとしたが、巨人たちの靴が目の前を横切る。\r\n「にゃあ(フン)」\r\n頭上から聞こえた猫の鳴き声は、嘲笑っているようにも、慰めているようにも聞こえた。\r\nそうして、他の猫に咥えられたまま、恐れていた道を渡ることができた。\r\n\r\n「うみゃー、にゃー(新入りだ! 見たことない猫だ)」\r\nダンボールがゆさゆさと揺れて、中から数匹の猫が顔を出した。\r\n「ごろごろ、にゃう!(これからはワタシたちが面倒を見てあげる)」\r\n一番小さな金色の猫がそう言うと、深い紫色で額に白い毛が生えた猫が、その頭を押さえつけた。\r\n「にゃお! ぐるる…(大口を叩くんじゃない。この身の程知らず)」\r\n仲間に向けて言っているようだったが、その切れ長の瞳は、目の前のコハクをじっと見据えていた。\r\n\r\n「みー、みおー、にゃう(にゃんニー、にゃんミー、新入りと仲良くね)」\r\nコハクを連れてきた猫が口を開いた。その猫は、他のどの猫よりも体が大きく、コハクはきっとこの猫たちのボスなのだろうと思った。\r\n「みぃー、みおー、にゃう(私はここのボスじゃないよ)」\r\nしかし、そんな考えなどお見通しだというかのように、大きな猫はしっぽを振って、ダンボールの上にあったボロボロの階段に飛び乗った。\r\nコハクはその時ようやく、周りにも無数の猫がいること、そしてその猫たちが、ギラギラと光った目をこちらへ向けていることに気づいた。",
"CharacterArchiveContent.10312.1": "猫の国(下)",
"CharacterArchiveContent.10312.2": "階段の最上段には、1匹の猫がいた。\r\n「にゃう、にゃおー、ぐるる(人間の世界は危険だ。おまえも、劇団猫の国に入らないか?)\r\nその猫は、コハクをじっと見つめて声をかけてきた。その頬と耳にある大きな傷跡は、過去の戦いの勲章なのだろう。\r\n\r\n劇団……それはなんだか、よく知っている響きだった。コハクは首をかしげて考えたが、どこでそれを聞いたのかをどうしても思い出せなかった。\r\n「うにゃー、みぃ、みゃお。(じゃあ、あたしをここに連れてきた青い長毛の猫も、その劇団の一員なの?)」コハクは、猫たちと言葉が通じ合っていることに気づいた。\r\n「ごろにゃお! ごろろ、うにゃお!(もちろんだ。彼女こそ、我が劇団最強の戦士――にゃんヒーだ)」\r\n名前を呼ばれた一際大きな青い猫は、群れから一歩前へ出て、微笑みながらコハクに前足を振った。\r\n「みうー(わかった。あたしも入るよ)」\r\n躊躇うことなく、コハクは答えた。\r\n「うにゃー、うにゃにゃ(よろしい。今日から私のことは、にゃんボスと呼びたまえ)」\r\n\r\n劇団猫の国は、この町で一番大きな地下猫組織だ。\r\nコハクに最初に挨拶した、にゃんニーとにゃんミーも、同じようににゃんヒーに拾われ、劇団猫の国が子猫を育てているあのダンボール――正式名称『ダンボールにゃんにゃん園』で育てられた。\r\n……そんなこと誰にも教わっていないのに、なんで知っているんだろうと、コハクは少し不思議に思った。\r\n\r\n自分が余計なことを考えていることに気づいたコハクは、魔法ネズミのぬいぐるみを捕まえるゲームに集中した。これは、劇団猫の国の戦士が毎日行っているトレーニングの1つだ。\r\n「みゃうみー、にゃお(体が鈍らないように、しっかりトレーニングするんだぞ)」\r\nにゃんボスが戦士たちに声をかける。\r\n「ごろにゃお、みゃお! にゃにゃ、みゃお!(もうすぐ大きな戦いが始まる。我々は、猫カフェの同胞を解放するのだ!)」\r\n\r\n猫カフェから猫たちを解放する。\r\nそれが、劇団猫の国の一員となったコハクに与えられた最初の任務であり、にゃんヒー小隊に入りたいコハクに課せられたテストでもあった。\r\n隊の大先輩であるにゃんニーはともかく、遊ぶことしか頭にないにゃんミーに負けるつもりはない。コハクは強く地面を蹴り、見事に魔法ネズミのぬいぐるみのしっぽを捉えた。にゃんミーよりも高い点を取り、コハクは満足そうに笑う。\r\nしかしその時、訓練所の上空に突然巨大な人間の顔が現れた。\r\n「うにゃにゃ! にゃおぐー!(まずい! 猫カフェの人間に見つかった!)」\r\n遠くからにゃんボスの声がした。\r\n\r\nコハクは、はっと目を開いた。ドクンドクンと心臓が早鐘を打つ。\r\n見上げた空に、人の顔はなかった。\r\nそしてコハクも、猫ではなくなっていた。\r\nコハクは猫同士のコミュニケーションについてよく知っている。猫は鳴き声で「会話」をするのではなく、ほとんどの場合、アイコンタクトや匂い、体の動きで言いたいことを表現する。\r\n「会話」をするのは、人間だけだ。\r\n\r\n「劇団猫の国、ダンボールにゃんにゃん園……にゃんヒー、にゃんニー、にゃんミーたち……本当に、ただの夢だったのかな……?」\r\n瞬く星は何も答えない。コハクはそっと目を閉じた。もしかしたら、その答えはいつか見つかるかもしれない。",
"CharacterArchiveContent.10313.1": "武器逸話:にゃおみ~る-1911(2丁持ち)",
"CharacterArchiveContent.10313.2": "コハクは、その銃の名前が『にゃおみ~る-1911』であることを知っている。\r\nだが、それをどこで手に入れたのかは、まったく覚えていなかった。\r\n\r\nある朝、目が覚めた時、ピカピカに手入れされた二丁拳銃が枕元に置かれていた。\r\n「にゃおみ~る-1911」と、知らないはずの名前が自然と口からこぼれた。\r\n弾を装填し、狙いを定め、引き金を引く。なにもかも当たり前のようにでき、まるで体が覚えているかのようだった。\r\n\r\n「この銃をどうやって手に入れたのか、忘れちゃったみたい……」\r\n空白旅団が結成されたあと、コハクは仲間にそのことを話した。\r\n「それがコハクのだって分かってるなら、十分だよ!」\r\n金髪の少女は明るくそう答えると、コハクの手を引き、一緒にオアシス号からウッドモットが引っ越しをする様子を眺めた。\r\n\r\n「これ、ムーナの製品じゃない?ほら、弾丸にムーナ液が入っていて……というわけだから、あまり人前では出さないでね。恩恵意志の人に見つかったら罰金を課せられちゃうわ」\r\n真剣な表情をした少女は、コハクが外で出さないと約束するまで、何度も注意を繰り返した。\r\n\r\nそれから、また新メンバーが『空白旅団』に加わった。\r\nコハクはそこでまた同じ話をした。\r\n記憶喪失のはずの新人が、何故かその銃の扱いにとても慣れていた。\r\nしかし『魔王』を名乗るその新人にも、銃の由来は分からなかった。\r\n\r\nしかしコハクが落ち込むことはなかった。\r\n手がかりを見つけたのだ。\r\n新人と出会ったその日、アモールアッシュエリアの市場で、コハクは、『にゃおみ~る-1911』に似た弾痕を見つけたのだ。",
"CharacterArchiveContent.10701.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.10701.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.10702.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.10702.2": "任務で都市の外に出ることが多く、星ノ塔の任務に携わることもあるためであります。",
"CharacterArchiveContent.10703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.10703.2": "趣味\r\n\r\nパトロールや人助け。鎧を磨くこと。\r\n『ヘルムライダー』の変身ヘルメットを集めること。",
"CharacterArchiveContent.10704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.10704.2": "受賞歴\r\n\r\n帝国護衛隊運転競技大会:1位\r\n帝国護衛隊加重長距離走:1位",
"CharacterArchiveContent.10705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.10705.2": "帝国護衛隊の掟\r\n\r\n帝国に忠誠を誓い、公正であること。正義を貫き、弱きを助け――\r\n(この項目だけで5ページもありましたので、冒頭を抜粋しました。――アヤメ)",
"CharacterArchiveContent.10706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.10706.2": "憧れの存在\r\n\r\n小説でも演劇でも、人々に語り継がれる物語に登場する騎士にはひとつの共通点があります。騎士とは、困っている人を助ける存在です。\r\n真の騎士になれるのなら、どんなことでも成し遂げてみせます。",
"CharacterArchiveContent.10707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.10707.2": "帝国護衛隊入隊試験結果\r\n\r\n筆記試験:可\r\n面接評価:可\r\n身体能力試験:優\r\n危機対応能力試験:優\r\n\r\n総合評価:\r\n筆記試験はギリギリ合格点。面接態度は悪くなかったが、過度な正義感が懸念点。護衛任務に支障をきたさないか要注意。\r\n体力は極めて優秀で、50kgの装備を身につけた状態で城を3周走った後でも、バイタルは全て正常値をキープしていた。\r\n強盗事件の模擬演習においては、即座に犯人を制圧し、人質の救出に成功した。しかし、変わった飛び蹴りをして靭帯を痛めたとの報告あり。\r\n過去5世代まで遡り調査したが、親族に騎士となった者や、恩恵意志に入職した者はなし。\r\n総合的に判断し、従騎士としての採用を提案する。\r\n――匿名",
"CharacterArchiveContent.10708.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.10708.2": "とっても親切で真面目な騎士さん。\r\n機会があったら、もう少し運転のことを話したいな!\r\n――セイナ\r\n\r\n帝国護衛隊中を探しても、ティリアより騎士らしい騎士はいないよ。\r\nそんなあの子が『従』騎士だなんて、本当に皮肉だね。\r\n――ケイト",
"CharacterArchiveContent.10709.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.10709.2": "極めて信憑性が高い内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n巡遊者の間には、とある言い伝えがあります。もし野外で困った時にスクーターの音が聞こえたら、すぐに大声で助けを求めるべし。そうすれば、すぐに騎士が助けに来てくれる……まるで古典文学の一節みたいですが、その騎士とはまさに彼女のことです。\r\n巡遊者とは立場は違えど、彼女は誰に対しても平等で、その騎士精神は敬尊に値します。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.10710.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.10710.2": "ヒッポグリフ号、ティリアの愛車。\r\nこのスクーターは帝国護衛隊の支給品で、以前の持ち主が引退する際に彼女が引き継いだものだ。およそ30年の歴史がある。\r\nしかし彼女の丁寧な手入れによって、まったく使用感が見られず、まるで新車のようにピカピカである。\r\nまた、レッドアイズの独占取材によると、このスクーターはティリアさんのご友人、ケイトさんの幾度にも及ぶ改造によって、内部にとある『特殊』な変化が起きているそうだ。ケイトさんは、改造によってさらにパワーアップしたヒッポグリフ号が、いつかその真価を発揮する日が来ることを楽しみにしていると話していた。\r\nなお、『ティリアの騎士昇進日を当てよう』コーナーでは、引き続き皆様の回答を募集しております。興味のある方は是非チェックして欲しい。\r\n――レッドアイズの独占報道",
"CharacterArchiveContent.10711.1": "騎士物語(上)",
"CharacterArchiveContent.10711.2": "「ここまで来ても、空の景色は何も変わらないわね。目に映るのは汚い屋根か、星ノ塔だけ」\r\n「ここはアモールのアッシュエリアですから、確かに見晴らしはよくありませんが……いま考えるべきなのは、早く元気になることであります」\r\n「余計なお世話よ! あんたは、ただ薬を届けに来ただけじゃない。あたしの何がわかるって言うのよ!」\r\n「少なくとも私は、あなたは笑ったほうが素敵だと思うであります」\r\n\r\nカビの生えた壁、いつ崩れてもおかしくないボロボロのベッド。濁った空気と、鼻をつく薬の匂い。\r\n従騎士に就任したばかりのティリアに与えられた最初の任務は、病人に薬を届けることだった。\r\n目の前のシィという名の少女は、明らかに友好的ではなかったが、騎士たるもの、相手にどんな態度を向けられようと力になりたいという気持ちは揺らがない。\r\n\r\n「最近、だいぶ調子が良くなったとお医者様に聞きました。外に出てみたくはないですか?」\r\n「たしかにベッドから下りられるようにはなったけど……だからといって、あんたには関係ない……って、ちょっと!」\r\n\r\nシィの話が終わらないうちに、ティリアはかまわず彼女の手を引いて、自慢のヒッポグリフ号に跨がらせた。\r\nふたりで麦畑や林の中を走っている間、シィはうつむいたまま、深々と被ったフードを手でしっかりと掴んでいたが、道中の景色を余すところなく目に焼きつけていた。\r\n\r\n「この辺りは景色が綺麗でしょう。休みのときはよくここに来ているんです」\r\n「あたしには贅沢な景色ね……」\r\n「贅沢?景色を見るだけじゃないですか。気に入ったのであれば、またいつでもお連れするであります!」\r\n「あんた、仕事は大丈夫なの?」\r\n「安心してください、今日は休日です。サボりなんて騎士にあるまじき行為でありますから」\r\n「あたしなんかにかまっていたら、不幸になるわよ……」\r\n「そんなことはありません!あなたは少しケガをしただけで、病気にかかったわけでもない。それに、弱きを助けるのが、騎士の役目であります」\r\n\r\nシィはため息をついて、それ以上なにも言わなかった。\r\nだが、小さな従騎士は、すぐにその言葉の意味を知ることになる。",
"CharacterArchiveContent.10712.1": "騎士物語(下)",
"CharacterArchiveContent.10712.2": "雨の日のアッシュエリア、屋根からは雨水が線となって滴る。\r\nティリアはたった一人で誰もいない路地に立っていた。その足元には武器の山が積まれている。\r\nシィに薬を届けに来た彼女は、アッシュエリアのトップギャング組織――ヴァイパーに囲まれてしまった。\r\n何十人もの組織メンバーから武器を取り上げると、彼らは情けなく逃げていったが、部屋にいるはずのシィの姿が見当たらない。\r\n\r\n「あたしなんかに構っていたら、不幸になるわよ……」\r\n\r\n不意に、二人でドライブに行った日のことが頭をよぎった。\r\nあの時は、シィの言葉に深い意味があるとは考えていなかった。\r\nアッシュエリアで勤務する従騎士にとって、それは珍しいことではなかったからだ。\r\n幸運な者は皆、とっくにシルバーエリアやゴールドエリアへ行ってしまった。いまもアッシュエリアに残っていることがどういう意味なのか、言われなくてもわかることだ。\r\nだが……\r\n\r\n「これは、足跡?」\r\n\r\nティリアは、残されていた足跡を辿った。\r\nすると、路地の奥から、ケガをした人間の呻き声が聞こえてきた。\r\n\r\n「シィ、そこにいるのでありますか?」\r\n\r\nティリアの目に、信じられない光景が飛び込んできた。\r\n数名のギャングが気絶して地面に転がり、その真ん中にシィが座っている。彼女の頭に巻かれた包帯は、真っ赤に染まっていた。\r\n\r\n「……ほら、言った通りだったでしょ」\r\n\r\nなんとか絞り出した声で、シィはそう言った。\r\nその横には、薬箱が落ちている。\r\n\r\n「これは、アッシュエリアの病気の子どものために送られた薬よ。でも、ヴァイパーに狙われちゃって……」\r\n「シィが、それを守ったのですか?」\r\n「あたしがそんな出来た人間だと思う?」\r\n\r\nシィは頭の包帯を外した。その下には、鋭いツノが生えていた。\r\n\r\n「あいつらに、これを見られたのよ」\r\n「シィ……あなたは、永夜のメンバーだったのですか……?」\r\n\r\nシィは首を横に振った。\r\n\r\n「バイヤ人がみんな永夜の所属ってわけじゃないわ。でも、こんな言い訳をしても意味ないわよね。\r\nとにかく、あたしの首はこの薬よりも少し高いわ。だから、こいつらはターゲットをあたしに変えた」\r\n\r\nドン!\r\nティリアは槍を地面に突き刺し、両手で盾を掲げた。\r\n\r\n「あたしを捕まえて、賞金はギャングなんかより、あんたの手に渡ったほうがマシよ……」\r\n\r\n風を切る音と共に盾が迫り、シィは静かに目を閉じた。\r\nしかし、覚悟していた衝撃は、いつまで待ってもやってこなかった。\r\n背後で、金属がぶつかる音がする。\r\nシィが恐る恐る目を開けると、\r\n先ほどよりもさらに多くのギャングたちが、ティリアの盾によって吹き飛ばされていた。\r\n\r\n「正義を貫き、弱きを助ける。それが、騎士のあるべき姿です」\r\n\r\n華麗に舞う盾は、飛びかかってきたギャングを次々と跳ね返す。\r\n\r\n「騎士の誓いに、種族や、組織は関係ありません」\r\n\r\n頼もしい鎧は、鋭利な刃を弾き返す。\r\n\r\n「あなたは子供たちの薬を守ってくれました。それに、私が知る限りあなたが悪事を働いたことはない。もちろん護衛隊の指名手配書にも載っていない。\r\nそれなのに、賞金のためにあなたを捕らえるだなんて、それは騎士精神に背く、恥ずべき行為であります!」\r\n「ティリア……」\r\n「シィ、逃げてください。私は治安維持の任務中であり、あなたは勇敢な民間人です」\r\n「でも、逃げ道なんて……」\r\n「大丈夫、私に任せるであります!」\r\n\r\nティリアは高く跳び上がり、常人にはとても真似することができない跳び蹴りを繰り出した。\r\n路地に響いた凄まじい衝撃音は、すぐに雨音に遮られた。\r\n\r\n1か月後。\r\n脚をギプスで固定され、病院のベッドに横たわっているティリアのもとに、匿名の手紙が届いた。\r\n\r\n拝啓 ティリア様へ\r\nあなたの戦いを最後まで見られなくてごめんなさい。\r\nあなたはよく話してくれたよね。ヘルムライダーは、いつもあの必殺のキックでピンチを切り抜けるって。\r\nその話を思い出したから、あなたが跳び上がった瞬間に、振り向かずに走り続けるができた。\r\nあたしなんかに構っていたら、不幸になる――\r\nでも、あなたは例外だった。もしかしたら、あなたの光が、あたしの不幸を追い払ったのかもしれない。\r\nあたし、今は北へ向かっている。星形の綿毛が生えた金色の花を見かけたから、手紙に添えてみた。次に会ったとき、その花の名前を教えてくれたら嬉しいわ。\r\n勇敢な民間人より\r\n\r\nティリアは笑いながら、手紙を枕の下に仕舞った。\r\nティリアと少女の小さな物語は、あの雨だけが覚えているだろう。",
"CharacterArchiveContent.10713.1": "武器逸話:リバティーオブグローリー",
"CharacterArchiveContent.10713.2": "アモールアッシュエリアのとある鍛冶屋。\r\n年老いた鍛冶職人が金槌を振り、金床に置かれた鋼をリズミカルに叩いている。\r\n衝撃が生んだ火の粉が体に飛び散るが、彼の目は、真っ赤な鋼だけをじっと捉えていた。\r\n\r\nすべては、数か月前のあの日に始まった。\r\n帝国護衛隊が守護する城の中で、盛大な展示会が行われた。\r\n伝説の騎士ブラテマントが使ったとされる槍と盾が、ロビーの中央に展示されている。\r\nこの神器が揃って展示されるのは、20年ぶりのことだ。\r\nしかし、年老いた職人は失望していた。\r\nベテランの彼の目は誤魔化せない。これはつい最近作られた偽物だ。その上、極めて出来が悪い。\r\n\r\n彼が諦めて展示会場を後にしようとした時、\r\n突然、展示用の魔物が粗悪なケージを壊して飛び出してきたのだ。\r\n来場者たちが悲鳴を上げて一斉に逃げ出し、年老いた職人は人の波と接触して、魔物の前まで押し出されていた。\r\n「ここで終わるのか」と、彼が諦めようとした時、\r\n一人の少女が槍と盾が入った展示ケースを打ち破り、展示品を握りしめて魔物に立ち向かった。\r\n\r\n粗悪な偽物では魔物に勝てるはずがない。それでも少女は決して諦めず、傍にあったロープを握ると、2階から跳び下りて強烈なキックを繰り出した。\r\n蹴りの威力と少女の勇気が魔物を圧倒したのだろうか、魔物はその場で倒れ、被害も最小限に抑えられた。\r\n\r\nそれから数か月が経ち、傷が癒えて退院した唯一の被害者である少女は、ピカピカに磨かれた鎧を身につけ、愛車のスクーターに跨り、鍛冶屋を訪れていた。\r\n素朴なデザインのドアを開けると、年老いた職人の生涯最後の作品が彼女の前に現れる。ブラテマントの装備に通じるところがありながら、まったく異なる槍と盾がそこに置かれていた。\r\n\r\n「持っていけ。君のために作った装備だ。君だけが、この伝説を受け継ぐに相応しい。これはブラテマントの武器ではなく、君の武器だ。新しい名前をつけてやってくれ」\r\n「ありがとうございます! では……『自由と栄光』にします! シンプルですが、特別な名前であります!」\r\n\r\nティリアは装備を受け取って工房から出ると、それらを高く持ち上げた。\r\nノヴァの新たな騎士物語が、ここから始まる。",
"CharacterArchiveContent.10801.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.10801.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.10802.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.10802.2": "儚く散った仲間たちのために裏切り者を探し出し、償わせるため。\r\n──とめ・はね・はらいがはっきりした、綺麗な筆跡で書かれている。",
"CharacterArchiveContent.10803.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.10803.2": "劇団白猫第三小隊の隊則\r\n\r\nその一、全ての隊員は、隊における重大な決断に参加する権利を有する。隊内で意見が分かれた場合は多数決をとり、票数が引き分けの場合、隊長の票を2票と見なす。\r\nその二、全ての隊員は、平等に戦利品を受け取る権利を有する。仲間の財産を奪ったり、戦利品を誤魔化すことは、裏切り行為と見なす。\r\nその三、任務で最も大きな貢献をした者には、ゲームセンターを1日貸切る権利が与えられる。\r\nその四、あらゆる金銭を賭けての賭博行為を禁ずる。違反した者は反省文を提出することとし、再犯した場合には直ちに小隊から追放する。",
"CharacterArchiveContent.10804.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.10804.2": "業務紹介\r\n\r\n劇団白猫では、護衛、警備保障、人質の救出、野外での魔物退治、特別な星ノ塔での調査などの業務を請け負っている。\r\n依頼期間は半日から3か月、依頼料は8000ドーラから数十万ドーラまで幅広い。詳細は窓口の者に問い合わせくれ。\r\n他にも、演技指導やメイク、衣装レンタルなどのサービスも提供している。\r\n劇団白猫が、誠心誠意力になろう。",
"CharacterArchiveContent.10805.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.10805.2": "憂さ晴らしと個人的な趣味\r\n\r\n急用の際に私が劇団にいなかったら、ミラーシュの本屋の店主に聞いてくれ。\r\nなーに、いつもあそこでファッション誌を買っていたら、顔見知りになっただけだ。もし運よく私がそこにいたら、その日の運勢でも占ってあげよう。\r\n雑誌を切り抜いて集めているのかって? そんなこと……いや、ないわけではないか。私たちはあまり多くの荷物を持たないゆえ、分厚い雑誌をため込むわけにはいかない。それならば、任務の合間に折り紙でも作って、みんなを楽しませた方がいいだろう? どうだ、一つ持っていくか?\r\n――とある会話の録音記録より",
"CharacterArchiveContent.10806.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.10806.2": "近接格闘術のルーツ\r\n\r\n彼女の近接格闘術には、龍族の武術と似通っているところがある。\r\nしかし本人に確認しても、彼女は今まで、一度も龍族と関わりを持ったことがないという。少なくとも、彼女本人はそう思っているようだ。\r\nカシミラは、自分の格闘術は劇団白猫の先代団長に学んだと話していた。\r\n劇団白猫の歴史を遡れば、どこかで龍族との関わりが見つかるかもしれない。ただ、それがなにを意味するのか、誰にも分からない。\r\n――劇団白猫の隊員",
"CharacterArchiveContent.10807.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.10807.2": "埃を被ったコントローラー\r\n\r\nうちの第三小隊はみーんなゲームが大好きなんだ♪ いいでしょ! 羨ましいでしょ! ふふ~♪\r\nえっ!?そんなことみんな知ってるってー!?ちぇー、つまんないの。\r\nもちろんカシミラもゲームするんだけど、あたしとベニトほどはやってないかな。なんか、「隊長として遊んでばかりではいけない」とかなんとか言って。みんなで遊んでる時はあんなに楽しそうなのに、良いリーダーぶっちゃってさー。\r\nそうそう、ひとつ秘密を教えてあげるよ。カシミラはね、埃まみれのコントローラーを持ってるの。壊れてるわけじゃないのに、どーしても使わないの。何回か貸してって頼んでみたけど、全部断られちゃった。たぶん、貸してもらえたのは、ベニトだけじゃないかな? それも、1回だけだよ?\r\nでも、キミにだったら貸してくれるかも?ねえ、試してみてよ♪\r\n――シャトン",
"CharacterArchiveContent.10808.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.10808.2": "やっとこの日が来た!\r\nあたしは誓ったの。いつかカシミラを倒して、白猫最強の王になるって……だから、今日はあたしがカシミラを評価する番! gbuiweh;ofbaou;gdfo;acboa8wgdcwowギブ! ギブギブッ! あたしが悪かったから、キーボードに顔をぐりぐりしないでぇぇ!\r\n――シャトン\r\n\r\nみんなにとって団員想いの真面目で良い隊長だと思う。\r\n――ベニト",
"CharacterArchiveContent.10809.1": "地理協会(?)の評価",
"CharacterArchiveContent.10809.2": "劇団白猫の資料は紛失してるものが多いから、その信憑性を確かめるために、私たちが色んな場所に行って、たくさんの人から話を聞いてきたよ!\r\nそれで、調べた結果なんだけど――\r\nジャジャーン! 上の内容は紛れもなく事実だよ!<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n少なくとも私はそう信じてる! だって空白旅団のメンバーは、みんなカシミラから折り紙をもらったことがあるもん!\r\n――セイナ",
"CharacterArchiveContent.10810.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.10810.2": "星ノ塔のゲームセンターより素晴らしい場所はない。\r\nあの大型筐体の数々は、並の巡遊者ではいくら願っても手に入れられない代物だよ。あそこでゲームができるのは、荒野の中で生き残る力と、星骸を倒す実力を持った強者だけ。\r\nだから、あそこはまさにゲーマーの殿堂。その筐体に名前を残しているのは、全員が殿堂入りのスーパープレイヤーだ。\r\n私は以前、幸運にも護衛を引き受けてくれる巡遊者に出会い、何とかそのランキングに名前を刻むことができたが、私の点数などトップには程遠いものだったよ。\r\nほとんどの筐体を確認したが、トップにはどれも同じ名前が表示されていた。きっとあれは、星ノ塔のゲームセンターを管理する神の名だと、私は信じている。\r\n――星輝附属大学ゲーム部部長がレッドアイズのインタビューを受けた時のコメント",
"CharacterArchiveContent.10811.1": "猫の旅支度",
"CharacterArchiveContent.10811.2": "傭兵に志願する子どもたちは知っていた。カシミラは、折り紙が得意だということを。\r\n彼女のことを深く知らない同僚たちは、その生真面目な小隊長を「無愛想」だと評価していた。\r\n劇団の全員が参加するような盛大なパーティーでも、カシミラは輪に加わろうとはしないからだ。彼女はいつも、少し離れた場所に立ってみんなを眺めている。\r\nたとえ誰かが話しかけに行ったとしても、反応に困ったような顔をして、「あっちで遊んでいろ」と言われてしまう。\r\n\r\n「カシミラか……結構みんなの話題に敏感な方だと思うよ」当時劇団で働いていたメイクさんはそう言っていた。「前にスズランと、『ナっちゃん、また彼氏と喧嘩したのかな?』なんて話をしてたら、ちょうど通りかかったカシミラが、『今回は本当に別れたらしい』だなんて言ってさ。私もスズランもびっくりしちゃって」\r\n「彼女、あまり他人のことに興味がないように見えるんだけど、ちゃんとみんなのことを見てるんだなって思ったの」\r\n「でもね、なんでかはわからないけど、私のほうから話しかけたら、あれこれ言い訳をつけて逃げられちゃうのよ。そういうところ、ずるいわよねー」\r\n「あ、猫の旅支度が始まったわ。私も行かなくちゃ。また今度ね」\r\n\r\n『劇団白猫』の団員たちは、名前の通り多くの猫と共に暮らしている。猫はしばしば心がないと言われることもあるが、長く付き合えば、誰が食べ物を持ってきてくれるのか、誰が気持ちよく撫でてくれるのか、彼らはちゃんと覚えてくれる。\r\nそのため、もしも団員の誰かに不幸があった場合には、真っ先にその者が世話をしていた猫に知らせることにしていた。\r\nそのことを、ここでは「旅支度」と呼んでいる。\r\n劇団白猫の団員たちは、みんな特殊なリボンを所持していて、任務中にはそれを使って仲間と連絡を取り合っている。もし誰かが帰らぬ人となってしまった時、団員にはその者の武器とリボンを回収する義務がある。たとえ二度と使い物にならなくとも、たとえ糸の1本、ボロ布のひと切れでも、仲間の形見を必ず持ち帰る。\r\nなぜなら、犠牲になった者を猫に知らせることができるのは、それらの形見だけだからだ。\r\n\r\n持ち帰った遺品は一箇所に集められ、それから猫たちをそこへ連れてくる。猫の嗅覚は鋭く、そしてとても賢い生き物だから、よく知っている匂いがすれば、そこへ駆け寄り、そのリボンを口に咥える。\r\nそうすることで、他の猫たちも理解することになる。その猫と親しくしていた人間は、もう帰ってこないのだと。\r\nたとえ飼い主が死んだことを知っても、大人しく元の生活を続ける猫も多いが、中には受け入れることができないのか、リボンを咥えてどこかに行ってしまう猫もいる。そういう猫は、どんなに呼んでも戻ってはこない。\r\n飼い主を探しに行ったのか、真実は猫にしかわからない。\r\n\r\n想像できるだろうか? 昨日まで自分に食べ物をくれていた人間が、今日からはもう二度と会えないと。二度と帰ってはこないと。\r\n想像できるだろうか? 昨日まで自分と楽しく語り合っていた人間が、今日からはもう二度と笑うことがないと。二度とじゃれ合うことはできないと。\r\n\r\n人間は無意識のうちに、受け入れがたい事実から目を逸らすことがある。まるでそうすれば、物事をなかったことにできるかのように。とぼけることは、実に優秀なサバイバル術だ。これが得意な人間は、多くの不必要な苦痛を回避して、人生を送ることができる。\r\nしかしもちろん、誰もがそれを得意としているわけじゃない。カシミラもまた、その中の一人だった。",
"CharacterArchiveContent.10812.1": "猫の旅立ち",
"CharacterArchiveContent.10812.2": "子どもたちがカシミラの秘密を知ったのは、ある日の猫の旅支度の後だった。\r\n予備役の子どもたちは劇団の猫にエサをやれるが、儀式への出席は禁止されている。しかし、これに対して文句を言う子どもはほとんどいない。この不定期に行われる儀式の前後は、みんなバタバタしていて、彼女たちに口うるさく言う大人がほとんどいないからだ。\r\nそれは、子どもたちにとって、滅多にない思いきり遊びほうけられるチャンスなのだ。\r\nある日、子どもたちが劇団の近くにある小川へ冒険しに行った時、川岸に座っているカシミラを見つけた。彼女の手の中で、カラフルな紙が1回、2回と折られ、最後には綺麗な紙船になった。\r\n「お姉ちゃん、キャンディーを分けてあげるから、その船を1つくれない?」\r\n「すまない。今日は余分な紙は持ってきていないんだ。この船は、友人への贈り物だから……また今度な」\r\n\r\n「ゆーじん? どこにゆーじんがいるの?」\r\n子どもたちは辺りを見回したが、そこにはカシミラ以外に誰もいなかった。しかしそれでも、彼女たちはカシミラの言葉を受け入れた。\r\n「じゃあ、また来るね! 次はくれるって、約束だからね!」\r\n\r\nカシミラはただ小さく微笑んだ。\r\n彼女は手の中の紙船を川に浮かべ、それらが流され、遠ざかっていくのを静かに見守った。\r\n1つ、2つ、3つ、4つ、5つ……\r\nそれはちょうど、今回帰ってこられなかった仲間の数と同じだった。\r\n\r\nカシミラは約束を守る人間だ。次の日の午後、彼女は折り紙を持って子どもたちのところにやってきた。しかし、折り紙で作ったのは船ではなく鶴だった。\r\n「鶴はいらないよ! 紙の船は水に浮かべられるけど、紙の鶴は飛べないじゃん!」\r\n「では、これならどうだ?」\r\nカシミラがさらに紙を折ると、精巧な紙飛行機が彼女の手の上に現れた。\r\n「これは?」\r\n「星ノ塔では『戦闘型無人航空機模型』と書かれていたが、私たちはこう呼んでいる――『紙飛行機』」\r\nカシミラが、ふうと息を吹きかけてから紙飛行機を投げると、それはふらふらと空へ向かって飛んでいった。\r\n「飛んでる! 紙飛行機が飛んでるよ!」\r\n子どもたちはひとりずつ紙飛行機を貰い、それを持ったまま走っていった。その日の午後、小川のそばでは、色とりどりの紙飛行機が真っ青な空の下を飛び回った。\r\nしかし、うっかり屋はどこにでもいるものだ。紙飛行機を川に投げ込んでしまった子どもは、カシミラに新しい紙飛行機をねだりながらこう言った。\r\n「見てお姉ちゃん。川に落ちた紙飛行機が水に浮かんでる」\r\n「てことは、川に落ちた紙飛行機は、船でもあるってこと?」\r\n\r\n「いいや、違うよ」カシミラは、そう答えた。「紙船は紙船、紙飛行機は紙飛行機だ。同じなんかじゃない」\r\n「どうして? どこが違うの?」\r\n「紙船は、ただ水に流され、最後は誰も知らないどこかで沈むだけさ。そうしたら、もう誰も、その紙船のことなんか覚えていない」\r\n生者と死者の旅は違う。死者の旅の目的地は追憶であり、諦念であり、忘却だ。\r\n「でも紙飛行機は……いや、君たちは、飛ぶべきなのだ」\r\n\r\n「澱んだ川底へ沈むのではなく、高く、もっと高く、青い大空へ向かって……」\r\n「ふーん……あ、お姉ちゃん! 鳥とか、ちょうちょも折ってよ! みんな飛べるよ!」\r\nそれは、「監視者」であるカシミラにとって、唯一彼らにできることだった。\r\n「ああ、いいだろう。そうしたら君たちも、鳥やちょうちょの様に、遠くまで飛ぶんだ? 分かったか?」\r\n\r\n「もう少し頑張ろう」夕陽に照らされた水面を眺めて、カシミラは折り紙を折りながら心の中でそう呟いた。\r\n「他の隊長ともう少し話してみよう。子どもたちを正式な任務に投入する時期を延ばしてもらえるように……」",
"CharacterArchiveContent.10813.1": "武器逸話:マタタビ-1886",
"CharacterArchiveContent.10813.2": "それは、カシミラが傭兵になりたてのころだった。\r\n人間は、物を失くす生き物だ。重要な資料をどこかに置き忘れたり、大型の武器を星ノ塔のどこかに置き去りにしてきたり……とにかく、常に注意力が万全の状態でなければ、そのようなことが起きるのは仕方がないことだ。\r\nカシミラの今までの失敗の中で一番酷かったのは、散弾銃を本屋の入り口に忘れたことだろう。\r\n\r\n大吉。雑誌の「今日の運勢コーナー」にそう書かれていたから、今日はきっといいことが起こる。\r\nそう思ったカシミラの頭の中で、「大吉」=「星ノ塔の任務がうまく行く」という図が成り立ってしまった。しかし実際に星ノ塔の下まで来た彼女は、武器を取ろうと腰に手を当てて初めて、とんでもないミスをしでかしてしまったことに気づいた。\r\nまずい! 商売道具がなくなっただけならまだしも、劇団白猫が特別に改造を施した武器は、彼女たち団員にとって命よりも大事な代物なのだ。先輩傭兵が引退する際には、その武器は新人たちへと受け継がれる。武器には、彼女たちの知識や記憶、そして戦いの真髄が宿っている。伝説に自分の爪痕を残そうと志す傭兵であれば、誰しもが自分の武器を大切にしている。そして、いつかその武器が自分の伝説の一部となり、いつまでも人々に語り継がれることを期待している。\r\n「あなたは今期の隊員の中で、私が最も期待している新兵だ。だから、私のこの散弾銃は、あなたに託すことにした。この子の名前は『マタタビ-1886』。大切にしておくれ」\r\n劇団メンバーの武器は、猫に関連する名前が付けられること多いが、どうしてこの銃が「マタタビ」と名づけられたのか、カシミラにはどうしても分からなかった。\r\nだが、大先輩がそう言うのだから、その名前を大切に受け継ごうと、彼女は思った。\r\n\r\nそれなのに、一番の有望株として期待された彼女は、なんと正式に傭兵となってから1週間もしないうちに武器をなくしてしまった。まったく、なんてことだろう。\r\nカシミラは心当たりのある場所を思い返して、今のこの状況がいかに危ういか気づいてしまった。\r\n公園、商店街、本屋、軽食の屋台……思い当たる場所は、劇団のような「仲間」や星ノ塔のような「同業者」がいる場所ではなかったのだ。\r\n「まずい……」\r\n「一般人に拾われてしまったら……!」\r\n\r\n今日一日通った道に沿って、順に探していくしかない。\r\nミラーシュでは、その武器が違法改造品かどうかを気にする人はほぼいないだろうが、玉石混交の砂漠の町で、遺失物をくすねるのはよくあることだ。\r\nカシミラは考えた。もし見つからなかったら……仲間に大金を借り、それから何か月分かの給与を前借し、新しい武器を作ってもらうしかない……\r\n\r\n幸いなことに、2つ目の目的地である本屋を訪れた時、彼女は落し物の手がかりを見つけることができた。\r\n\r\n「変わった形の魔法の杖? ああ、あれか……入り口のイスのところに置いてあったよ」\r\n「入り口のイス? 猫が数匹じゃれ合っていたのは見たが……」\r\n「……なるほど。ついておいで」\r\n店主はカシミラを連れて入り口へ向かうと、群がる猫たちの真ん中に手を入れて、その中からカシミラの散弾銃を取り出した。\r\n「ほら、猫ってもんは、新しい物が好きなんだよ。この杖を見つけてから、なんでかは知らないが、近くの野良猫がみんなこっちに集まって来てな。よほどこいつが気に入ったみたいだ」\r\n\r\nいったいどういうことだろう。カシミラは店主に場所を借り、まだ一度も共に戦ったことのない散弾銃を分解した。すると、なんと本来弾丸が詰められているはずの場所に、少し枯れたマタタビが挟まれていたのだ。\r\nなるほど、だから「マタタビ」なのか。こんな仕掛けがあったなんて……\r\nそれが先輩のいたずらだったのか、今となっては知る由もない。カシミラはイスの上に座ると、マタタビの香りにつられて来た猫たちに埋もれてしまった。\r\n間違いなく、今日は「大吉」だ。",
"CharacterArchiveContent.11001.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11001.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11002.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11002.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11003.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11003.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11004.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11004.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11005.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11005.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11006.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11006.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11007.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11007.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11008.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11008.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11009.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11009.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11010.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11010.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11011.1": "貴族課程・上",
"CharacterArchiveContent.11011.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11012.1": "貴族課程・下",
"CharacterArchiveContent.11012.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11013.1": "武器逸話:星芒",
"CharacterArchiveContent.11013.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11101.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11101.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11102.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11102.2": "大手カンパニーに就職するため。",
"CharacterArchiveContent.11103.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11103.2": "学歴\r\n\r\n『恩恵エネルギー学』 独学\r\n『帝国紋章学』 独学\r\n『星ノ塔数学』 独学\r\n『恩恵呪文』 独学\r\n星輝附属大学の入学試験に参加するも、1点足りずに不合格となる。",
"CharacterArchiveContent.11104.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11104.2": "職歴\r\n\r\n995年鳴月~現在:空白旅団の巡遊者\r\n職務内容:星ノ塔を3つ探索し、神器を5つ獲得。依頼を20件達成し、すべて高評価を獲得。\r\n\r\n995年雪月〜鳴月:アモール安心誠意財務事務所の見習い事務員\r\n職務内容:業務文書の原稿整理、簿記担当の補佐、帳簿の標本調査、顧客の質問状の作成、簿記表の草稿作成など。\r\n離職理由:事務所が倒産したため。\r\n\r\n994年雷月〜霜月:アモール恩恵意志第305号心相石ショップの販売員\r\n職務内容:接客、心相石のエネルギーチャージサービスの提供。皆勤賞を6回、月間優秀スタッフ賞を3回獲得。\r\n離職理由:恩恵意志の運営方針により、第305号心相ショップが閉店となったため。\r\n\r\n994年清月〜雷月:アルバイト\r\nアルバイトをしながら星輝附属大学を受験、結果は不合格。",
"CharacterArchiveContent.11105.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11105.2": "資格証書\r\n\r\n『簿記就職資格証』\r\n『安全建築士証書』\r\n『消防技師』\r\n『魔法少女サポータースタッフ資格証』\r\n『占い師資格証書』",
"CharacterArchiveContent.11106.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11106.2": "趣味\r\n\r\n心が落ち着かない時は、問題集を解きます。\r\n世界は複雑ですが、問題集はシンプルです。難しそうに見える問題文と公式の裏には、必ず、答えが待っています。",
"CharacterArchiveContent.11107.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11107.2": "自己PR\r\n\r\n巡遊者としては新人ですが、さまざまな業種の実務経験があります。\r\n仕事がありましたら、ぜひやらせてください。\r\n試用期間は無給でも構いません。",
"CharacterArchiveContent.11108.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11108.2": "うっかり何かしちゃった時は、アヤメのとこに行くといいよ! アヤメなら、きっと何とかしてくれる!\r\nいつの間にか、結構アヤメに迷惑かけちゃってるんだけど……\r\n――セイナ\r\n\r\nお財布が空っぽになった瞬間に、新しい依頼か、仕事を見つけてくれる。\r\nアヤメは、うちの後方支援の神様。\r\n――コハク",
"CharacterArchiveContent.11109.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11109.2": "事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n地理協会から見ても、どのギルドにもアヤメさんのような人材が必要と言えます。\r\n彼女は時折悲観的ですが、いざというときは、往々にしてマイナス思考の巡遊者の方が強いのかもしれません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11110.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11110.2": "……合否確認作業の中で、このような受験生を発見しました。\r\n合計6科目の試験の中で、彼女は5科目で優秀な成績を収めていますが、1科目だけ試験を欠席したことで総合成績が合格ラインに1点届きませんでした。\r\nこのような人材について、受験生本人に試験を欠席した理由を尋ねておくべきでしょうか?\r\n\r\n【星輝会の回答】星輝附属大学の選抜は神聖なものです。このようなことで、例外を作ってはなりません。これもきっと恩恵の神の導きでしょう。この受験生に星輝附属大学に入る十分な資格が備わった時、自ずと星輝会から彼女に声がかかるでしょう。\r\n\r\n――『994年度 星輝附属大学の合否確認作業記録より抜粋』",
"CharacterArchiveContent.11111.1": "正解",
"CharacterArchiveContent.11111.2": "「円および、それに外接する正方形が同一の対称軸を中心に1周すると、円柱の中に球体が入った立体図形になる。では、この立体図形において、以下の事を証明せよ。1.球体の体積が円柱の体積の3分の2であること。2.球体の表面積が円柱の表面積の3分の2であること……」\r\n\r\n別段難しい問題ではない。\r\n一通り問題文を読んだあと、アヤメはすぐに問題の解き方を思いつき、素早くペンを走らせた。\r\nオアシス号の中はとても静かで、聞こえるのは紙をめくる音とペン先が紙をこする音。そして、時計の針のチクタクという音だけ。\r\nアヤメはこの音がとても好きだった。それは正確さや規律正しさの象徴であり、絶対裏切ることのない音だから。\r\n1時間は60分。どこまでいってもそれは変わらない。\r\n\r\nそれと同じように、アヤメは問題を解くのが好きだった。\r\n問題には必ず答えがある。言い換えれば、努力が必ず報われるということだ。\r\n正解であれば、答えを見た瞬間の喜びこそがそのご褒美であり、\r\n不正解でも、新しい知識を学べたことも一種のご褒美と言えるだろう。\r\n頑張れば報われる。これ以上に素晴らしいことはない。\r\n\r\n「法線ベクトルを用いて以下の問題を証明せよ。四角形の対角線の交点が、2本の対角線のそれぞれの中点であるならば、その四角形は平行四辺形であること」\r\n\r\n次の問題は少しだけ難しい。\r\nこれらの問題はどれも、アヤメが星ノ塔の本屋で撮影したものだ。\r\n星ノ塔の物は、祈願箱から出た神器以外、持ち出すことはできないが、\r\n巡遊者の記憶だけは例外だ。\r\n目についた問題を片っ端から集めているだけなので、アヤメの試験用紙には、いつもさまざまな難易度の問題が詰め込まれている。\r\nアヤメは、簡単な問題よりも、複雑な問題が好きだった。脳みそから知恵を絞り出して難問と戦い、最終的に勝利を得る快感は、筆舌に尽くしがたいものだ。\r\n\r\n「空のプールが満タンになるまで水を注ぐには8時間必要で、同じプールを満タンの状態から空になるまで放水するには10時間必要だ。では、空のプールに水を注ぎながら放水した場合、満タンになるまで何時間かかるでしょう?」\r\n\r\nもちろん、初心者向きの問題も嫌いじゃない。\r\n前にセイナがこの問題を見て、「なんで水を注ぎながら水を抜くの? もったいないじゃん!」とぼやいていた。\r\nでも、アヤメはそうは思わない。\r\nもしも水を空白旅団の経費とし、プールを旅団の財布だとしたら。リアルでも成立する問題になるだろう。\r\nもっとも、空白旅団のプールは、注水より放水の方が速いが……\r\n\r\n設定していたアラームが鳴り、アヤメはペンを置いた。\r\n写真を組み合わせてできた『模擬試験』を解いたあと、彼女は心が穏やかになったのを感じた。今なら、もう一度勇気を出して、まだ答えを見つけられていない……いや、もしかしたら正解なんて存在しない世界に、向き合える気がした。",
"CharacterArchiveContent.11112.1": "占い師アヤメ",
"CharacterArchiveContent.11112.2": "「あなたの仕事は、現実的なアドバイスをすることではなく、お客さんにマッサージをすることなのよ」\r\n「ま、マッサージ……? あの、私、占い師の募集を見て来たんですけど……マッサージはできません……」\r\n「心のマッサージよ。こう言えば分かる? つまり、相手が喜ぶことを言ってあげるの」\r\n「ああ、それでしたら、テストの時にやりました」\r\n「よろしい。では、ここは任せたわ。夜になったら様子を見に来るから」\r\n「はい。頑張ります」\r\n\r\nこれは、アヤメがまだ巡遊者じゃなかった時のことだ。\r\n彼女はアルバイトのために、高い学費を払って、「占い師資格証書」を手に入れた。\r\nそして、彼女は先がとがった帽子を被り、レンタルした暗いテントの中で、お客さんが来てくれるのを待った。\r\n\r\nこの世界には、人の心を読み取る魔法が存在する。\r\nしかし、どうぞご心配なく。街角の占いブースで心の内を読まれるなんて、万に一つもないのだから。\r\n読心術に使う恩恵エネルギーは高価すぎる。1000ドーラの占い料のために、100万ドーラを使う者なんていない。\r\nアヤメが勉強したのは、別の種類の「占い」だった。\r\nコールドリーディングも、遠まわしの話術も必要なく、\r\nただ、お客さんの話を聞き、その人の心を温められるような言葉をあげるだけでいいのだ。\r\n例えば――\r\n「水晶玉によると、恩恵の神はあなたの扉を閉じてしまいました……しかし、もう少しで、再びその扉は開かれます」\r\n「来月になれば、運気が回復していきます。だから元気を出してください」と言ってみたり。\r\nもしくは――\r\n「あなたと同僚の運命は、少しずつ混ざり合ってきています。あと少し我慢すれば、あなたたちの仕事での衝突は少なくなることでしょう」\r\n「今月は食事の月です。レストランの商売はよくなり、あなたはクビになどされませんよ」と言ってみたりだ。\r\nここに来るお客さんの大半は、明確なアドバイスではなく、辛い日々を乗り越えるための小さな慰めが欲しいのだ。\r\n1か月ヨタカブレッドを食べ続けたアヤメが、自分へのご褒美としてクッキーを1切れ頬張ったように。\r\n\r\nすぐに、アヤメの占いブースは一部の界隈で有名になった。\r\n彼女の柔らかな笑顔が安心感を与えるというのが理由の一つで、\r\nもう一つの理由は、彼女の人生経験に、多くのお客さんが共感したことだ。アヤメの話を聞いているうちに、みんな、自分が遭遇した困難なんて、大したことないと思えるようになった。\r\n\r\nアヤメは一度、この仕事を生涯続けようかとも思った。『占い師アヤメ』というのも、悪くはないと。\r\nしかしある日、\r\n彼女は本物の「占い」、いや、本物の「人生相談」とは何なのかを思い知った。\r\nあれは雨の日だった。一人の子どもがアヤメのテントに駆け込み、「自分はこのまま学校に行くべきなのか、それとも働いた方がいいのかを知りたい。もし働くなら、どんな仕事に就いた方がいいかを占って欲しい」と、そう依頼した。\r\nアヤメは初めて、質問に答えることが出来ないと感じた。\r\n彼女はいままでずっと、テクニックで問題の答えを推測し、それを回答欄に埋めてきた。しかし、どうしてそれが正解なのかは、少しも理解できていなかった。\r\nその時、子どもから向けられた真剣な視線と、硬貨を1枚1枚並べて料金を支払う姿に、\r\nいままでのように、相手が求めている答えをすんなりと口にすることが出来ない自分に気がついた。\r\n結局彼女は、この問題を解けなかったのだ。\r\n\r\n『占い師アヤメ』の物語は終わった。\r\n答えを推測するテクニックはテクニックでしかなく、「人生」という問題を紐解くには、もっとたくさんの経験が必要だ。\r\nそれらは別の物語――『巡遊者アヤメ』で語られることだろう。",
"CharacterArchiveContent.11113.1": "武器逸話:286型魔導書",
"CharacterArchiveContent.11113.2": "アヤメが巡遊者になってからはじめての、そして、空白旅団が成立してからはじめての塔の探索は、驚くほど順調だった。\r\n出発前に、アヤメはたくさんの予習をしていた。\r\nギルドのため、都市からそう離れていない星ノ塔を選び、オアシス号の試運転の旅とした。\r\nこの塔には、過去にたくさんの巡遊者が訪れたことがあり、地理協会には詳細な資料がある。たとえ新人の巡遊者でも、資料を読むだけで内部の状況をほぼ把握することができた。\r\nまた、この塔からは、「知的労働」に役立つ神器が出やすいというのも、アヤメがここに決めた大きなポイントだった。このような神器は大変人気があり、ほとんどの場合は高い値段で売却することができる。\r\n\r\n知識をしっかりと身につけていれば、自然と問題をサクサクと解いていける。\r\n駆け出しのギルドとして、彼女たちは一歩一歩慎重に前へと進んだ。アヤメはどの部屋にどのタイプの星骸が出現しやすいのか、どこの曲がり角で待ち伏せされやすいのかまで把握していて、その上、セイナとコハクのために詳しい心韻の使用計画書まで用意していた。\r\n普通の新人ギルドであれば、星骸を見るなり魔法を湯水のように使ってしまうのだが、アヤメの場合は、少しでも恩恵エネルギーを節約するために、緻密な計算に基づいて魔法を使うようにしていた。恩恵エネルギーは、恩恵意志にドーラを払って買うものだから。\r\nそうして、彼女たちはなんと初めての探索で、一気に魔王の間を3つも踏破し、アヤメの願いで、祈願箱からいきなり大変貴重な「外付けブレイン」が出てきた。\r\n\r\n名前の通り、この神器は外部から取り付けられる脳のような代物だ。\r\nキーボードで魔法の呪文を入力すれば、神器が計算や資料の整理といった作業を代わりにしてくれる。\r\nたとえゴールドエリアにカンパニーを構える人でも、外付けブレインを持っていることは大きなステータスとなるだろう。\r\nセイナは、この神器は売らずに、アヤメが使うべきだと主張した。コハクもそれに賛成した。\r\nアヤメは魔法を使うたびに計算で頭を使っていたので、塔から出る時、明らかに入る時よりも顔色が悪くなっていた。\r\nセイナはこう言った、「これはアヤメが使って。アヤメの体調のためにも」と。\r\n\r\nしかし最終的に、アヤメは外付けブレインを売ってしまった。\r\n計算に使われるエネルギーより、空白旅団の予算の方が、彼女の体調にとってよっぽど脅威であったからだ。\r\n経験豊富な巡遊者はみんなこう言う。「願掛けは、初回が一番運がいい。その巡遊者が生まれてから今までの願い、または怨念の力がこもっているから。だから反対に、願掛けが日常茶飯事になってしまったら、いい物はなかなか出なくなってしまう」と。\r\nアヤメは考えた。もし次の願掛けで売りやすい神器が出なかったらどうしよう……\r\n戦闘中の計算なら、紙とペンを使ってもできるし、自分がもっと頑張れば済むだけの話だ。\r\n\r\nそして、アヤメは外付けブレインを売ったお金を持ってオアシス号に戻ってきたが、彼女を出迎えたのは、四角いプレゼントの箱だった。\r\nこれはセイナとコハクが全財産をはたいて彼女のために購入した贈り物――どこかのカンパニーが作った、外付けブレインの下位互換品、286型魔導書だ。\r\n神器と比べると性能はだいぶ低いし、外付けブレインではボタンになっているところが魔法の文字で代替されている。しかし、使い方自体は同じで、どちらも開いてから横にして使う物だ。\r\nその夜、セイナとコハクは、『無駄遣い』をしたことでアヤメにくどくどと説教されてしまった。\r\nしかしそれでも、この魔導書がとうに型落ちとなった今でも、アヤメはずっと、これを大切に使い続けている。",
"CharacterArchiveContent.11201.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11201.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11202.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11202.2": "星狩り!\r\n\r\nウィローのコメント:履歴書の内容としてはやや不適切なので、以下の内容を参考にしてください。\r\n「まだ見ぬ仲間と出会いを期待し、荒野で自由気ままな生活を送りたいから」",
"CharacterArchiveContent.11203.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11203.2": "オアシス号\r\n\r\n「愛称は、『ミドリちゃん』。セイナがひとりで組み立てたキャンピングカー」\r\n……こう書いてって魔王さんに言われたけど、そんなことないよ!\r\n部品を集めたのは私だけど、アヤメとコハクと3人で組み立てたんだ!だから、ミドリちゃんが生まれたのは、みんなのおかげなんだよ♪\r\n拾ってきた動力やハンドルやシート、アクスルやシャーシを何となく組み立てただけで、まさかこんなに上手くいくなんて、実は私が一番驚いたけど! えへへ!",
"CharacterArchiveContent.11204.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11204.2": "たまごペット詐欺事件\r\n\r\n帝国護衛隊の事件記録にある被害者Sの証言。\r\n「その詐欺師、アモールアッシュエリアの星門駅から左に曲がって、3つ目の路地の入り口のとこで屋台をやっていたはず!」\r\n「そう、中背中肉で、たぶん巡遊者だったと思う。あと、口角のとこに傷跡があったよ」\r\n「売ってたのは、噂によると一番貴重とされるシャロのたまごペットだった。その人は、たまごの中のシャロをレベル999まで育てたら、星ノ塔で召喚できるって言ってた」\r\n「もちろん育てたよ! でもシャロは現れなかった……だから、絶対詐欺だよ!」",
"CharacterArchiveContent.11205.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11205.2": "第七回荒野サバイバルコンテスト一等賞\r\n\r\n補足:セイナはこの部分の記憶を失っているため、下記内容はウィローが代筆で記入している。\r\n\r\n巡遊者の間の勝負事は星の数ほどある。しかし地理協会が主催となる最も権威ある荒野サバイバルコンテストは、他のどんな試合よりも参加者の実力を測ることができる。\r\nこの試合において、セイナはチーターのようなスピード、クマのような腕力、タカのような洞察力をもって見事に勝ち抜き、数多くの参加者の中で一番長く生き延び、優勝者となった。\r\nまた、セイナが試合中にバーベキューの超絶技巧を披露したことで、鳳凰炒飯の審査員が、試合後に彼女を名誉シェフとしてスカウトしたこともあった。",
"CharacterArchiveContent.11206.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11206.2": "もう1本\r\n\r\n「星ノ塔コンビニ、ただいまキャンペーン中! 『パチパチメテオ』を買うと、抽選でもう1本プレゼント!」\r\n\r\nいまでも、あのときコンビニで見たキャッチコピーを覚えてるよ。\r\nアヤメは、私たちにそんな幸運は訪れないって言ってたけど、でもね、私が買った「パチパチメテオ」の缶の裏には、「もう1本」ってちゃんと書いてあったんだ。\r\nそれでね、飲み終わった缶を写真に撮って、ケータイの壁紙にしてるんだー!",
"CharacterArchiveContent.11207.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11207.2": "宝の地図\r\n\r\nこれは、とある依頼の報酬。\r\nあの時は、役に立たないボロ紙を押しつけられたって思ってた。\r\nでも、この宝の地図のおかげで、私たちは砂漠の中で魔王さんを見つけられた。\r\nあの日から私たちの生活はまるっと変わったんだ!あの瞬間は、絶対に履歴書に書くべきだよね!",
"CharacterArchiveContent.11208.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11208.2": "えー!? セイナって、こんなすごい賞を持ってたんですか!? じゃ、じゃあ、うちのギルドの依頼単価を少し上げても……いいですよね?\r\n――アヤメ\r\n\r\n騎士の先輩にたまごペットの詐欺事件について聞いたことがあります。なんと、被害者は本当に偽物のたまごペットをレベル999まで育てたって。そんなに強い意志がある人なら、どんなことをしてもきっと成功すると思うであります。\r\n――ティリア",
"CharacterArchiveContent.11209.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11209.2": "事実に相違ないです<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nウィローが認めた巡遊者であれば、事実の確認をしなくともいいでしょう。これはサボっているわけじゃないから。限りある時間は、もっと有意義に使うべきでしょう?\r\n――キンシャ",
"CharacterArchiveContent.11210.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11210.2": "ある日、オアシス号の掃除をしていた魔王は、ケースがボロボロになっている録画箱を見つけた。きっと、元の持ち主が何度も再生したのだろう。\r\n\r\n映画名:『クマクマ大冒険』\r\nあらすじ:\r\n勇者の前に突然、『不可能任務実行隊』と名乗る、5匹のクマのぬいぐるみで結成された小隊が現れた。そのメンバーは――\r\n隊長のマジック熊ヴァニッサ、\r\n副隊長のハンマー熊カリス、\r\n軍師のマジシャン熊バナタン、\r\n騎士のアーマー熊エルサ、\r\nそして、戦士のアックス熊ユスラだ。\r\n「これ以上の深入りはだめクマ!」。ヴァニッサが勇者に警告した。\r\n「止まれクマぁ! 止まれクマぁ!」。カリスもそう叫んだ。\r\n5匹を縦に積んでも自分の腰にすら届かないピンク色のクマたちを見て、勇者は、この冒険の行く末を憂いた。",
"CharacterArchiveContent.11211.1": "双子星の伝説",
"CharacterArchiveContent.11211.2": "『双子星の伝説』は、地理協会が刊行する『巡遊者ストーリー█年旅月号』に掲載された小説である。なお、作者名は空欄となっていた。\r\nセイナはこの物語が大好きだった。もしかしたらそれは、2人の主役のうちの1人の夢に心を打たれたからかもしれない。\r\n\r\n以下は本文から引用したものである。\r\n\r\n花束、拍手、そして眩いスポットライト。\r\n叙勲式のステージ上で、グラビルは照明の眩しさに涙が出そうになっていた。隣のダリヤを見ると、彼女は顔色一つ変えずに、すらすらとスピーチをしていた。その姿を見たグラビルは、このパートナーのことをますます尊敬するようになった。\r\n\r\n式典が始まる前から、ダリヤはこのときのことを予見できていた。彼女がグラビルに割り当てた任務は簡単だった。「背筋を伸ばして私の横に立ち、そして微笑みを絶やさないこと」ただそれだけだ。\r\n「まあでも、立ってるだけっていうのもダメだよね……うーん、こうしよう!最後の締めくくりの言葉を任せるよ。グラビルは一言で場を沸かせるのが得意だからね」\r\nダリヤは、ステージに上がる前の最後の仕上げとして、自分とパートナーのドレスの裾を綺麗に整えた。\r\n\r\n「原稿とかなくてもいいの?」グラビルは叙勲式の場面を想像した。ホールのベロアのイスには、カンパニーの偉い人たちが座っている……その場の全員が、ギルドの大切なクライアントになるかもしれないのだ。\r\n「もし私がテンパっちゃって、『星狩りに行く』なんて口走っちゃったらどうしよう……そんな夢物語を口にしてたら、うちのギルドはだめなんじゃないかって思われて、ゴールドエリアでやっていけなくなるって団長にいつも言われてるのに……」\r\n「でも、その夢はすごく素敵じゃない?私は好きだよ!」しっかり者のパートナーはグラビルの心配をよそに、明るくそう答えた。「もし団長に怒られたら、私が書いた原稿をそのまま読んだって言ったらいいよ」\r\n「そんな、ダリヤのせいにするなんて!でも、もうなにを言うか決めたよっ!」\r\n\r\n気がつくと、スピーチは終盤に差し掛かっていた。\r\n「もちろん、私たちの目標は、まだまだ先にあります」ダリヤは微笑みながら、締めくくりの言葉をグラビルに委ねた。\r\nダリヤからの合図を確認したグラビルは、さらに背筋をピーンと伸ばす。\r\n目に差し込むスポットライトの眩しさで、溢れてきそうになる涙をぐっと堪え、彼女はマイクに頼ることなく、大きな声で、はっきりと、その言葉をホールの最後列にまで届けた。\r\n\r\n「星狩り!私たちの次の目標は、星狩りです!」\r\n\r\n気まずい沈黙が1秒だけ流れたが、すぐに、グラビルの横から拍手の音がした。\r\nそれに続く形で、観客のお偉方も、体裁を保つためにパチパチとその場しのぎの拍手を送った。\r\n叙勲式は、そこで終了した。\r\n\r\nグラビルは晴れやかな気分で口笛を吹いた。観客席でカンカンに怒っていた団長をどう宥めるかは、後で考えることに決めていた。\r\nせいぜい自分の今月の給料が引かれるくらいだ。もしかしたら、ダリヤの分も危ういかもしれないが……",
"CharacterArchiveContent.11212.1": "双子星の幕引き",
"CharacterArchiveContent.11212.2": "『双子星の幕引き』は、地理協会が刊行する『巡遊者ストーリー█年霜月号』に掲載された小説である。なお、作者名は空欄となっていた。\r\nこれは、連載されていた『双子星の伝説』シリーズの最終話にあたる物語である。\r\n徹夜でこれを読みきったセイナは、アヤメに頼み込み、編集部宛てに「2人の主役のラストに対する抗議の手紙」を書いてもらった。\r\n\r\n以下は本文から引用したものである。\r\n\r\nグラビルが青白くなった唇を唾で潤していると、足元のがれきに躓いてしまった。彼女は何とか剣を地面に突き立てて体勢を保ったが、その背中で気を失っているダリヤは、反動で地面に落ちそうになっていた。\r\nグラビルは足を止めて、姿勢を整えた。もう二度と、ダリヤに傷を負わせるわけにはいかない。\r\n\r\nどれぐらい歩いただろうか。\r\n経験豊富な巡遊者であるグラビルは、星骸との戦いを回避するため、なるべく息を潜めながら塔の中を進んでいた。\r\nこれは、時間との勝負だ。\r\n背中に当たっている布が、どんどん水気を帯びていくのが分かる。それは、自分の汗と、ダリヤの血だった。\r\n\r\n大丈夫。まだ息はある。\r\nグラビルは、なんとか気持ちを落ち着かせて、パートナーの心音に耳を傾けた。それは弱々しく、今にも止まりそうなほど緩やかな音だった。\r\n星ノ塔の風が、まるで死を思わせるほどの冷たさで、ふたりの巡遊者の周りに吹きすさぶ。\r\n\r\n「うっ……」\r\n背中から聞こえてきた微かな声は、生きる道を切り拓く雷鳴のようであった。\r\n「右へ……そっちは水属性のゼリゼリがいる……まず……水分補給……しないと……」\r\n途切れ途切れだったが、その言葉はしっかりとパートナーの進むべき方角を指し示していた。\r\n\r\n「知ってるでしょ! 私はどんなに傷ついても致命傷になったりしない! 後で少し休めばちゃんと回復するから!」\r\nグラビルの耳元に響く微かな声、なんとか絞り出したその声には、痛みの色が混ざっている。「うん。でも、頭で考えるより、体が先に動いちゃったから……」\r\n「ダリヤ……寝ちゃダメだよ!」\r\n「こんなに硬い背中じゃ……眠れ……ないよ……」\r\n「ダリヤ……ダリヤっ!!」\r\n\r\n3日後。星ノ塔に入った巡遊者の中で、唯一無事だったのは、グラビルひとりだけだった。大きな犠牲を払い、彼女はようやく出口を見つけることができた。\r\nその犠牲には、ダリヤの片脚も含まれている。\r\n\r\n『双子星』がトリナの空に瞬き、流れ星のように落ちていった。",
"CharacterArchiveContent.11213.1": "武器逸話:ナナシ",
"CharacterArchiveContent.11213.2": "伝説では、それは翡翠色に輝くロングソード。\r\nその剣を持ち上げた人物が、新しい時代を作ったと言われている。\r\n彼女は奇妙な昇降階段から出てくると、外にいる仲間にこう言った。\r\n「神秘の箱はようやく開かれた……これは、新たな歴史の幕開けだ! 神は、私たちの願いを聞き届け、恩恵を与えてくださったのだ!」\r\n\r\nステージ上で繰り広げられる演目は、クライマックスに突入していた。\r\nだが、ステージの下にいる三人の少女のうち、起きているのは二人だけだった。\r\n片方の少女が手を伸ばし、眠ってしまったセイナのロングソードに触れた。\r\n「セイナの剣って、あの役者さんのと同じ……本当に伝説の剣なのかな?」\r\n「昨日、武器屋で買ったって言ってたけど」\r\n「じゃあ、あの役者さんも同じところで買ったのかも。そう言えば、セイナはまだこの剣に名前をつけてなかったよね?」\r\n\r\n「ナナシ……」\r\n「あれ? セイナ、起きた?」\r\n「ううん、寝言みたい」\r\n何はともあれ、この平凡なロングソードは、こうして名前を手に入れたのであった。",
"CharacterArchiveContent.11301.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11301.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11302.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11302.2": "本職は白沢管理局の秘書ですが、白沢管理局の管轄区域に星ノ塔がありますので、塔のことをより深く知るために、巡遊者になりました。",
"CharacterArchiveContent.11303.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11303.2": "自己PR\r\n\r\nスケジュール管理が得意です。きっとお役に立てると思います。\r\n必要であれば、週間スケジュールや月間スケジュールを作成し、あなたのタスクの進行状況を監督いたします。",
"CharacterArchiveContent.11304.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11304.2": "人事部の資料\r\n\r\nシーミャオ。\r\n蒼梧書院卒。3年間連続で学級委員を務め、在学期間は教師と同級生の間で大変評判がよかった。\r\n筆記試験、面接試験で共にトップの成績をおさめ、白沢管理局に就職し、現在は秘書を務めている。",
"CharacterArchiveContent.11305.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11305.2": "シーミャオ観察日記①\r\n\r\nシーミャオは黒板アートが得意で、自治体のお知らせボードに貼ってある宣伝ポスターは全て彼女の作品だよ。\r\nでも、本人はすごいことだと思ってないみたいだね。\r\nそういえば、彼女の黒板アートはいつも、隅っこに可愛い小動物が描かれているんだよ。\r\n――白沢管理局の同僚A",
"CharacterArchiveContent.11306.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11306.2": "シーミャオ観察日記②\r\n\r\nシーミャオの家には何種類ものトウガラシとチリソースがあるのよ。\r\nどれも同じラベルが貼られていて、生産日、賞味期限、産地、あと何だか分からない記号が書いてあったわね。\r\nそれと、彼女は牛乳をたくさん買い溜めしてるの。なんでこんなにあるのかと聞いてみたけど、歯切れが悪そうに「牛乳が好きなんです……」って言ってたわ。\r\n――白沢管理局の同僚B",
"CharacterArchiveContent.11307.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11307.2": "シーミャオ観察日記③\r\n\r\nシーミャオの武器は、どこかの玄師からもらった物らしいよ。変わった名前がついてて『シーミャオ妙妙剣』って言うんだ。\r\nちなみに、彼女本人はこの名前をあまり気に入ってないみたいだね。\r\n不思議なことに、シーミャオがこの名前を丁寧に呼んだ日には、必ず良い事が起こるんだ。その代償なのか、彼女は少なからずお金を失うらしい……お財布を落としたり、泥棒にすられたり……とにかく、起こった事の大きさによって、相応の金額を失うみたい。\r\nそれで、予定外の出費を防ぐために、シーミャオは玄学を信じるようになったんだって。なるべく名前を呼ばないことにしてるみたいだよ。\r\n――白沢管理局の同僚C",
"CharacterArchiveContent.11308.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11308.2": "はじめて会ったときはちょっと怖かったけど、いまは彼女がそばにいてくれてよかったって思ってるよ!\r\n――ジンリン\r\n問題を解くときの考え方がすごくしっかりしているんです。機会があれば、もっと勉強のことを話してみたいです。\r\n――アヤメ",
"CharacterArchiveContent.11309.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11309.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nひどく生真面目な少女に見えますが、話していくうちに実に愛らしい一面を見せてくれました。それがなんなのかは、ここには記載しません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11310.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11310.2": "匿名の質問スレッド:どうすれば、辛い食べ物が平気になるのでしょうか?\r\nいくつかの方法で練習してみましたが、あまり効果がなくて困っています。",
"CharacterArchiveContent.11311.1": "消防点検日誌",
"CharacterArchiveContent.11311.2": "谷月度、消防点検日誌\r\n担当者:シーミャオ\r\n担当区域:丹木二区の商店街\r\n\r\n1丁目3号の店舗。違法改造により、非常口が塞がれてしまっていた。3日以内に改造部分を取り壊すように通達済み。後日、再点検を行う予定。\r\n\r\n1丁目26号の店舗。店内に消火器が無かった。店舗面積に基づいて相応の数の消火器を設置することを店主に求めたが、拒否された。その後、2時間にわたる説得と教育により、店主は自身の消防に対する意識が低かったことを認め、今後はこちらに協力してくれることを約束してくれた。\r\n\r\n3丁目93号の店舗。盗電行為が確認された。また、ケーブルは酷く老朽化していた。撤去時にショートした箇所もあったが、すぐに処置したため、火災には繋がらなかった。\r\n\r\n4丁目48号の店舗。キッチンの倉庫から液化ガスの缶が30本見つかった。店主は風船を膨らませるためのものだと説明していたが、中身を調べると、すべて可燃ガスであることが判明した。その上、倉庫には消防設備が一切無かったため、缶をすべて廃棄するよう店主に要求した。\r\n後日、問題が解決されたか再確認が必要。\r\n\r\n7丁目33号の店舗。火災リスクは検出されなかったが、店主はどこかに不具合があるはずだと言い張り、何度も店内を点検させられた。点検中、飲み物と果物をご馳走してくれた。\r\nもしかしたら、本当に見つかっていないリスクがあるかもしれない。後日改めて点検を行う予定。しかし、なぜ店主はじろじろとこちらを見てきたのだろうか?\r\n\r\n7丁目61号の店舗。点検中に若い男性に助けを求められた。子どもがいなくなったと言っていたが、周りを一通り探したあと、彼の子どもは、彼が背負っていたカゴの中で見つかった。隠れて眠っていただけのようだ。\r\n\r\n8丁目1号の店舗。先日火災が起きたばかりであり、復旧工事中。近隣の店舗も火災の影響を受けたためか、今回の点検に非常に協力的だった。\r\n\r\n9丁目74号の店舗。店主は店舗面積を広げるために、消防設備と消火栓を無断で撤去していた。消防法の命令違反で店主を連行、処罰するよう関連部署に通達済み。撤去された消防設備は7日以内に再設置される見込み。\r\n引き続き注意する必要がある。",
"CharacterArchiveContent.11312.1": "姉",
"CharacterArchiveContent.11312.2": "姉。それは最も近しい血縁者であり、妹にとって切っても切れない存在だ。\r\nシーミャオは幼いころから、そのことをよく理解していた。\r\n\r\n家族の関心はいつも姉に注がれていた。最初は、シーミャオ自身もそうだった。\r\n姉は彼女たち家族の誇りであり、学業における成績も、日ごろの立ち振る舞いも、彼女はまさに完ぺきと言える存在だった。すべての人が、シーミャオの姉を称賛していた。\r\nシーミャオ自身も例外ではなかった。\r\n姉は彼女の模範であり、憧れだった。\r\n彼女も、姉のように優秀な存在になりたいと願った。\r\n幼いシーミャオはいつもそうやって姉の後ろについて回り、自分の将来の目標を姉に伝えていた。\r\n\r\nしかし少しずつ、シーミャオはなにかが違うことに気がつき始めた。\r\n姉はいつも前を歩いている。その足取りは速く、あまりにも高いところへ登り続けている。姉を追いかけていたシーミャオは、ある日、どうやっても姉に追いつけないことに気づいてしまった。\r\n彼女がいくら優秀であっても、姉に勝ることはない。彼女がいくら努力しても、姉と比較されてしまえば取るに足らないものでしかない。\r\n1位を取るのは当たり前だ。姉も1位だったのだから、1位以外はみっともない足手まといでしかない。\r\n姉の背中を追いかけて辿り着いた道は、知らず知らずのうちに、どうあがいても越えられない高い壁に阻まれていた。\r\n姉はいつしか彼女のプレッシャーの原因となり、彼女には手が届かない、雲の上の存在となってしまった。\r\n\r\n姉は悪くない。シーミャオにだってそれは理解できた。\r\n彼女たちは変わらず仲のいい姉妹であり、なんでも話せる間柄だった。\r\nしかし、心のどこかで、トゲのような何かがチクチクと刺さるような感覚があった。学生時代、深夜になると、シーミャオは終わらない問題集と予習の繰り返しからふと顔をあげて、遠くの白い月を眺めては、いったい自分のどこが姉と違うのかと考えた。\r\n\r\n「それは、君たち姉妹を比べる人が問題なんだろう?」\r\nある日の午後、「魔王」と呼ばれている人物が、まるで理解できないと言いたげな顔でシーミャオを見つめていた。\r\n「君は君で、お姉さんはお姉さん。 ふたりは違う人間なんだし。それに、君だってこんなに優秀なのに」\r\n\r\nそうか、そうだったのか。\r\n血が繋がっているふたりは、確かに似ている。だが、まったく違う存在だ。\r\n姉は姉。そうであれば、シーミャオも、シーミャオでしかないはず。\r\nシーミャオの心を覆っていた霧が晴れ、最高に気持ちの良い一日となった。",
"CharacterArchiveContent.11313.1": "武器逸話:シーミャオ妙妙剣",
"CharacterArchiveContent.11313.2": "どうして収納箱にそんな名前を?\r\nこれで103度目になるこの質問をされた時、シーミャオには落ち着いて説明する辛抱強さが残っていなかった。\r\nどうして、『シーミャオ妙妙剣』なのか?\r\nこの収納箱を手に入れた時のことは、いま思い返しても奇妙な体験だった。\r\n\r\nすべては、街でとある変な女性に出会ったことから始まった。彼女は背が高く、いつも工具箱を背負っており、街中をぶらぶらとうろついては、何かを作っている人だった。\r\nシーミャオは過去の見回り任務の時に、彼女を2度見かけたことがあった。1度目の時は、神器ショップの入り口で、変形するナイフについて店長に尋ねていた。2度目の時は、飲食店の前に座り込み、甘じょっぱい肉まんが欲しいと、店主に駄々をこねていた。\r\n彼女は声が大きく、通りの反対側にいても、はっきりとその声が聞こえるほどだった。\r\n\r\nそして、3度目のある日。シーミャオは思ってもみなかった出来事に遭遇した。\r\nその人はサングラスを掛け、橋の下であぐらをかいて座っていた。はたから見れば、修行に集中しているようにも見えた。彼女の姿に気づいたシーミャオが、気になってちらりと視線を送ったその時、突然、その人物はサングラスを外しながら跳び上がり、大股で近づいてきた。\r\n「見つけた!ずっと探してたんじゃ!」\r\n「え……私をですか?」\r\nシーミャオがあっけにとられている間に、彼女はカバンの中から布に包まれた細長い何かを取り出し、それをシーミャオに押しつけた。そうしてから、まるで思い出したかのように、「そういえば、名は?」と聞いてきた。\r\n「し、シーミャオ……です」\r\n「そうかそうか!じゃあ、こいつの名は……『シーミャオ妙妙剣』じゃな!」\r\nシーミャオが返事をする隙も与えず、彼女はテキパキと布包みを解いた。それは彼女が作った収納アイテムであり、八卦占いによると、この町を出て行く前に、縁ある人物へプレゼントしなければならないものなのだという。\r\n「安心せい。こいつを持ってれば、良いことが起きる!」\r\nその時になってようやく、シーミャオは目の前の女性の姿をしっかりと見ることができた。背が高く、綺麗な容姿をした女性だった。\r\n彼女は一通り説明を終えると、荷物を持ってすぐに行ってしまった。その場に残ったシーミャオは、剣の形をした収納箱を抱えたまま立ち尽くしていた。我に返ったとき、不思議な女性の姿はどこにもなかった。\r\n\r\nこの正体不明の箱は本当になんの用途もないのだろうか?\r\n1か月後、シーミャオのオフィスに丸々と太った害虫が出現した。取り乱した彼女は、訳も分からず収納箱に手を伸ばし、そのまま投げつけた。すると、不思議なことに、その箱は寸分たがわず害虫に命中したのであった。その瞬間、シーミャオはあの日の言葉を思い出した。\r\n『シーミャオ妙妙剣』を持っていれば、きっと良いことが起こる。",
"CharacterArchiveContent.11401.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11401.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11402.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11402.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11403.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11403.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11404.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11404.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11405.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11405.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11406.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11406.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11407.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11407.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11408.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11408.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11409.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11409.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11410.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11410.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11411.1": "頑張って!射撃上手な傭兵お姉さん!",
"CharacterArchiveContent.11411.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11412.1": "ありがとう!射撃上手な傭兵お姉さん!",
"CharacterArchiveContent.11412.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11413.1": "武器逸話:じゃらし-魔導断片改",
"CharacterArchiveContent.11413.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11501.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11501.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11502.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11502.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11503.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11504.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11505.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11506.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11507.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11508.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11508.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11509.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11509.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11510.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11510.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11511.1": "恐怖の人型兵器",
"CharacterArchiveContent.11511.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11512.1": "喧騒の中の邂逅",
"CharacterArchiveContent.11512.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11513.1": "武器逸話:雪崩",
"CharacterArchiveContent.11513.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.11601.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11601.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11602.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11602.2": "より良い農具を探すため、新品種のインスピレーションを得るため",
"CharacterArchiveContent.11603.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11603.2": "温室管理員\r\n\r\nここはいくつもある温室のうち、アグリ・ユニオンが実験的に栽培している新品種を育てる施設だよ。\r\nただ新品種と旧品種の入れ替えがうまくいってなくて、温室の大半は稼働していないんだぁ。",
"CharacterArchiveContent.11604.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11604.2": "穴蔵づくり、食糧備蓄、品種改良\r\n\r\n仕事の合間に放置された温室で果物や野菜を育てて、収穫した作物は貯蔵庫に備蓄してるの。\r\nあ、でもこれはカンパニーには内緒だから……あれ、もしかしてここに書いたらマズいやつ?",
"CharacterArchiveContent.11605.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11605.2": "勝手に触らないで\r\n\r\n——許可なく植物に触れることは禁止!違反した人はみんな泥棒さんだとみなすよ!\r\n(看板には、人の上にいまにも落ちそうなシャベルが吊るされたイラストが添えられていた。警告の意をしっかりと感じ取れるものであった)",
"CharacterArchiveContent.11606.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11606.2": "世俗から離れた楽園\r\n\r\n最近カンパニーに起きたことを、レイセンが全く知らなかったなんてね。でも逆に良かったのかも。彼女は他の人と違って、私とフィレンのことをごちゃごちゃ言ったりしないから。もしかしたら、あの温室のおかげなのかしら。\r\nとはいえ、温室で勝手に植物を栽培するのは規則違反のはず。でも……私がここで寝るのも規則違反だから、お互い様だね。\r\nP.S.彼女が育てた果物はアグリ・ユニオンの食堂のものよりずっと美味しいの。たまにだけど、私にくれることもあるのよ。\r\n——レイセンのことを話すニュクスのコメント",
"CharacterArchiveContent.11607.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11607.2": "上辺だけの変化\r\n\r\nレイセンはカンパニーの異変に気づいていなかった。職場は同じ、施設も正常に稼働していて、なんなら従業員の制服もほとんど変わっていない。\r\n唯一困惑したのは、██████████████████████████だった。まさか研究費が降りるなんて、彼女は想像もしていなかった。なにせ前回研究費をもらったのは、彼女がカンパニーに入社した直後の事だったから。",
"CharacterArchiveContent.11608.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11608.2": "フィーリエのマーケットでは、美味しくて新鮮な野菜はなかなか買えないし、他の都市から輸入するにしてもコストがかかっちゃうからね!だからレイセンさんがいてくれて、本当に助かったよ!\r\n——ジンリン\r\n\r\n規則上、カンパニーの資源を勝手に使い、農作物を作ることはたしかに違反事項ね。けれど……彼女が育てた農作物には、かつてのアグリ・ユニオンの信念が宿っている。だから好きにさせてあげてもいいと思うの。\r\n——フィレン\r\n\r\n温室の中で寝るのは最高に気持ちいいよ。毎日タイムカードをかざしてから寝れば、遅刻にもならないし。目が覚めたらレイセンが育てた果物も食べられる。まあ……植物が暴走さえしなければ、ここは最高の場所ね。\r\n——ニュクス",
"CharacterArchiveContent.11609.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11609.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n彼女の実績を証明できる人はそれほど多くいませんが、現在集めた情報を見るに、問題ないと判断できます。\r\nレイセンさんが持つ食料備蓄への意識や品種改良の知識、これらは後方支援の発展に必要不可欠なものになると思います。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11610.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11610.2": "一部の温室の維持について\r\n\r\n現在のカンパニーの財務状況を鑑みて、メイン部門以外の全ての施設に総合評価をおこない、そして一部の温室には以下の事項が決定した。\r\n\r\n調査によると、一部の温室はカンパニーからの研究費が支給されなくとも正常に稼働しており、さらにいくつかの新品種の開発に成功している。温室維持にかかるコストの低さ、そしてその商業価値を考慮し、一部の温室はそのまま残し、撤去作業はおこなわないと委員会が決定した。\r\n\r\nこの決定は本日より効力を発揮する。\r\n「アグリ・ユニオン」リソース最適化委員会\r\n\r\n994年█月█日",
"CharacterArchiveContent.11611.1": "新品種の開発日記",
"CharacterArchiveContent.11611.2": "鳴月3日——\r\n今日は魔法で改良したトウモロコシさんを栽培するために、新しい畑を耕した。\r\n\r\n清月5日——\r\n1か月経過したけど、トウモロコシさん8号はまだ発芽しない。\r\n種自体がダメになっちゃったとか?明日掘り出して確認してみようかな?\r\nやっぱり、もう少し様子を見てから決めよう。\r\n\r\n清月21日——\r\n昨日はトウモロコシさん8号が発芽する夢を見たけど、まさか本当に発芽したなんて!\r\nもう1か月半になるから、ほとんど諦めてたのに!\r\n「ドリームトウモロコシ」、これからはトウモロコシさん8号じゃなくて、この新しい名前で呼ぶようにしよう!\r\n\r\n花月13日——\r\n最初に発芽したトウモロコシさんに花が咲いた!\r\n「ドリームトウモロコシ」はまだだけど、成長するスピードは群を抜いてて、他のトウモロコシさんよりずっと大きくなってる。\r\n\r\n花月29日——\r\n他のトウモロコシさんは受粉完了。\r\nでも「ドリームトウモロコシ」はまだ花が咲いてない。もうすぐ雨の多い季節になるのにな。\r\n\r\n雨月24日——\r\n「ドリームトウモロコシ」だけまだ花が咲かない。\r\n温室の屋根にひびが入ってたからカンパニーに報告したけど、ちゃんと修理してくれるかな?\r\nとりあえず木の板で補給しとこう。\r\n\r\n雨月26日——\r\nやっぱり木の板じゃ無理だったみたい。雨漏りで1号から5号はダメになっちゃった。\r\n6号と7号、「ドリームトウモロコシ」は大丈夫そう。温室の応急処置をしたから、これでたぶん大丈夫。\r\n\r\n雨月27日——\r\nついに「ドリームトウモロコシ」の花が開いた!\r\nでも6号と7号はダメになっちゃった。この前の雨のせいだと思う。「ドリームトウモロコシ」にはなんとしてもがんばってもらわないと。\r\n\r\n熱月4日——\r\n「ドリームトウモロコシ」の成長スピードはすごくって、もう穂が出てきたよ。\r\nでも心配してる事もあって、これだけの重さに茎は耐えられるのかな?\r\n\r\n谷月8日——\r\nものすごくおっきな実ができたけど、重すぎて茎が折れちゃいそう……\r\n急いで木の支柱を三本打ち込んで、なんとか支えられたはず。\r\n\r\n谷月22日——\r\nドリームトウモロコシは、ひとつ運ぶのにもカートが必要なくらいおっきく育ってくれた。\r\n\r\n狩月3日——\r\n今日はウッドモットさんと魔王さんが来てくれて、魔王さんの提案で焼きトウモロコシを作ったよ。\r\nでも火にくべた瞬間破裂しちゃった!\r\nみんなにケガがなくてよかったけど、もしかして「ドリームトウモロコシ」は爆裂種だったのかな?",
"CharacterArchiveContent.11612.1": "飢えの記憶",
"CharacterArchiveContent.11612.2": "今年の夏の暴雨は例年より酷く、フィーリエの上空はまるで渦を巻いているようだった。ひっきりなしに降り続ける雨は、7日目で防波堤を破壊し、流れ込む水は腹をすかせた猛獣のように麦畑を飲み込んだ。\r\n過剰な水分を含んだ土壌も限界を迎え、石や流木とともに泥水となって山沿いの棚田になだれ込んでいく。\r\n\r\nフィーリエの災害報告書では、平原の農地は83%、山地の畑は62%壊滅し、全体の食糧生産量は76%低下しているとのことが記されている。\r\n\r\n飢えは人々の想像よりもずっと早く襲ってきた。\r\n\r\nフィーリエは迅速に食糧配給をおこなったが、そのバランスは歪なものだった。\r\nゴールドエリアの食卓には依然として高級なパンとワインが並べられている。\r\nシルバーエリアでは、なんとかライ麦パンがもらえるものの、量はいつもの半分以下になっていた。\r\nアッシュエリアでは、人々は配給券を握りしめ、アグリ・ユニオンの食糧庫の前で長蛇の列を作っている。しかしここでは、毎日賞味期限切れの米を200グラムしかもらえない。\r\n\r\n「なんとかお願いします!もう少しだけ食べ物をください!この子は二日間なにも食べられていません……」\r\n「追加の食糧が欲しい?いいだろう。通常価格の12倍、現金で。すぐに払えば渡してやろう」\r\n\r\nアグリ・ユニオンの食糧庫には3年分の食糧が備蓄されている。この量なら市民全員を助けられるはずだった。しかし、人々を助けるどころか、この飢饉に乗じて低価格で畑を買い取り、さらに恐ろしい値段で食糧を人々に売りつけていた。\r\n\r\nゴールドエリアに住める人にとっては、この程度の価格上昇は大したことではない。シルバーエリアに住む人々は、節約すればなんとか乗り切ることができた。しかしアッシュエリアの人々は、飢えと絶望の中で必死に耐えることしかできなかった。一部の農家が、備蓄した食糧を配給していなければ、冬を越せずに亡くなる人がたくさん出ていただろう。\r\n\r\nレイセンはその恐ろしい環境下を生き抜いてきたからこそ、食糧への執着心は誰よりも強かった。ギシギシと音をたてながらこちらへ向かってくる台車、そして台車の上に積まれた黄金色に輝くパン。彼女がその情景を忘れることは、永遠にないだろう。",
"CharacterArchiveContent.11613.1": "武器逸話:アグリ・インダストリー\r\n試作205型マルチシャベル",
"CharacterArchiveContent.11613.2": "アグリ・ユニオン傘下の「アグリ・インダストリー」が開発したシャベル。掘削、伐採、調理など、マルチな役割を果たす「究極の農具」を作り上げることが当初の目標だった。\r\n\r\nしかし開発が進むにつれて、研究員たちは最初に掲げた目標から離れていってしまった……\r\n\r\nレイセンが持つシャベルは205個目の試作品で、摩耗、腐食、高温などに耐性を持ち、最強の強度を誇ると同時に機能も最狂のものだった。掘削、伐採などの基本機能を始め、武器や防具としても使用可能で、さらには鍋に変形して料理も作れる。そして砲弾さえも発射できてしまう恐ろしい代物だ。このシャベルにできないことはほぼ存在しないと言っていいだろう。\r\n\r\n様々な機能が搭載されているものの、その開発費用はあまりにも膨大で、生産はすぐに終了してしまった。なぜこのシャベルがレイセンの手にあるのかは、誰にもわからない。\r\n\r\nもしかすると、彼女の存在感があまりにも薄いからだろうか?\r\n——シャベルをもらった最初の数日こそ、彼女に感想を聞く研究員がいたものの、時間が経つにつれ、誰も彼女のもとを訪れなくなっていた。\r\nそしてデータにも、彼女の使用感などのフィードバックは残されていない。",
"CharacterArchiveContent.11701.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11701.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11702.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11702.2": "めずらしい食材を発見して、オリジナル料理を生み出したいから。",
"CharacterArchiveContent.11703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11703.2": "肩書き\r\n\r\n龍璟樓の店長\r\n兼ホールマネージャー、レジ担当、ホールスタッフ、お誕生日会の盛り上げ役etc.",
"CharacterArchiveContent.11704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11704.2": "職歴\r\n\r\nあたしが店長になってから、龍璟樓は『フィーリエの注目料理店』のトップ10にランクインしたし、年間優秀店の称号も貰っちゃった!\r\nでも、これはあたしひとりの手柄じゃなくて、みんなで頑張った成果だよ!",
"CharacterArchiveContent.11705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11705.2": "目標\r\n\r\n龍璟樓をもーっと大きなお店にして、みんなにいーっぱい食べてもらうこと!\r\nあとはー、ママみたいな立派な大人になること!",
"CharacterArchiveContent.11706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11706.2": "趣味\r\n\r\n麻雀、しっぽでお絵描き、お客さんとおしゃべりすること!",
"CharacterArchiveContent.11707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11707.2": "自己PR\r\n\r\n『心はふるさと、食は龍璟へ』……って、これお店のキャッチフレーズだね!えへへ、ついつい……\r\nとにかく、店長としても巡遊者としても、失望はさせないよっ!",
"CharacterArchiveContent.11708.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11708.2": "以前、蒼梧城のレストラン満足度調査を行った時、「フィーリエの『龍璟樓』を見習って、料理の質とサービスを改善すべき」というコメントを見ました。\r\nあの若さで店長という重責を背負って立つジンリンは、聡明で胆力のある人だと思います。私も、見習わなくてはなりません。\r\n――白沢管理局の秘書 シーミャオ",
"CharacterArchiveContent.11709.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11709.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nジンリンさんと出会ったことで、私がいままで龍族に対して2つの偏見を持っていたことに気づかされました。1つ目は「龍族は三度の飯より激辛が好き」。そして2つ目は「龍族は全員麻雀の達人である」。龍璟樓の甘口料理は本当に絶品で、ジンリンさんとの麻雀勝負も楽しめました。\r\n彼女が8連敗したとき、表情こそ笑顔でしたが、しっぽは編み込みのようにねじれていました。やはり彼女はまだ子どものようです。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11710.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11710.2": "ビッグニューーース! 龍璟樓開業記念キャンペーン!\r\n店内で食事をご注文いただいたお客様全員に、当店の旬のスイーツ『ベリーベリーひつら』をプレゼント!\r\nどうぞ龍璟樓をごひいきに~! ご来店、お待ちしておりま~す!\r\n――龍璟樓の店長 ジンリン",
"CharacterArchiveContent.11711.1": "ジンリンの業務日誌(上)",
"CharacterArchiveContent.11711.2": "星ノ塔994年 鳴月2日\r\n\r\n今日はめでたい初出勤! あたし、正式に店長代理になったんだよ!\r\nママが可愛い手帳を買ってくれた。今日から、お店の日誌はあたしが書いていくね。\r\nママは、「はじめが肝心」って言ってた。だから1ページ目は特に綺麗な字で書かなくちゃ……\r\nぎゃあっ、また書き間違っちゃった……まあ、大丈夫だよね?\r\n今日はきっと、お客さんがいっぱい来てくれる! ふぁいと!\r\n\r\n\r\n星ノ塔994年 鳴月10日\r\n\r\n昨日、ミャオ姉ちゃんが行っちゃった。お父さんとお母さんの面倒を見るために田舎に帰るって言ってたけど、あたし知ってるんだ。本当は、別のお店に行っちゃったことを。\r\nミャオお姉ちゃんに行ってほしくはなかったけど、お店の売上がずっとよくなくて、先月のお給料も、お金かき集めてようやく渡せたくらいだったし……ごめんなさい……\r\n最近、「アグリ・ユニオン」の看板を掲げたチェーン店がいくつもオープンしてるから、この前こっそり様子を見に行ったの。お店の前で、長ーい順番待ちの列ができてた。ランおばさんたちまでそこにいた。うちの氷砂糖レンコンが一番の大好物だって言ってたのに……\r\n\r\nこんなこと、絶対ママに知られちゃダメ。「今すぐ退院する!」とか言い出すんだから。お医者さんは、ゆっくり休まなきゃならないって言ってた。\r\nはあ……こんなに良いお天気なのに、どうしてみんなウチに来てくれないのかな……\r\n\r\n\r\n星ノ塔994年 花月2日\r\n\r\n今日のお客さんのご意見:\r\n若い女性2名(フィーリエの方、龍族料理は初めて):\r\n甘酢リブがとろとろすぎて、歯にくっつく。\r\n四喜烤麸は醤油が効きすぎて、しょっぱかった。\r\n特製ヨーグルトだけはよかった。すっきりとした甘さがおいしかった。\r\n\r\n50歳ぐらいのおじちゃんとおばちゃん(フィーリエの方、龍族料理が好き):\r\n魚のスープは良かったけど、ちょっと生臭かったかもねえ。\r\nお料理が全体的に他のお店より甘めで、あまり好みじゃなかったわ。\r\n\r\n最近、隣の商店街でイベントをやってたから、お客さんを何人か連れてきて、お料理の意見をもらったの。\r\nやっと、どこがダメだったのか分かったよ……みんな、伝統的な龍族料理の味に慣れてないんだ!\r\n少し前、『レストランが生き残るには』って本を読んでて、「顧客たちの声を集めることこそが、料理の質の向上に繋がる」と書かれていたんだ。本当にその通りだね。\r\n\r\nよし!次にしなきゃいけないことはシンじいの説得だね。\r\nでも、考えただけで頭が痛くなるよ……算数の問題集をやるほうがまだマシかも……\r\nはあ……ママと相談してみようかな……",
"CharacterArchiveContent.11712.1": "ジンリンの業務日誌(下)",
"CharacterArchiveContent.11712.2": "星ノ塔994年 花月13日\r\n\r\n予想通り、料理の作り方を変えるって言ったら、シンじいがカンカンになっちゃった。「先祖代々から伝わってきた料理を変えちゃいかん!」って……\r\nママは、シンじいは何十年も料理人をやってきた人だから、簡単には折れてくれない。なんとか方法を見つけて、考えを変えてもらうしかないって言ってた。\r\n\r\nやっぱり、売上がよくないことは、ママには誤魔化せなかった……あたし、ママに約束したよ。ママが退院するまでに、絶対お店の経営を立て直すって。\r\nここ何日か、ビラを配りながらお客さんを何人か連れてきた。夜に何かキャンペーンとかもできないかな。アグリ・ユニオンのお店がやってるチャージ式の会員カードとか、うちも真似してみようかな……\r\n最近、時間が経つのがすごく早く感じる。気がついたらもう夜になってた。でも、こんな忙しい日々も、悪くないかも!\r\n\r\n\r\n星ノ塔994年 花月27日\r\n\r\nやったぁあ! やっとシンじいが「うん」って言ってくれた!\r\nちょっと前、あたしがあまりにもしつこくお願いしてたから、しぶしぶだけど、一緒にお客さんにお料理の感想を聞きに行ってくれたの。\r\n最初は、「おいしくない」と聞けばすぐに怒って、危うくお客さんとケンカになるところだったけど、「おいしい」って褒められたら、シンじいったらすっごく嬉しそうな顔になって、うちの秘伝のレシピを口走るところだったよ。ウェイジがいて、ほんとに助かったあ……\r\nママの言った通りだった。シンじいは、すごく真面目な料理人だから、お客さんがお料理をおいしく食べてるときの笑顔を、誰よりも望んでるって。\r\n\r\n今日、シンじいのほうからあたしのとこに来てくれた。お客さんがどんな料理を求めてるのかわかったから、レシピを考えてみるって。\r\nもっとたくさんの人にうちの料理を食べてもらって、龍族料理のおいしさをみんなに知ってほしい。シンじいも、そう思ってくれてたんだ。\r\n今日のお店が終わったら、早速ママにも教えなくちゃ!ここ何日かは売上もよくなってきたし、きっと、全部うまくいくよね!\r\n\r\n\r\n星ノ塔994年 雨月1日\r\n\r\nどうしても眠れないから、記念に何か書いておこう!\r\n今までのページを読み返していて気づいたんだけど、この日誌をつけてから、もう半年も経っちゃったんだね。\r\nお店の日誌なのに、いろいろ書きすぎて、あたしの日記みたいになっちゃった。\r\n先週、ママが退院したの。あたしは約束通り、お店の経営を立て直したよ! これで、ママもお店のことを心配せずに、ちゃんと体を休められるね。\r\n最近は、お店の改装でちょっとだけバタバタしてる。いままで貯めてきたお金で、新しい看板を作って、ホールの内装を一新して、シンじいがリクエストしてた調理器具も買い揃えた。\r\n明日は、ほぼ全テーブルに予約が入ってる。夜が明けたら、新しい龍璟樓としてお客さんを迎え入れなくちゃね!\r\nこのドキドキ……ママが龍璟樓を始めた時も、こんな気持ちだったのかなぁ。\r\n\r\n明日はきっとうまく行くよ。明後日も、その次の日も、ずっとずっと!",
"CharacterArchiveContent.11713.1": "武器逸話:雷帝招来",
"CharacterArchiveContent.11713.2": "その少女を見るのは、これで3日連続だ。\r\n彼女はいつものように、補修跡のあるバッグを肩に掛け、一番太陽が眩しい時間帯に、ぴょんぴょんと跳ねながら私のところまでやって来た。\r\nそして、バッグから絵本を取り出すと、私の影に寝そべり、楽しそうにページをめくり始めた。\r\n\r\n人間のように時間に囚われることのない樹木として、私は、人々がその足元に留まることには慣れていた。\r\nだから、彼女が私の下で取るに足らない悩みをうだうだと話していた時、ただ雛鳥が鳴いている程度にしか思わなかった。\r\n「法術ができる人はいいな~なんであたしにはできないんだろ~?」\r\n「ママがね、あたしは才能がないわけじゃなくて、小さいからまだ使えないだけって言ってた」\r\n「あーあ。早く大人になりたいなぁ~」\r\nいままで数え切れないほどの悩みを聞いて来た身としては、「大きくなってからの方が怖いぞ」と言ってやりたかった。\r\nしかし、そのしわが寄った眉間を見ると、彼女が本当に悩んでいるのだと理解できた。\r\n\r\n大きな木である私は、しばしば神に見立てられた。\r\n人々は心のうちをこぼし、願いを託し、少しでも心の負担を減らそうとした。\r\nしかし、私は神ではない。彼らを助ける力など持ち合わせてはいない。幸い、願いが叶わなくても、私のせいにする人はいなかった。\r\nある日、少女が私の足元にカラフルなおやつを並べ、恭しく手を合わせた時、私はすぐにその意図を理解した。\r\n「お願いします。法術が使えるようにしてください!」\r\nゴロロッ!!\r\nその時、彼女に返事をしたのは雷鳴だった。彼女は来る時間を間違えた。もうすぐ大雨になるだろう。\r\n「えっ!? いまのって、『いいよ』ってこと!?」\r\nなんなのだこの少女は。他の者ならば、恐ろしくなって耳を塞ぎ、私の下に隠れると言うのに。\r\n「じゃあ、あたし帰るね。お店を手伝わなくちゃ! また明日ね!」\r\n少女はぶんぶんと手を振ってから、カバンをしっかりと抱きかかえて雨の中へ走っていった。\r\n引き止めたかったが、私にそんな力などない。\r\n\r\nゴロゴロォッ!!\r\nその時、空から雷が落ち、寸分たがわず少女の体を打ち抜いた。\r\n「キャアアア!!!」\r\nああ、神よ。どうして私は神ではないのだ。\r\n「あ、れ? これ、は……?」\r\nしかし、彼女は無事だった。それどころか、空から下りてきた金色の光がその体を覆い、まるで花の周りで踊るハチのようにぴったりとくっついていた。\r\n今までさまざまな光景を見てきたが、これほど信じがたい場面を目撃したのは、これがはじめてだった。\r\n少女は手を高く掲げると、その指先からイナズマの光が射出された。驚いた鳥たちが四方へ逃げていく。\r\n「願いが……叶った!」\r\n「ママに教えてあげなくちゃ!!」\r\nそのキラキラとした背中は、少しずつ遠ざかり、やがて雨の中へと消えていった。\r\n\r\nそれからも彼女は、悩みを打ち明けるために私の元へ来ていた。その内容は、以前と少しだけ変わっていたが。\r\n「雷の力をうまく制御できなくて、お店の照明を全部壊しちゃった……」\r\n「雷が怖くて、友だちが遊んでくれない。散歩中のワンちゃんですら、あたしを避けて通るんだよ?」\r\nその眉間には相変わらずしわが寄っていて、彼女がしっぽを振ると、パチパチと火花が出た。\r\n\r\n「これをつけたら、自由に雷を操れるようになったんだよ!」\r\n少女は両手を高く上げた。その手には、特別な物には見えない、黒い手袋がはめられていた。\r\n「ママがすっごい玄師さんにお願いして、あたしのために作ってくれた手袋なの。不思議だよね~これをつけたら、まるでスイッチがついたみたいに、雷を自由に操れるようになったんだ」\r\n「強くしたり、弱くしたりもできる!」\r\n「あとね、名前もすっごくカッコイイんだよ! 『雷帝招来』って言うの。その玄師さんがつけてくれたんだよ」\r\n……\r\n少女は自慢げに手袋のことを説明していたが、私が理解できるような話ではなかった。ただただ、葉っぱを揺らすことしかできなかった。\r\nそれでも、今回だけは、良い神を演じられたような気がした。",
"CharacterArchiveContent.11801.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11801.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11802.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11802.2": "神器の中には医療器具があり、誰も見たことがない薬品もある。けれど大半の巡遊者は医学の素人なので、それらを願いで出すことはできない。であれば、自分で行くしかないでしょ?",
"CharacterArchiveContent.11803.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11803.2": "趣味\r\n\r\n標本制作、薬剤収集、病変した生体組織を集めること。",
"CharacterArchiveContent.11804.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11804.2": "診療カテゴリー\r\n\r\nどんな病気でも、ケガでも治してあげよう。相応の対価を支払えるのならね。",
"CharacterArchiveContent.11805.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11805.2": "過去の実績\r\n\r\n全身不随の患者に、特製のムーナ外骨格を取り付けて、再び立てるようにした。\r\n心臓病の巡遊者に、魔法の心臓を取りつけた。\r\n自分の目を改造した。(※この項目は魔王さんだけが閲覧可能)",
"CharacterArchiveContent.11806.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11806.2": "薬剤の開発記録\r\n\r\n最近、不眠に効く薬の開発に成功したが、用量を間違えたら大変なことになってしまう代物だった。\r\nどこからか噂を聞きつけてきた商人たちがレシピを買い取りたいと言ってきたけれど、カローンと一緒に丁重にお断りした。\r\n安全な使用法が分かるまでは、必要な患者には直接診察に来てもらって、その場で調合したほうが良さそうね。",
"CharacterArchiveContent.11807.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11807.2": "治験志願者募集\r\n\r\n肢体交換手術の研究のため、治験志願者を募る。なお、命の保証はできない。体を変えてみたい者がいれば、診療所までお問い合わせを。",
"CharacterArchiveContent.11808.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11808.2": "おっっっそろしい白衣の死神だよ!! なんで知ってるのかは聞かないで!!!\r\n――セイナ\r\n\r\n良い人だよ……可愛いシールをくれるの。貼ったらね、痛くなくなるの。\r\n――ホタル",
"CharacterArchiveContent.11809.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11809.2": "一部は事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n人間性に少々難があるものの、難病にかかってしまったのならば、彼女に頼るのが最適な選択であると言えます。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11810.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11810.2": "███号診療記録\r\n\r\n氏名:████\r\n年齢:██\r\n█月█日。縫合手術から2日。傷の治りが異常に早い。治癒力の高さに驚かされる。研究価値がある個体のようね。\r\n█月█日。傷はほぼ完治したが、まだ弱っている。しばらく休ませた方が良さそうね。\r\n……\r\n█月█日。退院前に、サンプルとして患者の静脈血を3本ほど採らせてもらった。分析の結果、██████であると確認できた。今後も定期的な訪問観察が必要になる。\r\n\r\nこれ、クルニスさんがオアシス号に落としていったんです。後ろのページは全て黒く塗りつぶされていて……あなたから返してあげてくれませんか?\r\n――アヤメ",
"CharacterArchiveContent.11811.1": "収支簿",
"CharacterArchiveContent.11811.2": "「今月も赤字か……なぜだろう? 診察料はちゃんと取ってるのに……」\r\nクルニスはいまにも底をつきそうな預金残高を見て、頭を悩ませていた。\r\n「魔王さんが言ってたように、毎日の収支を記録したほうがいいのかな……?」\r\n\r\n月曜日\r\n風邪の診療。診察料で+300ドーラ。\r\n未知の細菌感染症による切断手術。患者は手術費用を捻出できず、切断した脚を代金とした。\r\n標本制作用のホルマリンを購入。-5000ドーラ。\r\n標本保存用のガラス瓶を購入。-15500ドーラ。\r\n火曜日\r\n訪問診療。交通費で合計-6500ドーラ。\r\n骨折した患者の診療。薬代+1800ドーラ。\r\n高熱の子どもの診療。薬代+2350ドーラ。\r\n骨董マーケットを通りかかった際、体から植物を生やした昆虫の標本を3つ購入。-8000ドーラ。\r\n薬の材料を購入。-3500ドーラ\r\n水曜日\r\n野外で魔獣に襲われた患者の手術。手術費+15000ドーラ。一括で支払えなかったため、未払い分は後日に分割払い。\r\nモエモエタケを誤食した患者の診療。中毒症状として幻覚が現れていたが、実に興味深いものだ。本人に了承を得て、私の観察対象になってもらった。私の監督の下で少量のモエモエタケを摂取し、その反応を記録させてもらった。実験への協力のお礼に診察料を相殺。\r\n木曜日\r\n星ノ塔で薬の材料を集めに行くついでに、神器収集の依頼を受けた。依頼料で+2000ドーラ。その後、余った神器を売却。+2000ドーラ。\r\n途中でケガをした巡遊者を治療。1500ドーラの治療費をもらおうとしたが、記憶喪失により財布をどこかで失くした忘れたと言われた。代わりに、祈願箱から手に入れた、痛み止めの効果があるという薬剤を受け取った。\r\n金曜日\r\n先月のムーナ代の支払い。-2000ドーラ。\r\n新しい標本を作っているとき、うっかり作業台を壊してしまった。修理費-1000ドーラ。\r\n風邪の診療。診察料と薬代で+1300ドーラ。\r\n肘を脱臼した患者が来たが、診たくなかったので、2000ドーラを渡して帰らせた。\r\n土曜日\r\n異物が体に入ってしまった患者の手術。手術費用+15000ドーラ。口止め料+2000ドーラ。\r\n言葉を話せないが、歌は歌える患者が来た。脳に異常があるのかもしれない。研究のため、患者の代わりに入院手続きをした。治療費と入院費は合計で20000ドーラとなる見込み。患者は36回の分割払いを希望。\r\nしゃっくりが止まらないという患者が来たが、診療所に入ってきた途端、標本に驚いたのか勝手に治った。収支なし。\r\n義眼のメンテナンス。消耗品で合計-2000ドーラ。\r\n日曜日\r\n休診日。\r\n\r\n1週間の収支:-18750ドーラ。支払い待ち:35000ドーラ。\r\n「……他に稼ぎ口を見つけたほうがいいのかな?大道芸とか……?解剖ショーも悪くないね」\r\nクルニスは収支簿をゴミ箱に投げ捨てた。",
"CharacterArchiveContent.11812.1": "クルニスの正体",
"CharacterArchiveContent.11812.2": "クルニスはどうやら人間じゃないらしいよ。\r\nクルニスがよく訪問診療に行く町では、子どもたちがこっそりと彼女の後をついて回り、さまざまな意見を交わしていた。\r\nその意見の数々は実に摩訶不思議で、子どもたちは各々の考えが正しいと証明するため、一生懸命証拠を集めた。\r\n\r\n「クルニスは死神の化身なんだって!」\r\n唯一彼女の診療所に行ったことがある子どもがそう言った。「クルニスの診療所には小さな部屋があってね、中にはおかしな生物標本と、人の体みたいな標本があるんだ。あと、診療所には大きな鎌があった。あれはきっと死神の武器だよ!」\r\n\r\n「クルニスはアンドロイドなんだよ!」\r\n彼女の治療を受けた子どもがそう言った。「前に身体検査を受けた時、近くでクルニスの目を見たんだ。そしたら、片目が義眼だった!しかも、ちょっとだけ青色に光ってた。それに、クルニスはごはんを食べることを『エネルギーチャージ』って言ってるだろ?きっと、クルニスは人間の真似をしてるアンドロイドに違いないよ!」\r\n\r\n「クルニスは人を食べる悪魔だよ!」\r\nクルニスの患者ではないが、好奇心で彼女のあとをつけていた子どもがそう言った。「クルニスは前に、重症の村の人にこう言ったんだ。その脚を渡せば、治療のお金はいらないって。その脚は、クルニスが診療所に持って帰って、ガラス瓶の中に入れたんだけど、あれはきっと、食べるために下味をつけてるんだよ!」\r\n\r\n「クルニスは死神かもしれない! そうじゃなかったら、墓泥棒かも!」\r\n通りすがりの女の子も話題に入ってきた。「大人たちは、みんなクルニスのことを『白衣の死神』って呼んでるから、もしかしたら、クルニスがあの伝説の、お伽話の魔王の部下なのかも!」\r\nその後……\r\n冒険から帰ってきた大人たちが、クルニスの鎌は普通の武器ではなく、地底から持ってきた物だと言っていたのを少女は思い出した。「地底って地面の下のことだよね?それって、お墓を荒らしたってことでしょ!なら墓泥棒なのかも?」\r\n\r\n子どもたちは話に夢中で、背後から近づいて来る人物にまったく気づいていなかった。\r\n「フフ……そんなに気になるなら、私の診療所に来てみる?」\r\nクルニスがそう声をかけると、子どもたちは驚いたスズメのように、悲鳴を上げながら散り散りに逃げていった。",
"CharacterArchiveContent.11813.1": "武器逸話:カローン",
"CharacterArchiveContent.11813.2": "患者番号002。ツノが生えた少女。\r\nノヴァ大陸で確認されているツノ持ちは、基本的に永夜に属している、星ノ塔の破壊を企む連中だ。\r\n星輝会では永夜の研究に参加していたため、もちろんその話は知っていた。彼女は自分の足元に倒れている少女を見つめ、しばし考えた。\r\n腹部の傷は深い。内臓にまで達しているだろう。失血も多い。もうすぐ致死量に至る。このツノ……彼女は、永夜の者なのか?見殺しにするのは、医者になったときに唱えた誓詞に反する気がする……だがもし、もし治療しても助からなかったら……いや……そうしたら、珍しい死体が手に入って、新しい研究ができる。\r\nそこまで考えて、クルニスは腹をくくった。やっとの思いでその重傷のバイヤ人を診療所まで連れ帰ると、彼女はわずかに残った良心で少女に手当てを施した。\r\n\r\nそして、そのわずかな善意が実を結ぶ。\r\n少女の生命力は極めて強く、何日か昏睡した後、死神の手を逃れた。病床に寝そべる彼女は、クルニスに包帯を替えてもらいながら、崇拝するような表情で目の前の医師を見つめていた。\r\n「あなたは神様……? あたし、体が2つに割れてたのに、それを治すなんて……」\r\n「大げさよ。こうなったのは私も不本意なんだから」クルニスは少し残念そうにため息をつくと、怪しい色をした薬を少女の手にねじ込んだ。「ま、死ななかったんだから、頑張って生きなさい」\r\n\r\nその少女は、クルニスの診療所に1か月ほど滞在し、ようやくケガが完治した。\r\nその間に、ふたりは親友となっていた。少女は過去のことや永夜のこと、冒険の中で見聞きしたことをクルニスに話した。一方のクルニスは、実にいい聞き手で、良し悪しの判定はせず、ただ知らないことに興味津々で、少女の話を楽しそうに聞いていた。\r\n別れる前、少女は命を救ってもらったお礼に、「必ずお返しをする」と言った。\r\nそんな約束に期待するクルニスではなかったが、その1年と3か月後、診療所に差出人不明の荷物が届いた。中に入っていたのは、真っ黒な鎌と、意味深なメモ書き。\r\n「ちゃんとした武器がなきゃ、お医者様は死神から人を奪えないでしょ?」\r\nそれは、あの少女からの「お返し」だった。",
"CharacterArchiveContent.11901.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.11901.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.11902.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.11902.2": "谷風家政からの指示を受けたため。",
"CharacterArchiveContent.11903.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.11903.2": "資格証書\r\n\r\n谷風上級忍者資格証\r\nノヴァ1級料理人&パティシエ証書",
"CharacterArchiveContent.11904.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.11904.2": "家政サービスの詳細\r\n\r\n清掃、整理、スイーツ作りなど",
"CharacterArchiveContent.11905.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.11905.2": "忍者業務の詳細\r\n\r\n情報収集、██の調査、██の殲滅など",
"CharacterArchiveContent.11906.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.11906.2": "戦闘経験\r\n\r\n谷風家政在職期間中に合計█回の任務に参加し、\r\n任務での平均撃破人数は█人、援護回数█回、貢献度█。",
"CharacterArchiveContent.11907.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.11907.2": "目標\r\n\r\n修行に励み、██の行方を探すこと。",
"CharacterArchiveContent.11908.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.11908.2": "面白い子だよ……もう少し警戒心を解いてくれたらもっと可愛いのに、ふふ……\r\n――クルニス\r\n\r\nあの子はよくわからない……\r\n――コハク",
"CharacterArchiveContent.11909.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.11909.2": "概ね事実に基づいた内容ではあるものの……少し情報が足りません<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n履歴書にしては少々情報が少なすぎますが、あの谷風家政の所属であることを考慮し、深くは追及しないことにします。\r\nひとつだけたしかなのは、ナノハさんのケーキはすごくおいしいということです。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.11910.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.11910.2": "折り畳まれた絵\r\n\r\n保管日時:星歴█年█月█日\r\n由来:██の所有物\r\n状態:一部破損\r\n機密レベル:3級\r\n\r\n恐らくは幼い子どもが描いた絵。\r\n重要性を判断できないため、ひとまず資料室で保管する。\r\n――谷風家政資料室",
"CharacterArchiveContent.11911.1": "空白の花(上)",
"CharacterArchiveContent.11911.2": "今日は、ナノハがスイーツショップで働く初日だ。まだ太陽も昇っていないのに、お店の至る所で、彼女はせっせと動き回る。\r\n\r\nやるべきことがたくさんある。材料の準備、掃除、飲食スペースの整理整頓……ミスは許されない。\r\n生地の発酵時間はぴったり、床のタイルの隙間に塵一つでも落ちていてはならない。テーブルとイスは、ちょうどいい間隔で並べ、ソファーのクッションも洗濯したものに交換しなければならない。お客様には、最高の時間を過ごしてもらいたいから。\r\nすべての準備が終わり、彼女はほっと一息つくと、たったいま摘んできたばかりの向日葵を、カウンターの花瓶に活けた。\r\n\r\n初春のこの頃は、まだ寒さが残っていて、花びらの上の露がいまにも零れ落ちそうになっていた。ナノハは手袋を外し、花にそっと触れた。彼女の指先には、転がり落ちる冷たさが伝わる。\r\n少し、ぼんやりとした感覚に陥った。\r\n忍にとって、「既視感」とは恐ろしいものだ。その感覚の源を突き止めなければならない。\r\nしかし、いまはもっと大事なことがある。彼女は既視感について忘れることにした。\r\n\r\n朝霧が少しずつ晴れ、ナノハがドアを開けると、風と朝日が彼女の頬を撫でた。ドアにかかっているプレートが返され、「準備中」から「営業中」に変わる。\r\n「……本当に、お客様は来てくれるのでしょうか?」\r\n少し緊張している自分がいる。下忍試験を受けたあの日のことが目に浮かぶようだ。あのとき、彼女は日の出から夕暮れまで待ち続け、きっと待つこともなにかの試練に違いないと自分を慰めた。後になって知ったことだが、実は試験中に緊急事態が発生し、精鋭忍者の試験官たちは全員任務に駆り出されてしまったのだそうだ。\r\n\r\nドアの前でどれぐらい立っていただろうか。やがて街が少しずつ賑やかになり、1人目の客が来店した。そして、続けて2人目、3人目と、スイーツショップは徐々に賑やかになっていった。\r\nナノハはキッチンとホールを行き来し、可愛らしい食品サンプルの間を通り、高く積み上げられた食器の山を迂回し、温かくておいしそうな香りを客に届け続けた。大人たちは、気が利く子だと彼女を称賛し、子どもたちは優しいお姉ちゃんが大好きだと言ってくれた。ナノハは客を見送る時、「またお待ちしております」と言うのが大好きだった。その温かな言葉は、彼女の荒んだ心に希望の種を撒いた。\r\n\r\n花瓶の向日葵は、毎日換えることにしていた。清潔なカウンターの上には、いつも鮮やかな黄色が揺れている。\r\n彼女は向日葵たちを丁寧に扱った。たとえ、それが1日しか持たない命だとしても。\r\n彼女はいまでも、ある人のことを待ち続けている。",
"CharacterArchiveContent.11912.1": "空白の花(下)",
"CharacterArchiveContent.11912.2": "月日は一日一日と過ぎていき、スイーツショップは予想以上の人気店になっていった。ナノハは、自分はここにいるべきなのではと錯覚するようになった。\r\nナノハは慎ましい少女だ。贅沢を求めたことなど一度もない。しかし、口にこそ出さないが、心の中の考えは、まるで発酵した生地のようにゆっくりと膨れ上がっていた。\r\n「もし本当にそんな日が来たら、どれほど良かったでしょう……」\r\n\r\n「きゃあ!!」\r\n両手を振り回していた女の子が、うっかりガラスのコップを割ってしまったようだ。溶けたチェリーのアイスクリームが、ドロドロと地面に落ちる。\r\n「大丈夫ですよ。私が拭きますね」\r\nナノハはいつものように、いまにも泣き出しそうな子どもをなだめてから、テーブルや床を丁寧に拭いた。\r\n「お姉ちゃん、手袋……シロップがついてる」\r\n手元を見てみると、真っ白なアイスクリームの上に、とろみがついた暗い赤色が滴っていた。不意に、向日葵の露に触れたときのことを思い出した。あのときの既視感の正体に気づいたのだ。\r\nはじめての任務を終えてから、彼女はいつも手袋をするようになった。他人の血に触れないようにするためだった。\r\n\r\nチリン\r\nドアベルが澄んだ音を立てる。また客が来てくれた。\r\n「いらっしゃいませ。何名……」\r\n「特製の梅甘露酒ってやつをちょうだい。あ、トッピングは寒天で」\r\nその人は微笑んだ。ナノハが待っていた人が、やっと現れたのだ。\r\n\r\n長い夜はまだ半分も過ぎておらず、どこにでもある狭い路地は静まり返っていた。そこには、もう二度と口を開くことがない人々がいた。\r\n地面に散らばった向日葵の花びらは、とうに元の色を失っていたが、少女はそれらを丁寧に拾い集めた。まるで、最期の別れを告げるように。\r\n「そんなに綺麗にする必要あんの?あんた、師匠とそっくりだね」\r\n塀の上に座っていた女性は、退屈そうに両脚をバタつかせ、特別な形をした手裏剣を取り出し、月明かりにかざしてじっくりと観察した。\r\n彼女がナノハと組んだのはその日がはじめてであり、その寡黙な後輩に少々手を焼いていたのだ。\r\n「聞いたことある?忍者にとって、『満月』ってやつは不吉の象徴なんだって。でも、今日は順調にいってよかったね」\r\n「はい。私がはじめての任務に行った日も、満月でした」\r\n「へー?その日はどうだった?」\r\n\r\nナノハは返事をしなかった。彼女は最後の花びらを拾うと、自分たちに繋がる痕跡が残されていないことを確認し、振り向いて月の下にいるその人を見た。\r\n「もう行きますか?」\r\n「行こ行こ。お腹ペコペコ。帰ったら夜食だね」\r\n\r\n「あのさ……あんた、あのままあの店で働いたら?私も今回は流石にくたびれたし、早く引退したいけどさ」\r\n「このお店は組織の拠点です。担当者を勝手に変えるのは……」\r\n「冗談だよ、ジョーダン!ったく、相変わらず真面目だね~」\r\n\r\nその日が来ることはない。\r\nナノハは、誰よりもわかっていた。あの満月の夜に足を踏み入れた瞬間、夢は、永遠に届かないものになってしまったことを。",
"CharacterArchiveContent.11913.1": "武器逸話:葵嵐",
"CharacterArchiveContent.11913.2": "過去とは愛おしいものだ。例えるならば、寒い冬につけた暖炉。幼い日に描いた絵。\r\nあるいは、はじめて手裏剣が的に命中したときの驚き、綺麗に洗った包帯、窓辺から遠ざかって行く後ろ姿。\r\n成熟した蕾がはじめて結んだ種、色を変えた茎。\r\nそして、花が散る夜。\r\n\r\n「……13……14」\r\n「おや、なにを数えてんだい?」\r\n「……」\r\n「もし花の種を数えてたなら、それはそれでかまわないよ。強い日の下で目標を観察するのも、訓練と言えば訓練だからね」\r\n「はい、師匠」\r\n「少し休んで、午後になったらまたおいで」\r\n「はい、師匠」\r\n\r\n「今年は冷え込みが厳しいです。この向日葵たちは、春まで耐えられるのでしょうか?」\r\n「……どうしてそんな顔をする?枯れたなら、また植えればいいだろう?」\r\n「……それは、違います」\r\n「違う?向日葵も、あちきら谷風の忍と同じ。任務を完遂させたなら、それでいい。それが誰かなんて、関係ない。なくなれば、交換すればいいだけの話」\r\n「承知しました」\r\n\r\n「ナノハ、一緒に茶でも飲まないかい?」\r\n「なにを描いてるんだい?これは……手裏剣?いや、向日葵か?」\r\n「向日葵の形をした手裏剣です」\r\n「かかっ。これはなかなかおもしろい。しかし、特殊な形の武器は、敵に正体を悟られやすい」\r\n「……ナノハは、覚えられたいです」\r\n「ほう?ならば頂点に立ち、みなから恐れられる忍となればよい」\r\n\r\n「ナノハ様。ご提供いただいた設計図を基に、およそ1週間後には試作品が出来上がる予定です。完成した際は、ぜひご確認いただければと。もし問題がなければ、そのまま量産に入ります。本来このようなサービスは、谷風の上忍様にしかご提供していないので……どうぞ他の方にはご内密に」\r\n「ありがとうございます」\r\n「それで、こちらの手裏剣のお名前ですが、すでに決めてらっしゃるのでしょうか?」\r\n「はい、『葵嵐』と」",
"CharacterArchiveContent.12001.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.12001.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.12002.1": "教育者になった理由",
"CharacterArchiveContent.12002.2": "全ての学生が、自分で未来を選べるようにするため。",
"CharacterArchiveContent.12003.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.12003.2": "職歴\r\n\r\n星輝附属大学を卒業。その後、同大学にて教授を務めている。",
"CharacterArchiveContent.12004.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.12004.2": "成績\r\n\r\n星輝大での在学期間中、3年連続で『星空首席』の称号を獲得した。\r\n星輝大での在職期間中、恩恵エネルギーと星脈の両分野に貢献をしたことで、教授に任命された。",
"CharacterArchiveContent.12005.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.12005.2": "主な論文\r\n\r\n『恩恵エネルギーの伝導と媒体との関係性』\r\n恩恵エネルギーが異なる媒体を経由した際の伝導率について論じ、伝導率を増幅する方法に関する仮説を提唱した。この論文が発表されてから3年間、累計で1000回以上引用されている。\r\n『星脈源流考察』\r\nノヴァ大陸における星脈の分布や、その源について考察している。ここ50年近くで、唯一の実地調査の結果に基づいて詳しく書かれた論文となり、星脈研究者なら必読である。",
"CharacterArchiveContent.12006.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.12006.2": "その他の論文\r\n\r\n『巡遊者の思考回路から見た願掛け』\r\n『恩恵エネルギーの代替品の開発状況と今後の発展』\r\n『都市の星ノ塔の管理方法に関する討議』\r\n『ノヴァの野生植物可食レポート』",
"CharacterArchiveContent.12007.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.12007.2": "名誉ある実績\r\n\r\n『星輝大で一番指導されたい先生』一般投票:1位\r\n『星輝大で一番怒らせたら強そうな先生』一般投票:1位",
"CharacterArchiveContent.12008.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.12008.2": "センセーは好き。勉強は嫌い……\r\n――ホタル\r\n\r\n論文、プロジェクト、名誉……\r\n全てを手に入れたというのに、彼女は星輝会での役職を捨て、大学教授となる道を選んだ。\r\nまったく……長いこと教員をしてきたが、ここまで頑固な学生は彼女がはじめてだよ。\r\n――星輝附属大学元素科教授ゾシモス",
"CharacterArchiveContent.12009.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.12009.2": "比較的信憑性が高い内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n星輝大学の卒業生にアンケートを取った結果、大半の学生はカナーチェさんに敬意と好感を持っていることがわかりました。彼女はよく講義で、巡遊者の活動について取り上げていたそうです。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.12010.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.12010.2": "妨害された調査\r\n\r\nカナーチェについて調べていた際、私たちは恩恵意志からの圧力と警告を受けた。\r\nここまで激しい反応を見せるということは、カナーチェの1年間の空白期間は、恩恵意志においても極めて機密性の高い情報と考えて間違いないだろう。\r\nカナーチェが公開した論文から見ても、彼女はそれなりに経験がある巡遊者だと断定できる。なぜ彼女がそのことについて口をつぐんでいるのかは、引き続き調査が必要だろう。\r\n上記内容を総合的に見て、この履歴書には重要な情報が欠けている可能性があり、慎重に取扱う必要がある。<sprite name=\"acrchives_falsified_richtext\">\r\n――地理協会 ███",
"CharacterArchiveContent.12011.1": "ノンファミリーネーム",
"CharacterArchiveContent.12011.2": "「本日をもって、あなたをメルトニア家から追放します」\r\n家族会議の真ん中に座っていたのは、メルトニア家で最も優秀な女性であり、私が幼いころから憧れていた母だった。彼女が直々に家族会議を開いたということは、今回私を保釈するために、メルトニア家が大きな代償を払ったということを意味する……\r\n「『カナーチェ』という名は、これからも使って構いません」\r\n母は振り返ることもなく、席を離れた。使用人がすぐに駆け寄り、彼女にコートを差し出すと、母は次の会議の準備に向かった。\r\n私が物心ついた時から、母の記憶は、会議室の中にいる姿しかなかった。母はいつもどこかの会議に参加していて、各企業の元老院の間を走り回っていた。\r\n彼女のハイヒールの音が聞こえなくなったのを確認して、ようやく、他の家族は安堵の息を漏らした。\r\n若くして顔にしわができてしまった兄もため息をつこうとしたが、ファミーヤ姉さんに睨まれ、慌てて取り繕った。\r\n私たち兄妹の中で、母の後継者として一番期待されているのがファミーヤ姉さんだった。しかし、姉本人はそうは思っておらず、私の方が相応しいとずっと言っていた。\r\n私は、母の椅子など、ちっとも欲しくないというのに。\r\n\r\n最後の荷物をスーツケースに詰め込み、一人でメルトニア家から出ようとしたとき、ひとりの男性が庭の鉄扉の前で私を待っていた。\r\n父だ。ノヴァでは有名な実業家でもある。出身こそアッシュエリアだが、自分の努力と、メルトニア家への婿入りのおかげで、ゴールドエリアで無視できない地位にまで上りつめた人だ。\r\n父は、あまり私たち兄妹と会話することがなく、彼が何を考えているのか、私はちっとも知らなかった。ただ、結果が全てだと考える母に比べると、父は起点に重きを置いていることだけは知っていた。\r\n私になにか話があるのかと思ったが、父はただ一冊の本を私に手渡しただけだった。\r\n『恩恵エネルギーの基礎』。\r\n覚えている。これは、小さい時、父と母にねだった誕生日プレゼントだった。もっともいまの私は、あの時の選択を裏切ってしまったのだが……\r\n「自分で選んだ道なんだから、最後まで突き進むんだ」\r\n父は一言だけ口にすると、母と同じように、背を向けて歩き出した。\r\nちょうどいいタイミングで雨が降ってきた。執事が、スーツケースに防水カバーをかけてくれた。父に言われてそうしたらしい。その荷物の中身が、ほとんど本だと知っていたのかもしれない。\r\n馬車に乗る。窓から見えるメルトニアの屋敷は、どんどん遠ざかっていく。私は星輝附属大学への雇用契約書を取り出し、いままでずっと空欄のままにしていた氏名欄を埋めた。\r\n「カナーチェ・ノンファミリーネーム」",
"CharacterArchiveContent.12012.1": "卒業式",
"CharacterArchiveContent.12012.2": "正式に教師となる前に、辺鄙な町で教育実習をしたことがある。\r\nそこの学校はすでに廃校が決まっていたが、その生徒たちは私のはじめての教え子であり、私は、彼女たちにとって最後の先生だった。\r\n廃校となった理由は単純だ。「学費を納められる学生が少なすぎるから」\r\nノヴァにおいて、知識は贅沢品だ。\r\n彼らにとって、私のような教師は、神器ショップの販売員と大して違わなかっただろう。\r\n\r\n「あー!やっぱりここにいたんだね、先生!」\r\n\r\nジュノは、屋上のドアを開くと、友人のように挨拶してから、礼儀正しくお辞儀をした。\r\n彼女は私が担任を務めるクラスの学級委員だが、年齢で言えば5歳も離れていない。先生と生徒というより、友人のような存在だった。\r\n\r\n「卒業式始まっちゃうよ。先生は行かないの?」\r\n「私は、もう少しここにいるよ。もう少しだけね……」\r\n\r\n私は、星ノ塔で手に入れたスーツの裾を引っ張った。\r\nまもなく始まる卒業式に対して、私は複雑な気持ちだった。\r\nそれが本当の卒業式ではなく、廃校を前に開かざるを得なくなった「別れの儀式」だったからだ。\r\n今年度で卒業する生徒もいるが、それでも、今学期の授業は半分しか終わっていなかった。\r\n廃校は、私のようないち教師にはどうすることも出来ないが、\r\n生徒たちに申し訳ないと、心からそう思った。\r\n\r\n「ねね、それが伝説の、あの星ノ塔の正装なの?」\r\n\r\nいつもと違う服を身につけている私に気づいて、ジュノは興奮した顔つきで私の周りをぐるぐると回った。\r\nたしかに、これはゴールドエリアで流行っている『正装』だ。\r\n家を出た時、姉がこの服をスーツケースにねじ込んでくれた。ちゃんと着たのは今日がはじめてだった。\r\n\r\n「ねぇ、着心地は?星ノ塔の高級品なんだから、すっごく着心地いいんじゃない?」\r\n「きつくて、動きにくくて、着心地がいいとは言えないな」\r\n「そうなんだ~でも、正装の先生ははじめて見た」\r\n「すまない……今学期の授業、最後まで終わらせることが出来なかった」\r\n「ううん。大事なことは、全部教えてもらったからね。」\r\n\r\n私はその言葉の意味を理解できなかった。\r\nたしかに、廃校の知らせを聞いてから、私はまだ教えていない部分の教科書と解説ノートを全て彼女たちに渡した。しかし、それだけでは「教えた」とは言えない。\r\n\r\n「先生が教えてくれた、一番大事なことはね。これだよ!」\r\n\r\nジュノは私のスーツを指さした。\r\n\r\n「これ?」\r\n「そう!先生が来る前はね、私たち、アモールって怖い場所なんだろうなって思ってた。あそこの人はきっと生まれた時からたくさんのことを知っているから、私たちじゃ、どんなに頑張って勉強しても追いつけないんだろうなって、そう思ってた。でも、先生が来てくれてから、みんなわかったんだ。アモールの人だって、私たちと同じ、顔に1つの鼻と2つの目がついてる普通の人だって。あと、これはいま教えてもらったんだけど、アモールの人は、着心地が悪い服を着るって!」\r\n「なんだか……褒められてる気がしないな……」\r\n「え~、そんなことないよ~クラスのみんな、先生のことが大好きだよ。先生のおかげで、私たち、すっごく自信がついたんだから」\r\n「そうなのか……?そんなふうには考えたこともなかったな」\r\n「私たちは誰にも劣ってない。それがわかれば、もう怖がる必要なんてないよ!さ、みんな会場で待ってるよ。行こう、先生!」\r\n\r\n星ノ塔の本の中に、このような言葉があった。「3人いれば、きっと1人は、あなたの師となれるだろう」\r\n私は生徒たちに知識を伝授すると同時に、この場所で、いままで考えたこともないことを教えてもらった。\r\nジュノに背中を押され、「教師」であり、「生徒」でもある私は、人生ではじめての「卒業式」へと踏み出した。",
"CharacterArchiveContent.12013.1": "武器逸話:エアローレル",
"CharacterArchiveContent.12013.2": "光のない暗い牢屋の中で、少女が嗚咽をあげている。\r\n冷たく硬い石壁の隅に縮こまった彼女は、親友からの餞別の品をしっかりと握っていた。\r\nそれは、石灰化した葉っぱで作られたブレスレットだった。\r\n\r\n寒さは彼女の理性を蝕み、闇は彼女の精神力を削り取った。\r\n彼女は心の中で、罪から逃れる言葉を繰り返した。\r\n「大丈夫。なにも知らないふりをすれば誤魔化せる」\r\n「大丈夫。お父様とお母様がきっとここから出してくれる」\r\nしかし、忘れようとしても忘れられない記憶が、脳裏に浮かび、過去の映像が何度も目の前をよぎった。\r\n\r\n自由と平穏は両立できない。荒野に憧れる2人の少女は、とある星ノ塔の中で出会った。\r\n彼女たちは星ノ塔に登ることを、卒業旅行だと考えていた。\r\n\r\n「上に行きたい人はたくさんいるけど、足元の世界を気にする人はあまりいないよね」\r\n\r\nふたりの考えは似ていて、彼女たちは大地の奥へと潜り、未知の景色を目にした。\r\n星ノ塔、大陸、惑星。\r\n世界の記憶と本当の歴史は、まったく信じがたいものだった。\r\nこの一歩を踏み出した以上、もう「あの日の温室」には戻れない。\r\n\r\n地面に落ちた枝葉を拾い、ブレスレットを作った。これが、ふたりの友情の証だ。\r\n彼女たちは真実を世界に知らせることを約束し、互いに支え合って、来た道を戻った。\r\nしかし、追想はここで途切れてしまった。この後のことは思い出すのもおぞましい。\r\n\r\n光が牢屋に差し込んだ。\r\n出口の前に、ぼんやりと恩恵意志の人間と、両親の姿が見えた。\r\n小さいときから「誠実さ」を叩きこまれた彼女は、裁判の中ではじめて嘘をついた。\r\nそして、少女は秘密と一緒に、地中深くへと埋められてしまった。\r\nただ一人、カナーチェだけを残して。",
"CharacterArchiveContent.12301.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.12302.1": "探検隊の隊長になった理由",
"CharacterArchiveContent.12302.2": "昔の探検隊には、たくさんの隊員がいたんだよ。でもみんな村を出て行っちゃったから、いまはアンズとココとポポだけなの。",
"CharacterArchiveContent.12303.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.12303.2": "元気になる魔法\r\n\r\n元気出ないの?\r\nアンズがお日様を描いてあげるの!",
"CharacterArchiveContent.12304.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.12304.2": "得意じゃないこと\r\n\r\nタマネギと、夜ふかしと、勉強。あと、お友だちにさよならを言うこと。",
"CharacterArchiveContent.12305.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.12305.2": "大切な仲間\r\n\r\nポポはポンポン魚の中で一番動きが速い子なの。アンズを連れて森の上まで飛んで行けるよ。\r\nココは一瞬でおっきくなって、火が吹けるんだよ。アンズがお熱を出した時は、おかゆを作ってくれるの。",
"CharacterArchiveContent.12306.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.12306.2": "探検隊の責務\r\n\r\n村のみんなのために、森の状況を調べて、魔物に襲われないようにするの。\r\n村のことが大好きだったら、それは立派な探検隊の一員なの。",
"CharacterArchiveContent.12307.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.12307.2": "自分について\r\n\r\nアンズ、パパとママのことを覚えてないの。村の大人たちはね、アンズは、何年か前にココが村に連れてきたって言ってたの。\r\nだから、アンズ、ココに聞いてみたんだけど、ココは「わおーん」しか答えてくれなかった。普段はアンズがわかるのに……",
"CharacterArchiveContent.12308.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.12308.2": "あの子は、イッシ村の太陽だよ。\r\n――イッシ村村長\r\n\r\nアンズにはすっごく助けられたんだ。あと、ウチよりも木登りが上手だよ。\r\n――テレサ",
"CharacterArchiveContent.12309.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.12309.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n幼いながらも2匹の仲間と力を合わせ、自身のやり方で村を守っています。\r\n彼女が持つ自然や生き物と通じ合う独特な感性は、巡遊者になる素質として十分だと言えるでしょう。\r\nしかしその前に、遊ぶのを我慢して、勉学に励まなければなりません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.12310.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.12310.2": "フレイムウルフに関する論文の抜粋\r\n\r\nモフン族は生まれながらに優秀な聴覚を持ち、動物に好かれやすい。ただし魔物とも親密な関係を築けるかどうかは不明である。\r\nフレイムウルフは好戦的な魔物だ。プライドが高く、炎を巧みに扱う彼らは、飼い馴らすことの出来ない魔物とされている。\r\nしかし、アンズという少女と一緒にいるココは、例外と言わざるを得ない。このフレイムウルフは少女と家族のような関係を築いたばかりでなく、学習を通じて、本来フレイムウルフが扱えるはずがない技能まで身につけている。研究する価値のある個体だ。\r\n――星輝会で保管されている論文より",
"CharacterArchiveContent.12311.1": "太陽騎士の伝説(上)",
"CharacterArchiveContent.12311.2": "ある日、恐ろしい呪いが、平和だった村に容赦なく降りかかった。\r\n呪いにより空は記憶を失くし、いまや泣くことしかできない。その涙は大地を満たし、畑までも飲み込んだ。\r\n呪いにより雲は病気になり、毎日暗い顔をしている。腰が曲がってしまった麦にも、その病をうつそうとしている。\r\n\r\n畑で働く村人たちは、村の賢者に尋ねた。「いったいどうすれば、この呪いは解けるのだろうか」\r\n畑の麦はまだなんとかなるが、このままでは、先に村人が参ってしまう。\r\n賢者は長いひげを撫でながら、「伝説の太陽騎士であれば、眠りについた太陽を呼び覚まし、その光で呪いを浄化できるだろう」と言った。\r\nすると、村人はまた尋ねた。「では、その太陽騎士はいまどこに?」\r\nしかし、賢者は首を振り、答えてはくれなかった。\r\n\r\n太陽騎士は、太陽を呼び覚ますために頑張っている。\r\n彼女は、寒さをしのげる魔法のマントを羽織り、濡れた森の中へと入った。\r\nここは彼女の領地であり、彼女は森の住人の名前を全て知っている。森の住人たちはみな、彼女のことが好きだった。大きなしっぽを持っている種鑑定士と、空飛ぶ歌手が、彼女のために道案内をしてくれた。\r\n\r\n太陽騎士が求めるのは、太陽を呼び覚ますための材料だ。\r\nホウオウボクの花びらをたくさん、ゴールドメリーの蕾をカゴいっぱい、それから、おいしいタマネギと紫芋を大きな袋に詰める。\r\n太陽騎士は、おいしい物で太陽を起こそうとしている訳ではない。\r\n彼女は蜘蛛の巣と、アカネ草の根、それから筒に入った樹脂を持ってきて、それらを一番信頼している仲間――フレイムウルフ卿の背中に乗せて、秘密基地へと戻った。\r\n大きな鍋でぐつぐつと煮込む。薪が全て灰になったころ、山のように積まれていた材料は、小さな瓶に収められた。\r\n太陽騎士はその瓶を持ち、フレイムウルフ卿から綺麗な毛を受け取ると、村にある高い塔に向かって出発した。\r\n\r\n階段を上り、壁を登り、太陽騎士はようやく塔の頂上に到着した。\r\n下で待っているフレイムウルフ卿は、ずっとその顔を上げたまま、彼女の頼もしい姿を見守っている。\r\nさて、太陽を呼び覚ます魔法を始めよう。\r\n魔力が込められた瓶の中身を塔にかけてやると、塔はたちまち金とオレンジ色に染まった。温かな息吹のおかげで、空は記憶を取り戻し、雲の病は治った。そうして、再び地上に光が戻った。\r\nしかし、浄化しきれなかった呪いは、太陽騎士へと降りかかった。それから、彼女の姿を見た者は誰もいない。\r\n太陽騎士は、いつ現れるのか? それはまた、他のお話だ。\r\n\r\n「まうまう、イッシ村の風車ってキレイでしょ?」\r\n「ああ。ところで上のほうに描かれているあれは……オレンジなのか?」\r\n「あれは、太陽なの!雨に濡れて、ちょっと色が落ちちゃったかもしれないの」\r\n「この間ずっとこれをやってたの?」\r\n「雨の季節はみんな元気ないの。でもこれを描いたら、村のみんなが笑ってくれるようになったんだよ」\r\n「で、アンズは風邪をひいてしまった……と」\r\n「へっくしゅん!大丈夫、すぐに治るの。あ、薬なんかいらないからね!アンズ、もう苦いお薬は飲みたくないの」",
"CharacterArchiveContent.12312.1": "太陽騎士の伝説(下)",
"CharacterArchiveContent.12312.2": "顔色がコロコロ変わる冬の女王が、従者の吹雪を連れて村を通りかかった。\r\n夜が明け、村人たちが目を覚ました時、壊れた柵の下からフレイムウルフ卿の足跡が見つかった。\r\n村人たちが賢者にその訳を尋ねると、\r\n賢者はひげを撫でながら森に目を向け、太陽騎士ならば、真実を見つけてくれるだろうと言った。\r\n\r\n一方で太陽騎士は、マントを羽織り、ひとりで凍えるような森の中へと入った。\r\n吹雪の到来で、森の住人たちは慌てていた。太陽騎士が帰ってきても、誰も歓迎の声をあげなかった。しかしそれでも、太陽騎士は熱心にみんなを助けた。\r\n松ぼっくりが5つ。大きなしっぽの種鑑定士が忘れた宝物だろう。太陽騎士は、それらを丁寧に並べた。\r\n雛が孵りそうな卵が3つ。空飛ぶ歌手夫婦の愛の結晶だろう。太陽騎士は、それらを丁重に送り返した。\r\nそして、足跡。これはフレイムウルフ卿の足跡だ!\r\n\r\n太陽騎士は歩みを速めた。足跡を辿り、彼女は森の奥へ、奥へと突き進んだ。\r\n吹雪の中を突っ切ると、そこにはフレイムウルフ卿の姿があった。太陽騎士はフレイムウルフ卿に話を聞こうとした。\r\nしかし、近づいてみると、それはフレイムウルフ卿ではなく、見た目がそっくりな狼の悪者だとわかった。\r\n悪者はフレイムウルフ卿になりすまし、彼女と村人の仲を引き裂こうとしたのだ。\r\n太陽騎士は、悪者を懲らしめようとしたが、吹雪のせいで体が上手く動かせなかった。\r\nそのとき、本物のフレイムウルフ卿が駆け付け、太陽騎士を庇いながら悪者と戦った。\r\n\r\n圧倒的な実力差で、戦いはあっさりと終わった。フレイムウルフ卿の勝利だ。しかし最後の瞬間、卑怯な悪者はフレイムウルフ卿を引っぱり、共に崖から落ちてしまった。\r\n太陽騎士はすぐに森のみんなに呼びかけ、トウヒの木、緑の蔦、弾力のある大きなキノコを集めた。\r\nみんなで協力してそれらを組み合わせると、雪の上を走る乗り物が完成した。\r\n太陽騎士は少しもためらわずに飛び乗ると、崖から滑り降りていった。\r\n\r\nそして、とある伽藍洞の洞窟の中で、太陽騎士はケガをしたフレイムウルフ卿を見つけた。そして、太陽騎士はポケットから不思議な石を2つ取り出した。\r\nカチッ、カチッ。楽しげな音が火の精霊を召喚すると、その火は太陽騎士とフレイムウルフ卿を温めた。\r\nまだ足りない。太陽騎士がそう言うと、自分の魔法のマントをフレイムウルフ卿に被せた。\r\n火の精霊は夜の暗さの中で舞い踊り、寒い夜はすぐに過ぎていった。\r\n\r\nそれから、賢者は村人たちを連れて、彼女たちを発見した。本当のことが明らかになって誤解は解けた。ただ、太陽騎士は元々病み上がりだったため、今回の騒動で、また少し弱ってしまった。\r\n彼女の面倒を見るため、フレイムウルフ卿は、村人たちからさまざまなことを学び始めた……\r\n\r\n「何度見ても、ココが料理できるなんてびっくりだよ」\r\n「ふふ~ん、すごいでしょ!」\r\n「すごいけど、なんでアンズが得意げなんだ?」\r\n「アンズだって、ごはんぐらい作れるの!いまからまうまうに見せてあげるからね!」\r\n「ちょっと待って!いま塩を袋ごと入れただろう!?」",
"CharacterArchiveContent.12313.1": "武器逸話:麦旗",
"CharacterArchiveContent.12313.2": "「アンズちゃーん、あーそーぼー。って、地面に寝そべって何してるの?」\r\n「お兄さん、お姉さん!あのね、村の旗が破れちゃったから、アンズ、どう直そうかなーって考えてたの」\r\n「ああ、それ知ってる!『図工』って言うんでしょ!お父さんがね、フィーリエの学校に行ったら、毎日図工の授業があるって言ってた」\r\nモフン族の少女は、昨晩の台風で倒れた旗の上に寝そべりながら、2名の探検隊員に挨拶した。\r\n「じゃあさ、イッシ村にしかない物を上に貼ったら?そしたら、すぐにこの村の旗だってわかるよ」\r\n「イッシ村にしかない物……?そっか!アンズ、そうするの!ありがとう、ミヤお姉さん!」\r\n「ちぇ~、戦旗を作ってるのかと思った。帝国護衛隊の騎兵隊隊長が振り回すやつ!」\r\n「こんな風にっ!ほら、そしたら、みんながこっちを見てくれるんだぜ!」\r\n「カッコイイ~!アンズもそれほしい!でも戦旗って、どうやって作るの?」\r\n「こいつの言うことは気にしなくていいよ、アンズちゃん。旗なんかなくたって、ココはアンズちゃんの言うことを聞いてくれるよ」\r\n「うん!じゃあ、アンズが旗を直したら、みんなで村の入り口に飾るの!」\r\n「あ、それは……」\r\n「ごめんな、アンズちゃん……俺たち、フィーリエに引っ越すことになったんだ」\r\n「『ふぃー…れ』? それって隣村のこと? 大丈夫!ココがいれば、毎日ふたりに会いに行けるの!」\r\n「違うのアンズちゃん、引っ越しって言うのはね……」\r\nふたりの友人は、小さな少女に別れの意味を教えた。沈んでいく気持ちと共に、少女の耳は垂れ下がってしまった。\r\n\r\n「本当に、言ってよかったのかな?あの日のアンズちゃんの顔は、いまでも忘れられないよ……」\r\n都市へと赴く馬車の中で、少女は少年にぽつりとつぶやいた。\r\n「黙っていなくなるよりはマシだろ?あと、頭を外に出すな。危ないぞ」\r\n「でも……あれ、麦畑の中になにかあるよ?」\r\n「他より高い麦が、こっちに向かってきてるみたい」\r\n「そんなわけ……見間違いじゃないのか?」\r\n少年も窓から頭を出した。陽の光が明るく照らす麦畑の中、その幼い少女は麦の穂を振っていた。彼女が乗っているフレイムウルフが通った場所には、金色の波が煌めいた。\r\n「ナランお兄さん!ミヤお姉さん!見て見て!アンズ、カッコイイ麦旗を作ったよ!」\r\n「アンズが探検隊の隊長になっても、ずっとこれを持ってる!」\r\n「アンズ、これを村の一番高いところに飾るから、また帰ってきてね!」\r\n友人の声はどんどん遠ざかり、彼らが手を振る姿も、少しずつ、故郷の地平線の向こうへと消えていった。",
"CharacterArchiveContent.12501.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.12502.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.12502.2": "声なき者の代弁者となるべく、見聞を広めるため。心身を鍛え、己に打ち勝つため。",
"CharacterArchiveContent.12503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.12503.2": "学歴\r\n\r\nゴルティス貴族学院:一等栄誉学位",
"CharacterArchiveContent.12504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.12504.2": "受賞歴\r\n\r\nベイリーン年間優秀スター賞\r\nベイリーン杯湖畔サイクルラリー準優勝\r\nベイリーンビー玉王者決定戦最高忍耐賞",
"CharacterArchiveContent.12505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.12505.2": "趣味\r\n\r\n読書、決闘、お茶です。",
"CharacterArchiveContent.12506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.12506.2": "ヨロズ配達の業務紹介\r\n\r\n一般業務:都市内郵送、新聞配達、荷物の配達\r\n特別業務:都市外郵送、大型荷物の配達\r\n備考:特別業務をご依頼の際は、事前にご予約ください",
"CharacterArchiveContent.12507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.12507.2": "自己評価\r\n\r\n巡遊者としては新米であり、知識面でも実戦面でも、先輩方にはとても及びません。\r\n大型のマスクボアの撃破には、レゾンを17回も振る必要がありますし、『30日間ヨタカブレッド生活』も未達成です……\r\nこうした未熟さを補うため、私はさまざまな探索と学習に励んでいます。老人の冒険譚に耳を傾け、子どもたちにビー玉の決闘を申し込み、さまざまなお菓子を嗜み、神器の修理技術に磨きをかけています。",
"CharacterArchiveContent.12508.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.12508.2": "趣味の欄に、「お菓子を食べること」なんて書かないように説得するの、本当に大変だったんだから。\r\nとにかく見た目は気難しそうだけど、彼女とちゃんと話してみてね!\r\n――トーナ",
"CharacterArchiveContent.12509.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.12509.2": "事実に相違ないです<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n彼女の実力を考えるとこの履歴書は謙虚すぎる……というよりも、どこかずれている印象を受けます。\r\n調査によると『ベイリーン年間優秀スター賞』とは、街に迷い込んだマスクボアを最も多く退治した市民に授けられる勲章だとか。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.12510.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.12510.2": "新聞記事\r\n\r\n『衝撃スクープ! ポワティエ家の弁護士が謎の失踪!』\r\n独自取材\r\n消息筋によれば、先日法廷で暴力を振るい被告を負傷させたポワティエ家の弁護士が行方不明となったそうだ。所属弁護士事務所には、当該弁護士に謝罪を求める匿名の抗議文が殺到しているという。\r\n現時点では、ポワティエ家は本件に関して口を閉ざしたままである。\r\n――ゴルティスの声新聞",
"CharacterArchiveContent.12511.1": "無意味な質問",
"CharacterArchiveContent.12511.2": "「御社の状況を踏まえ、いくつかの案をお持ちしました」\r\n「なかなかよい案だとは思うが、しかしねえ……」\r\n会議室には、無味乾燥で複雑な法律の条項や解釈の説明が飛び交っていた。フリージアは大きな会議テーブルの前に座り、いつものように、尊い身分のクライアントたちが口にする言葉を、一字一句漏らさないように記録していた。\r\nただし彼らは、すでに回答した質問を何度もくり返したり、法外で無理な要求を提示することに、その時間の大半を費やしていた。\r\n\r\n「先ほどの会議、上の空だったわね」\r\nフリージアは、手に持った書類を整理しながら僅かに動揺した。指導教官はあの煩いクライアントに手一杯で、こちらを気にする暇などないと思っていた。まさか、あんな状況でまで、全体を見渡していたなんて。\r\n彼女は素直に過ちを認め、ずっと心の中に留めていた疑問を口にした。\r\n「……私達があのカンパニーと面会するのは、今日で3回目です。あの方々は、なぜすぐに対応せず、異なる担当者を派遣しては、同じ案についてあなたに尋ねるのでしょうか?」\r\n「良い質問ね。だけど、これは必要なプロセスでもあるの。会社というものは、規模が大きくなればなるほど、内部の派閥が複雑になる」\r\n「我々は、各方面からのフィードバックを集め、最終的な決定権を持つ派閥を中心として、彼らが満足する案を提供しなければならない」\r\n「お言葉ですが……そのようなやり方では、効率が悪いと思いますわ」\r\n「それは私たちの考えるべき問題ではないの。弁護士として最も重要なのは、クライアントを満足させることなんだから」\r\n「……承知いたしました、ご指導ありがとうございます」\r\n\r\n午後の陽だまりは、眠気の温床だ。生活習慣を厳しく管理しているフリージアにとっても、このときばかりはまぶたが重くなる。\r\nこんなにうららかな日は、広々とした屋外でゆっくり過ごすのが一番だ。\r\n「……お疲れ様でした。明日もよろしくお願いいたしますわ」\r\nマナーどおりに指導教官に別れを告げると、フリージアは立派な正門から外に出た。彼女は初めて、疲れを感じていた。\r\n「お嬢さん、すみません……あなたは弁護士の方ですか?」\r\n向かい側からやってきた一組の夫婦が、フリージアの思考を中断させた。彼らはごく一般的な市民の身なりで、焦りと懇願の混じった表情で彼女を見ていた。\r\nフリージアは厳かに頷いた。\r\n「ええ。なにかご用でしょうか?」",
"CharacterArchiveContent.12512.1": "新しい世界",
"CharacterArchiveContent.12512.2": "「君がこの案件を引き受けることに異論はないが、君の経歴と被告の身分を考えれば、敗訴は目に見えている。」\r\n「それに、このままでは、私が被告の代理人を務めることになる」\r\n「……その人のしたことを知っていながら、なぜ彼らの弁護をしようとするのですか?」\r\n「私は彼に雇われた顧問弁護士であり、弁護士とは雇用主のために働くものであるからだ。それ以上でもそれ以下でもない」\r\n反論の余地もなく、フリージアの最後の幻想は打ち砕かれた。\r\n「……あなたは、私が一番尊敬する弁護士ですわ。ですが、たとえあなたが相手だとしても、私は絶対に諦めませんの。それに、私は勝算が無いとは思っていませんので」\r\n \r\n先ほどまで降っていた雨は徐々に弱まり、部屋にノックの音が響いた。\r\n「どうぞ」\r\n「失礼いたします。濡れた靴で絨毯を汚してはいけませんから……ここでお話させてくださいませ。本日は、お別れを告げに参りましたの。私は、この弁護士事務所を退職しますわ。私は……立派な弁護士にはなれません」\r\n「失敗は誰にでもあることだ。処罰を受け、またやり直せばいい。君には才能がある。簡単に自分を諦めるな」\r\n「……最近、ずっと考えていたのです。弁護士が権力者たちだけを守り、普通の方々を守ることができないなら、法律の公平性は……正義は、誰が守るのかと」\r\n「この世界には、それを動かすためのルールがある。君がルールを変える力を持つまで、それに疑問を呈することはできない。それに、君自身も、一族の身分の高さゆえに弁護士になれたのだ。その点を忘れてはいけない」\r\n \r\n「……フリージア。ねえ、フリージア!なにを見てるの?」\r\n小動物のようにちょこまかと動く少女が、好奇心いっぱいの目で覗き込むと、本の上に影が落ちた。\r\n「わぁ……文字だらけ。見てるだけで疲れそうにゃ」\r\n「フリージアって、よく難しい本を読んでるよね」\r\n隣にいるオレンジ色の髪の女の子が、服を縫う手を止めて身を寄せると、小さなソファがさらに窮屈になった。3人の女の子たちは、体を温め合いながらおしゃべりを始めた。\r\n「暇つぶしに読んでいただけですわ……本屋のおばさまが、最新ベストセラーの本を譲ってくださって」\r\n「きっとこの間、本屋にやってきた乱暴なやつらを追い払ってあげたからだにゃ。あの人たち、法外な値上げのために何度も来てたらしいし」\r\n「そうそう!フリージアが難しい言葉でまくしたてたら、真っ青になってたよね」\r\n「フリージアって、法律のことを話し出すと、いつもと雰囲気が変わるにゃ」\r\n「これでフリージアが有名になれば、ヨロズ配達への注文も増えるかも……」\r\n\r\n「いまの私なら、あのころの経験が無駄じゃなかったと……そう思えますわ」\r\n随分と時間はかかったが、彼女はいまようやく「弁護士」だったかつての自分を誇りに思うことができるようになった。",
"CharacterArchiveContent.12513.1": "武器逸話:レゾン",
"CharacterArchiveContent.12513.2": "――決闘で永遠の勝者となる為に必要なものは?\r\n勇気、強靭さ、正義の心……\r\nそのどれもが彼女の武器であり、契約を執行するのに必要なものであり、裁判における鍵となり得るものである。\r\n「勇気」は毒に塗れた暗殺者のナイフのように、冷たい閃光で急所を貫く。\r\n「強靭さ」はサイの骨と火山岩でできた槌のように、防壁を軽々と破砕する。\r\n「正義の心」は蒼天を切り裂く槍のように、敵の眼が閉じ切る前にきらめく残像を見せる。\r\nそんな中、ただずっしりと重い巨大な斧が、主人となるべき存在を待っていた。\r\nしかし理性を求めなかった彼女はただ、前に進もうとしていた。\r\n\r\nだがいつか、不敗神話にも終わりが訪れる。\r\n「衝動は失敗の根源だ」\r\n「お前には少しばかり理性が必要だ」\r\nあの人は、そう言っていた。\r\n彼女が去った後、決闘の伝統は時代と共に廃れていった。\r\n一世を風靡した戦士たちは、歴史の1ページに封印された。\r\n\r\n百年後、逃げ惑うひとりの少女が、その記憶の門を開いた。\r\n長年捨て置かれた者たちは、再び希望の光に燃えた。\r\nだがあの伝説的な先輩に比べると、少女は戦闘経験に乏しく、自信も不足していた。\r\n少女は、かつての栄光に満ちた海を渡り、未知の困難を切り開くための相棒を探した。\r\n「……あなたにしますわ」\r\n「私には、『レゾン』が必要ですの」\r\n冷たい黒曜石の斧が、意気消沈していた少女の手の中で突然沸騰したように熱くなった。\r\n斧は、少女が持つ勇気、強靭さ、正義の心……\r\nそして、何千年も変わることのない、熱い鼓動を感じたのだ。",
"CharacterArchiveContent.12601.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.12601.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.12602.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.12602.2": "オオゾラプロダクションの一員として巡業をおこない、観客に笑顔を届けたい。\r\n各地で才能の原石と出会い、一人前のタレントに育て上げたい。",
"CharacterArchiveContent.12603.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.12603.2": "オオゾラプロダクションについて\r\n\r\n数年前に設立されたプロダクションです。都市間で業務関係を結ぶ従来型のビジネスモデルではなく、自由なスタイルで運営されており、定期的な巡回ツアーやショーへの出演など、大陸の各地で活躍しています。\r\nプロダクションの業務内容:マジックショー、トークショー、演者の育成、星ノ塔探索\r\nプロダクション住所:フラヴィオの街の南にある森林\r\nプロダクション番号:62442",
"CharacterArchiveContent.12604.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.12604.2": "マジックショーについて\r\n\r\n『マジック』とは、魔法を用いて不思議な現象を引き起こすことであり、マジシャンには高度な知識とテクニックが要求されます。\r\nその起源は不明ですが、いくつかの文献によると、100~1000年の歴史があるそうです。\r\n現代マジックの礎を築いたのは『時計職人の弟子』と呼ばれる人物で、彼が民間魔術と芸を組み合わせたショーを貴族の宮殿で披露し、魔術を藝術の一分野として発展させました。\r\nその後、歴史的な要因によって、民間におけるマジックへの熱は下がり、数年前に『時計職人の弟子』の直系の子孫であるセリーヌ・ロベルタがフラヴィオで逝去すると、マジックショーの没落は決定的となりました。",
"CharacterArchiveContent.12605.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.12605.2": "アーティストとしての経歴\r\n\r\n元は「レッドアイズ」傘下の「シャインエンターテインメント」プロダクションに所属し、15年の契約を結んでいた。\r\n出演ドラマ32本(うち9本は主演)、劇出演15回、舞台出演48回。\r\n\r\n受賞歴:\r\n第26回フラヴィオ演劇祭:最優秀新人賞\r\n第26回フラヴィオ演劇祭:最優秀主演女優賞\r\n第27回フラヴィオ演劇祭:終身栄誉賞",
"CharacterArchiveContent.12606.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.12606.2": "得意技\r\n\r\n伝統的なマジックを改良し、魔法を精緻に操るマジックワンドを用いたショーを行う。\r\n各種魔法アイテムや自身のダンスを組み合わせ、たったひとりで観客を魅了させるスペクタクルなマジックを展開し、視覚的な楽しさを生みだす。",
"CharacterArchiveContent.12607.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.12607.2": "華麗なフォーマルドレス\r\n\r\nある偉大なマジシャンの後継者として、その敬意を表するために、彼女が若いころに着ていた衣装をリメイクした。\r\nでも私は、その責任の「重さ」から、すぐには着こなすことができなかった……それからしばらくして、ついに運命と責任を引き継ぐ決心がついたの。\r\n\r\n以上は対外的な説明です。実のところ、フローラはフォーマルドレスの着方を知らなかっただけなんです。\r\n――オオゾラプロダクションアシスタント フィリー",
"CharacterArchiveContent.12608.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.12608.2": "フローラさんのフラヴィオでの活躍を見たことがあります。私は町から出られないので、映写機で彼女のショーを見ただけですが……いつも思ってます。彼女はいつフラヴィオに戻ってきてくれるんでしょう?\r\n――アオバ\r\n\r\nベファーナ……いえ、フローラさんと呼ぶべきでしょうか。彼女が芸能界を去ったことはとても残念です。シャインエンターテインメントとはすでに縁を切ったとのことですが、当演劇協会はフローラさんに贈った栄誉を撤回することは決してありません。\r\n――フラヴィオ演劇協会",
"CharacterArchiveContent.12609.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.12609.2": "真偽不明です<sprite name=\"acrchives_falsified_richtext\">\r\n\r\nマジックを得意とする彼女は、普段の人付き合いでは芸能やアートの業界で養われた素養の高さが伺えます。しかし、巷やメディアにおける彼女の噂を無視することもできません。\r\n彼女に対する評価は人によってまったく異なっており、まるで千の仮面を持っているような彼女の履歴書もまた、真偽不明です。\r\nとはいえ、これは履歴書というより、名刺として捉えたほうが良いのかもしれません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.12610.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.12610.2": "「シャインエンターテインメント」契約訴訟案\r\n\r\nフラヴィオ資料館の記録:\r\nベファーナ氏(乙)は、「労働時間と待遇は非人道的で、自分のキャリアを実現するための仕事ができない」ことを事由として、シャインエンターテインメント社(甲)を告訴した。\r\nこの事件は、未判決のうちからフラヴィオの世論に大きな影響を与えた。多くの芸能事務所やプロダクションが、同様の方法で所属するアーティストから搾取していたからだ。\r\n本件は最終的にベファーナ氏(乙)が違約金を賠償することで決着した。レッドアイズの記者はこう評論する――ベファーナ氏の敗北に終わったように見えるが、彼女はアーティストと事務所の不平等な関係に警鐘を鳴らしたのだ。",
"CharacterArchiveContent.12611.1": "鏡に映る誰か",
"CharacterArchiveContent.12611.2": "いったい……いつからなのだろうか?\r\n\r\n大歓声と照明の光が遠くなり、ステージの幕が下りる。\r\nフローラは舞台の中央で、自身の姿が完全に暗闇に溶け込むまで、感謝の姿勢を保ち続けた。\r\n背後から一筋の光が差し込み、シャインエンターテインメントのスタッフが、制作サイドと面会するように促すと、フローラは静かに頷いた。\r\n彼女はメイクを確認しようとしたが、重たいドレスには鏡を入れるポケットすらないことに気がついた。だが、彼女は人気絶調の大スターだ。笑顔を保っていればそれでいい。\r\n面会は無事に終了し、フローラはまたカンパニーのために新たな出演作を獲得した。\r\nみんなが去った後、彼女はパウダールームでメイクを落とした。冷たい水が彼女の心を現実に引き戻した時、背後から耳慣れない足音が聞こえた。\r\n「ああ、フローラさん?今日はお疲れさま。まだいらっしゃったんですね」\r\n「あなたもお疲れさま。私もちょうど帰ろうとしていたところよ」\r\n誰か知らないが、彼女は最低限の礼儀を保ってそう答えた。\r\n「ええ。でもどうやら、ずいぶんお疲れの様子ですね?」\r\n彼女はなぜそんなことを言うのだろう?この私の笑顔が、不完全だと言いたいのだろうか?\r\nフローラは、顔を上げて鏡を見た。\r\n――そこに映っていたのは、顔のない自分だった。\r\n\r\n「――っ!」\r\nフローラは悪夢から目を覚ました。そして、自分がマネージャーと一緒に、フラヴィオの夜を走る高級車に乗っていることに気づいた。\r\n「どうしたの?大スターでも、この高級な神器の車にはまだ慣れない?」\r\n彼女は苦い笑みを浮かべて、首を小さく横に振った。窓の外に流れるネオンをぼんやりと眺めながら、この街のことが好きではないことを思い出していた。\r\n街にあふれる酔っぱらいの従業員たち。メイクを落とす間もなくバイトへと走る地下魔法少女。一心に芸事に打ち込んできた天才が、賭けによって全てを失う。\r\n誰もがお互いを搾取し、快感に溺れ、目を覚まそうとしない。\r\n「あんな負け犬たちのことは気にするな。君にはツテも才能もあるんだ」\r\nフローラは返事をすることなく、窓の外を眺め続けた。その時、よく知っているような、あるいは知らないような、赤髪の女の子の姿が、それらの光景とともに目の前を通り過ぎていった。\r\n「マネージャーさん……あの……」\r\n\r\n「逃げようだなんて考えないで。あなたは、もう戻れないの」\r\n\r\nそのとき、急ブレーキがかかった。フローラはとっさに身体を守り、恐る恐る周囲を見回した。\r\n車の中、車の外、全ての人たちが、彼女を見ていた。\r\n――彼らはみな、顔のない自分だった。\r\n\r\nドンドンとドアをノックする音が聞こえ、屋外から誰かが心配そうに声をかけた。\r\n風が古びたホテルの窓を吹き抜け、ひんやりとした空気を運んでくる。\r\nフローラは机で目を覚ました。あれは夢なのか、それとも……\r\n「大丈夫ですか?巡遊者の営業部と打合せしたリハーサルが、もうすぐ始まりますけど」\r\n「ええ。1日で6回ショーをやるくらい、なんてことないわ」\r\n彼女は力を振り絞り、心を落ち着かせて立ち上がった。まだ読み終えていない本を棚に戻し、いつもと変わらない手順で、淡々と着替えを済ませた。\r\n彼女は部屋を去る前、なにかをたしかめるかのように、勇気を振り絞って鏡の前に立った。\r\n\r\nいったい……いつからなのだろう?\r\n鏡に映るこの人物が、まるで他人のように見えたのは……\r\n\r\n「フローラさん……やはり延期にしませんか? オオゾラプロのみんなはあなたのことを心配しています」\r\n部屋は静まりかえり、遠くで鳴くセミの声だけが聞こえた。\r\nだが数秒後、扉はゆっくりと開かれ、いつもの自信に満ちたマジシャンが姿を現した。\r\n「なにを言ってるの。オオゾラプロのショーは、どんなときでも、延期することなんてないわ!」",
"CharacterArchiveContent.12612.1": "記憶の中の蝶",
"CharacterArchiveContent.12612.2": "ひとりの少女が、まるでなにか恐ろしいものを見た子猫のように、息を切らして母親の名を泣きながら呼んでいた。\r\n転びそうになる彼女を、年老いた両手が受け止める。\r\n「おやおや、赤毛のウッドモットかと思えば、どこのお嬢さんかしら?」\r\n目の周りが赤くなるまで泣きはらした少女は、涙をぬぐい、丁寧にお礼を言った。それは立派なドレスを着た老婦人だった。\r\n「お母さんとはぐれたの?探すのを手伝いましょうか?」\r\n「マ……お母様は……もういないの。私は、お父様と一緒にアモールへ来ました」\r\n「まぁ……そうだったの。ごめんなさいね」\r\n少女は首を横に振ったが、鼻がツンとして、また涙が出そうになった。\r\n「ありがとうございます。でも私、もう戻らなくちゃ……」\r\n「ちょっと待って、お嬢さん。ポケットの中をたしかめてみてもらえるかしら?」\r\n「え?」少女のポケットから、ハンカチが1枚、2枚、3枚……止まることなく飛び出て来た。まるで、ポケットが無限の宝箱になったかのように。それらのハンカチには、セリーヌ・ロベルタという字が印字されていた。\r\n「あら、ごめんなさい。いつもうっかりしちゃうのよ。本物のハンカチはここよ」\r\n老婦人は自分のポケットから本物のハンカチを取り出すと、しゃがんで少女の目じりに浮かぶ涙をぬぐった。\r\nすると今度は、その涙が煙を放ち、宙に浮かんで燃え盛る蝶に変った。\r\n「え……いまのなに!?」\r\n「これはね、マジックよ」\r\n「マジック……?魔法じゃなくて?」\r\n老婦人がマジックの歴史を語りながら指を動かすと、たくさんのハンカチが、切り絵の人形のように手をつなぎ、彼女の肩に乗った。\r\n民間魔術、時計職人の弟子、マジックショーの大会、フラヴィオの街……少女は遥か遠くの物語を聞いているうちに、先ほどまでの悲しい気持ちはどこかへ行ってしまった。\r\n「いい?マジックの種類は無数にあるけれど、一番大切なのは観客を笑顔にすることよ」\r\n「じゃあ、私もマジックしたい!だって、アモールの人たちは、みんな悲しそうな顔をしているんだもの……!」\r\n「しーっ! そんなことを言ってはダメよ」少女が予想外のことを言ったので、老婦人は慌てて少女の口を指で塞いだ。周囲の誰にも聞かれなかったことをたしかめて、安堵のため息をついた。\r\n老婦人の慌てた様子を見て、少女はなぜか自然と笑みをこぼした。老婦人もまた、先ほどまでの様子を思い出し、微笑んだ。\r\n「あなたも笑ったわ。私にも、マジックができたのかしら?」\r\n「まあ、お利口さんね。マジックを学びたいなら、もう少し大きくなってから、私の住むフラヴィオへいらっしゃい」\r\n「私、行くわ!もう約束したからね!」\r\nその瞬間、老婦人が複雑な表情を浮かべたのを、少女は見のがさなかった。老婦人は笑いながら少女の頭をなで、ゆっくりと立ち上がった。\r\nそして、どこから始まり、どこで終わったのかもわからないマジックのように、瞬く間に人混みの中へと消えていった。それは、彼女が最初に現れたときと同じようだった。\r\n少女の指の間には、燃える蝶が残され、羽を揺らしながら少女を家路へと導いた。",
"CharacterArchiveContent.12613.1": "武器逸話:オリフラム",
"CharacterArchiveContent.12613.2": "「お願いします。魔道具の作り方を教えてください!」\r\n「失せろ」\r\n\r\nドアがバタンと閉まり、雨水がフローラの顔にかかった。\r\n「ガオード魔道具屋-閉店」と書かれた看板が、大雨の中で揺れている。\r\nフローラがしばらく動かずにいると、数分後に目つきの鋭い老人が出てきて、いくつかの本と材料を彼女に投げつけた。\r\nまた扉が閉まり、ノヴァ最後の魔道具師とマジシャンの面会は、沈黙のうちに終わった。\r\n\r\nその後、フローラはそこから遠くない丘の上に臨時の拠点を作り、毎日魔道具の研究に没頭した。\r\n彼女が当時を振り返る時、いつもこう自嘲する。あのころの私は、絵本に登場する年老いた魔女のようだったわ。\r\n\r\nフローラが研究していたのは、魔力をコントロールする道具だった。オーケストラの指揮棒のように軽く、それでいて、強大な魔法を引き出すことができ、魔法でさまざまな形を作れるようなものが欲しかった。\r\n彼女はこのアイデアを手紙にして、高名な魔道具師であるガオードに送ったが、こっぴどく罵倒された。\r\n「偉大なマジシャンは、ひとりで部屋にこもり、魔法コントロールの研鑽を積んだのだ。道具はあくまで補助的なもの。おまえは伝統を汚す気か!」\r\n「でも、伝統を重んじるままではマジックは救えないわ」\r\nフローラはそう言い残し、マジックワンドを構成する3つの材料を探すことにした。杖の本体、芯、そして魔石だ。\r\n他人に認めてもらう必要はない。ただほんの少し助けがあればよかった。舞台で観客に話しかけるのは、観客の注意をそらすため。大切なのは、最終的に観客に見せる結果だ。\r\n\r\n次にガオードが受け取った手紙には、杖を作るための本体と魔石は手に入ったが、杖の芯が手に入らないのだと書かれていた。\r\nそれは魔力の伝達にすぐれ、闇市でも手に入らないような希少な材料だ。フラヴィオの美しき大スターが、山を越え谷を越え、どうやってそれを手に入れようと言うのか、ガオードには想像もつかなかった。\r\nそれからしばらく経ち、病床に伏したガオードは、つまらなさそうに一年前の新聞を手に取った。どの新聞の一面にも、同じ内容が大きな文字で書かれている。\r\n「大女優ベファーナ、独立か――」\r\n\r\nガオードは、引き出しから精巧な木箱を取り出した。中には真っ赤な羽根が入っていた。それは十数年前、彼の相棒だったセリーヌ・ロベルタが、世界旅行の土産として彼に贈ったものだった。\r\n神秘的な生き物の羽根だというこれには、さまざまな伝説が入り乱れていた。だがひとつだけ共通しているのは、その生き物が火を浴びて生き返るという点である。\r\nガオードは、フローラに最後の手紙を書いた。そこには短い言葉で、この素材を杖の芯として使ってみるといい、そして数日後に彼女のショーを見に行くとだけ書かれていた。\r\n\r\nだが約束の日、ガオードはショーに来なかった。フローラが迎えたのは、豪雨だけだ。\r\nそこに、彼の息子が現れ、彼の命がもう長くないことを伝えた。\r\nフローラは窓の外の豪雨を見つめると、周囲の反対を押し切り、丘を登った。彼女は、誰もいない丘の上でおじぎをし、懐からマジックワンドを取り出した。\r\n\r\n山の下にある丸太小屋では、老人が床に臥し、医療神器で最後の命をつないでいた。\r\n臨終の瞬間、老人は遠くの丘の上で紅い閃光を見た。あれは長年の相棒だったマジシャンがはじめて舞台で見せたマジック――とても初歩的な、「炎のマジック」だった。\r\n懐かしい炎が、老人を相棒が待つ場所へと導いた。\r\n老人は親しい人たちに囲まれて最後の時を迎えた。その日、多くの者が、燃える翼を持つ鳥を見たという。「火の鳥は、暗い雨雲を突き破り、青い空へと飛び立った」と。",
"CharacterArchiveContent.12701.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.12701.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.12702.1": "配達員になった理由",
"CharacterArchiveContent.12702.2": "うれしいお知らせでも、悲しいお知らせでも、ただ待ってるだけじゃイヤだから。",
"CharacterArchiveContent.12703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.12703.2": "最も危険な場所\r\n\r\nセルスティの神器鑑定ショップ。\r\n見つけた宝物を持って行ったら、「店を荒らす気か」って怒鳴られて、追い出されちゃった。",
"CharacterArchiveContent.12704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.12704.2": "魚の骨の目印\r\n\r\n魚の骨を描いて、色んなメッセージを伝えられるんだ。ウチが発明した暗号だよ。\r\n魚の頭と尻尾:前進、後退時の方向を示す\r\n魚の小骨の数:出発地から記号の位置までの距離を示す\r\n骨の目の大きさ:危険度を示す",
"CharacterArchiveContent.12705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.12705.2": "経験\r\n\r\n喉が渇いたら葉の露を飲み、お腹がすいたら木の実を食べ、ケガをしても薬草がある。\r\n「野外で物資が尽きた時は、周りをよーく探すこと。物資はどこにでもある」これがお父さんの教えだよ。",
"CharacterArchiveContent.12706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.12706.2": "新しい道の発見\r\n\r\nセルスティに来てすぐのころ、郊外で自然にできたトンネルを見つけたから、地理協会に報告したんだ。\r\nそしたら、みんなそのトンネルができた原因について言い争いを始めて、戦争だーとか、洪水だーとか、お互い一歩も譲らなかった。\r\nでも、ウチはそんなの興味ないんだ。このトンネルのおかげで配達の近道ができれば、それで満足だから。",
"CharacterArchiveContent.12707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.12707.2": "疑惑\r\n\r\nウチが見つけた宝物の七割ぐらいは、ちょっと修理すれば使えるものばかり。\r\nどの宝物も、本来あるべき場所にあれば、もっと長くつかえるものなのに……こんな風に野ざらしにしておくのはすごく可哀想。",
"CharacterArchiveContent.12708.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.12708.2": "賑やかでとても頼りになる仲間ですわ。\r\n――フリージア\r\n\r\nテレサは私と出会う前から、配達をやってるの。つまり、私の先輩なんだよ。\r\nでも先輩ぶったところは全然なくて、むしろこちらの庇護欲を刺激してくるっていうか……えへへ。\r\n――トーナ",
"CharacterArchiveContent.12709.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.12709.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nヨロズ配達の設立前から、テレサさんは各都市で活躍していました。配達の他にも、難しいものでは魔物退治、簡単なものでは迷子の猫探しなど、なんでも引き受けていたそうです。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.12710.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.12710.2": "星ノ塔の監視者の目撃報告\r\n\r\n私は昔、荒野にある星ノ塔の監視者だった。\r\nある日、森の奥から信号弾が上がり、私は誰かが火の魔法でも使ったのかと思った。\r\n私が現場に到着したとき、空腹で気を失いそうになっているテレサが、木の枝に引っかかっていた。\r\n私は彼女の父親と古い付き合いだったので、彼にそのことを伝えた。\r\nすると、彼はこう答えた。「前回は崖に引っかかってたから、それよりは安全だね」と。\r\nあの日は少し飲み過ぎていたから、もしかすると聞き間違いかもしれないが……\r\nテレサの家庭環境が、かなり独特であるのはまず間違いないだろう。\r\n――地理協会メンバー",
"CharacterArchiveContent.12711.1": "テレサの宝物",
"CharacterArchiveContent.12711.2": "黄ばんだ古い本。その各ページのメモ書きには、持ち主の知恵が詰まっている。\r\n冷たい北部の雪山から、荒れ果てた西部の荒野まで。\r\n広々とした南部の平原から、神秘的な東部の古城まで。\r\n本の主がその理想を実現したのかどうか、それを知る術はないが、これらのメモ書きの価値は、本自体の価値をはるかに上回るものだ。\r\n時代を超え、その本は、多くの人々の手に渡った。\r\nそしていま、ひとりの少女がその本を手に取り、少女はそれをきっかけに旅に出た。\r\n\r\n希少な魔物のウロコ。これはテレサがはじめて魔剣を手に取り、勝利した相手から得たものだ。\r\n巨大なトカゲのウロコは極めて貴重であり、目利きの商人には悪くない値で売れるはずだ。\r\nだが、テレサはそんなことに興味は無く、キラキラ光る宝物として、大切に取っておくことにした。\r\n\r\n錆びついた鍵は、送り届けることのできない手紙と一緒に手に入れた。\r\n一人の老人が、コブだらけの手を震わせて、手紙と鍵をテレサに渡した。\r\nテレサはぼんやりとした住所を頼りに、ある都市を訪ねたが、受取人は事業に失敗し、巡遊者になっていた。受取人は、損失した分を稼ごうと、悪魔に憑りつかれたかのように星ノ塔を探索していた。\r\nテレサは星ノ塔に入り、道に迷った受取人を助けたが、彼は手紙を受けとらず、老人の名前も口にしたがらなかった。彼は追加報酬だと言って、その鍵をテレサにくれた。\r\nテレサは手紙を開けようとはしなかったし、その鍵に合う錠前を探すこともしなかった。彼女はただ、この二つの品物を大切にしまい込んだだけだ。\r\n何故なら、今日送り届けられなくても、明日もそうだとは限らないから。\r\n\r\nテレサが集めた「宝物」は、ヨロズ配達のある部屋に詰め込まれている。\r\nトーナとフリージアですら、その部屋には入れない。\r\nここに詰め込まれた物の価値がどうであれ、いつか必ず彼女の計画になんらかの形で役立つと、テレサは信じている。\r\n\r\n「テレサ~、晩御飯ができたよ~。早く来ないとフリージアが全部食べちゃうよ~」\r\n「違いますわ。トーナちゃんが味見だと言って、つまみぐいをしているんです」\r\n\r\n階下から、にぎやかな声が聞こえる。\r\nテレサはそっと扉に鍵をかけた。計画開始まで、もうしばらくここで眠っていてもらわないと。",
"CharacterArchiveContent.12712.1": "二年前の手紙",
"CharacterArchiveContent.12712.2": "愛するテレサへ\r\n\r\nこの手紙を書いたとき、窓越しにおまえの遠ざかっていく後ろ姿を眺めていた。\r\n\r\n今夜、おまえははじめて巡遊者として家を離れ、この都市から出て、荒野に入る。同僚たちは、私がおまえを追いかけて、こっそり守ってやればいいと言うが、人間が二本の足を持って生まれたのは、自分の足で歩くためだ。おまえが大切な一歩を踏み出す時、私は杖になどなりたくはない。そんなことをしても、おまえは喜ばないはずだ。\r\n\r\n配達は良い事だ。人と人の絆を守り、人の気持ちを大陸の反対側へ届けることもできる。おまえがこの道を選んだことを、とても誇りに思う。おまえが広い荒野に踏み入れ、未知の世界を探索する勇気を持ったことは、さらに誇らしい。\r\n\r\n私が教えた巡遊者としてのスキルは、荒野で危険を回避するのには充分だろう。だから、少しも心配していない。だが、おまえの成長に寄り添ってこられなかったことは、本当に申し訳なかったと思う。入学式や配達の仕事を始めた日など、おまえにとって大事な日に、ひとりの父親としてそばにいるべきだった。\r\n\r\n母さんにも、申し訳ないことをした。若いころは夢を追いかけるばかりで、自分を支えてくれる人たちを見ようとしなかった。彼女のしてくれたことの大きさも、愛という言葉の意味も、後になってようやく理解することができた。\r\n\r\n私の一生で最も価値があるのは、この美しい山を見つけ、小屋を建て、おまえを授かったことだ。\r\n\r\n私は年老いたが、残りの時間はおまえたちのために使うつもりだ。おまえのことが心配じゃないというのは、やはり嘘だ。だが、おまえはきっと志を同じくする仲間に出会えると信じている。仲間さえいれば、克服できない困難はない。\r\n\r\nそうだ、おまえがまだ小さかった頃よく遊びに行っていた、あの山の洞窟の下にある古代遺跡に、贈り物を隠しておいた。あそこにはトカゲが多いから、注意をそらすための餌をいくつか持っていくといい。\r\n\r\n愛を込めて――父より\r\n\r\nテレサは古い持ち物を整理しながら、自分がはじめて荒野の旅から帰ってきた時、父親が無理やり鞄に入れた地理の本を見つけた。暗記できるくらい読み込んだ本だったから、それから一度も開いたことがなかった。だからこの手紙は、二年もの間、本のページに挟まったままだった。\r\n\r\nなるほど、グラムを持ち帰ったあの夜、父親が恥ずかしそうな笑みを浮かべていたのは、そういうわけだったのか。\r\n\r\n手紙はやっぱり、ちゃんと相手に届けなくちゃ。テレサは改めてそう思った。",
"CharacterArchiveContent.12713.1": "武器逸話:グラム",
"CharacterArchiveContent.12713.2": "昔々、あるところに大剣を操り、魔物を殲滅する伝説の巡遊者がいたという。\r\nその巡遊者は多くの場所を巡り、大剣で荒野を切り開き、都市同士を道で繋いだそうだ。\r\nだが、彼女の名前は忘れ去られた。それが彼女の望みだった。\r\n道は歩くものであって、崇拝されるべきものではないからだ。\r\n\r\n「え、これだけ?」\r\n\r\n物語はあっけなく終わり、テレサは口をとがらせた。\r\nだが遺跡の折れた石板には、それ以上の文字は刻まれていない。\r\n\r\n「あなたの名前は、やっぱり分からないままかぁ~」\r\n\r\nテレサは考古学者でも、歴史愛好家でもない。ただ、この剣の名前が石板に書いてあるのではと期待しただけだ。彼女は遺跡に入り込んだ時、一本の折れた剣を見つけたのだ。\r\n\r\n「グルル――」\r\n\r\n頭上から、魔物の唸り声がした。\r\n巨大なトカゲが石板の上にしゃがみ、真っ赤な舌を出しながら、薄黄色の眼でじっとテレサを睨んでいたのだ。\r\n\r\n「これは、あなたのものじゃないでしょ。それにあなたの手じゃ、これは使えないよ」\r\n\r\nテレサは自分がうっかり「盗み」を働いたわけではないことを確認して、胸をなでおろした。\r\n\r\n「早いもの勝ちだよ。ウチが先に拾ったんだからね!……ちょっと、まだやる気? じゃあこっちも遠慮しないよ!」\r\n\r\nトカゲの爪と折れた剣がぶつかり、眩い火花が散った。\r\nやはり敵は、いつも寝床に使っている鉄くずを取り合うより、お腹を満たすほうが大事だと思っているようだ。\r\nだがケンカにおいて、腹を空かせた状態で、腹いっぱいの者には勝てないと相場が決まっている。\r\n幸いテレサはここに来る前に、母親の手料理を腹いっぱい食べて来たのだ。\r\n\r\nだから、この剣には新たな名前が付いた。\r\nテレサがこの冒険の戦利品――綺麗なウロコを持って遺跡を出て来たときには、彼女はもうその名前を決めていた。\r\n\r\n「デストロイヤー、ドラゴンスレイ……いや、『グラム』にしよう。響きがカッコイイし!」\r\n\r\nその後は、今日のことを母親にどう説明するかとか、森の中に魚の骨の記号を残すのを忘れたこととか、彼女の思考はあちこちへ飛んでいった。\r\n\r\n「あれ? ここってさっきも通った道じゃないっけ?まあいいや。まずはあの木に登って見てみよう!」\r\n\r\nそう。それは、もう一つの物語の始まりである。",
"CharacterArchiveContent.13001.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13001.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13002.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13002.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13003.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13003.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13004.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13004.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13005.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13005.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13006.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13006.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13007.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13007.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13008.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13008.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13009.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13009.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13010.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13010.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13011.1": "トーナの一日",
"CharacterArchiveContent.13011.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13012.1": "配達員の少女",
"CharacterArchiveContent.13012.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13013.1": "武器逸話:トーミナ",
"CharacterArchiveContent.13013.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13201.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13201.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.13202.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13202.2": "ウィンドアッシュの子どもたちのため、生活費を稼ぐ必要があったから。",
"CharacterArchiveContent.13203.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13203.2": "ウィンドアッシュの掟\r\n\r\n互いに助け合い、言いたいことはハッキリ言う。",
"CharacterArchiveContent.13204.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13204.2": "ウィンドアッシュに加入するには?\r\n\r\nウィンドアッシュに加入するには、三つの条件が必要だ。\r\nその一、仲間を大切にする\r\nその二、約束を破らない\r\nその三、スケボーが好き",
"CharacterArchiveContent.13205.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13205.2": "ウィンドアッシュメンバーの権利\r\n\r\nウィンドアッシュは、メンバーのスケボー作りを積極的に手伝ってる。\r\n定期的にスケボー大会が開かれて、順位に応じた賞品も配ってる。\r\nあと図書室の本は自由に読んでいい。",
"CharacterArchiveContent.13206.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13206.2": "ウィンドアッシュメンバーの義務\r\n\r\n加入後は毎年一冊、図書室に新しい本を寄付すること。\r\n少なくとも毎月一回、自分の持っている知識を他のメンバーに共有すること。\r\n自分の住んでいる町を守ること。",
"CharacterArchiveContent.13207.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13207.2": "趣味\r\n\r\n少女漫画を読むことと、いろんな味のペロペロキャンディを試すこと。\r\n※ボスにのみ閲覧を許可する。",
"CharacterArchiveContent.13208.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13208.2": "姉御は、あたしらのボスであり、命の恩人なんだ! どこまでもついて行くじゃん!\r\n――フォルモント\r\n\r\n街の発展には安定した投資と商業の発展が必要だ。夢を語るだけで実現できるものではない。\r\n――██",
"CharacterArchiveContent.13209.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13209.2": "極めて信憑性が高い内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nミネルバさんはプラチナ学院の優秀な生徒であり、二年にわたって奨学金を獲得しています。\r\nですが彼女はそのキャリアを捨て、アッシュエリアで子どもたちを助けることを選びました。実に彼女らしい決断で、最良の選択と言えるかもしれません。\r\nP.S. 履歴書は、所属組織の規則を書くものではありません。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.13210.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13210.2": "『ウィンドアッシュ』それは、アモールのアッシュエリアにある謎の組織だ。\r\nこの組織のメンバーは、風のごとく街中を駆け巡るという噂がある。アッシュエリアの複雑に曲がりくねった小道をあっという間に通り抜け、街の端から端へと移動する。\r\nそれは、彼女らがスケボーに乗っているからだという説もある。だが、レッドアイズの魔女たちが箒を使ってシミュレーションしたところ、箒の速度はスケボーより速いにもかかわらず、同じ時間でアッシュエリアを通り抜けることはできなかった。\r\nもしかすると、ウィンドアッシュが人を風に変える古代魔法を持っているという噂は、真実なのかもしれない。\r\n――以上の内容は、レッドアイズのニュースから抜粋したものであり、真偽については確認が必要だ。",
"CharacterArchiveContent.13211.1": "いつもの場所",
"CharacterArchiveContent.13211.2": "スケボーが石畳を滑る音と、鎧がギシギシと軋む音が混ざり合い、路地裏からマーケットへと響いた。\r\nミネルバは段差をヒョイと乗り越え、迷宮のような路地裏を抜けると、帝国護衛隊の騎士たちを出し抜いた。\r\nここは、彼女の縄張りである。\r\nどこに近道があるのか、良い隠れ場所があるのか、全て手に取るようにわかる。帝国護衛隊が人海戦術に頼らないかぎり、捕まえることはできない。\r\nそれに、帝国護衛隊がもし本当に人海戦術を使ったとしても、彼女には奥の手がある――\r\n\r\n10分後。\r\nプラチナ学院の制服を着て、眼鏡をかけた女子生徒が、帝国護衛隊の封鎖線を通り抜けた。\r\n検問係の騎士は、その少女をよく調べることもなく、通行を許可した。\r\n何故なら、これほどおしとやかで、通学中にも本から目を離しそうにない真面目な少女が、あの野蛮な組織のメンバーであるはずがないと思ったからだ。\r\n少女は封鎖線を通り抜けると、手に持った漫画をしまいこみ、ケータイを取り出した。\r\n「フォルモント、モノは運び終わったか?」\r\n「終わったじゃん。姉御のほうは?」\r\n「うまく撒けた。じゃ、いつもの場所で集合だ」\r\n短い会話を終えたミネルバは、その外見には似合わない笑みを浮かべて、アッシュエリアの暗闇へと走って行った。\r\n\r\nいくつもの角を曲がり、靴を脱ぎ、水道橋から落ちる水でできた小さな川を渡る。\r\nミネルバは、彼女たちの「アジト」に戻って来た。\r\nアッシュエリアの中心部、高くそびえる水道橋の下は、そのイメージに反して都市の中で最も静かな場所だった。\r\nさまざまな色の小屋が、誰も住んでいない廃墟に並んでいる。\r\nそよ風が吹き、屋根の上の風見鶏がキィキィと音を立てる。\r\n午後の柔らかな日差しの下、小鳥たちが眠りから目を覚まし、大空へと飛び立った。\r\n\r\nミネルバとウィンドアッシュの子どもたちがこの場所を発見したのは、数か月前のことだった。\r\n建物はボロボロだったが、明かりをつけなくても、屋根や床に開いた穴から差し込む陽光で勉強をすることができた。\r\nそこを彼女たちの「アジト」にすることにした。もちろん、反対するものはいなかった。\r\n家の前の空き地はスケボーの練習にぴったりだし、近くには橋の土台があり、上の水道橋に行く近道にもなるからだ。\r\n「アジト」を修繕するために、メンバーたちは近くの廃屋からレンガや木の板を拾ってきた。だがなんでもタダで手に入るわけではない。バイトをして買わなきゃいけないものもある。たとえば、本だ。\r\n今日、彼女たちは港に本を取りにいった。ところが帝国護衛隊の騎士たちに密輸だと疑われ、街中を追われ、最後はミネルバをオトリにして、ようやく撒いたのだ。\r\n\r\n小屋の前では、フォルモント、ネールモント、それからウィンドアッシュの他の子どもたちが一列に並び、ミネルバの帰りを待っていた。\r\nミネルバは堅苦しいことが嫌いだが、時にはキチンとしたほうが良いこともある。\r\nだから、彼女はシルバーエリアの商店や、大きなカンパニーの様子を真似して、子どもたちが持つ赤い布にハサミで切り込みを入れた。\r\n「チョキン」という音とともに、ウィンドアッシュが正式に設立された。\r\nまるで地下組織のようであるが、実のところ、学校と図書館に属する小さな組織なのだ。\r\nテープカットという大げさな儀式をわざわざ行ったのは、普段から他の派閥におびやかされ、さまざまな事情で帰る家を失った子どもたちに、いくらかでも自信を与えるためだ。\r\n自分たちはシルバーエリアの人たちにも、ゴールドエリアの人たちにも劣ることのない存在であり、彼らが享受するものは自分たちも享受できるのだと、そう思えるように。\r\n\r\nひとしきり歓声が上がったあと、彼女たちは遊びには行かず、取ってきた野花や自分で作った自然の顔料で、少しずつ自分たちの新居を飾り付けた。\r\nミネルバは彼女たちの笑顔を眺めながら、都市に高くそびえる星ノ塔を仰ぎ見た。\r\nこの時間は、星ノ塔の巨大な影が、彼女たちの「アジト」をちょうどすっぽりと包み込む。\r\nだが、いまは気にしない。\r\nいつか、彼女は誰もが想像もしない道へと踏み出すつもりだ。\r\nそのために、今は力を蓄えなければならない。",
"CharacterArchiveContent.13212.1": "水道橋の昔話",
"CharacterArchiveContent.13212.2": "「私、人を殴っちゃった……」\r\nそれは、ミネルバが忘れることのできない記憶。\r\n小さな拳で、同じ年齢の、騎士の兜をかぶった女の子の顔を叩いた。\r\n知らない子だったが、アッシュエリアの子どもを馬鹿にする態度が許せなかった。\r\nあの子が言うには――\r\n「方向が違えば、努力するほど悪くなる」\r\nアッシュエリアのみんなは、必死で仕事をしているだけなのに、それのなにが悪いのだ。\r\n兜の下で憎たらしい表情を見せていた。\r\nだが、拳を振り下ろした後、ミネルバの顔にも焼けるような痛みが走った。\r\n相手の拳は金属の籠手に包まれていて、自分の拳よりはるかに硬かった。\r\nはじめて暴力を振るったあの日、彼女は1つの真実を知った。\r\n「暴力は、より強い暴力を呼ぶ」\r\nだが……\r\n怒りの炎に包まれた彼女は、そんなことを顧みる余裕もなく、次の拳をどこに振り下ろすかだけを考えていた。\r\n\r\n「私は逃げた」\r\nケンカに負けたからじゃない。相手は身の丈に合わない鎧を着ていたにもかかわらず、ミネルバよりもひどいケガをしていた。\r\n彼女が逃げたのは、自分がどれほど苦労して、プラチナ学院で勉強する機会を得たのかを思い出したからだ。\r\nこんな大事な時に、帝国護衛隊員の者と揉め事など起こせば、父さんと母さんの期待を裏切ることになる。\r\n暴力を振るうには、資格がいるのだ。\r\nミネルバは水道橋の上をふらふらと彷徨っていたが、太陽が山の向こうに沈む頃、その隅っこに身を隠し、頭を膝にうずめた。\r\nこれで、誰にも見つからないとでもいうかのように。\r\n\r\n「おい、そこはあたしの場所だぞ」\r\n彼女と同じように顔を傷だらけにした少女がミネルバの前に立ちはだかった。\r\nそれはさっき、ミネルバとケンカをした相手だった。だがいま、彼女は鎧をつけてはいなかったし、「それ」がミネルバだとは気づいていないようだった。\r\n\r\n「ああ?」\r\nミネルバは、その場所を完全に譲るつもりはなく、少しだけ体を隅に寄せた。\r\nミネルバはもうケンカをしたくはなかったが、大人しくここから出てくのも嫌だった。それでは、負けたも同然だと思ったからだ。\r\n幸いにも、この場所は十分広かった。あるいは、ふたりの少女が小さかったというべきだろうか。\r\n少し詰めれば、ふたりで座ることが出来た。\r\n\r\n「あんた、ケンカでもしたのか?」\r\n「うん」\r\n「偶然だな、あたしもだよ」\r\n「勝ったのか?」\r\n「勝ったよ」\r\n「じゃあ、あたしもだ」\r\n「どんな風に勝ったんだ」\r\n「相手の方がケガしてた。あんたは?」\r\n「相手が逃げた」\r\n\r\nふたりは目を合わせて、また顔をそらした。\r\nミネルバは、相手の手の傷が、自分に負けないほど多いことに気づいた。\r\nおそらくあの鉄籠手が、手のサイズに合わなかったのだろう。\r\nそれでは拳を振り下ろすたびに、鉄板を殴っているようなものだ。\r\n彼女も自分と同じように、強がっていただけだった。\r\n\r\n「次に会ったとしても、またあたしが勝つよ」\r\n「あたしもだ」\r\n「信じられないなら、これを試してみる?」\r\n「これは?」\r\n「傷口に塗る薬だよ。しみるのが怖い?」\r\n「怖いもんか」\r\n「なら叫んだやつが、負け犬だな」\r\n「いいだろう」\r\n\r\nあの日、ふたりの少女は互いの名前を聞かなかった。\r\n先に聞いたほうが負けだと思ったし、今後何度かケンカすれば、どうせいずれは知ることになる。\r\nだが、誰が予想しただろう。\r\n次の対決が、彼女たちが想像するよりも、ずっとずっと先になるということを。",
"CharacterArchiveContent.13213.1": "武器逸話:パラマルタ",
"CharacterArchiveContent.13213.2": "呼び鈴が軽やかな音を立てる。\r\nプラチナ学院の制服を着た少女が扉を開け、カフェに入って来た。\r\n「お客様、すみません。もうそろそろ閉店ですので……」\r\nネコ耳をつけた店員が頭を下げ、丁寧な口調で話しかける。\r\n\r\n「『午後の死』をひとつ、フクロウ多めで」\r\n「……こちらへどうぞ」\r\n注文を受けた店員は、慣れた手つきで隠しボタンを押すと、トイレのドアを押し開けた。\r\nもとは鏡張りの壁だったところが、階下へ続く階段になっていた。\r\n店員はまた、優雅な手つきでトイレのドアを閉めた。\r\n少女はふうと一息ついて、鞄から紙袋を取り出し、階段を下りた。\r\n\r\n「ベニト、おやつを持ってきたぞ」\r\n「あっ、ミネルバ。いらっしゃい!おやつはテーブル……には置き場所がないし。床に置いといて」\r\n白猫のたまり場……ではなく、ベニトの作業場はいつもこんな風に散らかっていた。\r\nだが、彼女の修理の腕前は、アッシュエリアで一番だ。\r\n\r\n「最近はどうだ? 忙しくしてるか?」\r\n「まあね。マメっちのお父さんが仕事で足を傷めたから。車椅子を作ってあげたよ」\r\n「ああそうそう。これ、マメからの礼だ」\r\nミネルバは持っていた紙袋をベニトに手渡した。\r\nこいつはアモールの町では珍しいお人好しだった。それが、ウィンドアッシュが彼女にここで店を出させている理由でもある。\r\n「わっ、フェニックスのねり飴だ。これってアモールでしか売ってないんだよね」\r\nもうひとつの理由は、彼女のこの天真爛漫な性格だ。\r\n\r\n「あっ、仕事の話で来たんだよね。今度はなにが壊れたの?」\r\nベニトはねり飴を口に放り込み、モゴモゴと話し続けた。\r\nミネルバが自分の背丈の半分ほどもあるリュックを床に下ろし、ファスナーを開けると、中には彼女のバットとスケボーが入っていた。\r\n「あちゃ~……これはけっこうヒドイね」\r\n「ヴァイパーの残党どもが夜襲をかけてきてさ。なんとか防いだんだけど……修理できるか?」\r\n「できなくはないと思う」\r\nベニトはバットを手に取ると、細かく観察し始めた。表面にある傷の数々は、どれもが持ち主の勲章だ。\r\n「普通の武器ならともかく、これって星ノ塔で見つけた神器でしょ?材料費がかさむよ?」\r\n「なら普通の材料でいい」\r\n「目に見える傷が残ると思うよ。スケボーとバットは大事な相棒じゃなかったっけ? 『パラマルタ』って名前も大好きな漫画から取ったんでしょ?」\r\n「なんでそれを……!チッ、わかったよ。このことは誰にも言うなよ?」\r\n「わかってるよ。傭兵にとっては信頼が需要だからね。とにかく修理はまかせて。そうだ、うちのムーナ装備を使う?効果はお墨付きだよ」\r\n「遠慮しとく。カネがねぇし」\r\n\r\nミネルバは手を振りながら、カフェを去った。\r\n「自分の手で持てない武器じゃ、戦闘のイメージが膨らまねえ」\r\n空を見上げると、星が川面のように揺らめいていた。昔、星ノ塔から見た夜空もこんなふうだったのを覚えている。それで、その夜空をスケボーに描いたんだ。",
"CharacterArchiveContent.13301.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13301.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.13301.3": "*****",
"CharacterArchiveContent.13302.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13302.2": "フィーリエの巡遊者業界の現状を変え、すべての巡遊者がよりよい生活を送れるようにする。",
"CharacterArchiveContent.13303.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13303.2": "星歴996年- アグリ・ユニオン内部調査報告\r\n\r\n……地理協会の撤退後、フィーリエの巡遊者業界は一時的な混乱に陥った。現在のところ、ダリシア執行官がこの過程で果たした役割は不明である。\r\n――『フィーリエ近況報告』P24\r\n……\r\n……フィーリエ支部が巡遊者たちに巨額の依頼を発注した動機は謎に包まれている。三大依頼の一つを完遂した実力派の巡遊者・ナツカ、そして彼女が率いる新しい討伐隊との間にあらかじめ何らかの合意があった可能性が高い。\r\n――『フィーリエ近況報告』P26",
"CharacterArchiveContent.13304.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13304.2": "星歴996年 - フィーリエ週報 第350号\r\n\r\n「三大依頼」が完了した後も、魔物討伐を主導した高名な巡遊者・ナツカは歩みを止めなかった。花咲旅団に戻った彼女は、キャンプの維持や星ノ塔の開拓、そして地理協会の再受け入れに向けた準備を進めている。\r\nだが、彼女は本当にその責任を背負えるのだろうか?世間の評価は割れている。いま最も注目を集める巡遊者であるナツカが、再び奇跡を起こせるか――本紙は今後も追い続けていく。",
"CharacterArchiveContent.13305.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13305.2": "某ギルドの会議資料より\r\n\r\nナツカは魔法を駆使して戦闘を有利に進め、味方を援護し、敵を翻弄することを得意とする。その柔軟で多彩な戦術により、常に戦場では主導権を握ってきた。\r\n重要なのは「力」ではなく「頭脳」。彼女の戦い方がそれを明確に示している。\r\nいいか諸君、彼女に追いつくのは容易ではない。\r\nだが、彼女こそ我々が学ぶべき最高の模範だ。天賦の才を持つ者は少ない。それゆえに、成長し続ける努力が何より大切なのだ。",
"CharacterArchiveContent.13306.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13306.2": "街頭インタビュー - 巡遊者の声\r\n\r\n「一番尊敬してる人?それはもちろんナツカさん……ば、馬鹿、別に媚びてるわけじゃねぇよ!反射的に出ただけだって!」\r\n「俺、前は討伐隊の一員だったんだ。朝起きれば彼女が巡回から戻ってきて、みんなが寝たあとも彼女のテントだけはまだ灯りがついてる。\r\n戦いでもいつだって一番前に立って指揮をとってくれる。雨でも風でも雷でも、彼女は決して止まらない。そりゃあ、みんなすげぇ人だって思うよな。\r\n……まあ、中にはすごすぎて怖いってやつもいるけど、話してみるとすごく優しい人なんだ」",
"CharacterArchiveContent.13307.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13307.2": "巡遊者の手引き第三版 編集責任者:ナツカ\r\n\r\n……\r\nサバイバル術 ― 水の確保\r\n水源:近くの小川、湖、または植物の根を探す。\r\n浄化方法:布と砂・炭を使ってろ過袋を作り、3~5分間沸騰させる。\r\n……\r\nサバイバル術― 拠点の設営\r\n選ぶ場所:風下、高台、枯れ木や崖から離れた安全な場所。\r\n……\r\n野外サバイバル術 ― 食料の確保\r\n罠で魚や小動物を捕獲。 詳しい作り方は後章「罠の製作編」を参照。",
"CharacterArchiveContent.13308.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13308.2": "ナツカセンパイはわたしの憧れの巡遊者で、いつか自分もあんなふうになりたいです。\r\n——フユカ\r\n\r\n巡遊者としては完璧だけど、友達としては最低。\r\n——ナズナ",
"CharacterArchiveContent.13308.3": "ナツカセンパイはわたしの憧れの巡遊者で、いつか自分もあんなふうになりたいです。\r\n——フユカ\r\n\r\n巡遊者としては完璧だけど、友達としては……まあ、悪くないかな。\r\n——ナズナ",
"CharacterArchiveContent.13309.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13309.2": "調査の結果、事実と確認された内容\r\n\r\nナツカさんは巡遊者としても、リーダーとしても、非の打ち所がない完璧な人物です。\r\nですがその完璧さが周囲のみならず、彼女自身にとっても重圧になっている懸念があります。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.13310.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13310.2": "備考\r\n\r\nこの履歴書は、どうやら本人が提出したものではないようです。",
"CharacterArchiveContent.13310.3": "補足\r\n\r\nこの履歴書は花咲旅団のナズナが無断で提出したものです。\r\n後ほど差し替え用の履歴書を改めて提出します。\r\n緊急での質問や相談があれば、直接ご連絡ください。",
"CharacterArchiveContent.13311.1": "決意の夜",
"CharacterArchiveContent.13311.2": "討伐隊結成前のとある邂逅の記録\r\n\r\n「お久しぶりです、ナツカさん。今日も森の魔物の調査ですか?」\r\n「……私を知っているの?」\r\n「もちろんです!あなたの名声はいつも聞いていますよ。みんなのために朝から晩まで休まず働いて、暴走した魔物にもひるまず立ち向かって……\r\nフィーリエでナツカさんの名前を知らない人はいませんって」\r\n男は興奮した調子で話すと、懐から革袋を取り出した。\r\n「覚えていないかもしれませんが、以前あなたに助けられたんです。今日はそのお礼がしたくて。\r\n少ないですが、どうぞお受け取りください」\r\n「お礼は結構です。自分で持っていてください。いまは巡遊者にとって苦しい時期でしょう」\r\n「はは……そうですね」\r\n男は苦笑しながら視線を伏せる。そして再び顔を上げると寂しい笑みを浮かべながら、ナツカを見つめた。\r\n「だからこそ、今日はお別れを言いに来たんです。私は別の街に移ります」\r\n「そう……ですか」\r\n「魔物討伐も失敗続きで、キャンプも何度も襲撃を受けて……。いまのフィーリエでは、弱い巡遊者はやっていけません」\r\nナツカは唇を結んで、その言葉を受け止める。\r\n「さようなら、ナツカさん。あなたのような強く誇り高い巡遊者に出会えてよかった。どうか、あなたの願いが叶いますように」\r\nナツカが彼を引き留めることはなかった。\r\n\r\nその夜――ナツカは巡遊者を志した理由を思い出していた。\r\nそしてこれから進むべき道をはっきりと見定めたのだった。",
"CharacterArchiveContent.13312.1": "遠征記録からの抜粋",
"CharacterArchiveContent.13312.2": "05:00\r\n昨夜は獣の襲撃なし。西側の見張り台で矢の在庫に不足あり。新入りの隊員が薬を混ぜて保管していたのを発見。衛生・物資管理に関する集団訓練の必要性を確認。\r\n……\r\n07:30\r\n巡回中、古いテントの破損を発見。品質に問題はなく、経年劣化が原因。地理協会から譲り受けた旧物資であるため、次回の補給で予備テントを追加手配。\r\n……\r\n08:30 \r\n補給班が街の商人と口論に。仲裁の末、一時的に収束。再発防止のため、対応マニュアルの整備を検討。\r\n……\r\n10:00\r\n斥候班が討伐区域の魔物分布図の初稿を作成。\r\n……\r\n14:00\r\n突然の豪雨により、キャンプが浸水。事前の防水・排水対策が功を奏し被害は最小限。\r\n……\r\n15:00 雨脚おさまらず。偵察任務以外の全隊員に待機命令を発令。\r\n……\r\n22:00\r\n天候が回復した後、排水路を点検。三箇所の詰まりを発見し、すべて除去完了。\r\n……\r\n23:50\r\n見張りの交代。今夜はここまで。明日も、きっと忙しい一日になるだろう。",
"CharacterArchiveContent.13313.1": "武器逸話:風花",
"CharacterArchiveContent.13313.2": "ナツカは己の武器として杖を選んだ。\r\n\r\nたしかに彼女には魔法を得意としていた。だがそれは、あくまで彼女の才能のひとつに過ぎない。\r\nやろうと思えば剣でも、弓でも、槍でも扱えるのがナツカだ。\r\nその上で彼女は、戦場を共に駆ける最高の相棒として杖を選んだのである。\r\n\r\nそれは運命の出会いともいえるだろう。\r\n彼女が惹かれた杖は美しい風車を模していた。\r\nその杖を手に取った瞬間――彼女の脳裏に懐かしい光景が広がった。\r\n\r\n風車や水車がゆっくりと穏やかに回り続ける姿。\r\n故郷である水の都フィーリエではごくごくありふれた風景。\r\nなんの変哲もないのどかな光景こそがナツカにとっての原風景なのだ。\r\n\r\n「巡遊者たちの未来をよりよくするために」\r\n己を顧みることなく、ナツカは常に理想のみを見つめていた。\r\nそんな彼女が自分を取り戻せる美しい景色――\r\nそれを思い出させる杖を手にしたのは必然のことだったのかもしれない。",
"CharacterArchiveContent.13401.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13401.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.13402.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13402.2": "平凡な自分を変えて、仲間と一緒に冒険したかったからです。",
"CharacterArchiveContent.13403.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13403.2": "仕事の好み\r\n\r\n力仕事が得意です。なにか重いものを運びたいときは依頼してください!",
"CharacterArchiveContent.13404.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13404.2": "チーム内での役割\r\n\r\nコンゴウで障害物を壊すのが得意です!\r\n……だからたぶん、わたしの役割はみんなのお掃除係みたいなもの、ですかね?",
"CharacterArchiveContent.13405.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13405.2": "緊張を和らげるコツ\r\n\r\n目をぎゅっと閉じて花咲旅団のみなさんの顔を思い浮かべます。",
"CharacterArchiveContent.13406.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13406.2": "巡遊者の英雄\r\n\r\nかつてフィーリエを震撼させた三大依頼は、いまや終幕を迎えている。その中でも「破砕ノ牙」と呼ばれた魔物との戦いにおいて決定的な働きをしたのが、フユカ様であった……って、な、なんかかっこよく書かれちゃってるんですけど……!?でも、消したら書いてくれた人に悪い、ですよね……?",
"CharacterArchiveContent.13407.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13407.2": "花咲旅団という名\r\n\r\n花咲旅団の名前を初めて見たとき、 不思議と心の底からここだと感じたんです。きっとあの瞬間を運命の出会いっていうんですね。",
"CharacterArchiveContent.13408.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13408.2": "止まっていた季節を、あの子は久しぶりに進めてくれたの。\r\n——カエデ\r\n\r\nフユカがどんな子かって?そりゃあ一番かわいい後輩で、一番伸びしろのある巡遊者で、しかも一番頼れるリーダーだよ。……ま、影で支えてる最高の先輩がいるんだからトーゼンだよね!\r\n——ナズナ",
"CharacterArchiveContent.13409.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13409.2": "極めて信憑性が高い内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nフユカさんご本人はごく平凡な理由で巡遊者になっただけで、人付き合いも得意ではないと話していますが、 \r\n彼女の実績はカンパニー・協会・そして巡遊者仲間の誰からも高く評価されています。\r\n彼女こそ、フィーリエを代表する英雄と言えるでしょう。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.13410.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13410.2": "なぜ引退したのか、だって?\r\n……自信をなくしたのさ。\r\n一年前、フィーリエで依頼を受けたんだ。\r\n依頼自体は順調だった。だが慎重に事を進めていたというのに、突然、背後に人の気配を感じたんだ。振り返ると、そこには巨大なガントレットを装備した少女がいた。\r\nあの拳で殴られたら、一撃で粉々だろう。\r\nしかも、そんな目立つ武器を持ちながら、音もなく私の背後まで忍び寄ってきた……気づくのが一歩遅かったらどうなっていたか。 \r\n私は命が惜しくて逃げ出した。\r\n……見た目は気弱そうな女の子だったのに、人は見かけによらないとはまさにこのことだよ。\r\n――『リアル・シーン:隠退■■』より抜粋(レッドアイズ)",
"CharacterArchiveContent.13411.1": "冬鳥と夏鳥",
"CharacterArchiveContent.13411.2": "雪に覆われた真っ白い森に、雪のように真っ白い冬鳥が舞い降りました。\r\n冬の森には敵もいなければ仲間もいません。\r\n雪の下の木の実や凍った虫たちは、すべてひとりじめできました。\r\nけれど、冬鳥はちっともうれしくありません。\r\nなぜなら、それが普通のことだったからです。\r\n\r\nふと空を見上げると、舞い落ちる雪の向こうに仲間同士で寄り添って飛ぶ影が見えました。\r\n茶色い羽の夏鳥です。夏鳥たちは仲間と一緒に風に乗って飛んでいきます。\r\n\r\nひとりで育ってきた冬鳥には夏鳥たちの暮らしが理解できませんでした。\r\n親であっても、卵を温めるとき以外は一緒にいないもの。\r\nそれに誰かと一緒にいたら、食べ物だって少なくなってしまいます。\r\n幸い夏鳥たちにとって森はただの通過点。すぐに南へと渡っていきます。\r\n冬鳥は安心して、頭をふわふわの羽の下に埋め、\r\nひとりでいることに安心しながら眠るのでした。\r\n\r\nところが、その日の羽音はいつまでもやみませんでした。\r\n――いったい、森でなにをしているのだろう\r\n好奇心に負けた冬鳥は、音のする方へと飛んでいきました。\r\nバサバサという音をたどりながらきょろきょろ辺りを見回すと、茂みの中に二羽の夏鳥がいました。\r\nどうやら彼女たちはケガをして、群れからはぐれてしまったみたいです。\r\n彼女たちの翼は大きく、とても深くて濃い栗皮色をしていました。\r\n白一色の冬の森ではあまりにも目立ってしまうでしょう。\r\n冬鳥は思います。\r\n――雪の中でじっとしていれば、こわい獣たちに見つかることもないのに\r\n冬の森の過ごし方を知らない夏鳥たちは、枝を集めて巣を作りはじめました。\r\n――折れた翼じゃ遠くまで枝を取りに行けないのに\r\n冬鳥は静かにその場を離れました。\r\nちがう生き方をする自分にできることはない。\r\nそしてきっと、彼女たちはこの冬を越せないだろうとわかってしまったのです。\r\n\r\nそれ以来、冬鳥は夏鳥たちのことが気になってしかたがありませんでした。\r\n――おなかをすかせていないかな?\r\n――獣に襲われていないかな?\r\nけれど生き方のちがう自分にできることは、巣の材料を運ぶことくらいしかありませんでした。\r\nいつのまにか冬鳥は、夏鳥たちの近くを通るたびに枝を落としていくようになりました。\r\n\r\nその年の吹雪は、冬鳥が生きてきた中で最も激しく荒々しいものでした。\r\n雪に慣れた冬鳥も嵐の中ですっかり迷子。\r\n泣いても誰も助けてくれないのが冬の森。\r\n途方に暮れていると、とうとう翼も凍りついてしまいました。\r\n――わたしはここで終わるんだ\r\n重くなってきた目を閉じる瞬間、冬鳥はあの夏鳥たちのことを思い出しました。\r\n――あの巣は、夏鳥たちは大丈夫かな?\r\nそんなことを思いながら冬鳥は眠ってしまいました。\r\n\r\nどれくらい時間がたったでしょう。\r\nしばらくして目を覚ました冬鳥はふしぎに思いました。\r\n――あれ?寒くない?\r\n目の前がだんだんはっきりしてくると、そこには思いもよらない光景が広がっていました。\r\nあの夏鳥たちが傷の癒えた翼を広げ、吹雪から自分を守ってくれていたのです。\r\nそこは茂みの中の夏鳥たちの巣でした。冬鳥がいるにもかかわらず、巣はきゅうくつではありません。\r\n――もしかして、最初からわたしも入れてくれるつもりだったの?\r\n冬鳥の問いかけに夏鳥たちは優しくほほ笑むのでした。\r\n\r\n\r\n季節が何度か巡ったある日のこと――ひとりの人間の少女が森の鳥たちに尋ねた。\r\n「どうして住む場所が違うのにフィーリエで一緒に冬を越すの?」\r\n幼い冬鳥と夏鳥たちは、静かにこの物語を語って聞かせた。\r\n少女は小首をかしげ、少し考えるように空を見上げる。\r\n――わたしも、いつか誰かと一緒に……\r\nまだ見ぬ仲間を求め、少女は手を伸ばすのだった。",
"CharacterArchiveContent.13412.1": "流星が導く未来",
"CharacterArchiveContent.13412.2": "夕暮れ時。フユカは一枚の書類を手に、公園のブランコに腰掛けていた。\r\nそれは、学校から配られた進路希望調査表だった。\r\nフィーリエでは、ほとんどの学生が「アグリ・ユニオン」に入ることを目指す。\r\n中でも農園勤務は最下層の職。荷運びの労働者は時々外に出られるからまだマシ。\r\nそして誰もが憧れるのは――研究員。みんなそう思っていた。\r\n\r\nフユカも、ずっとそう思っていた。\r\n普通に学校へ通い、普通に成長し、普通に仕事を見つけ、普通に年老いていく。\r\nそんな「普通の人生」を送るのだと信じていた。\r\nいつも通りなら、他の皆と同じ職を適当に書いて、さっさと提出していたはずだ。\r\nけれど、今年は違った。\r\nアグリ・ユニオンが出した求人枠は、例年の半分しかなかった。誰もが嫌がっていた農園の職でさえ、応募者が殺到している。\r\nフユカは競争が苦手だった。誰かと争うことも、誰かを押しのけることも嫌いだった。\r\nだから、何を書けばいいのか分からなかった。\r\n「……誰かに相談できたらいいのにな」\r\nそう思って顔を上げたとき、友人たちがこちらへ歩いてくるのが見えた。\r\n「やっほー、待たせちゃったね」\r\n明るい声に、フユカは思わず手をもじもじとこすり合わせた。どんな表情をすればいいのか分からなかった。\r\n「流星群、楽しみだねー!」\r\n「早くしないといい観測場所、取られちゃうよ!」\r\n友人たちはフユカの異変に気づくことなく、笑いながら学校の方へ歩き出した。\r\nフユカは追いかけるでもなく、声を上げるでもなく、ただ誰にも見られないように、伸ばしかけた手をそっと引っ込めた。\r\nそして、再びブランコに座り直した。\r\n「……言わなくてよかったよね……」\r\n冷たい風が落ち葉を巻き上げ、フユカの足元を通り抜けていく。聞こえるのは、ブランコのきしむ音だけだった。\r\n\r\n「おやおや、寂しそうな顔をしておるねぇ~」\r\n背後から、かすれた声がした。\r\n振り向くと、そこには水晶玉を抱えた老婆が立っていた。\r\n「ふふふ……運命を変えてみたくはないかい?」\r\n老婆の言葉に、フユカは勢いよくうなずいた。\r\nだが老婆はそれ以上何も言わず、同じ言葉をもう一度繰り返した。\r\n「ふふふ……運命を変えてみたくはないかい?選ばれし者には、運命は少しだけヒントをくれるのさ」\r\n老婆は何かを求めるように皺が刻まれた手を差し出してくる。\r\nフユカはきょとんとしていたものの、一瞬遅れて「選ばれし者」の意味を悟った。\r\n\r\nそして、財布から手持ちのお金を取り出した。これで自分も運命を変えられるかもしれない。\r\n老婆は水晶玉をゆっくりと撫で回し、芝居がかった口調で言った。 \r\n「流れ星が落ちる方角――それが、お前の未来じゃよ」\r\n「流れ星……?」\r\nフユカが顔を上げると、いつの間にか日は落ちていた。\r\n夜空には幾筋もの光が走り、星々が軌跡を描きながら四方八方へと散っていく。\r\n「おばあさん、どっちの方向に落ちる星を……?」\r\n問いかけようと振り返ったときには、そこにもう老婆の姿はなかった。\r\n「……ど、どうしよう。どの流れ星を見ればいいんだろう」\r\nきっと、あの不思議な老婆は大切なヒントをくれたはず。\r\nフユカは老婆を信じて数多の流星の落ちる先を目で追った。\r\n「……あ、そうか」\r\n瞳の中に映る流星はどれも、フィーリエの外へと落ちていった。\r\nフユカは決意したようにペンを取り、進路希望調査表に、三つの文字を書き込んだ。\r\n『巡遊者』\r\n都市の外で働く人。それはつまり、巡遊者ということだ。",
"CharacterArchiveContent.13413.1": "武器逸話:コンゴウ",
"CharacterArchiveContent.13413.2": "これは、フユカが巡遊者になる前の物語。\r\n\r\nまた冬が訪れた。\r\nフィーリエの街では一晩中、激しい風が吹き荒れ多くの木々が倒れた。\r\n夜が明けると同時に、フユカは森へ向かった。「木の上に住む友だち」たちの無事を確かめるためだ。\r\n\r\n「ねえ、そこのお嬢ちゃん……ちょっと、助けてくれないかい……」\r\n「ひゃっ!?き、木がしゃべった!?」\r\n「木がいくら進化したって言語機能なんて身につかないさ。しゃべってるのは人間だよ!」\r\n\r\n声のした方を見ると、少女が倒れた大木のそばで身動きが取れないでいた。\r\nどうやら身に着けていた装備が大木につぶされ固定されてしまったらしい。\r\n\r\n「わ、わかりました!今、助けます!」\r\n\r\nフユカは大木の幹を軽々と持ち上げ、少女を解放した。\r\n\r\n「すごい……片手でこの木を持ち上げるなんて!」\r\n\r\n少女はフユカの手を取って、まるでめずらしい神器でも授かったように目を輝かせた。\r\nもともと人と接するのが苦手なフユカは、真っ赤になりながら慌てて手を引こうとする。その様子はまるで怯えた子兎のようだった。\r\n\r\n「じゃあさ、これ……試してみてくれない?」\r\n\r\n少女は木の根元を掘り返し、黒い煙を立ち上らせる金属製のガントレットを取り出した。\r\n\r\n「へへ……新しく作った武器なんだけど、ちょっと大きくてね。それに、けっこう重いんだ。さっき自分で試してみたら、腕力が足りなくて制御できなくてさ。木を一本、ぶったおしちゃった」\r\n\r\nそう言うと彼女は細かく調整を加えながら、まだ困惑しているフユカの手にそのガントレットをはめてしまった。\r\n\r\n「適当に一発殴ってみて。性能テストってことで。報酬は払うから!」\r\n「ええっ……?えっと……じゃあ、少し離れててください……」\r\n\r\nフユカは少女に流されるがまま構える。\r\nそして空を見上げると、真剣な面持ちで拳を振り上げた。\r\n爆発的な衝撃波が辺りの空気を震わせ、熱風が一瞬で木々を揺らす。\r\n髪の先を焦がした少女が、木の陰からひょっこり顔を出した。\r\n\r\n「ちょ、ちょっと!大丈夫!?」\r\n「だ、大丈夫です……。はあ……この子も無事でよかった。さっきの風圧で木から落としちゃったみたいで……」\r\n\r\nフユカの掌の上には、小さな鳥の卵が無傷のまま乗っていた。\r\n\r\n「う、嘘……こんな繊細に力をコントロールできるなんて……」\r\n\r\n少女は感嘆の声を上げると、有無を言わさずガントレットをフユカに押し付けた。\r\n\r\n「武器ってのは、使いこなせる人が持つべきだよ」\r\n\r\nフユカは何度もお礼を言いながら、ガントレットを胸に抱えて帰路についた。\r\nその背中を見送ると、少女は手にした計測装置を確認する。黒煙を上げ、オーバーロードの警告が点滅していた。\r\n\r\n\r\n「……ってのが、今回の実験結果。ビッグハンドプロジェクトはいったん中止ね。設計自体は完璧だったけど、使用者の条件が厳しすぎる。え?プロトタイプはどうなったかって?爆発した。費用は、私の個人負担で処理しておいて」\r\n少女は意味深に口角を持ち上げながら、ケータイを閉じるのだった。",
"CharacterArchiveContent.13501.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13501.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.13502.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13502.2": "都市にこもってたら、おもしろいネタが手に入らないから★",
"CharacterArchiveContent.13503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13503.2": "持ち物\r\n\r\n魔法の箒1本\r\n録音神器と撮影神器1セット\r\nメモ帳とペン\r\nサボテン1鉢\r\nそれから、超絶カワイイ幽霊のカボちゃんと、ごくごく平凡な幽霊のランちゃん。\r\n――カボちゃん",
"CharacterArchiveContent.13504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13504.2": "ニュースのネタ\r\n\r\nミスティは毎日、私たち幽霊を街に派遣して、ニュースのネタを集めています。\r\nビッグニュースに隠された真相を引き出すためには、噂をコツコツと集めることが大事なのです。\r\nそしてこの仕事では、ランちゃんの成績が明らかに勝っています。もうひとりの幽霊より、5倍も多くのネタを集めてるんですから。\r\nみんな、もっとランちゃんを見習うべきだと思うんです。\r\n――ランちゃん",
"CharacterArchiveContent.13505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13505.2": "ミスティ観察日記\r\n\r\nミスティは、おそろしい魔女です。\r\n真実のためなら、手段を選ばない。\r\n巡遊者の記事を書くために、地理協会で依頼を受け、荒野を何か月も彷徨ったりします。\r\n違法採掘をしてる炭鉱を暴くため、鉱員になりすまして、足枷をしたまま数十日も地下で働いたりします。\r\n自分を追いつめるあの気迫は、幽霊である私から見ても怖いぐらいです。\r\nだから、ミスティの命令に逆らうなんて、絶対に、絶対にありえないです。\r\n――ランちゃん",
"CharacterArchiveContent.13506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13506.2": "ミスティの料理の腕前\r\n\r\nミスティの専属幽霊は、味も風情も理解できないようなフツーの幽霊には、絶対に務まらない!\r\nだから私たちは、美味しくて、上質で、素晴らしいニュースが大好きなの。\r\nミスティの記事は、それがどんな味であっても、「真実」のパンチが利いているのだから!\r\n――カボちゃん",
"CharacterArchiveContent.13507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13507.2": "幽霊からの伝言\r\n\r\n「こちら、ランちゃんです。ここまで読んでいただき、ありがとうございます」\r\n「こちらは、カボちゃんだにゃ」\r\n「その口調はなんですかっ? 気持ち悪いですよ」\r\n「あんたがいつも真面目すぎてツマンナイからだよ。だからミスティも、あたしのほうが好きなんだよ」\r\n「ふん、上辺ばっかり気にして……実際に役に立つことが大事なんです」\r\n「相手に合わせることも大事だもんね~!」\r\n――ランちゃん&カボちゃん",
"CharacterArchiveContent.13508.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13508.2": "もう書きましたよ。まさか、また同じ内容を書けってことですか? そんな指示、ミスティからは聞いてません。\r\n――ランちゃん\r\n\r\n私はミスティの記事が好きです。簡潔で、有用で、何より真実が多いから。\r\n――レイス",
"CharacterArchiveContent.13509.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13509.2": "非常に疑わしい内容です<sprite name=\"acrchives_falsified_richtext\">\r\n\r\n次からは、幽霊に代筆させないこと!\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.13510.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13510.2": "魔女の仕事のポイント\r\n1:テーマをよく選ぶこと。ノヴァでは毎日多数の真実が生まれているけれど、面白くて、読者との距離が近い真実でなければ、読んでもらえない。\r\n2:現場に足を運ぶこと。見たものが真実とは限らないけれど、インタビューに頼り過ぎると真実から必ず遠ざかる。情報は複数のソースを相互に比較すること。\r\n\r\n――このページのメモの筆跡は拙い。丁寧に書かれたメモには取り消し線が引かれており、そばには「このウソつき」と書き添えられている。だが、ミスティはこのメモを捨てることなく、ずっと手元に置いているようだ。",
"CharacterArchiveContent.13511.1": "伝説の魔女ミスティ(上)",
"CharacterArchiveContent.13511.2": "「つまらないニュースに価値はない。つまらない人生にも価値はない」\r\nとは言いつつも。\r\n誰もが毎日最高で、つまらない時期が少しもない人生を送れる保証なんて、どこにあるの?\r\n\r\nつまらない時間をなくすため、人類は多くのものを発明してきた。その中でも特に親しまれてきたのが、「噂話」だ。\r\n街の住民も巡遊者も、都市でも荒野でも、老若男女を問わず、人々は噂話によって情報を交換し、気持ちを通わせ、つまらない時間を有意義に変えてきた。\r\nだが、無責任な噂話が自身に降りかかるとなれば、それはまた別の話である。\r\n\r\n「写真を1枚渡しさえすれば、ニュースを生み出してくれるらしいぞ」\r\n「都市の命運を握るビッグニュースから、村のウッドモットが逆立ちを覚えたなんていうちっぽけなニュースまで、この世に彼女が知らないことなんてない」\r\n「そう。彼女こそレッドアイズの生ける伝説。『伝説の魔女ミスティ』だよ!」\r\n\r\nどうしてこんなことになったのか、ミスティ本人にも謎であった。\r\nフラヴィオを離れたころ、彼女はまだごく平凡な新人の魔女だった。\r\nアモールとフィーリエでしばらく経験を積み、再びフラヴィオの地を踏んだとき、彼女にまつわる都市伝説はとんでもなく膨らんでいた。\r\nレッドアイズの大黒柱だとか、歴史上で最も偉大な伝説の魔女だとか!\r\n\r\n……ホントにありえない。\r\n\r\nミスティは星ノ塔で、こんな文章が刻まれているのを目にした。「私は此処で死ぬ」\r\n他人の評価は止められない。他人の目に映る自分は、自分が思った通りの姿とは限らないのだ。それに「他人」と言っても、人の考えには人間とバナナほどの開きがある。\r\nだから、ミスティは都市伝説をあまり気にかけてはいない。\r\n良い評判であれば長所を伸ばし、悪い評判であれば短所を改めればよいだけのことだ。\r\n\r\nだがそれは、「真実」に基づく評価であることが前提だ。\r\nそれが根拠のない誹謗や、悪意に満ちた中傷だったら、話は別である。\r\n噂の発信源を探し出すのは、凶悪事件の犯人を見つけることより難しい。ある1つの事実が、善意ある人の口から、悪意ある人の口へ、心ある人の口から、心ない人の口へと伝わる。「星ノ塔」が伝聞をくり返すうちに、「蕗の薹」になるぐらいなら、まだ原型を留めているほうだと言える。\r\n\r\nだからこそミスティは、彼女らしい対処法を考えついた。",
"CharacterArchiveContent.13512.1": "伝説の魔女ミスティ(下)",
"CharacterArchiveContent.13512.2": "「号外~!号外~!あの『伝説の魔女ミスティ』が、フィーリエで箒を折り、大火事を引き起こし、アグリ・ユニオンの所有する工場の3割を破壊したらしい!」\r\n「最新ニュース!伝説の魔女ミスティと魔王が秘密の協定を締結。ミスティを即刻逮捕すべきとの声も!」\r\n「衝撃スクープ!レッドアイズの三大魔女が、なんと四大魔女に!?その座を射止めたのはもちろん――」\r\n\r\nミスティは思う。面白いものは、つまらないものに勝るのだ。\r\n1つの噂話が多くの人を夢中にさせるのは、それが面白いからだ。\r\nミスティは、こうも思う。面白いものも、何度も見ればつまらなくなる。\r\n\r\nだからミスティが実行した対処法は、自分に関するもっと面白くて、もっとくだらない噂話を、大量にばらまくことだった。\r\n『伝説の魔女ミスティ』のニュースが出れば、読者は喜んでそれを見るだろう。\r\nでも、毎日のニュースがすべて『伝説の魔女ミスティ』で埋め尽くされれば、いずれ読者はうんざりする。\r\n\r\nミスティがばらまいた小さなニュースは、適当に書かれたように見えて、実はそうではない。\r\nミスティはマントに身を隠し、サングラスをかけ、毎日幽霊を派遣して、それぞれのニュースの拡散範囲やインパクトの強さを調査した。\r\n\r\n1日目、魔女と魔王は同類なのかという議論が街のいたるところで熱く語られている。\r\n3日目、誰かが数式を列挙して、ミスティが『太古ノ巨神兵』と同等の質量を持つのでないかぎり、アグリ・ユニオンの工場をあれほど破壊できるはずがないことを証明した。\r\n5日目、読者の関心は、アグリ・ユニオンの給与水準と手元のパンのまずさとの関係に移った。\r\n\r\nミスティは結果に満足していた。なぜなら、レッドアイズの三大魔女については、誰も興味を示さなくなっていたからだ。\r\n厳密に言えば、ミスティにまつわる噂を流した仕掛人たちが、わざとその話題を避けていたのではあるが。\r\nいつもならば、その仕掛人たちが一番夢中になっているのは、間違いなく三大魔女の噂のはずだった。\r\n\r\nミスティは目を細めて、永遠の霧に包まれたフラヴィオの街中を眺めた。\r\n\r\n「どうやら、またビッグニュースを見つけたみたいね★」",
"CharacterArchiveContent.13513.1": "武器逸話:テラコメット",
"CharacterArchiveContent.13513.2": "アッシュエリアの市民は、徒歩で出かける。\r\nシルバーエリアの市民は、公共の乗り物神器で出かける。\r\nゴールドエリアの市民には、私有の乗り物神器を持っている。\r\nだが、魔女は特別だ。\r\n箒で空を飛べるのは、彼女たちだけなのだから。\r\n\r\nよそ者は知らないが、レッドアイズの魔女の訓練課程には、「マラソン」の項目がある。\r\n「1つの事件が発生したら、少なくとも3人の魔女、10名の通行人、100人のやじうまが集まると思え。足の最も速い魔女だけが、最新のニュースを手にできるのだ」\r\n箒が使えないとき、最も有効な移動方法は、その両足を使うことだ。\r\nだが、ミスティは走るのが嫌いだった。\r\n「マラソン」の授業はサボっていたし、テストはいつもギリギリの合格だった。\r\n彼女は自身の両足を鍛えるぐらいなら、箒を鍛えようと思った。\r\n一人前の箒なら、自分で飛び、自分で道を探し、自分で加速し、自分で記事を書けるぐらいでなくちゃ。\r\n\r\n箒の改造を依頼したとき、ミスティは最後の1つだけは除外した。\r\n箒が自分で記事を書いてしまったら、ミスティのやることがなくなる。\r\n3か月分の給料を投じて、ミスティはムーナワークスから望み通りの新しい帚――『テラコメット』を受けとった。その箒には、おまけとして2体の幽霊がついていた。\r\n説明書には、こう書かれている。正しい燃料を与えれば、幽霊が箒をより速く飛ぶ手伝いをしてくれます。\r\nしかもこの幽霊が求める燃料は、偶然にもミスティの本職――ニュース記事だという。\r\n試しに記事を一枚書いて幽霊に食べさせると、彼らはその味に応じた大きさのエネルギーを放出し、「う~う~」というあまり怖くない声を出した。たしかに説明書の通り、箒はより速く、より安定性を増して飛ぶことができた。その安定感は、ミスティが乗りながら記事を書けるほどだった。\r\nもちろん、ミスティが払うべき代償は、毎日記事を書いて、書いて、書き続けることだ。\r\nもしかすると、恐怖の彗星という名を持つこの箒こそ、持ち主にとって最も恐ろしい存在なのかもしれない。",
"CharacterArchiveContent.13601.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13602.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13603.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13604.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13605.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13606.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13607.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13608.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13609.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13610.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13701.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.13701.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13702.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.13702.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.13703.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.13704.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.13705.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.13706.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.13707.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13708.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.13708.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13709.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.13709.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13710.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.13710.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13711.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13711.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13713.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.13713.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14101.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14101.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.14102.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14102.2": "玄師の修行の一環じゃな!\r\nべ、別にオバケを克服する方法を探しているわけではないからな!",
"CharacterArchiveContent.14103.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14103.2": "趣味\r\n\r\n水墨画や書道の稽古も霊符づくりの糧となるのでな。真面目に取り組んでおるぞ。\r\n何年も修練を重ねてきたかいもあり、いまではどれもかなりの腕前じゃ。",
"CharacterArchiveContent.14104.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14104.2": "ボヤ騒動の記録\r\n\r\n師匠に武器をあたえられてから1か月。その間、道場に消防車を呼ぶこと計4回。\r\n都度駆けつけた消防士から厳重注意を受けるも、本人には反省の色なし。\r\nその後も度々ボヤ騒ぎを起こしているものの、大事になる前に消火する技術だけは上達している模様。",
"CharacterArchiveContent.14105.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14105.2": "はじめての師匠のおつかい\r\n\r\nあれは、わらわが最初の旅に出たときのこと。師匠からはじめておつかいを頼まれたのじゃ。\r\n内容は簡素で『シーミャオ妙妙剣』を届けることだった。しかしそれを誰に渡せば良いのか、いくら聞いても師匠は教えてくれなくてな。\r\n仕方なく『シーミャオ』という名前だけを頼りに探していると、たまたま蒼梧城に同じ名前の少女がおるとわかったのじゃ。そこで早速その者を訪ね、おつかいの品を渡したのじゃが……本当にあっていたのかは、いまだにわからん。",
"CharacterArchiveContent.14106.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14106.2": "最優秀弟子投票\r\n\r\n道場では毎年、最も優れている弟子を決めるための投票がおこなわれる。候補者の名前を投票用紙に書いて提出し、もっとも多くの票を集めた者が表彰される――というシンプルなルールだ。\r\nある日チーシアが途中経過を見に行くと、自分の名前がまったくないことに気づいた。そこで20枚の投票用紙に自分の名前を書いたのだが……\r\n翌朝には師匠にバレてしまい、道場にこもって写経を続けるよう言いつけられたのだが、なぜ写経を命じられたのか、いまに至るまで彼女は理解していない。",
"CharacterArchiveContent.14107.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14107.2": "蒼梧城の五大怪談\r\n\r\n【深夜0時の足音】――水曜日の深夜0時、蒼梧書院の最上階では東から西へと移動していく足音が聞こえるという。それは澄んだ鈴の音のようでもあり、数えると必ず49歩になるそうだ。それが誰の足音なのか、正体を知る者はいない。\r\n【雨夜の木牛流馬】――大雨の夜、蒼梧城内を無人の『木牛流馬』が彷徨っているという噂がある。古い車体はギシギシと軋み、いまにも崩れそうな姿で中央通りをゆっくりと進んでいく。そして最後には、神樹のほうへと消えていくのを、多くの住民が目撃したという。\r\n【幽霊宿】――南方の無人島に、潮が満ちた時にだけ現れる不思議な宿があるという。それは珊瑚や水草に覆われた古い木造の建物で、半分水没した入口には『幽霊宿』と書かれた看板がかかっている。人の気配がないにもかかわらず、中からは賑やかな笑い声が聞こえてくるらしい。\r\n【怪南天】――蒸し暑く、霧の立ち込める『黴雨』(ばいう)の日。霧を引き裂くように稲妻が走り、低く長い轟音が空全体に響くことがある。龍族はこれを『龍鳴り』と呼ぶ。不思議なことに、この現象が起きるたび、その地域で書かれた墨の文字が滲み、龍の絵に変化してしまうのだという。\r\n【Gの蛇】――古くから言い伝えられている怪異の一種。『Gの頭と尾がつながると蛇になる。その姿を目にした者には不幸が訪れると言われ、運が良ければ財がなくなる程度、運が悪ければ血を見る』とされている。",
"CharacterArchiveContent.14108.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14108.2": "チーシア?そうですね、彼女は頼れる玄師であり、その……私の大切な友人です。\r\n――シーミャオ\r\nそうねぇ……会うたびに新しい噂を聞かせてくれるし、歩くゴシップ辞典ってとこかしら!\r\n――ミスティ",
"CharacterArchiveContent.14109.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14109.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n火の扱いには十分注意するよう、保護者の方はしっかりと教えてあげてください。\r\n――ウィロー",
"CharacterArchiveContent.14110.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14110.2": "匿名相談\r\n\r\n噂じゃと、雲笈道場の地下には五爪の金龍が眠っているらしい。いびきをかけば、周辺の野山が震えだすとかなんとか……\r\nだが一方で、『金龍はウソっぱち、本当はキョンシーを飼っている』などと主張する者もおる。\r\nそこで……だ、明日の夜、一緒に真実を突き止めに行かぬか?",
"CharacterArchiveContent.14111.1": "炎",
"CharacterArchiveContent.14111.2": "炎は煌々と輝き、明かりと温もりをもたらす。\r\n\r\nある夜のこと、チーシアは先輩玄師の腕を引き、力強く叫んだ。「見よ!これが覚えたばかりの、華麗な術じゃ!」\r\n部屋の明かりをすべて消すと、テーブルの上に燭台をひとつ置く。そこから3メートルほど離れたところに、チーシアは陣取った。霊符を持たず、師匠からもらった火炎放射器もない。それを見た先輩玄師は、慣れた様子で水の入った桶をふたつ用意し、部屋に戻ってきた。\r\nチーシアはそのようなことなどつゆ知らず、師匠から教わったばかりの印を結び、自分なりにアレンジを加えた呪文を唱えた。次の瞬間、指先から火花が散り、揺らめく赤がゆっくり蔓のように伸びていくと――美しい『炎の花』が開いたのだった。\r\n「わーはっはっはぁ!どうじゃ!すごいじゃろう!?」\r\nチーシアは得意げにふんぞり返るが……\r\n本来なら燃え尽きて消滅するはずの『炎の花』は、ろうそくに火を灯すどころか、まるで咲き乱れる花のように燃え広がっていった。\r\n「なぁぜじゃあああっ!?おかしい、このようなはずでは……!修練ではうまくいっていたのだぞ!」\r\n先輩玄師は困ったように首をすくめつつ、手慣れた様子で水を撒いた。あっという間に火は消えたが……近くにいたチーシアも、もれなくびしょ濡れになってしまった。\r\n「……いつもすまぬな」\r\n「かまわんさ。もう慣れた。それに焦らずとも、みなチーシアの実力はとうに理解しておる」\r\n「先輩……はっ、ハックション!」チーシアは鼻をすすりながら、火の玉を作ろうとする。「さすがに寒いな、暖を取るとするか。ついでに服も乾かせて、一石二鳥じゃ」\r\n「だが水はもうないぞ?第一、乾かすくらいなら、着替えたほうが早いだろうに」\r\n「ぐぬぬ……先輩はわらわを信じておらぬのか?」\r\n「ふっ……そうではないさ」\r\n「嘘じゃ!いま笑ったじゃろう!?」\r\n\r\n危なっかしいところはありつつも――いつも明るく、ときに熱く、周囲に光と温もりをもたらす炎。\r\nそれこそチーシアが生まれたときに授かった贈り物である。",
"CharacterArchiveContent.14112.1": "臆病と好奇心",
"CharacterArchiveContent.14112.2": "窓の外で揺れる影、森の奥から聞こえてくる泣き声、点いては消える照明、そして背中に感じる何者かの視線……\r\n幼いころのチーシアにとって、これらはすべて悪夢そのものだった。\r\nあれはいったい……なんだったのだろうか。\r\nそもそも子どもは臆病でありながらも、未知の世界に好奇心を抱かずにはいられないもの。\r\n窓をたたく影はいったい誰?森の奥で泣いているのは誰?\r\n小さな女の子は布団をかぶり、そこからほんの少しだけ顔を覗かせる。そうして震えながら、夜の闇に潜むなにかを観察していた。\r\n\r\n「ほう……濁りのない瞳だ。いい目をしているな」\r\n旅から戻った玄師が村を歩いていると、元気よく走り回っていた子どもと出会い頭にぶつかった。体格差で弾き飛ばされた子どもは、その場に尻もちをついてしまう。そして次の瞬間――\r\n「オーバーケーじゃーっ!!!!」\r\n泣きじゃくりながら、逃げるように玄師の前を去っていった。\r\nちなみに当時の玄師――いまの師匠はこの話を蒸し返し、チーシアをからかっている……\r\nそのときのチーシアはまだ幼かったため、ほとんど記憶には残っていなかったのだった。\r\nとはいえチーシアはチーシアで、納得いかないこともある。いくら幼かったからといって、師匠を見て怯えたりするのだろうか。\r\n実は別のなにかを見たのではないか……と。\r\nそこで不安にかられたチーシアが騒ぐたび、師匠は首をすくめ、ため息を吐いた。だが最後には決まって笑みを浮かべていたのだ。\r\n計り知れない才能を持つ子ども――その目に映る世界は、いったいどんな風景なのだろう?\r\n怖い思いをたくさんしてきたのに、どうして好奇心を失わずにいられるのだろう?\r\n\r\nそんな師匠の気持ちは意に介さず、\r\n彼女は床にうつ伏せになり、画集を見ながら炎の鳳凰を描いていた。今度こそ、みんなに褒めてもらえる傑作が描けるはずだと信じて。\r\n\r\nそして師匠もまた、\r\n翼のないヒヨコのような彼女の絵を見て、微笑みながら頭を振った。\r\n「――ああ、なんと面白い子だ」",
"CharacterArchiveContent.14113.1": "武器逸話:燃える芸術魂",
"CharacterArchiveContent.14113.2": "「チーシアには、火を操る才能がある」\r\nチーシアが修行を始めたばかりのころ、師匠はよくそんなことを言っていた。だが霊符づくりを学び始めると――\r\n「チーシアの描く霊符は本当に……特別だ」師匠の言葉は、次第に印象が変わっていった。\r\n特別――それはつまり『素晴らしい才能だ』という意味に違いない。\r\n彼女はうず高く積まれた紙の山の中心に座り、自分の『最新作』を満足げに眺める。そして丁寧に片付けると、新しい紙を取り出し、早速次の作品づくりに取りかかろうとする。\r\n「ん?わらわの筆はどこじゃ?さっきまでここにあったのじゃが……」\r\n\r\n別の日。チーシアはその日だけで、8本もの筆を失くしたのだ。これには師匠も呆れ果て、それ以降は彼女が話しかけるたび――\r\n「また筆を失くしたのか?」そう返ってくるようになったという。\r\n\r\nいざというとき、武器がなかったらどうやって戦うつもりだ?\r\nある日チーシアは、師匠からきつく説教を受けることとなった。\r\nとはいえ師匠の言葉には反論の余地がなかったため、素直にその言葉を受け止め続けた。\r\nそもそも彼女の場合、法術の扱いが得意ではない。火の元素と相性は良いものの、手で火の玉を作ったところですぐに消えてしまうか、逆に制御できなくなるかのどちらかだ。\r\nだが霊符の扱いには自信がある。つまり筆さえ失くさなければ、どんな問題もたちまち解決できるはず――\r\n「ううむ……いまより筆を派手にすれば、失くさなくなるのか?」\r\n道場の石段に座って考えていると、分厚い本の角で頭を叩かれて悶絶の声を上げた。\r\n「く、くうぅ~……だ、誰じゃ!脳細胞が死んだらどうする!?」「聞いたぞ。筆を派手にすれば、絶対に失くさぬと?」\r\n振り返ると、師匠が背後に立っていた。\r\n「そ、そうじゃ!たとえば……こ~~んなに大きい筆ならば、絶対に失くしたりなどせぬわ!」ムキになって大げさに表現したものの……師匠の冷たい視線に気づくと、すぐに頭を下げた。「……わかっておる。師匠の教えを忘れてなどおらぬからな」\r\n師匠はちらりと目を向けただけで、それ以上なにも言わなかった。\r\nそして数日後の夕暮れ時。師匠に呼ばれたチーシアが道場の庭へとやってくると、師匠は彼女に身の丈に近い巨大な筆を差し出した。\r\n\r\n「こ……これは!?」\r\n「お前が言ったのだろう?筆が大きければ失くさないと」師匠は小さく溜め息を吐く。\r\n「穂先の反対側は、特殊な仕掛けになっていてな。これさえあれば、火の法術も使いこなせるようになるはずだ」\r\n「し、師匠……」\r\n「どうした?」\r\n「やはり師匠は……ノヴァ大陸いち、最高の師匠なのじゃあ~~~!」\r\n「世辞はいい。それよりも、その武器にふさわしい名前をつけて、明日道場に持ってこい。使い方をみっちり叩き込んでやる」\r\n「名前……?」\r\nしばらく考え込んだあと、チーシアは顔を上げる。\r\n「うむ、決めたぞ!これの名は――『燃える芸術魂』じゃ!」",
"CharacterArchiveContent.14201.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14201.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.14202.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14202.2": "特になし",
"CharacterArchiveContent.14203.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14203.2": "趣味\r\n\r\n色んな飲み物を試すこと。\r\nコリアンダージュース等々、変わった味の飲み物を探している。",
"CharacterArchiveContent.14204.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14204.2": "ヤスリ\r\n\r\n角を隠す術を身につけられなかったコゼットは、自分自身で角を切り落とした。\r\nしかしバイヤ人の角は爪と同じように伸び続けるため、彼女は定期的にヤスリで角を削り、入念な手入れをしている。",
"CharacterArchiveContent.14205.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14205.2": "『アモール市民生活ガイドブック』\r\n\r\n1:心相石にはあなたの個人情報が含まれるため、大切に保管し、常に携帯してください。\r\n2:恩恵意志の事務所の営業時間は09:00-17:00です。困ったことがあったらお問い合わせください。\r\n3:帝国護衛隊は████████であるため、不必要な接触は避けましょう。",
"CharacterArchiveContent.14206.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14206.2": "冷蔵庫の記録\r\n\r\nオレンジジュースが4本、サイダーが7本、ヨーグルトが2本、コンビニで安く売られているミックスジュースが4本。3日前の冷蔵庫には17本のドリンクがあったはず。\r\n一昨日の朝に1本、夜に1本飲んだ。\r\n昨日の朝に1本飲んで、帰りに2本新しく買ってきた。\r\n今朝は飲み忘れたけど、帰ってきてからサイダーを1本飲んだ。\r\nだから冷蔵庫の中には15本残っているはず……\r\nなのになぜか18本に増えている……?しかも中には、麦芽飲料が2本混ざってる!?",
"CharacterArchiveContent.14207.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14207.2": "任務記録\r\n\r\n今日は魔王を尾行していた。けど、集中しすぎて電柱にぶつかり、尾行がバレた。\r\n今日は縄で魔王を捕まえるために投げ輪を作った。けど、投げる前に踏んで足をくじいた。\r\n今日は魔王を星ノ塔に誘いこむ予定だった。けど、スーパーでサイダーが半額になってたから、一旦中止することにした。\r\n今日は空白旅団の監視をした。ご飯を食べるとき、見たことないドリンクがあった。",
"CharacterArchiveContent.14208.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14208.2": "いつもどこからあんな辛いドリンクを手に入れてるんだ?しかも毎回違うメーカーだし。でも、味は意外といけるんだよな……\r\n——ミネルバ\r\n\r\nなぜか会う度にジーッと睨まれる。でも、悪気はないんだと思う。\r\n——コハク",
"CharacterArchiveContent.14209.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14209.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nそれにしても███は他に人がいないのでしょうか?こんな純粋な子に「掃除屋」をやらせるなんて……それとも騙されていて、自分が任務を遂行していると本気で思わされているのでしょうか……?\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.14210.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14210.2": "探し物\r\n\r\n前に偶然、コリアンダー味のヨーグルトを手に入れたの。また飲みたいんだけど、どこで買えるか知らない?商店街を探し回っても見つからなかった。",
"CharacterArchiveContent.14211.1": "コゼットの冷蔵庫",
"CharacterArchiveContent.14211.2": "コゼットの部屋には冷蔵庫が1つ隠されている。\r\nそれはコゼットの部屋の隅にあるクローゼットの後ろにあり、カーテンで覆われている。冷蔵庫のドアには、可愛いマグネットがたくさん貼られ、小さなメモボードにはコゼットの手書きの花が記されていた。\r\n\r\nコゼットは毎朝出かける前にこの冷蔵庫を開け、整然と並べられた飲み物の中から、その日の『ご褒美』を選ぶ。\r\n昨日はココナッツ味の乳飲料だった。\r\n今日は苦味甘茶にしよう。\r\n明日は……\r\n冷蔵庫の空きスペースが3分の1になった。そろそろ補充しないと。\r\n\r\nしかし『ご褒美』があれば、当然『罰』もある。\r\n今日の任務はうまくいかなかった。コゼットは寝る前に反省し、一週間『ご褒美』を取らないという『罰』を自分自身に科した。\r\nだから、冷蔵庫は1週間ずっと閉じたままだ。\r\n1週間後、牛乳がヨーグルトになっていた。コゼットは一口飲み、少し砂糖を入れて、自分好みの甘酸っぱい味にした。\r\nその夜、コゼットは嘔吐と腹痛に苦しむこととなった。のちに医者から聞かされてはじめて知る。冷蔵庫は万能ではなく、牛乳が酸味を帯びたのは腐敗という現象であり、ヨーグルトになったわけではないのだと。そしてコゼットは、医者が冷蔵庫の中で賞味期限切れになっていた飲料を捨てていくところを、涙ながらに見届けた。\r\n「コリアンダー味のヨーグルトはもう買えない……あれが最後の1箱なのに……」\r\n「賞味期限を2か月も過ぎているね。もっと早く捨てるべきだったよ」\r\n\r\n冷蔵庫はスカスカになった。なにか補充しないと……\r\nコゼットはペンを手に取り、冷蔵庫のメモボードに戒めの言葉を書いた。\r\n「ヨーグルトと牛乳は一週間しかもたないから、買いすぎないこと」",
"CharacterArchiveContent.14212.1": "ノヴァの世界へ",
"CharacterArchiveContent.14212.2": "ノヴァの世界って、どんなところなんだろう?\r\n \r\n永夜の内部を揺るがす出来事に、誰もが緊張しているように見えた。隣にいる少女の話によれば、バイヤ人の未来に関係するなにか重要な計画が始まるらしい。\r\n成功すれば、みんなが良い生活をできるようになるという。\r\n良い生活とは一体どういうものなのだろうか?新しい家が欲しい。冬の寒さに凍えたくない。温かい食べ物が食べたい。ケーキというふわふわの食べ物を食べてみたい……少女たちは口々に理想の未来を語った。\r\nコゼットはオーロラの後ろから、周囲を見回していた。みんなが話している内容にはそれほど興味がなかった。永夜にあまり帰属意識を持っていなかった彼女は、オーロラの次の任務がなんなのか、自分が役に立てるのかだけを気にしていた。\r\n\r\nコゼットにとって、永夜の人は故郷の村の人々と変わらない。\r\n孤児を保護するという名目でコゼットを含む十数名の孤児を保護し、食べ物と住処、さらに教育も施してくれる約束だった。しかし実際は、十数名の孤児が小さな部屋に閉じ込められ、与えられる食べ物はなんとか命を維持できる程度の物だった。そこに自由などなく、「教育」もその言葉が本来持つ意味ではなかった。\r\nコゼットは小さな部屋で冬を過ごした。それ以降、孤児をどこかに連れて行く人が定期的に現れるようになった。孤児はどんどん少なくなっていき、やがてコゼットが最後のひとりになった。\r\n「役立たずは、村に送り返される」看守の雑談を聞いたコゼットは思った。村に帰れるならむしろいいかもしれない。少なくとも彼女は自由にゴミをあさることができる。\r\n\r\nそしてその日、オーロラがやってきた。\r\nオーロラはコゼットを連れ出し、衣食住も与えてくれた。飢えに苦しむこともなく、字や魔法を学ぶこともできた。\r\nだから、オーロラに新しい任務があるとき、彼女はいつも期待に満ちた眼差しを向けるようになった。\r\n「今度はなにをすればいい?」\r\nオーロラは複雑な表情を浮かべ、最後はため息をついた。\r\n「それならノヴァ大陸で「冬眠者」としてノヴァ人の社会にとけこみ、命令があるまで潜伏し続けるんだ。だがその前に、角を隠す魔法を身につけねばな」\r\nコゼットは自信満々に、\r\n「わかった。行ってくる」\r\n\r\n興奮しすぎたのか、それとも緊張しすぎたのかは定かではないが、コゼットはバイヤからノヴァ大陸に来るまでのことを、はっきりとは覚えていなかった。気がついた時、彼女を含む「冬眠者」たちはすでに滝のある絶壁を登り、木々が生い茂る森へとやってきていた。\r\nコゼットはその地を踏みしめ、生命力が満ち溢れ、生き生きとしたこの環境を見つめたーーそれはバイヤでは決して見ることがない景色だったのだ。\r\n彼女は顔を上げ、そばにある滝を眺めた。水が勢いよく流れ落ち、遠い滝つぼに吸い込まれていく。\r\nノヴァの世界って、こんなところなんだ。\r\nコゼットはその場に佇み、しばらくその静けさに包まれていた。それから荷物を背負うと、地図の示す方向へと歩きだした。これからは新しい冒険が始まる。",
"CharacterArchiveContent.14213.1": "武器逸話:スチールクロー",
"CharacterArchiveContent.14213.2": "お腹が空いた……今日は食べ物を見つけられるかな……\r\n夜空に浮かぶ満月の光が、荒廃した村を照らしだす。見渡す限り、生命を感じさせるものはなにもない。\r\n数日前、村の奥で一軒の家が倒壊したらしい。\r\n昼間見かけた放浪者がそんな噂話をしていたことを、コゼットは飢えからくる眩暈に苦しみながら思い出した。倒壊した家をあされば、食べ物が見つかるかも……ふとそんな考えが彼女の頭に浮かんだ。\r\nコゼットは力を振りしぼり、村の北へと歩いた。\r\nだがその希望は、すぐに打ち砕かれた。村は大きくない。コゼットがたどり着いた時、倒壊した家は誰かにあさり尽くされた後だった。食べ物だけでなく、たとえ死体があったとしても、きれいさっぱりなくなっていたことだろう。\r\n少女は溜息をついて瓦礫の間に座り、もう一度長い溜息をついた。もう2日、何も食べていなかった。お腹がグルグルと鳴る音が、夜の静けさの中にいっそう際立つ。\r\n \r\n「ねえ、お腹が空いてるの?」\r\n爽やかな声が、彼女の背後から響いた。コゼットはハッと顔を上げた。彼女と同じように薄汚れた少女が、半分崩れ落ちた壁の上から頭を出し、彼女を見下ろしていた。\r\n「すごいお腹の音だね。お腹が空いてるなら……ほら、これを食べて」\r\n少女は薄汚れた鞄から焼きパンを2枚取り出し、コゼットの手に押し込んだ。焼きパンはいつから持っていたのか、カラカラに乾燥していた。\r\nコゼットは一瞬ためらったが、生存本能に駆られ、次の瞬間には焼きパンにかぶりつき、数口でぺろりと平らげた。あまりの勢いに、もう少しでむせかえりそうになるほどだった。\r\n少女はその様子を見るとにっこり笑い、今度は水筒を差し出した。コゼットがまだ幼く見えたのだろうか、最後は菓子パンを二つ差し出した。\r\n「あげるよ。この村はもうじき誰もいなくなる。またお腹が空く前に、どこか別の場所へ移動したほうがいいと思う」\r\n「でも、私がこのパン、もらっちゃったら、あなたは…」\r\n「私は朝までに仲間と落ち合うから心配しなくても大丈夫……そんな目で見ないで。連れてはいけないの。これから、死ぬかもしれない危ない仕事があるんだ」\r\n「え?」\r\n月光の下、少女は空を指さした。\r\n「空の上の大陸には食べ物がたくさんあるんだって。そこへ行けたら、もうお腹を減らさなくていいかもしれない」\r\n「でも、どうやったら空の上にいけるの?」\r\n少女は答えなかった。そして別れ際、コゼットがこの最悪の場所から離れられることを心の中で静かに祈っていた。\r\n\r\n少女との出会いはコゼットにつかの間の幸せをもたらしたが、それも長くは続かなかった。\r\nお腹が空く前に廃村を出ることはかなわず、少女がくれた食べ物も、次の日には他の放浪者に奪い取られてしまった。\r\nここには彼女のような者たちがたくさんいるのだ。\r\n \r\n「もらった優しさも守れない私が、受けた恩を返すだなんて……」\r\n夕日を浴びるコゼットの影がくねくねと細長く曲がり、ゴミ山のあたりまで伸びていた。\r\nふと、コゼットが足下を見ると、ゴミ袋の下に金属片が挟まっているのが見えた。彼女はしばらくその金属片を眺めたのち、ゴミ袋から引き抜いてみることにした。\r\n精いっぱいの力を込めて引き抜いたそれは――鋼で出来た爪だった。\r\n大きさも重さも、いまのコゼットの手にはふさわしくない。だがコゼットは宝物を得たかのように生き生きとし、鋼爪の汚れを拭い落とした。日が落ちた空に残る薄明かりの中、彼女は鋼爪を引きずりながらごみ捨て場を離れた。\r\n武器さえあれば。力さえあれば。いつかきっと……",
"CharacterArchiveContent.14301.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14302.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14303.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14304.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14305.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14306.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14307.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14308.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14309.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14310.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14401.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14401.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.14402.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14402.2": "自身の使い手を探すため",
"CharacterArchiveContent.14402.3": "主殿をお護りするノヴァで最も鋭い刀となるため",
"CharacterArchiveContent.14403.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14403.2": "「刀」を手にされる方の最低基準\r\n\r\nチトセが放つ「気」で傷つかないこと。",
"CharacterArchiveContent.14404.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14404.2": "師と両親\r\n\r\n背中の二振りは「父上と母上」、この大太刀は「師匠」です。\r\n修行不足ゆえ、この身を刀に変えることが出来ずにいます。ですので、まだその力を借りなければなりません。",
"CharacterArchiveContent.14405.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14405.2": "あまぎく\r\n\r\nアモール付近にある、廃棄された協会の宿。しかしチトセによる改築を経て道場に姿を変え、名も「あまぎく」にあらためられている。\r\nチトセは「あまぎく」で、天気予報や茶房など、様々なサービスを巡遊者たちに提供しているのだとか。\r\n——立ち寄った巡遊者のコメントより",
"CharacterArchiveContent.14406.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14406.2": "宝物庫\r\n\r\nチトセが背負っている荷物は刀以外にも、様々なものが宝物庫のように収納されている。本体を広げれば布団としても使用可能だ。\r\n彼女が背負っている荷物には、刀の手入れをする道具、生活用品、着替えの服、おにぎりを入れる袋などがある。\r\n\r\n「荒野に身をおいても、気を抜くべからず。そして礼・浄・斂のいずれも欠けてはならぬ。」\r\n——『家礼』第六巻(抜粋)",
"CharacterArchiveContent.14407.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14407.2": "刀の手入れ\r\n\r\n刀の柄を外し、刀身と分離させる。\r\n清潔な布で刀身を拭き、汚れや古くなった油などを落とす。\r\nそして刀油を染み込ませた布で満遍なく刀身を拭き、錆を防ぐ。\r\n最後は刀を鞘に納め、湿気のない場所に保管する。",
"CharacterArchiveContent.14408.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14408.2": "次に会ったら一緒にドリンク飲もうね。アモールに新しいミルクティー専門店が出来て、そこのスペシャルミルクティーはとても美味しいんだよ!\r\n——コゼット\r\n\r\nあの貴族は計画を諦めたのでしょうか?それともあの子は自らの力で逃げ出したのか……もし機会があれば、じっくり彼女と話がしたいですね。\r\n——██",
"CharacterArchiveContent.14409.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14409.2": "噂に違わぬ実力です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n魔法を使わずとも大半の星骸と魔物を倒してしまう。これほどすごい巡遊者は初めてです。\r\nしかし、ものすごく素直な子なので、悪い人に騙されないか心配です。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.14410.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14410.2": "手裏剣の御守り\r\n\r\n手裏剣の紋様が刻まれた御守り。チトセはそれを家宝のように大切に扱い、いつも腰につけている。",
"CharacterArchiveContent.14411.1": "魔を屠る刃",
"CharacterArchiveContent.14411.2": "昔々、凪島には「悪鬼」が棲むという噂が流れていた。\r\nその鬼は人の心を見通し、意のままに操ることができた。それにより松川の多くの民が星ノ塔に登り、記憶を贄として捧げてきた。\r\n「悪鬼」を滅するため、島の民は幾度も勇者を選んできたが、敵意を感知できる鬼の前では、全く歯が立たなかった。\r\nそしてある日、ショウコという名の剣士が、感情と雑念を持たない「刀」のように人の心を鍛え上げることができれば、鬼に感知されないかもしれないと提案した。\r\n感情と雑念をすべて捨て去り、相手を斬ることだけに集中した「刀」の斬撃は、神速に匹敵すると言われた。\r\nしかしいくら「刀」が鋭くとも、操る人がいなければ、力を存分に発揮することはできない。\r\n「刀」と「刀を持つ人」の心が重なり、完全に一体化する境地に至ってはじめて、「刀」は自らの意志で動くことができるようになる。\r\n長い年月の中でも、この境地に至ったのはたった一組しかいない。そしてその一組が見事に「悪鬼」を討滅してみせた。\r\n以降、「人を以て刀を成す」という伝説がこの地で語られるようになり、その一族を大きく繁栄させた。\r\nしかし、伝説の境地に至った者はそれ以降現れておらず、その一族も徐々に衰退の一途を辿る。いまでは、伝説はただの噂話としてこの世に残っているだけである。",
"CharacterArchiveContent.14412.1": "あまぎく",
"CharacterArchiveContent.14412.2": "「わあ!すごい雨!」\r\n「あそこで雨宿りができそう!行ってみようか!」\r\n\r\n雷月のノヴァ大陸の天気は常に変化し続けている。朝、雲一つない空だったとしても、昼には雨雲が空を覆い尽くし、大雨に襲われることもある。\r\n\r\n「ごめんくださーい」\r\nふたりの巡遊者が宿に入ると、静かに刀を手入れしている少女が居た。\r\n「雨宿りのために改築したものですから、どうぞご自由に」\r\n少女が身を起こし、暖かいお茶を手渡した。\r\n\r\n「ありがとうございます!」\r\n巡遊者たちはお茶を受け取り、少女の厚意に感謝を述べる。\r\n少女は軽く会釈し、そのまま刀の手入れを続けた。\r\n\r\n「師匠、時間通りにフィーリエへとたどり着けるでしょうか?」\r\n「日暮れまでに雨が止んでくれればね」\r\n「止まなかったら……夜道を歩くのですか?」\r\n「そうなってしまうね。時間通りに手紙を届けられなかったら、報酬が半分になってしまうから」\r\n年長の巡遊者は雨雲を見ながら眉をひそめ、心の中で早く雨が止むようにと祈った。\r\n\r\nすると、すぐに雨がやみ、霧で隠れた山々も姿を現し始めた。\r\n「さあ、出発するよ!」\r\n年長の巡遊者は言いながら、荷物を片づけた。\r\n\r\n「雨はまだ止んでいません。あと2、3日は降るかと思います」\r\n少女は刀を置き、巡遊者に目を向けた。\r\n「なぜわかるのですか?」\r\n「もし本当なら、むしろ今すぐに出発しないと!」\r\nそう言いながら外に出ると、すぐに大雨が降ってきた。豆のような大粒の雨が降り注ぎ、大きな水しぶきを上げている。\r\n巡遊者は呆然としながら少女を見る。\r\n\r\n「大雨の中、山道を進むのはおすすめしません」\r\n「どうしてですか?」\r\n「フィーリエまでは山々を越えなければなりません。このような大雨の中では地面も滑りやすく、大変危険ですから」\r\n巡遊者が少女を観察すると、その少女は全く雨具を持っていないことに気づく。天気が読めない雷月でも、雨に濡れない自信があるようだ。\r\n\r\n「今夜は風も強くなります。いますぐ都市に戻って、依頼人に事情を説明すれば、まだ間に合うかもしれません」\r\n少女は遠くを見つめる。その目には自信が満ち溢れていた。\r\n\r\n「戻ろうか」\r\n「師匠?どこに戻るのですか?」\r\n「アモールさ」\r\nアモールの郊外に「あまぎく」という宿があるという。\r\nその宿にいる少女が雨が降ると言うと必ず雨が降り。風が吹くと言えば必ず暴風が来ると言われている。",
"CharacterArchiveContent.14413.1": "武器逸話:名刀・チトセ",
"CharacterArchiveContent.14413.2": "「剣を極めるには、明鏡止水の心を持たねばなりません。必ず覚えておくように」\r\n「御意」\r\n「ではもう一度」\r\n少女が刀を鞘に納め、ゆっくりと目を閉じた。その瞬間、まるで時間が止まったかのように、周囲が静寂に包まれる。\r\n「ハッ——」\r\n刹那、刀は鞘から抜かれ、白く輝く斬撃が空気を切り裂き、前方に十字の痕を残した。\r\n少女は一度しか刀を振っていないように見えたが、実際は二度斬撃を放っていたのだ。\r\n魔法に頼らず、己の肉体のみでこの神速に到達している。並大抵の者には決して真似できない芸当だ。\r\nしかし——\r\n「まだです。まだ足りません」\r\n「師匠……」\r\n「今日はここまでにしましょう」\r\n少女が大太刀を持ち上げ、丁寧に刀身を拭き、ゆっくりと刀掛けに戻した。\r\n「いつまで続けるのですか?主君様」\r\n道場の隣の部屋から微かな声が伝わる。\r\n「あれから何年も経っているのに、まだあの『伝説の技』が使えないとは!まさか、噂は噓だったのか?」\r\n「ならば……」\r\n「明日以降、道場にいる者を全て追い出せ」\r\n「彼女の『両親』もですか?」\r\n「『師匠』すら居なくなるのだ。『両親』を残す意味があるか?」\r\n「御意」\r\nその日以降、少女はたったひとりで生活するようになった。「両親」と「師匠」も彼女と言葉を交わすことがなくなり、読書と剣技の修行が彼女の世界を埋め尽くした。\r\n月日が流れ、老朽化によって道場の屋根に雨漏りが発生し、雨に濡れた床は腐食されボロボロになっていた。\r\n陽がまだ登り切っていない朝方のことだった。少女がいつものように刀を拭いていると、刀身に映りこんだ自分を見て、ある事に気づいた。——「両親」と「師匠」の沈黙は自分への罰ではなかった。なぜなら、あの日彼らはこの手に持つ刀になったからだ。",
"CharacterArchiveContent.14501.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14501.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14502.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14502.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14503.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14504.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14505.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14506.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14507.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14508.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14508.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14509.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14509.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14510.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14510.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14511.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14511.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14512.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14512.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14513.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14513.2": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.14701.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14701.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.14702.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14702.2": "塔の頂上に辿り着けば『星ノ塔の音』をより鮮明に聴けると思ったので!",
"CharacterArchiveContent.14703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14703.2": "演奏を聴いてくれるみんなへ\r\n\r\nいつも私のライブに来てくれてありがとう!ソロでもセッションでも、なんでも演奏できるから、これからもたくさん聴きに来てね!\r\nP.S. 差し入れはお菓子とかだと、テンションが上がります!よかったらぜひぜひ持ってきてください!",
"CharacterArchiveContent.14704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14704.2": "音楽修行\r\n\r\nライブを生で見ることが、ミュージシャンにとって一番勉強になると思うの!\r\nライブハウスでの演奏はもちろん、ストリートライブだってとってもためになるし!\r\n街を出て、草木や波、風が奏でる自然のライブでもインスピレーションを搔き立てられるよね!",
"CharacterArchiveContent.14705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14705.2": "歌詞\r\n\r\nもう迷わない 山も海も越えて\r\nもう躊躇わない 風に声を乗せて\r\nこの願い この祈り 響け高い天に\r\nあの頂に あの星に 届け光れ永遠に",
"CharacterArchiveContent.14706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14706.2": "『キャラメルの穴』\r\n\r\n秘密の特訓場のことを、『虎の穴』って言いますよね?だとしたら私が特訓する秘密の場所は『キャラメルの穴』ってことになるのかな?実は最近、フラヴィオの西はずれの森で、噂になっちゃってまして……夜になると、地面から悪魔が唸るような低音が響いてくるって。\r\nそれって実は『キャラメルの穴』のせいだったりして……\r\nベースの音がよく響く、ちょうどいい洞穴を見つけたんですが、夜の演奏はやっぱり控えた方がいいでしょうか?",
"CharacterArchiveContent.14707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14707.2": "『星ノ塔の御使いさん』へのメッセージ\r\n\r\n星ノ塔で出会ったふたりの『御使いさん』……いつか私の質問に答えてくれないかな……\r\n例の音の意味もそうだし、星ノ塔の秘密をいろいろ知ってると思うんですけど……どんなに聞いてみても、困った顔をするだけで教えてくれないので。\r\nそれに私、ふたりのファンっていうか、追っかけみたいなところがあるので。ほら、リュックにも、ふたりの姿を描いたオリジナルのバッジをつけてるんですよ。いつか仲良くなれるといいなぁ……",
"CharacterArchiveContent.14708.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14708.2": "若手では一番ヒップでホットなベーシスト。超絶技巧を要求されるような曲も、一度聴いただけで弾きこなす実力は相当なもの。音の迫力や圧も充分でてはいるが、ワンモアアップできれば歴史に名を残すミュージシャンになるだろう。\r\n――テンションの高い白猫傭兵\r\n\r\nあのライブ衣装を見てるとさ、ズババババー!ってインスピレーションが湧いてくるんだよね。\r\n音楽だけにとどまらないカリスマっていうか、新進気鋭の大スターって感じ!\r\n――トーナ",
"CharacterArchiveContent.14709.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14709.2": "一部疑わしい内容があります<sprite name=\"acrchives_falsified_richtext\">\r\n\r\n調査したところ、彼女は人目につかない場所を好んでいるようで、フラヴィオでは名の知られたミュージシャンであるにもかかわらず、街のどこでどんな暮らしをしているのか、まったく検討がつきません。\r\n熱心なファンがたくさんいるので……問題のある人物ではなさそうですが……\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.14710.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14710.2": "バンドメンバー募集中!\r\n\r\n一緒にバンドを組んでくれる人を募集してます!どんな楽器の音ともバッチリ合わせて弾ける自信があるので!よろしくお願いします!",
"CharacterArchiveContent.14711.1": "パイセンと自称・弟子",
"CharacterArchiveContent.14711.2": "キャラメルパイセンには、ホント感謝してるんすよ。\r\n当時のあたしたちって、学生バンドを組んだばっかりで、右も左もわかってなくて。でもそんなあたしたちにライブのノウハウを全部教えてくれたんで、パイセンにはマジ感謝ぁ~!って感じっす。\r\nあたしなんて、勝手に師匠だと思ってるくらいっすよ。なんつーかパイセンの一番弟子的な?ま、自称なんすけど(笑)\r\nでも、パイセンって珍しいタイプのミュージシャンっすよね。ほら、ギターやる人ってだいたいはっちゃけてる感じじゃないっすか。でもあの人は親切でパッションがある!!!って感じっすよね。\r\nリハとかでも気になったとこ教えてくれるし、機材のセットからライブの段取りまで、全部ムダなく丁寧に教えてくれるし。\r\nほんとありがてぇっすよ。\r\nそれにパイセンは技術もすげぇっすよね。\r\nベースソロでライブできるなんて。\r\n最近はあんまやってないらしいのは、ちょっと残念っすけど、また聴きたいっすね。パイセンのソロライブ。\r\nでも……ライブが終わるとすぐ帰っちゃうのはもったいないっすよマジで。\r\nただ高みを目指してるミュージシャンって感じでかっけーっすけど、すぐ帰っちゃうんで打ち上げとかも出てくれないし、一緒に写真もとってくれないじゃないっすか。\r\n自称・一番弟子なのに、ツーショット写真も持ってないなんて……正直さみしいっす。\r\nまあでも、パイセンは天才っすから、感性もあたしたち凡人とはちょっと違うのかもしれないっすね。\r\nちなみにあのかっけーライブ衣装も自分で作ってるらしいっすよ。\r\nそう言えば知ってるっすか?パイセンがベースの弦を主食にしてるってウワサ!\r\n話によると、よく鍋で弦を煮て食ってるらしいんすよね。\r\n最強ランクのミュージシャンって、そこまですんの!?って感じで憧れるっす。\r\n……え?古い弦は湯通しすると音色がよくなる?\r\nそ、そうなんすか……!?\r\nし、知らなかったっす、そんなの……",
"CharacterArchiveContent.14712.1": "『長耳のミダス』",
"CharacterArchiveContent.14712.2": "幼いころ、キャラメルは父が語る昔話をいつも楽しみにしていた。特に『長耳のミダス』は彼女のお気に入りだった。\r\n\r\n――かつてフラヴィオの総督に仕えるミダスという名の道化がいた。\r\n傲慢で自惚れ屋の総督に媚びへつらっていたミダスは、そのかいあってか、多くの褒美を得て、総督が得る巨万の富のおこぼれにあずかっていたのだ。\r\nある時期から、総督は音楽に凝りはじめ、笛を吹くようになった。その演奏をミダスは例によって褒めちぎったため、総督は己が世界一の演奏家だと思い込むようになる。\r\nそしてある日、総督は領内の森の視察中、森の神に遭遇した。「総督は笛の達人だと風の噂に聞いた。その腕前を披露してほしい」\r\n森の神の求めに応じて、総督は演奏会をひらくことにした。名だたる名士を招き、豪勢な酒食を振る舞い、彼らと森の神の前で自慢の笛を披露する。「さすがは総督様!季節外れの花も咲き出してしまうような、すばらしい演奏です!やはり総督様こそ世界一の演奏家だ!」ミダスの誉め言葉が森にこだました。\r\n総督の演奏を聞いた森の神は、木の枝と葉を楽器とその弦に変え、一面の琴を奏ではじめた。その音は谷川のせせらぎのようであり、鶯の啼き声のようでもあり、さしもの総督すら自らの技術を恥じらうほどのもので、聴く者すべてを魅了した。ただひとり、ミダスを除いては。「おやおや、どうしたのですか皆さん?神を恐れて本音を言えないでいるのですか?総督様の演奏のほうが良かったと、どうして言えないのですか?」\r\nミダスの不敬な言葉を聞いた森の神は冷たく笑い、手をひと振りして哀れな道化に呪いをかけた。\r\nたちまちミダスの耳は垂れはじめ、しまいにはその腕よりも長く伸びてしまった。\r\n「これで、少しはものの良し悪しを聞きわけられるようになろう」\r\nそう冷たく言い放って、森の神は霧のように去ってしまった。\r\n以後、森の神の言うとおり、ミダスの耳はよく聴こえるようになった。そのためか、道化は総督の演奏を褒めることはなくなり、批評すらするようになったのである。\r\nしかし総督はミダスを遠ざけることはなく、むしろより重く用いるようになり、以前より多くの褒美を与えるようになった。\r\n「この哀れな道化のおかげで、私は真実を知る事ができた。ミダスは真実のみを映す鏡となったのだ」\r\n\r\n「じゃあ、私たちの耳が長いのも、森の神様の呪いなの?」\r\n「そうじゃないよ、キャラメル。でもそうだね……せっかくミダスと同じ長い耳を持って生まれたんだから、私たちも真実を聞きわけて、本当のことを言えるようにならないといけないのかもね」\r\n『長耳のミダス』の物語と父の言葉は、幼いキャラメルの胸に深く刻まれた。",
"CharacterArchiveContent.14713.1": "武器逸話:ミダス",
"CharacterArchiveContent.14713.2": "かつてのフラヴィオは、いまのようなエンターテイメントの街ではなかった。主な産業といえば特産品である香辛料の生産と軽工業しかない、どこにでもあるような地域だった。\r\n北部の森で新たな香辛料が発見された折りに、当時の総督が人を集めはじめた。香辛料の増産とその輸送に当たらせるためである。このころ、優れた嗅覚と聴覚を活かしてひと稼ぎしようとモフン族の一団がやってきたのだが、キャラメルの両親もそうしてフラヴィオにやってきた人々の一端であった。\r\nしかし、フラヴィオには予想を越える人が集まり、想像していたような一攫千金の夢を叶えた者はほとんどいなかった。そこで、キャラメルの両親は星ノ塔に目をつけた。\r\n都市部の拡大と大規模化していく香辛料の生産、それに伴う娯楽の提供者としての『レッドアイズ』の興隆――これらにより、フラヴィオは急速に発展し、エンターテイメント文化が花開いていく。同時に神器の需要も増加し続けた。現代では『巡遊者』と呼ばれる仕事に活路がある、とキャラメルの両親は踏んだのである。\r\n時代を先読みした活動により、キャラメルの両親の生活は次第に安定していった。そのころに生まれたのがほかでもないキャラメルであった。つまり、キャラメルはフラヴィオの街の発展とともに育った子であると言える。\r\n成長して、星ノ塔にはじめて入ったキャラメルは、塔の中で響く『音』に心を奪われた。多くの者には聴こえないはずの四方八方から響く音を、彼女の鋭敏な耳はたしかに捉えたのだ。そして同時に、上映されていたステラキネマの登場人物が奏でていた楽器にも強い関心を持った。当時は名前も知らなかったが、ギターに似た、しかしそれより低い音を放つ、四弦の楽器――そのシルエットと音は、彼女の脳にしっかりと焼きついていた。\r\nそれからまた年月が流れ、一人前の巡遊者になったキャラメルは、祈願箱に長年胸の中で燻り続けていた願望を祈った。\r\n「あの音と……『星ノ塔の音』と、セッションしてみたい、です」\r\nその祈りに応えたのか、はたまた別のなにかがあったのか、塔を後にする彼女は、一本の楽器を手にしていた。\r\nそして彼女は心に決めていた。父から聞いた物語に登場する『本当のことを言える』ミュージシャンになることを。\r\n「あなたの名前は『ミダス』――真実を奏でる、私だけの楽器」",
"CharacterArchiveContent.14901.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.14901.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.14902.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.14902.2": "「巡遊者、シスター、審問官……\r\n職業自体にこだわりはないわ、ただ強い相手を求めてるだけ」",
"CharacterArchiveContent.14903.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.14903.2": "修道士規則\r\n\r\n貧しい心を持つ、清らかな心を持つ、素直な心を持つ。これは修道士にとっての三大規則である。\r\nしかしグレイは、それらに従うつもりはまったくない。彼女は理想的な修道士を演じてはいるが、真の目的は狂気に満ちた心の奥深くに隠されている。",
"CharacterArchiveContent.14904.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.14904.2": "総合的な素質\r\n\r\n黄昏庁の首席審問官として、戦闘技術を含むすべての能力がトップクラスである。ノヴァ大陸においてほんの一握りしかいない存在だ。\r\nしかし身体能力が優れているというだけでは説明のつかない、公式情報及び目撃証言と合致しない点がいくつか存在する。つまり彼女はまだ、なにか「恐ろしい」力を持っているに違いない……",
"CharacterArchiveContent.14905.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.14905.2": "メンタルヘルス鑑定報告書\r\n\r\n#アモールメンタルヘルスセンター\r\n##総合精神問題の結果報告書\r\n##日付:未公開\r\n##参加者個人の因子合計点数\r\n\r\n身体化因子スコア 3.4 中度\r\n攻撃性因子スコア 4.2 中度\r\n幻覚因子スコア 5.5 重度\r\n偏執因子スコア 5.1 重度\r\n異常因子スコア 2.5 軽度\r\n\r\n##備考\r\n被験者が以前受けたテストのスコアは平均2.0前後であり、症状は軽度で情緒も比較的安定していました。\r\nしかし今回は真逆な結果が示され、被験者の精神状態には二極化が見受けられます。また「理解できない音が聞こえる」等、幻聴の兆候も確認されています。他の誘因と関連性が高いと推察されるため、収容科にて継続観察することをおすすめします。\r\n\r\n#あくまで参考情報であり、正式な診断結果ではありません",
"CharacterArchiveContent.14906.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.14906.2": "強者を求む\r\n\r\n私と戦える強者か、強い力を持つ者の情報を。\r\n条件を満たした場合、報酬として大金を支払います。\r\n(この依頼に回数制限はなく、永久に続くものとします)",
"CharacterArchiveContent.14907.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.14907.2": "魔力濃度の検測報告\r\n\r\n「封印されたデータ██-████」\r\n鎮静作用を持つ薬剤で「臨時正常化」を試すと、該当個体は一般的な人間と同じ特徴を見せ始めた。体温が正常で、精神状態も良好、そしてエコー検査でも問題はなかった。\r\nしかし数時間後、影ができ始め、造影に映る輪郭もぼやけ始めている。さらに心拍数の上昇、体温上昇などの異常も見られた。\r\n安定とされる閾値に達した際、その体内が内包する魔力は一般人の███倍に達していた。戦闘、ケガ、情緒不安定等の状況に置かれた場合、魔力は1000を突破すると予測される。最高では████倍に達するが、不可逆的な損傷を受けてしまう可能性が高い。\r\nピーク値から推測するに、█時間ごとに魔力の解放または抑制剤の使用を推奨する。",
"CharacterArchiveContent.14907.3": "魔力濃度の検測報告\r\n\r\n「封印されたデータ14-4000」\r\n鎮静作用を持つ薬剤で「臨時正常化」を試すと、該当個体は一般的な人間と同じ特徴を見せ始めた。体温が正常で、精神状態も良好、そして波状検査でも問題はなかった。\r\nしかし数時間後、影ができ始め、造影に映る輪郭もぼやけ始めている。さらに心拍数の増加、体温上昇などの異常も見られた。\r\n安定とされる閾値に達した際、その体内が内包する魔力は一般人の666倍に達していた。戦闘、ケガ、情緒不安定のときなら、魔力は1000を突破すると予測される。最高では1530倍に達するが、不可逆的な損傷を受けてしまう可能性が高い。\r\nピーク値から推測するに、7時間ごとに魔力の解放または抑制剤の使用をおすすめする。",
"CharacterArchiveContent.14908.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.14908.2": "歩く災害、満足を知らない化け物。\r\n——グレイと手合わせして生き残った伝説の巡遊者\r\n\r\n苦難と挫折の運命にある少女。生まれながらにして原罪を持ち、それでも「貪欲」に生きようとする。\r\n——黄昏庁の裁判長",
"CharacterArchiveContent.14909.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.14909.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n噓の情報はほとんどありません。いえ、本人がまったく隠そうとしていない、と言うべきでしょうか。\r\n一部の内容は黄昏庁によって書き換えられていますが、グレイさんと関わった人が下す評価と一致します。つまり、彼女は危険でありながら、とても純粋ということです。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.14910.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.14910.2": "黄昏庁の安全収容記録\r\n\r\n「対象の名前:グレイ」\r\n「記録番号:013」\r\n名前:グレイ\r\n性別:女\r\n年齢:8歳\r\n日常的な観察により、実験体は人見知りな性格で、他人との交流を苦手としているようだと判明。感傷的で傷つきやすく繊細で、過剰な驚愕反応を見せることもある。\r\nしかし魔力が急激に増加すると心理状態が変化し、思考および精神の不安定化、攻撃性の発現といった兆候を示す。\r\nこれらははじめて施した検査と真逆の結果だ。\r\nさらに、過剰な魔力は実験体の体が持つ一般的な生体機能にも影響を及ぼしていることが判明している。\r\n具体的には、痛覚の衰え、視覚や聴覚の低下、触覚の乱れ、味覚の消失などが見られている。\r\nこれらの症状は死ぬまで続くと予想され、現時点では命にかかわるかの判断はできない。\r\n \r\nアドバイス:早急に体内の魔力を効率よく解放させる方法を見つけなければならない。\r\n……\r\n……\r\n(大司教からの裁定:却下。不必要な開発コストは避けること。薬物で実験体の生命を維持し、普段の生活に支障がでなければそれでよい)",
"CharacterArchiveContent.14911.1": "破砕の輪",
"CharacterArchiveContent.14911.2": "子供たちが柵を越え、楽しそうに公園へ走っていく。\r\n男の子たちは興奮しながら我先にと好きな遊具を取り合い、女の子たちは手をつないで、静かな場所へと小走りで向かう。\r\n女の子たちの輪から少し離れたところに、やせ細った小さい女の子がいた。他の子より足が遅く、少ししか走っていないのに、大粒の汗をかいていた。\r\n「ごめんね、もしかして速かった?一緒に行く?」\r\n「ううん……大丈夫、少し休憩すれば……」\r\n\r\n友だちが差し伸べてくれた手を、少女は全力で握り返した。\r\n彼女はよく思い出す。銀白の施設ではない、青々とした大空の下でみんなと過ごしたあの夏のことを。\r\n\r\n「おもちゃで遊ぶのは飽きちゃった。今日はみんなで砂のお城を作ろうよ!」\r\n「水は持ってきた?水がないと砂の城は作れないよ?」\r\n「あっ!急いでたから、忘れちゃった……」\r\n「だ、大丈夫……水がなくても、た、多分なんとかなる、から……」\r\n\r\n彼女は手でゆっくりと砂を固めようとしたが、乾いた砂が固まるはずもなく、指の隙間から流れ落ちてしまう。\r\nイライラしながら何度も試したが、結果は同じだった。\r\n\r\n「やっぱり水がないと作れないよ。水を汲みに行こう!」\r\n「ちょっと、待って……」\r\n「ここで待ってて、あとはあたしたちに任せて」\r\n「いや、ひとりにしないで……」\r\n\r\n離れていく友だちの背中を見つめる彼女の心に、複雑な感情が湧き上がった。\r\n自分の体への嫌悪、他の子たちが手を繋ぐのを見たときの嫉妬……\r\n彼女が「特別扱い」されるのはこれがはじめてではなかったし、最後でもないことも知っていた。それはきっとこれからもずっと続いていく。\r\nこのような考えが芽生えるのは何度目だろう?不安で心が押しつぶされそうになり、ずっと抑え込んできたものが、暴走を始めた。\r\n焦燥感が徐々に徐々に形を成し、膨張し、やがて体の中から外へと拡散していく。それは、辺りが静寂に包まれるまで続いた。\r\n\r\nこの異変は、あまりにも突然だった。突然過ぎた。\r\n彼女が我に返ったとき、目の前の世界は、彼女が知るものではなくなっていた。\r\n公園の立派な木は道路まで吹き飛ばされ、\r\nみんなが遊んでいた遊具も歪な形で建物に食い込んでいる。\r\n鳥のさえずりや蝉の声に取って代わったのは、人々の悲鳴、かつての友だちの姿はどこにも見当たらなかった。\r\n空を見上げると、青でも白でもなく、赤黒い色になっている。\r\n理解不能な雑音だけが鳴り響いていた。\r\n気温が急激に上がり、まるで周りの全てを焼き尽くそうとするほどだった……\r\n\r\nしばらくして、彼女はようやく目の前の景色を理解し始めた。すぐにでもその場から逃げたかったが、なぜか動けなくなっていた。\r\n足元を見ると、砂場だったはずの場所が、粉々に砕けたステンドグラスで埋め尽くされていた。\r\nその破片が映すのは、歪んだこの世界と、彼女のぼんやりとした顔だけだった。",
"CharacterArchiveContent.14912.1": "愛を与える者",
"CharacterArchiveContent.14912.2": "グレイが目を開けると、それは漆黒の世界だった。なにも見えなかったが、複数の神器が作動している音だけが耳に伝わる。\r\n光が漆黒を照らすと、グレイはその光を辿り、必死に暗闇から抜け出そうと頑張った。\r\nそしてようやく、彼女は祭壇から身を起こした。\r\n\r\n裸足のグレイが床の上に立つと、ひんやりとした感触が足から伝わってきた。その感触だけで、彼女はとても幸せだった。なぜなら、それは余分な魔力が取り除かれたことを意味しているからである。1週間しかもたないが、少なくともその数日間は、一般の人と同じ感覚を持つことができる。\r\n彼女はシスターの制服に着替えもせず、儀式の白衣姿のまま大聖堂へ向かった。突然の来訪者に驚き、聖歌隊がリズムを崩す中、グレイは肺の隅々までいきわたるように空気を吸い込み、そして大きな声で「気にせず続けて!」と叫んだ。\r\nその後は口を大きく開けたまま、ハァハァと呼吸していた。\r\nこれは彼女なりの楽しみ方だった。収容されて自身の運命を知り、ほんの少しの代償を払えば、治療してもらえるとわかった彼女には、ある考えが芽生えていた。\r\n「生きられるのなら、これも悪くない!」\r\n因果を推測せず、運命も憎まない、彼女はただ生きているという実感だけを欲していた。\r\n\r\n「その服で走り回らないでって、何度も言ったでしょう!」\r\n年寄りの女性がグレイを持ち上げた。彼女はシスターの服に身を包んでいたが、放たれる威厳は主教に引けを取らなかった。\r\n「ご、ごめんなさい……おばあちゃん。やっと外に出られたから……」\r\nシスターは瘦せ細ったグレイを見つめ、ため息をつく。\r\n「ご飯を食べたら聖堂の掃除をなさい。きちんと働かなければ、ここでは生きていけませんからね」\r\n「今日のご飯はなに?」\r\n「辛いおかゆよ、それ以外だと味がわからないでしょう?」\r\n「……イヤ。この前おばあちゃんが唐辛子を切ったとき、ずっと咳き込んでた……」\r\n「面倒ばかりかけるくせに、なにわたしの心配なんてしてるんだい。おとなしく食べればいいんだよ」\r\nしかしそれでもなにか手伝いたいと考えたグレイは、包丁を取り出そうとして、誤って指を切ってしまう。\r\nシスターはグレイの傷口を消毒し、手当てをした。慌てる様子はなかった。こんな事はこれまで何度も起きていたから。\r\n「痛みを感じず、傷がすぐに直るとしても、体は大事にしなさい」\r\nグレイはなにも言わず、手当してくれているシスターのマメだらけの手を見つめていた。\r\nシスターに手当されているこの時間だけ、グレイは自分の中にある子どもらしいわがままさを感じることができた。\r\n\r\n「上の連中がお前を消耗品としか見ていないなら、わたしがお前に生きる術を教えてやらなきゃならないね。ずっと傍にいてやれるわけじゃないんだから」\r\n「でもさっきは、包丁を使わせてくれなかったじゃない!」\r\n「それとこれとは話が別。まずは、芋の皮剥きからだよ」\r\n「芋を剥いたあとは、えっと、野菜を洗って、パンを焼いて、それから……」\r\n「ゆっくりでいい。きっと全部覚えられるから。そうしたら、お前はわたしがいなくてもひとりで生きていけるよ」",
"CharacterArchiveContent.14913.1": "武器逸話:イーラ",
"CharacterArchiveContent.14913.2": "「こんなものを提出して、バカにしているつもりか!?」\r\n黄昏庁のとある部屋で、戦闘科の科長はグレイが手渡した武器設計図をビリビリに破いた。\r\nグレイは落ち着いた様子で、服の中からもう一枚同じ設計図を取り出す。\r\nそこに描かれていたのは、シャベルにもなるし、空洞となっている内部を利用して伸縮可能なチェーンブレードにもなる変形可能な武器だった。\r\n「ひどいですよ科長、徹夜して描いた設計図を破いちゃうなんて。戦闘科はみんな、科長のように人が大事にしているものを粗末に扱うんですか?」\r\n\r\nアサシンブレード、毒ダガー、投げナイフ……数々の武器を開発してきた男には、目の前の設計図に込められた意図がはっきり理解できた。\r\nグレイは「殺傷力はあるが致命傷は避ける」武器を作りたいのだ。\r\n「黄昏庁は効率よくターゲットを仕留めなければならない。お前のように戦闘を愉しむのではなくな!」\r\n「でもワタシは毎回完ぺきに組織の任務を遂行してますし、処刑することなく敵に情報を吐かせてますけど?」\r\nグレイは怒声を意に介することもなく髪をいじり、自信に満ちた笑顔を男に向ける。\r\n「たしかにそのやり方が何度か功を奏したのは認めよう。だが、重要な情報を持ってもいないどうでもいい連中をわざと生かさず殺さず捨て置いた。それはただの悪趣味ではないか?この設計図の武器は一撃で仕留められるものに改良できるはずだ。なぜ必要のない変形機能を入れようとする?」\r\n「うふふ、戦いが一瞬で終わっちゃうと、全然楽しくないですから」\r\n\r\nこんなまともじゃない人間がどうやって主席審問官の座を手に入れたのか、男には理解できなかった。\r\nもし彼女の要求通りにこのふざけた武器を作ってしまったら、自分の威厳はどれほど堕ちることだろう\r\n「もういい!裁判長のお気に入りだからって、調子に乗るなよ!お前に渡す予定だった武器が、あの実験で壊されていなければ……まさか。あの暴走はお前の計画か?わざと狂った様子を見せて、新しい武器を作らせるために……」\r\n「科長、言葉には気をつけてくださいね。もし科長がここで命を落としても、暴走による事故として処理されてしまうかもしれませんから♪それに黄昏庁の一保護者として、子どもが欲しがっているおもちゃくらい、作ってあげてもいいのではありませんか?」\r\n\r\nグレイがドアを開けて外に出るとき、その顔には隠し切れないほどの笑みが浮かんでいた。外で待機していた見習いシスターが駆け寄り、グレイが持っている設計図を受け取った。\r\n「せ、先輩!どうでしたか?申請は許可されましたか?」\r\n「もちろん♪この設計図を一緒に作ってくれてありがとね、タイッサちゃん」\r\n「いえいえ!グレイ先輩の役に立てて、大変光栄であります!でも……一つだけ理解できないことがあります。こんなに手間をかけたのは、本当に戦闘を楽しむためだけなのですか?」\r\n「……人の命はあまりにも短いわ。言いたいことも、やりたいことも、往々にして間に合うことはない。人は、命の危険を感じたときにこそ生への執着を爆発させる。だから私は敵に慈悲を与えているのよ」\r\n「グレイ先輩……?」\r\n「生き延びるために死に物狂いで抗う人を見るのは、すっごく楽しいもの。うふふ……」\r\n夕暮れの廊下、グレイは周囲の目を気にすることもなく、軽やかにステップを踏んでいた。\r\nそんな彼女の後ろ姿を見たタイッサは「この人は本当に噂通りに狂っているのだろうか……?」と思わずにはいられなかった。",
"CharacterArchiveContent.15001.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.15001.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.15002.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.15002.2": "仕事で必要だったから。\r\nでもイヤイヤやってるわけじゃないからね?塔の中では上司の監視の目もないし、退勤時間までプライベートの時間に使えるんだもん。",
"CharacterArchiveContent.15003.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.15003.2": "趣味\r\n\r\n仕事をサボってする釣りかな~やっぱ!\r\nこれでもかってくらい餌を撒いて魚を集めて釣るのがあたし流でね。だからほぼ確実になにかしらは釣れるの!まあ、たまにまったく釣れない日もあるんだけど。",
"CharacterArchiveContent.15004.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.15004.2": "サボりの極意\r\n\r\n真剣にデスクに向かってるように見せるのがコツね!上司って、なんの書類か確認しないからさ。\r\nそれが落書きだろうが婚姻届だろうが、集中して作業してる『ように』見せかけられれば、こっちの勝ちってもんよ!",
"CharacterArchiveContent.15005.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.15005.2": "無限ポテトの謎\r\n\r\nいつもどこからフライドポテトを取り出してるのかって?\r\nあれは……そう、私がはじめて星ノ塔を訪れたときのこと――。当時の私は、不思議な異次元ポケットを手に入れたの。ちょっとした部屋くらいの広さがあって、中にあるものは腐らないって高性能なやつ。で、それ以来そこに4万皿弱くらいポテトを保存してるから、いつでもどこでもアツアツのポテトを食べられるってわけ!\r\n嘘くさいって?まあ、信じるか信じないか、判断は任せるけどさ。",
"CharacterArchiveContent.15006.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.15006.2": "釣り具の隠し場所\r\n\r\n私って、いろいろ釣り具持ってるでしょ?でもあんまりそれが知れ渡ると、釣りばっかりしてサボってるってバレちゃうじゃん?だから、家に釣り具を隠す秘密の部屋を用意してるんだよね。\r\n竿、針、糸、浮き、おもりに餌はもちろん、\r\nびく、タモ、折り畳みの椅子、魚群探知神器、\r\nそれに全自動リール、ワイヤーリーダー、大型ルアーもあるし、\r\n竿だってボート用にトローリング用、大型狙いの一本釣り用まで……なんでもあるんだから!\r\n\r\nあー、でも……私もなんだかわかんないものも結構あるんだよね。実は全部、祈願箱から出てきたものだからさ。",
"CharacterArchiveContent.15007.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.15007.2": "『絶対に失敗しない究極の謝罪法』\r\n\r\n恩恵意志には昔から伝わる、最強の世渡り術があるらしい。『誠心誠意、隠し立てせず打ち明け、心を込めて謝罪すれば、必ず許される』\r\n『どんな失態も、この一手で挽回できる』\r\n『失脚したとしても、元の地位に返り咲ける』って言われてるみたいなんだけど……まだ誰も試したことないらしいんだよね。",
"CharacterArchiveContent.15008.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.15008.2": "いっつもサボってるのに、締め切りだけはきっちり守るんだもんね……あれってなにかの魔法なのかな?\r\n——ニュクス\r\n\r\nトップに立てるほどの才能を持っているのに、いつも「暇人」のようにだらだらして過ごしている……とても面白い人よ。\r\n——アンジュ",
"CharacterArchiveContent.15009.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.15009.2": "ほぼ事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\n今度差し入れを持ってサボりに来るときは、ポテト以外でお願いね。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.15010.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.15010.2": "ケーキ味のポテトか、ポテト味のケーキか\r\n\r\nある日ふと思いついた、哲学的な思考実験だよ。あなたならどっちを選ぶ?\r\nちなみに私は、選べなかった。だって、そもそもケーキ味のポテトってなによ?クリームチーズ味ならわかるけど、ケーキ味って?\r\nポテト味のケーキもそう。作るとしたら、絶対材料にジャガイモが入るじゃん?それってもはやポテトでしょ?\r\nまあでも、食べ比べてみないとわからないって結論に至ったから、そういう料理を作れる腕利きの職人を募集中。報酬は50000ドーラ用意してるから、ドシドシ応募してねー!",
"CharacterArchiveContent.15011.1": "魚料理のフルコース",
"CharacterArchiveContent.15011.2": "ラールには釣りをしながらつぶやく、ある種の口癖がある。それが『魚のフルコース』だ。\r\n\r\n「今日はいっぱい釣って、みんなに魚のフルコースを振舞っちゃうからね~!」\r\n「むむっ!なんかめっちゃ釣れそうな予感!魚のフルコース、イケちゃうかも~!」\r\n「最近釣れすぎちゃってさぁ~……魚のフルコースも、飽きてきちゃた……」\r\n\r\nしかし、彼女の言う『魚のフルコース』の正体を知る者は少ない。\r\n果たしてそれは刺身なのか、煮魚なのか。はたまたフライなのか汁物なのか……\r\n直接ラールに尋ねても、意味深に微笑むだけで、なかなか答えようとしない。\r\n\r\nラールの釣果は、今日も絶好調のようだ。\r\n数メートル級の大物を釣り上げた帰り道。\r\n自作の曲『今夜も魚のフルコース♪』を口ずさみながら、道行く人はもろちん、道端で主人を待つ馬や散歩中とおぼしき野良犬にさえ、釣った魚を自慢して見せびらかしている。\r\nそして帰宅するとすぐ裏庭で焚火をはじめ、慣れた手つきで魚のうろこを落とし、鮮やかなナイフさばきでエラをとって腹を裂き、ワタをぬいて大きく開きにしていく。\r\nそれから丹念に塩をすりこんで串を打ち、焚火でじゅうじゅうと焼いていくのだ。\r\n\r\n気づけばラールの隣では野良猫がよだれをたらしていた。\r\nともに卓を囲む相手がいないさみしさからか、彼女は焼いた魚を少し切りわけてやることにしたらしい。\r\nしかし、猫はそのにおいをかぐや否や、どこかへ走り去ってしまった。\r\n「せっかくおすそ分けしてあげようと思ったのに、失礼なネコ……」\r\nぼそりとそうつぶやいて、ラールは切りわけた魚を自分の口に放り込む。\r\nが、しかし――\r\n「うおっ……!?くっさぁ……!なにこのにおい、ありえなっ……!いくらなんでも臭すぎでしょ……!」\r\nどうやら、においのクセが強い魚を釣ってしまったらしい。\r\n「トホホ……今日の夕飯、これだけだったのになぁ……」",
"CharacterArchiveContent.15012.1": "能のあるタカはなんとやら",
"CharacterArchiveContent.15012.2": "「90点か。もうちょっとで満点だったのにな」\r\nラールの両親が、幼き日の彼女にかけた言葉である。\r\n試験はいつも一番だった。その誰よりも高い点数を、教師、友人、親戚やご近所さん、周囲の誰もが褒め称えた。\r\nしかし同時に、誰もが次への期待を口にした。\r\n――これほど優秀な子は、将来が楽しみだよ。\r\n――次はもっと上を目指すんだよね?\r\n――でも、あとちょっとで満点か。ケアレスミスなんて、もったいないなぁ。\r\n両親に至っては、期待を伝えるだけで、彼女を褒める言葉を口にすることはなかった。\r\n……\r\n\r\n……一番になっても、褒めてもらえないの?\r\n平均点よりちょっと高い点数で両親に褒められている同級生を見て、ラールはただ、うらやましいと思った。\r\nどうして私だけ、褒めてもらえないの?\r\nその理不尽が、まだ幼かった彼女を深く傷つけた。\r\n\r\nしかし成長する中で、ラールも理解していった。\r\n自身の、周囲を期待させてしまうほどの優秀さを。\r\n過ぎたる優秀さは、世界を巻き込んでしまうほどのものだということを。\r\n自身は世間一般と同じ尺度で測られる存在ではない、ひとつ上の次元にいることを――それゆえに褒められることがないのだということを。\r\n\r\nしかし、それが理解できたからといって、納得できるかどうかは別問題である。\r\n12歳になっていたラールは、相変わらず期待され続ける環境下で、窓辺にもたれ、同級生が連れ立ってピクニックに行く姿をただ眺めていた。\r\n「私も……人から期待なんてされないで、試験でちょっといい点取っただけで褒めてもらえる……そんな生活が送りたいな……」\r\nそう口にした瞬間、彼女はひらめいてしまった。\r\nそうか、ちょっといいくらいの点数を取り続けていればいいのでは?\r\n万事、ほどほどの点数をめざしていれば、失敗もせず、目立たず、波風も立たず、普通に、気楽に生きていけるのでは?\r\n青春の入り口に立つか立たないかくらいの年齢で、ラールはある種の人生哲学を見出してしまったのだった。\r\n\r\n「ああ、うん。そうそう。どうしても外せない会食が入っちゃって……先方のご厚意だから……断るわけにもいかなくて……もちろん。いまから帰社するから、はい、はーい」\r\n通話を終えたラールに対して、隣の釣り仲間が苦笑しながら声をかける。\r\n「会食とはよく言ったもんだよ、魚に餌食わしてるだけで、自分はポテトくらいしか食ってないだろうに」\r\n「ははっ、うまいこと言うじゃん?あ、釣った魚は持ち帰れないからあげる。適当に食べちゃって」\r\nそう言って大きく伸びをすると、魚の入ったバケツを渡して、池をあとにした。\r\n時計に視線を落とし、時間を計算する。\r\n定時まで残り約1時間半。オフィスに戻るのに20分、仕事は40分あれば終わるし、少なくとももう30分は――\r\n「いやー、今日もおサボりが捗っちゃってしかたないなぁ♪」",
"CharacterArchiveContent.15013.1": "武器逸話:シルバー・ガル",
"CharacterArchiveContent.15013.2": "恩恵意志は定期的に全従業員の武器の一斉メンテナンスを実施している。表向きには、従業員の武器の性能を質的に向上させることを目的としており、より優れた素材や最新技術を用いたものへの更新を促す効果がある、とされているが――\r\n「どうせ暇な誰かの持ち込み企画でしょ、こんなの。元老院を丸め込んで、予算の一部を自分のポケットに……って魂胆なんだろうね」\r\nウィローのデスクに腰掛け、フライドポテトを齧りながら、ラールは愛槍を見つめる。よく手に馴染んでいたそれも『メンテナンス』による強化を受け、威力は向上した。だがラールとしては、前のものより重くなったことを不満に感じているらしい。\r\n「もう!これじゃ、釣りに使えないじゃん!」\r\n「……武器を釣りに使うおうとすることが、そもそもの間違いだと思うんだけど」\r\nウィローは仕事の手を止めないまま、サボりにきた友人のグチに対して律儀にツッコミを入れた。\r\n「……はぁ。わかってないなぁ」\r\nため息をついてラールが応える。\r\n恩恵意志には、無駄で退屈な規則が多い。たとえば――「支給された武器は身分を証明するものであり、常に携行しなければならない」というのもそのひとつである。\r\nラールが恩恵意志で働き始めた当時、選べる武器は数少なかったが、その中でも彼女の目にとまったのがこの槍だった。\r\n長すぎず、重すぎない取り回しの良さ、釣り糸と針をつければそのまま釣り竿として使えそうなところが決め手だった。\r\nしかし『メンテナンス』によって、その気に入っていた部分が失われてしまったのだ。\r\nラールは繰り返しため息をつく。しつこすぎてさすがに腹に据えかねたのか、33回目のため息でウィローが顔をあげる。\r\n「恩恵意志って、武器の改造は禁止されていないんでしょ?」\r\nそれを聞いて、ラールの目が輝き出す。\r\n「たしかに……言われてみればそうじゃん!」\r\nウィローは無言のまま、デスクから取り出した紙になにかを書き記し、ラールに突きつけた。\r\n「つい先日、地理協会が軽くて頑丈な新素材を発見したの。詳しくはカナタに聞いてみて。もしまだ残ってれば、星輝会の『この人』がきっと改造してくれるはずよ。ただし、それなりにお金は取られると思うけど」\r\n「さっすがウィロー!頼りになるぅー!お礼に今度ポテト持ってくるからー!」\r\n紹介状を受け取るなり、ラールは勢いよく立ち上がり、そのままの勢いで飛び出していった。\r\n\r\n――それから約半月後。朝出社すると、ウィローの机の上には、焼き魚と山盛りのポテトが三皿ほど置かれていた。添えられたメモには、以下のように書かれていたという。\r\n『改造した槍ではじめて釣った魚だよ!きっとおいしいから、じっくり味わってね!』",
"CharacterArchiveContent.15501.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.15501.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.15502.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.15502.2": "おばあちゃんはすっごい航海巡遊者だったんだ。わたしも負けてなんかいられないよ",
"CharacterArchiveContent.15503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.15503.2": "海の娘\r\n\r\nサーフィン、ウィンドサーフィン、カヌーなどの海上スポーツから、素潜りや漁までなんでも得意。",
"CharacterArchiveContent.15504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.15504.2": "匂い\r\n\r\n普通の人には感じられない『匂い』を感じることができる。人の感情の『匂い』には特に敏感で、この特殊な嗅覚を使い、円滑な人間関係を築いている。",
"CharacterArchiveContent.15505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.15505.2": "収入源\r\n\r\n航海巡遊者が受けられる依頼はそう多くない。生活を維持するため、依頼がないときはセルスティの製塩所でアルバイトをしている。",
"CharacterArchiveContent.15506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.15506.2": "「日焼け止め薬膏」\r\n\r\n常に海上や浜辺で活動しているのに、全く日焼けしない秘密――\r\nそれは星ノ塔に願って授かった特別な薬膏を使っているため。\r\nそれ以前は、おばあちゃんから教わった自家製の「泥膏」を塗っていた。",
"CharacterArchiveContent.15507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.15507.2": "海鮮料理の名手\r\n\r\n海産物について独創的な調理技術を持っており、とくに「一匹で多彩な料理」を作るのが得意。\r\nそのため遠洋航海でも海鮮に飽きて食事に困ることはない。",
"CharacterArchiveContent.15508.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.15508.2": "「お姉ちゃんはサーフィンもできて、魚を獲るのも上手で、世界一おいしい海鮮料理も作れるデス。お姉ちゃん以上の航海巡遊者なんて存在しないデスよ!\r\nもちろんこれは客観的な意見デス!」\r\n——カリン\r\n\r\n面識はないけど、クッサくて普通は食べられない魚の調理法も知ってるらしいんだよね。\r\n今度そのへんの話聞いてみたいかも。\r\n——ラール",
"CharacterArchiveContent.15509.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.15509.2": "概ね事実に基づいた内容。<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\nサーフィンの大会では連続優勝記録を伸ばし続けており、セルスティではちょっとした有名人です。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.15510.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.15510.2": "手編み漁網販売\r\n\r\n純手編みで頑丈、セルスティの幸運の貝殻で飾られた漁網。\r\n大漁祈願の願いが込められている。",
"CharacterArchiveContent.15511.1": "ハグの場合(上)",
"CharacterArchiveContent.15511.2": "「シア、まだ帰らないの?」\r\n「うん、もう少しここにいる。みんなは先に帰ってて~」\r\n夕食のために帰っていく仲間を見送ると、月はすでに空高く昇っていた。シアはひとり海辺を歩いていく。\r\nバケツいっぱいカニを捕まえ、砂の城を築き、拾った貝殻をきれいに並べて色ごとに分ける……\r\nすべてやり終えても、彼女は帰る気になれなかった。\r\n遅い時間になっていることはわかっていた。けれど帰ったところで仕方がない。\r\n大きくもない家が、やけにさみしく感じられる。\r\nこの一週間、祖母は朝慌ただしく食事を作って家を飛び出していき、夜遅くまで帰らなかった。\r\n町の人たちは「シアのおばあちゃんは、この町一番の航海巡遊者だ」と言うけれど、シアの心はいつも曇っていた。\r\nほかの子どもたちには一緒に過ごしてくれる家族がいるのに、自分には海しかないから。\r\n「どうせ……どんなに遅く帰ったって、おばあちゃんは気づかない。きっとわたしより遅く帰るんだもの」\r\nそんな拗ねた気持ちのまま、シアは今夜は帰らないと決めた。おばあちゃんが海辺に迎えに来るまで。\r\n叱られるだろうか?しばらく外出禁止にされるだろうか?\r\nそれでもいい。いまみたいにほとんど会話を交わせないよりはずっといい。\r\n\r\n夜風がまぶたを熱くし、眠気が潮のように押し寄せてきた。しばらく彷徨った末、大きなヤシの木の下に身を横たえた。\r\n目を覚ましたとき、空はすでに白んでいた。目をこすり、まだヤシの木の下に横たわっていることに気づく。\r\nおばあちゃんは一晩中帰らなかったのだろうか?\r\n怒りがこみ上げるより先に、香ばしい焼き魚の匂いが鼻をくすぐった。匂いをたどると、見慣れた姿がそこにあった。\r\n「起きたかい?顔を洗っといで。今日の朝ご飯はここで食べよう」\r\nその朝食を、シアはひどく落ち着かない気持ちで口にした。おばあちゃんはなにも聞かず、シアもいつからそこにいたのか聞けなかった。\r\nけれど、その週からおばあちゃんは海に出なくなり、家で手仕事をする日々が続いた。\r\nシアの願いは叶った。けれど彼女の心は、不思議な不安に満たされていた。",
"CharacterArchiveContent.15512.1": "ハグの場合(下)",
"CharacterArchiveContent.15512.2": "「わたしが思うにさ、きっとおばあちゃんは怒ってるんだよ。シアが先に謝るのを待ってるんだって」\r\n「そうそう。うちのお母さんだったら、とっくに叱られてるよ。シアのおばあちゃんって本当に優しいよね」\r\n「優しいんじゃないよ、ただ……」\r\nシアは言葉を切った。胸の奥から妙な苛立ちが込み上げてくる。\r\n「普段からあんまり喋らないだけ。わたしのことなんて気にも留めてないから、なにも言わないんだ」\r\n叩かれたり、怒鳴られたりしたほうがまだいい。それは気にかけてくれている証だから。けれどおばあちゃんは、何事もなかったかのように接し、さらには新しいサーフボードまで買い与えてきた。\r\n背中を見つめていると、何度も問いただしたくなった。けれどそれは意地の張り合いのようで、先に口を開いたほうが負けのような気がして、結局言えなかった。\r\n\r\n「でもね、うちのお母さんが言ってた。先週、シアのおばあちゃんが船の修理を手伝ってくれたんだって。一番難しいところは、シアのおばあちゃんにしか直せないんだってさ」\r\n「それって、明日出港する船のこと?最近うちの宿屋も外から来た航海巡遊者でいっぱいだよ」\r\n「私のお姉ちゃんも一緒に行くんだって。寂しくなるなぁ……だから明日、見送りに行くんだ」\r\n「わたしも一緒に行くー」\r\n船の修理のせいだったんだ。胸に溜まっていたもやもやが、一瞬で溶けて消えた。そういえば毎年この季節は出航の最盛期で、おばあちゃんは普段よりずっと忙しくなるんだった。\r\n後悔が押し寄せた。どうして意地になって拗ねてしまったのだろう。いまさらどうすればいい?\r\n\r\n翌朝、おばあちゃんはいつも通り早くに出かけた。港で出航前の祈祷を取り仕切るためだ。それは町がもっとも賑わう行事のひとつだった。\r\nシアはこっそり後をつけた。整然と並んだ船、見送る家族に抱きしめられる人たちの姿、涙に濡れた笑顔。熱気に包まれた港の光景に、シアの鼻もつんと熱くなる。\r\nふと思った。シアは一度も、おばあちゃんをギュッと抱きしめたことがなかったと。言葉にできないなら、行動で伝えよう。\r\n\r\n出港の儀式が終わり、おばあちゃんは夜遅くに帰宅した。戸口の音を聞いた瞬間、シアは勢いよく駆け寄り、おばあちゃんの身体を抱きしめた。\r\n「ごめんなさい、おばあちゃん……わたし、もう意地張ったりしない……」\r\n胸の奥にあった思いを一気に吐き出す。いつものように無言で返されると思ったそのとき、手の甲に、一滴の液体が落ちた。\r\n匂いでわかった。涙の匂いだ。\r\n「おばあちゃん……」\r\n返ってきたのは、どんな言葉よりも強く、熱い抱擁だった。",
"CharacterArchiveContent.15513.1": "武器逸話:雪兎&夜兎",
"CharacterArchiveContent.15513.2": "人はつい、今日という日々がずっと続くと信じてしまう。絶え間なく寄せては返す波のように、いつまでも吹きつづける海風のように。\r\n祖母が亡くなってから一週間――なにをしても胸に穴があいたように感じていたシアは、新しい依頼を受け、長年海底に沈んでいる小船を引き揚げに出航した。\r\n依頼人は長々と説明していたが、シアの耳には入ってこない。ただなにかをしていたかった。海に潜るでも、甲板で作業するでもいい。忙しくしていれば、まとわりつく寂しさも少しは薄れる気がした。\r\n\r\n海は、いつもと同じ海だった。薄暗い海底で手探りを繰り返す。\r\n星ノ塔の願いから生まれる神器は様々だ。どれが神器なのかシアにはわからない。ただ触れられるものを片っ端から船に積み込んでいく。やがて帆船は山のような荷で埋まり、帰路についた。依頼人は大いに喜び、賞賛の言葉とともにたくさんの報酬を支払ってくれた。\r\n最後に依頼人は気前よく言った。\r\n「この濡れた神器の中から、ひとつ好きなものを選んでくれ」\r\nシアはひととおり見渡し、白い金属の球を選んだ。\r\n\r\n神器は海水で壊れたりしないのだろうか?\r\n確信が持てないまま、シアはそれを地理協会へ持ち込み、神器の修理を得意とするナツに託した。小柄な少女は目を輝かせ、「こんなの見たことない!」と叫ぶと、球を抱えて作業部屋に駆け込んだ。再び会えたのは一週間後のことだった。\r\n白い金属球は磨かれ、輝いていた。シアがそっと手を触れると、次の瞬間――金属球が開き、小さな兎のような姿に変わって宙に浮かんだ。神器は震えながら彼女のそばに寄り添った。\r\n「あれ?まさか修理、失敗しちゃった?」\r\nナツの言葉が終わる前に、窓ガラスがバンッと砕け散り、なにかがシアの隣へ飛び込んで来た。黒い兎の神器だった。\r\n「……この神器、対になっていたの?」\r\n目を見張りながら、シアは小さく呟く。\r\n「よかった……ふたつもあれば、寂しくない」\r\n「え?なに?」\r\n「修理代はいくら?ガラスの交換費用も一緒に請求して」\r\n「あ、ああ……い、いま請求書を持ってくるね……」\r\nナツには不思議でならなかった。余計な出費が増えたはずなのに、目の前の少女は、なぜこんなにも嬉しそうに微笑んでいるのだろう。\r\n「白と黒……そうだね。『雪兎』と『夜兎』、そう呼ぶことにしよっかな」",
"CharacterArchiveContent.15601.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.15601.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.15602.1": "巡遊者になった理由",
"CharacterArchiveContent.15602.2": "仲間たちと一緒にのんびりマイペースに生活したいから。",
"CharacterArchiveContent.15603.1": "履歴書からの抜粋(1)",
"CharacterArchiveContent.15603.2": "自称の特技と白昼夢\r\n\r\nやっぱりクレーンゲームかな?「森のクレーンマスター」って名前を知ってくれてる人も多いと思うけど、次はフィーリエ全土にその名を轟かせたい。そしてわたし主催で第1回フィーリエクレーンゲーム大会を開催したい!\r\nえっと、その次はノヴァ大陸全土を……",
"CharacterArchiveContent.15604.1": "履歴書からの抜粋(2)",
"CharacterArchiveContent.15604.2": "かつての「最優秀巡遊者」\r\n\r\n地理協会がフィーリエから撤退する前、ナズナは「最優秀巡遊者」に選ばれたことがある。過去の新聞には彼女とナツカ、カエデたちの写真も残されている。",
"CharacterArchiveContent.15605.1": "履歴書からの抜粋(3)",
"CharacterArchiveContent.15605.2": "戦闘技術\r\n\r\nナズナは新入りの教育係を担当するとき、身の安全の確保と、周囲の環境を利用して敵に対処する方法を最優先で教えている。その他、彼女が教える「対人技術」も新入りたちの記憶に深く残っている。",
"CharacterArchiveContent.15606.1": "履歴書からの抜粋(4)",
"CharacterArchiveContent.15606.2": "変化\r\n\r\n花咲旅団の名義上の団長はフユカだが、実際にギルドを管理しているのはカエデである。そして、彼女を最も悩ませているのがいたずらが大好きなナズナだった。\r\nしかしどうやら最近、心境に変化があったらしい。",
"CharacterArchiveContent.15607.1": "履歴書からの抜粋(5)",
"CharacterArchiveContent.15607.2": "内幕\r\n\r\nナズナは地理センがフィーリエから撤退した後、毎日ぐーたらして過ごしているように見えたものの、本当はずっと█████の情報を調べていた。\r\n彼女の情報は███にとって大きな手助けとなっているが、当の本人は満足していない様子だった。",
"CharacterArchiveContent.15607.3": "内幕\r\n\r\nナズナは地理センがフィーリエから撤退した後、毎日ぐーたらして過ごしているように見えたものの、本当はずっと魔物の情報を調べていた。\r\n彼女の情報は討伐隊にとって大きな手助けとなっているが、当の本人は満足していない様子だった。",
"CharacterArchiveContent.15608.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.15608.2": "センパイはいつも怠けてるように見えるけど、本当はとってもすごいんです!本気を出せば、の話ですけど……\r\n——フユカ\r\n\r\n私がこれを書いたら贔屓してるって思われないかしら?とにかくナズナに信頼できる相手だと認められたら、あらゆる手を尽くして助けてくれるはずよ。\r\n——ナツカ",
"CharacterArchiveContent.15609.1": "地理協会の評価",
"CharacterArchiveContent.15609.2": "概ね事実に基づいた内容です<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nいつも怠けているように見えますが、地理協会が彼女の功績を称えて表彰したのは事実です。\r\n戦場では頼れる仲間となるでしょう。彼女の鋭い洞察力と判断力も侮れませんね。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.15610.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.15610.2": "どうして娯楽施設にクレーンゲームがないのか、ですか?実はその質問、何度も受けているんですよ。ここによく来る人なら、みんなその理由を知っています。\r\nそれは全て、緑髪の少女が原因なんです……\r\n「森のクレーンマスター」、あなたたちにとってはただの噂話かもしれませんが、私たちにとってはまさに悪夢そのものなんですよ……\r\n——フィーリエのショッピングセンター経営者へのインタビューより",
"CharacterArchiveContent.15611.1": "ナズナの特訓",
"CharacterArchiveContent.15611.2": "三大依頼が解決し、星ノ塔へと続く道が復旧すると、一度はフィーリエを離れていた巡遊者たちが、徐々にキャンプへと戻ってきた。\r\n一方花咲旅団もまた、三大依頼での活躍が話題を呼び、巡遊者たちにとって憧れの存在となっていた。\r\nそんな彼女たちは、巡遊者業界の立て直しをはかるため、自分たちを支持してくれる新人巡遊者への指導を始めることにする。\r\nフユカは最前線に立ち、身をもって探索時の注意点を教え――\r\nナツカは魔獣などに出くわした際の対処法を教え――\r\nカエデは後方支援や物資の調達方法を教え――\r\nそしてナズナは……相変わらず、のんびり気ままな毎日を過ごしていた。\r\n\r\n「最優秀巡遊者に選ばれたこともあるとか言っていたのは、どこの誰だったかしら?」\r\n「あ、えっと……ナツカセンパイ、ものすごく怒ってます?」\r\n「別にサボってるわけじゃないよ。なんでもかんでも面倒見てたら、新人はいつまでも新人のままだからね。だからわたしは、あえて見守ってるの」\r\n「ナーちゃんだって、ついこの前まで忙しかったわけだし。少しくらい休ませてあげましょう?いまのところ、授業は私たちだけでもなんとかなってるし」\r\n\r\nと、そんな言い訳ばかり繰り返すナズナだったが――\r\n彼女はついに、自分のすべきことに気づいた。\r\n\r\n「よーく聞いといてよ!巡遊者にとって、最も重要なのは生き延びること。だから逃げることを恥だと思わないで!失敗しても、それは間違いなく貴重な経験になるから!」\r\n「巡遊者の敵は、自然界の魔物や星ノ塔の星骸だけじゃない!この世界に住む同胞に変な幻想を抱くのは勝手だけど、邪な心を持つ輩は必ずいる!で、そういうやつは敵になる!だから対人戦の技術を磨くのは必須!油断しちゃダメ!」\r\n「ん?卑怯?馬鹿なこと言わないで、これは立派な生存戦略!つべこべ言わず、しっかり覚えるように!」\r\n……\r\nナズナの授業は他のメンバーのものとは毛色が違ったものの、その成果はすぐに現れた。彼女の授業を聞いた新人は、明らかに負傷することがなくなったのだ。\r\nこれによりナズナが持つ意外な一面が知れ渡るようになった。\r\n\r\nしかし、当の本人にとって、これは良いこととは言えなかったようだ。なぜなら……\r\n「はあ?他のギルドから教官をやってほしいって相談がきてる?無理無理、そんなの絶対無理!いくら積まれても行かないからね。もう十分すぎるくらい忙しいし!」",
"CharacterArchiveContent.15612.1": "森のクレーンマスターの戦い",
"CharacterArchiveContent.15612.2": "「来たんだね」\r\n「まぁね、そっちは来なくても良かったのに」\r\n「そうはいかないよ」\r\n「自分を証明する絶好のチャンスだもんね」\r\n「コインは?」\r\n「この手の中に」\r\n「どうして使わないの?」\r\n「人を待ってるからね」\r\n「誰を?」\r\n「真のクレーンマスターだよ」\r\n「いま目の前にいる相手がそうだけど?」\r\n「ふふっ……言うじゃん」\r\n漆黒の夜、暗闇に包まれたゲームセンターにはふたつの人影が対峙している。そして、辺りは重々しい空気に包まれていた。\r\nふたりはジッと動かず、まるで熟練のハンターが獲物を見定めるかのように相手を観察している。\r\n突如、ネコの鳴き声が響いた。夜の静寂が破られ、その鳴き声とともにふたりが動き始める。\r\n\r\n「行くよ!クレーンマスターとして絶対に負けられない!勝って、そっちの称号も頂く!」\r\n「ネコの鳴き声で思い出した、上には上がいるんだよ。もしわたしが頂点だと思ってるなら、永遠に『至高の領域』には辿り着けないね」\r\n「まさか、あなたよりも強い人がいるっての!?」\r\n「わたしに勝てたら、教えてあげるよ」",
"CharacterArchiveContent.15613.1": "武器逸話:ハートフラワー",
"CharacterArchiveContent.15613.2": "ナズナの武器は、服の中に隠せるボウガンだ。\r\nなにかいわくがあるわけではなく、有名な職人が作ったものでもない。彼女自身が改造を重ね、そして日々大切に手入れしながら使っているごく普通のボウガンである。\r\n乾いた布で汚れをふき取り、油を塗る。傷を最小限に抑えるため、柔らかい布で細かい汚れを落としていく。そして定期的に蜜蠟を使って木のメンテナンスを行う。\r\n彼女はその作業を毎日続けてきた。\r\n普段だらけている彼女でも、これは毎日欠かさず続けているルーチンワークだ。天気が悪くても、依頼を受けた日でも、この作業だけは必ず自分自身でやるようにしている。\r\n\r\nちなみにこのボウガンは何度も選びなおして、ようやく見つけた手に馴染む武器である。\r\n腕力が足りなければ仕掛けを駆使する。脚力が足りなければ、回避する技術を極める。魔法の才能に恵まれたわけでもなければ、怪力を持っているわけでもない。そんな彼女が活路を見出したのが、この遠距離射撃だった。\r\n自分の身を守るため、強敵に立ち向かうため、そして仲間たちの役に立つため。\r\nどんなやり方でも、みんなが無事にピンチを切り抜け、生き延びることさえできれば、それは良策といえるだろう。\r\n\r\nどんなに平凡な人間でも、努力すれば必ず輝ける日がやってくる。このような考えを胸に、彼女はいまもその瞬間の到来を待ち続けている……",
"CharacterArchiveContent.15801.1": "基本情報",
"CharacterArchiveContent.15801.2": "*****",
"CharacterArchiveContent.15802.1": "クリスマスの使者の衣装",
"CharacterArchiveContent.15802.2": "いまから数十年前。クリスマスの前日のこと――\r\n「特別な衣装を着てプレゼントを配れば、例年のクリスマス以上に盛り上がるのではないか」と、ある恩恵意志の従業員が呟いた。\r\nするとそれをたまたま通りかかった偉い人が耳にしたことで、『恩恵意志の従業員は、クリスマスに賑やかな衣装を着る』という伝統が生まれたという。",
"CharacterArchiveContent.15803.1": "クリスマスの裏話(1)",
"CharacterArchiveContent.15803.2": "幼い頃のラールは、光魔法を制御することができなかった。\r\nそのため時と場所を選ばず、彼女の体はピカピカと発光していたのだ。\r\nあるときは手、またあるときは頭、あるときは――\r\nそれゆえにこれは、ラールにとっての黒歴史となっている。",
"CharacterArchiveContent.15804.1": "クリスマスの裏話(2)",
"CharacterArchiveContent.15804.2": "『クリスマスツリーの精霊が子どもたちの願いを叶えるのは、決められた時間内に100人の子どもの願いを叶えなければならない――という掟があるそうだ。\r\nそしてもしそれが達成できなかった場合、そのときは自身が人形の姿に変えられてしまうという……』\r\nはじめてこの話を聞いたとき、ラールは笑いを堪えきれず、うっかりポテトを吹き出してしまったらしい。",
"CharacterArchiveContent.15805.1": "クリスマスの裏話(3)",
"CharacterArchiveContent.15805.2": "アッシュエリアの子どもたちは、クリスマスツリーの精霊を見たことがあるかとラールに尋ねた。\r\nすると彼女は昔を懐かしむような目で、箒に乗って夜空を飛んだ思い出を語り始めた。\r\nだが子どもたちは、誰ひとりとしてその話を信じようとしなかった。\r\n「箒に乗って飛ぶのは魔女だもん!そんなのクリスマスツリーの精霊じゃないよ!」",
"CharacterArchiveContent.15806.1": "クリスマスの裏話(4)",
"CharacterArchiveContent.15806.2": "クリスマスツリーの精霊を見たという人の証言。\r\n「暗闇の中、彼女の魔法が光る魚の群れを呼び寄せたんだ!一瞬夢を見てるのかと思ったよ!」",
"CharacterArchiveContent.15807.1": "クリスマスの裏話(5)",
"CharacterArchiveContent.15807.2": "「もしかして、クリスマスツリーの精霊さんはフライドポテトが好きなのかな?」\r\n精霊がフライドポテトを食べていた――クリスマスツリーの精霊を見たという子どもたちは口々にそう証言した。",
"CharacterArchiveContent.15808.1": "同業者の評価",
"CharacterArchiveContent.15808.2": "クリスマスツリーの精霊の写真、ラールさんに似ているような?\r\n――フリージア\r\n\r\n本音を言うと、プレゼント配りもいつものようにサボるのではないかと思っていたから……最後まで真面目にやり切ったことには、正直驚いたわ。\r\n――アルベド",
"CharacterArchiveContent.15809.1": "地理センの評価",
"CharacterArchiveContent.15809.2": "概ね事実に基づいた内容。<sprite name=\"acrchives_certified_richtext\">\r\n\r\nクリスマスの衣装がとてもよく似合っていました。\r\n来年のクリスマスも期待しています。\r\n——ウィロー",
"CharacterArchiveContent.15810.1": "備考欄",
"CharacterArchiveContent.15810.2": "プレゼント配達機\r\n\r\n幾度もの試行錯誤を経た結果、ラールは現在のノヴァの技術力では、実用的な『プレゼント配達機』は製作できないと悟った。\r\nゆえに彼女は祈願箱に頼ることにしたのだ。しかし願掛けの瞬間、いつぞやの大砲をふと思い出してしまったため――結局ラールが手に入れたのは、なんの機能もついていないただの大砲だった。",
"CharacterArchiveContent.15811.1": "プレゼント",
"CharacterArchiveContent.15811.2": "深夜――鐘の音とともに人々は家路に着き、今年もつつがなくクリスマスは終了した。それはすなわち、寒さの厳しい真冬が到来したことを意味する。\r\nこの日、一日中働き詰めだったラールはベッドに倒れ込むと、「ふぅー」と大きく息を吐いた。\r\n「こんなに真面目に仕事したクリスマス、いつ以来だろう……」\r\n独り言をつぶやきながら、この日体験した様々な出来事を思い出す。\r\n配ったプレゼント、子どもたちと過ごした時間、クリスマスツリーの精霊に思いを馳せる彼らのきらめく瞳――\r\nそれらはすべて、ラールが仕事をがんばった結果でもある。\r\n\r\nだが彼女自身は、わずかに物足りなさを感じていた。\r\nプレゼントを配るだけで、自分はなにももらっていなかったからだ。\r\nするとそこでふと、机の上にあった人形と視線がぶつかる。\r\nだがすぐに目を逸らすと、ラールは背中を向けてそっとまぶたを閉じた。\r\nたとえ物足りなさを感じていようと、明日になればまた通常業務に追われる日々が始まるのだ。\r\n\r\n翌朝、あくびをかみ殺しつつ、身支度を整えたラールがドアを開く。\r\nすると積み上げられたプレゼントの山が崩れ、足元に散らばった。\r\nそんなプレゼントボックスに埋もれるようにして、一枚の紙が落ちていることに気づいた彼女は、首を傾げつつ手を伸ばす。\r\nそこには顔見知りの同僚の筆跡で、こう書かれていた。\r\n「倉庫を閉める前に中を確認してたら、ラール宛の荷物が置いてあったの。もしかすると、子どもたちのプレゼントに紛れてたのかも。というわけで、遅くなっちゃったけどたしかに届けたからね」\r\n宛名はすべてラールになっており、恩恵意志の同僚たちからのもの、魔王やウィロー、ヨロズ配達のフリージアからのもの、さらには交流のある釣り仲間からのものまで――\r\n差出人は実に様々だったが、そのどれもが心のこもった贈り物であることは間違いなかった。\r\n\r\nそして気づけば昨晩感じていた物足りなさもどこかへ吹き飛んでいた。\r\n「こういうクリスマスも、たまには悪くないかぁ」",
"CharacterArchiveContent.15812.1": "戦士・ラール",
"CharacterArchiveContent.15812.2": "あ〜……うん、きっとこれは夢だ。\r\n\r\nラールは自分の体をまじまじと眺める。\r\nブロックのような手、動かない関節、作り物のような髪。\r\nついでに言うなら声も出せなくなっている。\r\n\r\n自由に動かない首を捻るたびに「カチカチ」と音が鳴り、それはまるで木製の人形か、出来の悪いアニメを見ているかのようだった。\r\n「戦士様。女王様はまもなくおいでになるので、もう少々お待ちください」\r\nラールはこの状況を尋ねようとするが、口が動かなければ声も出せない。結局のところ、決められた動作を繰り返すだけのからくり人形たちを、ただ眺めていることしかできなかった。\r\n「ここはポテトの国。憎きウッドモットたちが我々のポテト畑にまで攻め込んできた。いまこそあの無法者たちに裁きを」\r\n「剣しか持たない我々と違い、銃を持つ戦士様はさぞかしお強いことでしょう。ですので最前線は勇者様にお任せします」\r\n混乱しているラールは、声の代わりに身振りで拒否する意思を示そうとした。\r\nだが人形のような体ではその意思表示をすることすらままならず、結局兵士たちに押し出されるようにして最前線に立たされた。\r\nその直後、地面が激しく揺れ、どこからともなく現れた巨大なウッドモットが一直線に突っ込んでくる。ラールは目を見開き、いますぐこんな場所から立ち去りたいと強く願った。\r\n\r\n誰か、助けてえええぇ〜〜〜〜ッ!!!!\r\n\r\nカーテンの隙間から差し込む朝日を受け、すやすやと眠るラールは布団をキツく抱きしめながらつぶやいた。\r\n「う゛っ……頭、かじらないで……ウッドモットなんて、大嫌い……」",
"CharacterArchiveContent.15813.1": "武器エピソード:カリブー",
"CharacterArchiveContent.15813.2": "「鞭を振る動作は釣り竿を振る動きと似ているし、釣り好きのラールならすぐに使い方を覚えられるでしょう?」\r\n\r\nクリスマスの1ヶ月前、ラールはアルベドから鞭を渡されると、クリスマスまでにその使い方をマスターするよう命じられた。\r\nなんでもこれは上層部からの指示であり、拒否権はないとのことだ。ただし「なぜいまなのか」、「なぜラールなのか」については、いっさいの説明がなかったという。\r\nとはいえラールは二つ返事で承諾した。優秀な従業員として、上層部からの無茶振りにも『いい感じ』に応えるのは、彼女の得意とするところである。そうして鞭を受け取ったラールは、オフィスを出るとすぐに釣りへと出かけた。\r\n\r\nしかし数日が経ったところで、ラールは大切なことに気づく。\r\n「ヤバ、そもそもどうやって練習すればいいか聞くの忘れてた。でもアルベドは釣りと動きが似てるって言ってたし……先に錘と針をつければ、一本釣りくらいはできるかな?」\r\nなんのために鞭の使い方をマスターしなければならないのか、いまさらながらラールはその真意を考えてみる。\r\n「今度行く星ノ塔の探索で、鞭を使う人が必要になるとか?でもそれならクリスマスまでに、なんて言われないはずだし……だとすると、クリスマスに披露するなにかのショーのため?」\r\n経験に基づき、ラールが導き出した答えはこうだった――\r\n「とりあえず、武器としても宴会芸としても使えるようにしとけば文句は言われないかな?」\r\n\r\nクリスマスはもう目の前、けれど鞭の扱いの件については大きな進展がなかった。\r\nそこでアルベドに相談しに行ったのだが……あまりの忙しさのせいで、指示を出した本人ですら、この件を忘れかけている様子だった。\r\n「あの後、何度か上に意図を確認したんだけど……どうやら元老院の誰かが、星ノ塔にあった絵本を見て、動物にソリを引かせてプレゼントを配る――というアイデアを思いついたらしいの」\r\nそのときだった、アルベドのケータイに一本の連絡が入った。\r\n「……え?動物にソリを引かせるのは非効率的?鞭の件はなかったことに?」\r\nラールは思わず天を仰ぐ。\r\n「ラール、あなたには申し訳ないけど……聞いての通り、鞭の件はなかったことになったわ。ちなみにその鞭は祈願箱から出てきた貴重品だということで、今回の報酬としてあなたに譲るそうよ」\r\n「いや、こんなもんもらっても使い道がないんだけど……まあいっか」\r\n\r\n上層部の気まぐれに振り回されるのも、従業員にとっては仕事のうち。\r\nラールは鞭を持ってオフィスを出ると、その足で釣りへと出かけるのだった。",
"CharacterArchiveContent.701.1": "乞うご期待",
"CharacterArchiveContent.701.2": "乞うご期待"
}