4cb9facacf
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"DiscIP.211001.1": "フル",
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"DiscIP.211001.2": "サビ",
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"DiscIP.211001.3": "朝靄",
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"DiscIP.211001.4": "朝焼けがまぶしくて目が覚めてしまった。\n視界はぼやけ、頭もふわふわしている。\nまだ早いみたいだし、二度寝しちゃおうかな……などと考えていると、誰かの気配が。\n敵だろうか。襲撃に備え、枕元の剣に手を伸ばそうとしたところで、ここがミドリちゃんの中で、そんな心配は必要ないことに気づく。\n\n「昨日の戦闘でだいぶボロボロだったけど……セイナは大丈夫かしら?」\n「ぐっすり寝てたし、心配はいらないと思う」\n「そうだけど……今日のごはんは精のつくものにして、はやく元気になっても\nらいましょう。ちょうど特売日だし、お肉とかお野菜とか、安く買えそうだし」\n「あたしたちが買ってきても、作るのは結局セイナだけどね」\n「それは……仕方ないじゃない。セイナの料理が一番おいしいんだから」\n\n聞き慣れたふたつの優しい声が、バタンとドアの閉まる音とともに遠ざかっていく。\nその足音が聞こえなくなるころ、私の意識も二度寝のまどろみに沈んでいった。",
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"DiscIP.211002.1": "フル",
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"DiscIP.211002.2": "サビ",
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"DiscIP.211002.3": "長閑",
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"DiscIP.211002.4": "「またウッドモットさんにいじわるされたの?」\n小鳥さんたちにせかされて、朝からアンズは森に行かなきゃいけなくなっちゃったの。\n\n「もう、そんなにぴゅーって飛ばれると、追いつけなくなっちゃうの!」\n畑の麦をかきわけて、アンズはいっしょうけんめいに小鳥さんを追いかけて走ったの。\nそうしたら、おいしそうな麦の香りがして、おなかがすいてきちゃった。\nそう言えば、朝ごはん、まだ食べてなかったの……\n「はやく問題を片づけて、おいしいごはんが食べたいの……!」\n\n畑をつき進んで、原っぱをかけ抜けて、川を渡って、森にわけ入って……\n大変だけど、アンズはこういうイッシ村の毎日が大好きなの。",
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"DiscIP.211003.1": "フル",
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"DiscIP.211003.2": "サビ",
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"DiscIP.211003.3": "薄暮",
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"DiscIP.211003.4": "アブナイにおいのする夕霧の中、ネオンサインがひとつ、またひとつと燈り、フラヴィオ\nのアツい夜の幕開けを告げる。\nそれを合図に、アタシたち魔女は箒に跨って空へ飛び立ち、暗躍を始める。\n\n「あらぁ~ん、いいカモはっけ~ん★」\nすかさずカメラを構え、話題のアーティストのスキャンダラスな一面をファインダーに収\nめ、シャッターを切る。\n\n「ふふ~ん、特ダネいただき~♪」\nさっそく撮れた写真を確認する。うんうん、よく撮れてる。さっすがアタシ★\n\n「ついでにもう一枚くらい、いただいちゃおっかな――って、危なっ!?」\nどうやらターゲットに勘づかれたらしい。魔法で攻撃されてしまった。\n「ネタは抑えられたし、ひとまず退散しなきゃ……★」\nイケてる魔女は深追いせずクールに去るもの。\n夜闇に紛れ、そそくさとその場を後にする。\n\n危険な目には遭ったがそれに見合う収穫を得られた。朝刊の記事を想像すると心が躍る。\n「うふふふ♪明日の一面が楽しみね★」",
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"DiscIP.211004.1": "フル",
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"DiscIP.211004.2": "サビ",
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"DiscIP.211004.3": "儚雲",
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"DiscIP.211004.4": "夢の中で、私は雲に腰掛けていた。\nその雲の端に波が寄せてきては砕け、きらきら光る滴を散らす。\n\n薄紫だったりピンクだったりする雲間で輝くそれは星のようでもあり、\n私のいまいる場所\nが空なのか、海辺なのか、宇宙なのかわからなくさせる。\nしかしなぜか心地いい。きっとここからならどこへでも行けると思えるからだろう。\n\n――現実はこうはいかない。\nどれほど逃れたくても、私を縛ろうとするものがいつまでもついて回る。\n\nそれでも……私は負けない。\n座っていた雲からすっくと立ちあがり、寄せてきた波を蹴とばしてみた。\n波濤が砕け、水滴が散る。\nそのキラキラとした光の中、私は姿勢を正し、新たな一歩を踏み出した。",
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"DiscIP.211005.1": "フル",
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"DiscIP.211005.2": "サビ",
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"DiscIP.211005.3": "寒煙",
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"DiscIP.211005.4": "「あれ、見失っちゃった?」\nネコを追いかけていたら、砂漠のど真ん中まで来てしまったらしい。\n\n追っていた毛の長いネコの姿はない。どこへ行ったのだろう。\n風食で変な形になった、近くの岩に飛び乗ってみる。\n四方を見渡すものの、目の前で渦巻く巨大な砂嵐以外にめぼしいものは見当たらない。\n\n「荒野にいる長毛種のネコは、巡遊者を未踏の星ノ塔へ誘う……本当かな?」\nそんなことを呟きつつ顔を上げると、砂嵐の中からこちらを見つめる瞳と視線が交わる。\nさっきのネコだ。ここまで来いと言っているのだろうか。\n\n時が止まったような奇妙な感覚に昂揚しながら砂塵を踏みしめ、あたしは前に進む。",
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"DiscIP.211006.1": "フル",
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"DiscIP.211006.2": "サビ",
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"DiscIP.211006.3": "甘露",
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"DiscIP.211006.4": "朝靄を越えて、木漏れ日を縫って、森の奥へと入っていく。\n静かで清らかな空気が、私の心を落ち着かせてくれる。\n\n「お待たせ、みんな」\nせせらぎで水遊びする『森の仲間たち』のもとへ駆け寄る。\n胸の中が爽やかなもので満たされるような、そんな気分になる。\n\n「それじゃ、私も……それっ!」\nさっそく水遊びに混ざると、みんなもよろこび跳ね回る。\n童心にかえって一緒にはしゃいでいると、私の中で澱みたまっていたものがすべて洗い流\nされるような、そんな気がしてくる。\n\nどれだけ世俗の垢にまみれても、ここにくればいつでも、私は私を取り戻せる。\nここはきっと、そんな場所。",
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"DiscIP.211007.1": "フル",
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"DiscIP.211007.2": "サビ",
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"DiscIP.211007.3": "希望",
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"DiscIP.211007.4": "「えっと……これ、一時滞在の申請書ですよね?ここは長期滞在の窓口なのですが……」\n時計を確認しながら、男は困った様子で話を続ける。\n「とりあえず、この冊子をお渡ししておきますので……申請手順等をご確認のうえ、後日改めて一時滞在窓口へお越しいただければと……」\n急ぎ申請を済ませたいと食い下がろうとしたものの――\n「あ~……申し訳ありません、もう終業時間ですし……今日は娘の誕生日パーティーがあるので、早く帰らなきゃいけなくて……」\n\n何事も思ったようには進まないもの。それは理解しているが……\n新生活が始まり昂揚する気分に水を差された気がして、なんだか悔しい。\n\n屋根の上に登って街を見下ろす。\nどの家もあまりかわり映えしないように見えるが、中では別々の家族がおのおの幸せをつかもうと日々懸命に生きている。\n「私も……私らしく生きて私らしく幸せをつかみたいものね」\n\nできるだろうか?いや、やってみせる。\n赤い屋根と塔が立ち並ぶ美しい景色に、私はひとり、誓いを立てた。",
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"DiscIP.211008.1": "フル",
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"DiscIP.211008.2": "サビ",
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"DiscIP.211008.3": "帰路",
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"DiscIP.211008.4": "「アモールから手紙が3通、フィーリエでは荷物が5つ、それに新聞が25部っと」確認を終えて、ササッとチェックを入れていく。\n「チェックよしっ!ぜんぶ配達できたし、料金も問題なしっと!\nそれじゃ、帰ろっかな!」\n\n荷物を背負って帰路につく。\n気づけばまもなく太陽が沈んでしまう時間だ。\n\n今日配達で歩いた道を振り返っても、これから進む帰り道に目を向けても、いつか行くか\nもしれない遥か遠くの山の向こうを見やっても、すべてが西日で金色に染まっている。\nそれがなんとなく、いましているように努力を続けていれば、いつか良い未来がやってく\nるという希望のように思えて、なんだか元気が湧いてくる気がした。\n「とりあえず……がんばったご褒美に、帰ったらおいしいごはん食べよっと」",
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"DiscIP.212001.1": "フル",
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"DiscIP.212001.2": "サビ",
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"DiscIP.212001.3": "いただきま〜す",
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"DiscIP.212001.4": "ぐへへ……ごちそうの時間キュイ。\n\n先頭の勇ましい巡遊者くんはとんがり帽子がアイスのコーンみたいでおいしそうキュイ。\n魔法使いさんの杖もペロペロキャンディみたいで、見てるとよだれが止まらないキュイ。\n後ろで隠れているニンジャさんは、ポケットからいいにおいがするキュイ。なにか隠して\nるキュイねぇ?それ、飲ませてほしいキュイ。\n\nああ、もう待てないキュイ……!\nはやく……はやく食べたいキュイ……!\n\nオラァ!さっさと食べさせろキュイ!\n食べもののくせに、抵抗するなんて生意気キュイよ!\n\n刻んで叩いて、お料理してやるキュイ!\n叩いて混ぜて、おいしくなぁれキュイ!\nよし、そろそろよさそうキュイね。\nそれじゃあ、いただきますキュイ!",
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"DiscIP.212002.1": "フル",
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"DiscIP.212002.2": "サビ",
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"DiscIP.212002.3": "敵役たちの日常",
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"DiscIP.212002.4": "「キキィーッ!今日の風呂焚き当番は誰ッキィ!?」\n「ツボツボ。自分は昨日やったから違うツボ」\n「ゼリゼリ!ぼくもちがうゼリ!」\n「スヤァ……スヤァ……私でもないキュイねえ……」\n「キィーッ!じゃあ居眠りしてるお前が罰ゲームでやれッキィ!」\n「キュイ……?私はツボツボと交代したキュイよ……?」\n「でも……ツボツボは門番担当だったはずゼリ。ぼくも見張りだし……」\n「キィキィッ!まどろっこしいッキィ!とりあえずツボツボがやれッキィ!」\n「仕方ないツボ。不甲斐ない君たちに変わってやってやるツボ」\n「ふーっ……!ふーっ……!ほら、あっという間に火がついたツボ!」\n「キィキィッ!よくやったッキィ!」\n「湯加減は……ゼリッ!?熱すぎゼリ!これじゃとけちゃうゼリ!」\n「これくらい熱い方が、疲れがとれるってもんツボ。つべこべ言わず入れツボ」\n「キキィーッ!気づけば火が燃え広がってるッキィ!?」\n「キュイキュイ!アジトが燃えちゃうキュイ!はやく水をかけるキュイよ!」",
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"DiscIP.212003.1": "フル",
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"DiscIP.212003.2": "サビ",
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"DiscIP.212003.3": "死出の舞踏会",
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"DiscIP.212003.4": "身悶えするほど美しいメロディーに、魂を揺さぶる情熱的なリズム。\n私のダンスパーティーに参加した方はみな、踊らずにはいられなくなるでしょう。\n\n誰もがダンスホールを彩る花となり、スポットライトと喝采を浴びる。\nさあ、踊りなさい。踊って踊って……踊りなさい。\nいつしか私の鼓動とあなたの鼓動が響き合って、踊ることをやめられなくなるでしょう。\nおや、どうしましたか?\nなるほど、休みたいけど休めなくて困った、と。\n\nいいじゃないですか。\n休まず踊り続けられるなんて、最高じゃないですか。\nリズムに乗って、メロディーに酔って、いつまでも踊り明かしましょう。\nさあ!さあ!さあ!さあ!愉快な愉快なダンスマカブルを、ともに踊りましょう。",
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"DiscIP.212005.1": "フル",
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"DiscIP.212005.2": "サビ",
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"DiscIP.212005.3": "情熱ステップ",
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"DiscIP.212005.4": "ハートを熱く燃やせ!全身で激しくビートを刻め!思いを全力で叫べ!\nアツい音楽は、激しく燃える炎が生み出すんだ!だから、炎になれ!\n声が小さいな?腹の底から、叫べ!もっとだ!\nおまえの中で滾り燻る感情を、心に、体に、声に込めてぶつけてみろ!\n\nいいぞ、その調子だ!\n今度はオレが手本を見せてやる!いくぞ!\nワォオオオオオオオオオオオオオオオンっ!!!\nどうだ、すごいだろう?\nなに?案外かわいかっただと?\nふん、褒めてもなにも出ないぞ?\n\nそれよりも、いまのオレを真似てもう一度やってみろ!\nハートを熱く燃やせ!全身で激しくビートを刻め!思いを全力で叫べ!\nほら、まだ声が足りないぞ!腹に力を入れて、叫べ!叫べ!叫べ!",
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"DiscIP.212006.1": "フル",
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"DiscIP.212006.2": "サビ",
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"DiscIP.212006.3": "幸運の光",
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"DiscIP.212006.4": "汝であるな、力を求めし者は。\nその切なる祈り、聞き届けたり。\n\nしかし……\nかつて天の断崖を越えし者は、雲散霧消し――\n神座に冒涜せし者がいま、星の頂に立っている。\n\n言うなれば……\n道化を神と崇めているようなものであり――\n英雄を逆徒と見做し、貶めているようなもの。\n\n愚かなる俗人は、不敬にも頭を垂れずこの双眸を睨み続け、\n畏れ多くも我が鱗をいつまでも逆撫でているのであるが――\n\nそれでも汝は力を望むか。\n\n――よかろう。\nならばともに浮世の移ろいを見守ろうではないか。",
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"DiscIP.212007.1": "フル",
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"DiscIP.212007.2": "サビ",
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"DiscIP.212007.3": "風に乗って",
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"DiscIP.212007.4": "「チュンチュン!ねえ、知ってるチュン?むこうの森で、盛大なダンスパーティーが催さ\nれるらしいチュン!」\n「キキィっ……?いや、知ってるけど……んなどうでもいい話のために、こんな朝っぱら\nから遊びにきたッキィ……!?」\n「そっか、知ってたならよかったチュン。招待状は届いたチュンか?」\n「ああ、招待状ならもらったッキィ」\n「私のところには……まだ来てないチュン……」\n「あっ……ふぅ~ん……」\n\n「知らないうちに森の神様を怒らせちゃってたのかもしれないチュン……」\n「なにか心当たりでも?」\n「う~ん、とくにないチュン……強いていうなら、お供え物のリンゴを食べちゃったこと\nくらいチュン」\n「はあ?それが原因で間違いないッキィ!なにをやってるッキィ!?」\n「お腹がすいててて……そのへんの木から落ちたリンゴと勘違いしちゃったチュン……」\n「はぁ……まったく、困った奴ッキィ……」\n「あとで代わりのお供え物を持って行くッキィ。一緒に行って謝ってやるッキィ」\n「ありがとチュン……!いろいろお供えできるもの、準備してくるチュン!」",
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"DiscIP.212008.1": "フル",
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"DiscIP.212008.2": "サビ",
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"DiscIP.212008.3": "スローライフ",
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"DiscIP.212008.4": "あわあわぷくぷく。\nちゃぷちゃぷびちゃびちゃ。\n\nお風呂は一日で一番楽しみな時間ゼリ。\nほどよい湯加減と、やわらかいタオル、それにアヒルのおもちゃがあれば完璧ゼリ。\nあとは音楽をかけて、おやつをかじって……\n汚れも疲れもきれいさっぱり、ストレスも嫌なことも、ぜんぶはじけ飛ぶゼリ。\n\nあったかお風呂は究極の回復魔法と言ってもいいくらいゼリ。\nこれさえあれば、心配ごとはぜんぶ解決しちゃうゼリ。\n\nこの至福の時間を邪魔する者は、何人たりとも許さんゼリ。\nゼリゼリ侯爵家の名にかけて、絶対に捕まえてゼリー化させてやるゼリ。",
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"DiscIP.212009.1": "フル",
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"DiscIP.212009.2": "サビ",
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"DiscIP.212009.3": "闇に消える",
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"DiscIP.212009.4": "原初の混沌の中、生命と欲望が生まれたその時、私は――\n深淵の呼び声に応え、運命の賽を振った。\nはじまりの海の底で、銀貨を投げた。\nいと高き九天の淵に、星々を掲げた。\n\n私は観測者。\n秩序を外れた超越者。時の亀裂に棲まう囚人。\n善き人の切なる祈りをただ聴くだけの司祭。\n恐怖の種を蒔き、信心を食い物にし、聖人を見捨てる悪しき教祖。\n誰も逃れられぬ流転の迷宮の主。\n無間の輪廻に飽き、その結末への興味を失った、役目を果たさない観測者。\n\nそして私は――運命の書の改竄者。\n秘すべき智慧を授けてしまった禁断の果実。\n――この門を踏み越えし者、永劫より回帰すること能わず。\n――この禁を破り超えし者、その辞書より不可能の三文字を失う。",
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|
"DiscIP.212010.1": "フル",
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"DiscIP.212010.2": "サビ",
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"DiscIP.212010.3": "強靭",
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"DiscIP.212010.4": "どうやらオレの出番らしい。\n待ちに待った時がようやく訪れたようにも、何度も同じ体験をしたようにも感じる。\nだがそんなのどうでもいい。\n闘技場に鎖の音を響かせ、挑戦者を叩きのめせばいいだけなのだから。\nさあ、勇者よ。戦おう。互いに、全力をぶつけ合おうじゃないか。\n\nどうした、その程度か?\n違うだろう?おまえはもっとやれるはずだ、そうだろう、勇者よ。\n隙を見せるな。一瞬でも油断すれば、すべてが終わってしまうぞ。\nそうだ、それでいい。いい一撃だった。だがオレは、この程度では倒れない。\n命尽きるまで、何度でも立ち上がり続ける。\n\nさあ、戦おう。それだけがオレたちの存在意義なんだ。\nそうだろう、勇者よ。",
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"DiscIP.213001.1": "???",
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"DiscIP.213001.2": "???",
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"DiscIP.213001.3": "???",
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"DiscIP.213001.4": "???",
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"DiscIP.213002.1": "???",
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"DiscIP.213002.2": "???",
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"DiscIP.213002.3": "???",
|
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"DiscIP.213002.4": "???",
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"DiscIP.213003.1": "フル",
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"DiscIP.213003.2": "サビ",
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"DiscIP.213003.3": "覚めない熱帯夜",
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"DiscIP.213003.4": "「もしもの話だけど……もし、このライブがうまく行かなかったら……」\n「だいじょーぶだよ!私がいるんだし!きっとなんとかなるなる!」\nギターを抱え、控え室の隅にうずくまる私に、セイナは明るく手を差し伸べる。\nその曇りない笑顔に、萎えかけていた心が再び弾みだす。\n\n「ありがとう、セイナ。わかった、私、がんばってみる……!」\n「うんうん、その意気だよ!それじゃ、行ってみよっか!」\n\nそういうセイナに手を引かれてステージへと飛び出していく。\nなぜだろう、私には世界がキラキラして見えだした気がする。\n\n――そういえば、あの日もそうだった。\n灰色の日々に鬱屈した感情をため込んでいたあの雨の日――セイナに出会って、私が生ま\nれ変わったあの日も、急に世界がキラキラして見えだしたんだっけ。\n彼女の魂を揺さぶる唄に、心を打つギターの旋律に、感じたことのなかった昂りを覚えた\nあの日も、世界は輝いていた。\n\n万雷の歓声が響く中、セイナにアイコンタクトして小さく話しかける。\n「やるわよ、セイナ!想いを全部、音楽に変えてみんなに届けるの!」\n「うんうん!一緒に燃え上がって、今年一番アツい夜にしようね!」",
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"DiscIP.213004.1": "フル",
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"DiscIP.213004.2": "サビ",
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"DiscIP.213004.3": "アッシュ・アイ",
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"DiscIP.213004.4": "夜闇に警報が鳴り響いているであります。\nまたやつら――『アッシュ・アイ』を名乗る怪盗姉妹が現れたようですね。\n「今夜こそ……今夜こそ私の手で、捕まえてみせるであります……!」\nアッシュ・アイ対策特別チームの隊長として決意を新たに、ヘルメットを勢いよく被って\n署を飛び出す。\nそしてバイクのエンジンを勢いよくかける――が、どうもご機嫌斜めなようであります。\nこんな時に、燃料切れ……!?\n\n「ん〜?鎧を着た変な人がバイクに乗って追いかけてくるけど……\nお姉ちゃん、アレ、なに?」\n「よくわかんねぇじゃん!でもたぶんあたしたちを邪魔するやつだし、\nガツンと一発ぶちかましてやるのがいいじゃん!」\n「そんな威勢のいいこと言って、本当に大丈夫?」\n「ハッハーッ!あんなへなちょこバイクに乗ってるやつ、警戒する必要\nなんてないじゃん!」\n\n随分と馬鹿にされているでありますね……こうなったら本官も全力を出さざるを\n得ないであります!\n「行くでありますよ、アッシュ・アイのおふたりさん!『変身』――」",
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"DiscIP.213005.1": "フル",
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"DiscIP.213005.2": "サビ",
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"DiscIP.213005.3": "舞台裏の魔女★",
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"DiscIP.213005.4": "さぁ~、はじまりました、『突撃!隣のかわい子ちゃん』の時間よ♪\nMCはおなじみ、天才敏腕リポーター、ミスティでお送りしちゃうわ★\n今日はぁ……新人『魔法少女』ちゃんたちの舞台裏を取材していくわね。\nそれじゃさっそく、控え室を御開帳~♡\n\n「す、すみません……!衣装は……衣装はどこ……!?」\n「ふえぇ……ステージ映えするメイクってどうすればいいのぉ?」\n「はぁ、はぁ……狭い場所で女の子に囲まれて……私、興奮してきちゃったぁ♡」\n\nあらァ~ん……新人ちゃんらしいユカイな雰囲気。\nみんな一生懸命すぎて、周りが見えてないみたいねぇ……?\nこの様子を激写して、今月のノンフィクション大賞を狙ってもいいんだけどぉ……\nかわいい子が困ってるのは、ほっとけないわよね♪\n\nはいはい、衣装はこっちよ!きちんと上下で色を揃えてね!\nメイクは……こんな感じでどうかしら?ちょっと濃く見えるかもだけど、ライトがあたる\nとこれくらいがちょうどいいのよ!\nそしてそっちのあなた!興奮するのは後にして!いまはステージに集中!おたのしみは後\nに取っときなさい!\n\n……っと、これでだいたい準備完了ね!\nそれじゃあみんな、がんばってらっしゃい♪\n\nふふっ、どの子も『魔法少女』らしく輝いてるわ。\nあんまり柄じゃないかもしれないけど……こういうのも、たまには悪くないわよね?\nってことで、今週の『突撃!隣のかわい子ちゃん』はここまで♪また来週♡",
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"DiscIP.213006.1": "フル",
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"DiscIP.213006.2": "サビ",
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"DiscIP.213006.3": "おやすみ",
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"DiscIP.213006.4": "「ふたりはさ、もしなんでもひとつ手に入るとしたら、なにが欲しい?」\n「でっかい宝箱!世界中の宝物の在り処が全部書いてる地図でもいいよ!」\n「私は……そうですね。空を飛べる乗り物が欲しいです。配達が楽になり\nますので。そうですね……仮に『自翔車』とでも名づけましょうか」\n「あははっ、なんていうか、テレサとフリージアって感じだね!」\n突拍子のない、でもふたりらしさあふれる回答で思わず笑って木槌を置いてしまった。\n\n偶然手に入った、『列車』はまともに動かすことができそうになかった。\nそこで、ヨロズ配達の建物の一部に改造してしまおう――そう考えさっそく取り掛かった\nところまではよかったのだが、今日作業を始めたのは間違いだったかもしれない。\nというのも、あまりに暑く、長時間屋外で大工仕事をするのに向かない天気だからだ。\n\n「ねえトーナ、大丈夫……?もしかして、疲れちゃった……?」\nテレサが心配そうに私の顔を覗き込む。心配をかけてしまったようだ。\n「ちょっとだけね。でも全然平気だから、安心して」\nそう言って彼女の頭をわしゃわしゃ撫でると安堵したらしく、頭が鳥の巣のようになって\nもうれしそうに笑っていた。\n\n「少し休憩いたしましょう。この炎天下で長時間作業するのは危険です」\n「そうだね。その間になにか飲み物でも持ってこようかな」\n「それでしたら、水筒によく冷えた水を入れてきているので、もしよろし\nければいかがでしょう?」\n「ウチ飲みたい!」\n「じゃあ私もいただこうかな」\n「ではこちらのコップに……はい、おふたりともどうぞ」\n\n受け取った水はとてもよく冷えており、飲むと生き返るような気がした。\n\n「よく冷えてるにゃ〜!飲んだだけで元気が出てくるよ!」\n「だね!フリージア、お水に体力回復の魔法でもかけた?」\n「いえ、そんなことは……私はそういった魔法を使えませんし……」\n「そっか、でもそれくらい元気をもらえたよ。これなら、まだ作業も続けられそう!\nありがとね、フリージア!」\n「ふふ、どういたしまして」\n\n「ところで、さっきの質問、トーナはなにか欲しいものとかあるの?」\n「それはね……あまりに暑いから、いますぐひんやりふわふわなベッドで寝\nたいなぁ~って思ったの。でももう平気だから、もう少し一緒にがんばろうね!」",
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"DiscIP.213007.1": "フル",
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"DiscIP.213007.2": "サビ",
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"DiscIP.213007.3": "翡翠の夢",
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"DiscIP.213007.4": "もとは、私たちはひとつの存在だった。\n例えるならそれは、一対の翼。もしくは同じ幹から伸びるひと振りの枝。\nふたり同じ空気を吸い、共鳴する互いの鼓動を絶えずきいて生きていた。\n\nしかしいつしか異なる身体を得て、魂の形に差違が生じ、それぞれ別々の運命の糸に絡めとられた。\nそれでも互いに闇を棲み処とし、苦しみで生を自覚し、絶望という甘露に酔っていた。\nだからこれからも変わることなく共に在り続けるのだと、私はそう思っていた。\n\n「いや、このままでは駄目だ。私たちは高みを目指し、壁を壊し、ここではない世界へ\n行かねばならぬのだ」\n変わらないことが当然だと思っていた私には、あなたの言葉の意味がわからなかった。\nここではない場所へ行くなんて……そんなの考えただけで恐ろしい。\nそれに変わってしまうことも怖い。望まぬ形になってしまうかもしれないから。\nしかし……あなたがそう言うのなら、私は従おう。\nなぜなら私はあなたの――だから。\n\n大地の果てには、深淵を渡るための橋が架かっているらしい。\nそのたもとは寒く、永年雪が降り続けるそうだ。\nしかし、渡りきってしまえば、目指すここでない世界がそこにある、とあなたは言う。\n\nだから私はついて渡ることにした。あなたを追いかけて歩き続けた。\n時々、雪が目に入る感触が冷たくしみて痛い。\n気づけば身体は軽くなり、宙を浮いているように感じた。\nそれが怖くて、前を歩くあなたの手首をつかむ。\n\n歩き続けるうちに雪は雲へと変わり、私たちを優しく包んだ。\nそしてついに、もといた世界ではない場所の風を感じるところまできた。\n「もうすぐだよ。だから、恐がらないで」\n\nその言葉を聞いたところで、私はこれが夢だと気づいた。\n目を覚ますと、私たちは膝まで雪に埋まっていた。そしてあなたは遥か遠い場所にいる。\nまだ進むのか叫び問いかけると、あなたは立ち止まって答えた。\n「この永い夜の夢から覚めないと、光なんて見えないから」",
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"DiscIP.213008.1": "フル",
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"DiscIP.213008.2": "サビ",
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"DiscIP.213008.3": "憩いのひと時",
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"DiscIP.213008.4": "「うっひゃぁ~っ!すっずしぃ~っ!」\n「ちょっとセイナ!風が強いんだから、窓を全開にするのはやめて!」\n「もらってきた依頼一覧が飛んでっちゃう……」\n\nいけない、資料を見ていることに気づかないまま窓を開けてしまった。\n「あああ、ごめんアヤメ……!すぐ閉めるから……って、あれ?」\n急いで閉じないと……!そう思い、窓をスライドさせてみるが、びくともしない。\n「どうしたの?」\n「いやさ、なんか閉まらなくって。ふんっ……!う~ん、ダメかぁ……」\n「本当に閉まらないの?ちょっと貸して」\nアヤメが身を乗り出して、窓を閉めようとする。しかしやはりなかなか閉まらない。\n\n「たしかに変ね……なにか引っかかっているのかしら……?まあこういう時は、\nこうして……ふんっ!」\nそう言って、力任せに押すと――\n\nバキッ!!!\n\n「あっ……」\n窓は枠ごと外れ、どこかへ飛んでいってしまった。\nその途端、車内には冷たい風が吹き込んでくる。\n\n「あ、ああ……ごめんなさい、セイナ……!」\n「いや、私もたまにやらかすし、こういうこともあるよ!気にしないで!」\n\n「でも……ああ、私ったら本当に……ああ……」\nアヤメは顔を伏せ、シートの上で膝を抱え込み、ぶつぶつとなにかをつぶやき出した。\n\n「あ、いつものネガティブモード。セイナ、車止めた方がいいかも」\n「だね、気にしなくていいんだけど……アヤメは繊細だからなぁ」\n\nそれからしばらく、アヤメはぶつぶつと心配事をつぶやき続けた。\nなんとか元気になってもらわないと。そう思って、コハクといつもの『アレ』を始める。\n\n「ほら、アヤメ!出来立てのスープだよ!」\n「焼きたてのパンも。スープと食べれば元気出るから」\n\nアヤメはひとりごとをやめて、スープとパンを食べ始める。\n三人一緒に食べているうちに、アヤメは元気を取り戻したようだ。\nよかった。窓は交換すれば直せるけど、壊れた友だちの心はなかなか直せないから。\nだから、本当によかった。心からそう思った。",
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"DiscIP.213009.1": "フル",
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"DiscIP.213009.2": "サビ",
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"DiscIP.213009.3": "雨に唄おう",
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"DiscIP.213009.4": "ぴちょん、ぴちょんと雨が降る。\nぴょこん、ばしゃり、水たまりを飛び越える。\n着地の刹那に咲く、水の花に心を奪われる。\n\nぴちょん、ぴちょんと雨が奏でる。\nばっしゃ、ばっしゃ、水たまりを駆け抜ける。\n点々と足跡に咲く、水の花が行列をなす。\n\n雨粒よ、歌え。\n滴のひとつひとつに想いを込めて。\n波紋よ、踊れ。\n水に咲く花とともに、くるくると何度でも。\n\nぽつり、ぽつりと雨があがっていく。\nきらり、きらり、雲間から光が降り注ぐ。\nそして七色に咲く、虹の橋が空に架かりふわふわ揺れる。\n\n「困ったものねぇ。外に出てる時に限って降ってくるし、家に着くなり止むんだから」\n「そっすね。でも私、雨のそういうところ、嫌いじゃないですよ」\n「はぁ?なんでよ?」\n「だって……雨が降ってると、楽しそうに歌うエリ先パイが見られるし」\n「はぁ……真剣に聞こうとしたあたしがバカだったわ。ほら、お風呂湧いたみたいだし、メイから先に入ってきなさい。ほら、はやく行った行った」",
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"DiscIP.213010.1": "フル",
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"DiscIP.213010.2": "サビ",
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"DiscIP.213010.3": "蒼梧城の休日",
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"DiscIP.213010.4": "「う~ん……この服、やはり派手すぎるような……?」\n「そうかな?あたしは似合ってると思うけど」\n「そうなんでしょうか?う~ん……」\n\n私は、誰かに誤解されるのが苦手だ。\nだから認識の齟齬を生まないように何事も言葉を尽くして説明する。\nしかし、感覚的なものに依拠する説明しづらい事柄に関しては……\nうまく説明できず、困ってしまう。\n\nこの龍族の伝統衣装は、ジンリンが選んでくれたものだ。\n率直に言えば、ほぼ間違いなく私には似合ってないのだが……\n彼女を説得できず、そして目の前にいる以上、この格好で街を歩かねばならないだろう。\n他の知り合いに会わなくて済むことを祈ってから、ジンリンと街へ繰り出した。\n\n道中、肉まん屋の前を通りかかった。\n食べたいわけではなかったが、職人の手際の良さに目を奪われてしまう。\n「すごいよね。ああいうふうに肉まんを蒸すには、コツがあるんだけど……\nミャオ姉は知ってる?」\n「そうですね……火加減、でしょうか?」\n「あはは、ざんね〜ん!正解は……楽しんで作ること、だよ!」\n\n意外な答えに、思わず目を丸くしてしまう。\n「もちろん、火加減だって大事だよ?でも、作り手が楽しめてないと、\n食べるほうだって笑顔になれないからね」\nしたり顔でジンリンが語る。\n「まあ……いまのはママからの受け売りなんだけど」\n\n「なるほど……作り手側が楽しめてないと、受け取る側も笑顔になんてな\nれない、ですか……」\n受け売りとはいえ、含蓄のある言葉に感心してしまった。\nそしてこれは、いまのジンリンと私にも当てはまるように感じた。\n私が楽しめていないと、ジンリンも笑顔になれない、きっとそうなのだろう。\nなら……全力で楽しまなければ……!\n\n「ジンリン、少しいいでしょうか?」\n怪訝そうな顔をするジンリンと、近くのドリンクスタンドへ駆け込む。\n\n「すみません、タピオカミルクティーをひとつお願いします。氷は少なめで。\n砂糖は入れられるだけめいっぱい入れていただければと」\n間違いなくおいしいであろう肉まんとタピオカミルクティー。これで準備はできた。\nさあ、全力で楽しむぞ。\n今日という日を、ジンリンとふたりで最高の休日にするために。",
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"DiscIP.213011.1": "フル",
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"DiscIP.213011.2": "サビ",
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"DiscIP.213011.3": "ニャーのリズム",
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"DiscIP.213011.4": "『5000コイン、もしくは10000コインのみ引き換え可能』\nそう書かれた景品引き換え所の前に、もうずいぶん長く立ち尽くしている。\n残念ながら1000コインしか持っていないあたしに、景品引き換えはできない。\n\nここでどんなに待とうと、引き換え可能なコインのレートは下がらないだろう。\n諦めるしかないか……そう思って、ゲーセンを立ち去ろうとしたその時――\n\n「その猫耳のついた帽子にツインテール……君がハイスコアランク上位常連\nの『悪魔の右腕』ことシャトンだな?」\nやけに威圧感のある女性に声をかけられた。\n挑戦者だろうか……?だとしたらちょうどいい。\nコインを巻き上げて、景品を手に入れる好機……!\n\n「いかにも。我こそシャトン。魔眼にスティグマを刻まれし『悪魔の右腕』\n――いずれ天に立つ者よ!」\n「やはりな。さっそくだが、挑戦させてもらいたい。5回勝負でどうだ?」\n「ほう……?その不遜さ……おもしろい。名を名乗れ」\nすると彼女は、猟犬のような鋭い目つきで不敵に笑いつつ、堂々と名乗った。\n\n「私はカシミラ……『不敗のカシミラ』と言えばわかるかな?」\n「あなたが、あの……!?」\n\nカシミラ――それはよく知った名だった。\nなぜなら……ハイスコアランキングで万年2位の私の上に居座り続ける、目の上のたんこ\nぶとでも言うべき、忌むべき名だからだ。\n\n「なるほど、あなたがね……でも『不敗のカシミラ』がどうしてあたしに?」\n「この前、君のリプレイを見てね。おもしろい戦術を使うと思って。その戦\nいっぷりを、直接この目で見てみたくなったんだ」\n\nそう言いながら、交換所で5つも景品を交換し、勝てばあげるよ、と言わんばかりにちら\nつかせて話を続ける。\n\n「どうだ?一戦、やらないか?」\n「フフフ……おもしろいじゃん、その挑戦、受けて立つよ!」",
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"DiscIP.213012.1": "フル",
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"DiscIP.213012.2": "サビ",
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"DiscIP.213012.3": "星空に夜露死苦",
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"DiscIP.213012.4": "「この音……!やべぇ、あいつじゃん……!」\n夜の闇の中響くプレートアーマーが擦れる音、それにこの独特の動力音、間違いなく\nやつじゃん……!\n「とりあえず、シートで隠し終わったよ〜」\n「よくやった!なんとかごまかせそうじゃん!」\n\n「んん?そこでこそこそ話してるのは、誰でありますか?」\n月光を受けて鎧とバイクを輝かせながら、やつが近づいてくる。\n\n「その制服……プラチナ学院の学生さんでしたか。\nしかし門限の時間は過ぎているはずでありますが……」\n「あ~、えっと……これはなんつーか……」\n困っていると、ネールモントがここは自分に任せてとばかりに目配せする。\n「すみません、騎士様。自習に集中しすぎてしまい、気がつけばこんな\n時間になってしまっていて……」\n\n「なるほど、そうでありましたか!このあたりは物騒ですから、\n気をつけるでありますよ!」\nよかった、なんとか誤魔化せそうじゃん――\n「そうだ、念のため名前を聞かせてほしいでありますが……」\nいや、ダメそうじゃん、これ……\n\n「あ……えっと、ワタシたちは……」\nこれはさすがにネールモントも動揺するじゃん……\nヤバいじゃん、どうすればいいじゃん?\n\n「そのおふたりはマンゲツさんとシンゲツさんです」\n焦っていると、聞きなれた凛々しくよくとおる声……!\n「そして私は……アテナと申します」\n姉御ォ!さすが、助けに来てくれたじゃん!\n偽名のセンスはよくわからないけど……とにかく助かったじゃん!\n\n「マンゲツさんにシンゲツさん、それにアテナさんでありますね」\nやつは取り出したメモ帳にさっとなにかを書いてから閉じた。\n「ご協力、感謝するであります!それでは、私はこのへんで!」\nやつのバイクの音が遠ざかっていく。\nやったじゃん!なんとか誤魔化しとおせたじゃん!\n\n「あそこで物怖じしないなんて……さすがですね~」\n「かっこよかったじゃん、姉御ォ!ホント助かったじゃん!」\n「褒められることはしてねえよ。それよりどこまで描けた?」\n\n「へへっ、それならばっちり描き終わってるじゃん!」\nネールモントが隠すためにかけた布をはぎ取る。\nすると壁一面に、うちらの縄張りであることを示すグラフィティが現れた。\n\n「おし、いい感じだな!じゃ、次の場所に向かうぞ!」",
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"DiscIP.213013.1": "フル",
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"DiscIP.213013.2": "サビ",
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"DiscIP.213013.3": "秋に包まれて",
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"DiscIP.213013.4": "物語の始まりは、月明かりのない夜の森。\nあの日、生まれたばかりの一人と一匹は、見知らぬ土地に置き去りにされた。\nそんな彼女たちの匂いは、森で過ごす時間が長くなるほど「ある人物」に近づいていく。\n\n「ねぇココ、なにをクンクンしてるの?」\n\nアンズが落ち葉の塊に近づくと、ココは目を細めてじゃれついた。\nあの夜と同じように。\n\n「わふ~!もうすっかり、秋のにおいがするの~!」\n季節は再び巡り、森の色が移り変わっていく。",
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"DiscIP.213014.1": "フル",
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"DiscIP.213014.2": "サビ",
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"DiscIP.213014.3": "騎士様の鍛冶師",
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"DiscIP.213014.4": "ケイトは今日もひとり、整備室で工具のメンテナンスをしていた。\n『宝物』の手入れをする顔には、自然と優しい笑みが浮かんでいる。\nしかし、その静けさを金髪の少女が打ち破った。\n\n「おじゃまするであります!」\n「……あれ、ティリア。今日も風に吹かれてきたの?」\n「はい!実は、ヒッポグリフ号の調子がおかしくて……ケイちゃん、見てもらえないでありますか?」\n「ウィンドアッシュの連中を追いかけるのに夢中になって、スピードを出しすぎたんでしょ?」\n「せ、正解であります。でも、どうしてわかったんですか?」\n「今週だけで、もう4回目だからね〜。とりあえず中に運んで」\n\nケイトが集中してヒッポグリフ号の整備をしていると、ティリアがぽつりと口を開いた。\n「その、ケイちゃん」\n「ん~?」\n「修理するついでに……」\n「ダメー」\n「まだ何も言ってないでありますが!?」\n「どうせ、光る変形外装とか武装を追加したいって話じゃないの?」\n「ダメでしたか……?」\n「無駄に重量を増やしたら、小回りが利かなくなって不便だよ?」\n「なるほど……ちなみにほかの人からは、改造を頼まれないでありますか?」\n「ないない。みんなティリアみたいに仕事熱心じゃないからね〜」\n\nしばらくして、ケイトはヒッポグリフ号の整備を終え、ティリアを見送る。\n「ありがとうございます、ケイちゃん!そうでした、これをどうぞ」\n「たい焼き……?」\n「はい、すごく美味しいので、ぜひ食べてほしいであります!」\n「ありがとう、おやつにいただくよ。でも、ヒッポグリフ号は大事にすること。また1週間以内に壊したら許さないからね」\n「3日は頑張るであります!」\n「まぁ……いいけど。言ったからには、3日は頑張ってよね?」",
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"DiscIP.213015.1": "フル",
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"DiscIP.213015.2": "サビ",
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"DiscIP.213015.3": "知らない名前",
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"DiscIP.213015.4": "ナズナの頭には、ある後悔がいまも焼きついている。\n怠惰で向上心のない彼女にも、心から守りたいと思えるものがあったのだ。\n\nけれど、手放したものは帰ってこない。\nどれだけ願っても、過去には戻れない。\n気づいた時には、もう手遅れだった。\n\nナツカが去ってからも、ナズナは彼女の部屋を定期的に掃除をしている。\n普段はやる気を見せないマイペースな少女が、なんとカエデに自ら申し出たのだ。\nしかし、いつになっても違和感が抜けない。\nカエデと星ノ塔を冒険していても、地理センでご飯を食べていても、笑顔で話していても、大事な『何か』が欠けていた。\n彼女はいま頃、新しい仲間と一緒にいるのだろうか。\nそんな考えが浮かぶも、聞きに行く勇気などなかった。\n『いる』と言われれば寂しい気持ちになり、『いない』と言われれば心配になるからだ。\n\nそのせいか、外に出るたびにナズナはかつての友人の動向を追ってしまう。\nだがままならないもので、そこで彼女の名声が耳に入れば、嬉しくなる一方その存在がどんどん遠ざかっていくように感じてしまうのだ。\nやがて彼女が遠征するようになり、キャンプでその姿を目にする機会が減ると、ナズナは地理センでだらだらと過ごす日がさらに増えていった。\n\nもし次のチャンスがあるなら、今度こそ掴んでみせるよ。\n布団の中でしか本音を言えない、臆病な自分に打ち勝つから。\n――ひっそりと、ナズナは意気込むのだった。\n\n「どこにいるの?」\n「ねぇ、何してるの……?」\n「もう、この部屋にあんたの匂いは残ってないのにさ……」",
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"DiscIP.213016.1": "フル",
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"DiscIP.213016.2": "サビ",
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"DiscIP.213016.3": "鳥かごの薔薇",
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"DiscIP.213016.4": "「きゃーっ!ベファーナさん、こっち見て!」\n……視線と期待に満ちた目。\n\n「今日のステージ、一生忘れません!明日も来ますっ!」\n……聞き飽きた歓声。\n\n無数のきらめきが光り輝き、呼び声が熱を放つ。\nその真っ直ぐな思いを、私は受け止めた。\n\n偽りの愛でもいい。\n短い命で終わってもいい。\n私はすべてを利用して、最後まで咲き誇る。\n――この楽園が続く限りは。\n\n目を開くと、そこには薔薇の花びらが舞っていた。\n果たして、これは祝福なのだろうか。\n人々の声が遠ざかっていく。\nけれども、幕の向こうからは温もりが伝わってきた。\nこの胸の高鳴りだけが、完全な人形ではないことを教えてくれる。\n\nあの時の彼女も、目の前の光景が夢だとは気づきたくなかったはずだ。",
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"DiscIP.213017.1": "フル",
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"DiscIP.213017.2": "サビ",
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"DiscIP.213017.3": "MCをねらえ!",
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"DiscIP.213017.4": "「2分休憩を挟んで、頭から通しでやりましょうか」\n「それと、基礎が足りてない子は個人レッスンを増やすこと。分かった?」\n周囲の視線が私に集まってくる。\nけれど、なにも意識していないかのように、黙って靴紐を結び直す。\n初心者なのだから、注意されて当然――そう、自分に言い聞かせる。\n\nテレビ局の魔法少女オーディション企画に、私は自ら志願した。\nしかし、それは単なるMCではなく、「魔法少女」としてデビュー枠を争う形式だった。\n「今回はアイドル同士とMC同士を競わせてから、勝ち抜いたアイドルとMCを戦わせよう」\nまるで獲物に食らいつくサメのようなプロデューサーの目を、オフィールは思い出す。\n新人の頃だったら、怖気づいて出演を断っていたかもしれない。\nしかし、いつでも観客の視線を惹きつけ、笑顔を届けることが私には求められている。\n顔を上げると、ダンスミラーに映る少女たちの表情は皆、真剣そのものだった。\nそうだ、悩んでいる場合ではない。\nとにかく、いまは練習に集中しなくては。\n\nふと、はじめてミスティとコンビを組んだときの記憶を思い出した。\n「オフィールって夢とかあるの?」\nこの業界で自分の気持ちを正直に語るべきではないと学んだ私は、逆に聞き返す。\n「そういうミスティさんは、夢があるんですか?」\n「うふふ……夢なんてものは、凡人のためにあるのよ。アタシみたいな魔女は、願えばなんだって現実にできちゃうもの♪」\n私が凡人であることを見抜かれたようだった。\nでも、あのときの悔しさがあったからこそ、ここまで来ることができた。\n「いつか、フラヴィオで一番有名なMCになってみせる――たとえ、何年かかったとしても」",
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"DiscIP.213018.1": "フル",
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"DiscIP.213018.2": "サビ",
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"DiscIP.213018.3": "新商品の飲み物",
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"DiscIP.213018.4": "彼女の好きな炭酸飲料は、決まった曜日にだけ販売される。\n早く今日が来ないかと、コゼットは楽しみにしていた。\n\n店内には様々な商品が並んでいる。\nまず目に入ったのは、ヨーグルトのコーナー。\n定番のプレーンやいちご味だけでなく、雑穀味なんてものまであった。\n少し考えてから、彼女はすべての味をひとつずつ手に取る。\n\n隣のコーナーには、目新しいものがなかった。\n定番の味ばかりで、興味がそそられない。\n――そうだ、炭酸水のアレンジレシピでも試してみようかな?\nコゼットはジュースと炭酸水を2本ずつ買い物かごに入れた。\n\n奥に進むと、左の棚に新商品が並んでいた。\nどうやら、水に溶かすと美味しいドリンクになる粉末のようだ。\n――気になるけど、普通のドリンクの3倍の値段はちょっと……\n価格差を見て躊躇ったコゼットだったが、結局は買うことに。\n\n最後に向かったのは、お目当ての炭酸飲料コーナー。\n夏限定のメロンソーダ味は、大陸南部産メロンの香りと弾ける泡が夏を感じさせてくれる。\n――3本じゃ足りないかな?1ケース欲しいけど、ひとりで持ち帰るには……\n\n悩んだ結果、5本だけかごに入れた。\nそれ以上は持てそうになかったからだ。\n今度来た時に、メロンソーダ味があるかどうかはわからない。\nけれど、その時はきっと新しい味に出会えるだろう。",
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"DiscIP.213019.1": "フル",
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"DiscIP.213019.2": "サビ",
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"DiscIP.213019.3": "虚ろの中の美",
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"DiscIP.213019.4": "この小さな診療所には、時々『嘘つき』がやってくる。\n「先生に言われた通り、しばらく酒は飲んでません」\n「嘘はいけないな。診察室に入ってきた瞬間、微かにアルコールの匂いを感じたよ」\n「……1杯くらい、許してくれたっていいじゃないですか」\nどれだけ真摯に向き合おうと、独りよがりに終わることもある。\n\n診察に疲れていた、ある日のこと。\n部屋の隅に佇んでいる骨格標本が目に留まった。\n導かれるように手を伸ばし、生前に受けた傷を細かく観察していくと、死に至った理由がわかってきた。\n標本は言葉という名のノイズを抜きに、事実を語ってくれる。\nこれまで苦しんできた嘘は、いったいなんだったのか。\nこの日、彼女は新たな道を知った。\n\n以来、各地を旅しては様々な骨格標本を収集している。\nしかし、心はまだ見ぬ美しさを求めて、常にどこか物足りない気持ちを感じていた。\n果たして、いつか『それ』と出会うことはできるのだろうか。",
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"DiscIP.213020.1": "フル",
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"DiscIP.213020.2": "サビ",
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"DiscIP.213020.3": "おコンバンハ!",
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"DiscIP.213020.4": "強い雨と荒れ狂う風が、屋根を吹き飛ばさんばかりの音を立てていた。\nその音に混じって、扉の向こう側からコソコソと話し声が聞こえてくる。\nレイセンは恐る恐る扉を軽く叩くと、驚いたのか人の気配が消えた。\n\n「これで、諦めてくれるよね?」\nそう思った次の瞬間、激しい衝撃と共にシャベルが扉を突き破ってきた。\n「なんで、私のシャベルが……」\n頭が恐怖と疑問でいっぱいになり、崩れ落ちてしまう。\n「誰か、助け――」\n\n叫び声を上げかけたところで、レイセンは悪夢から目を覚ます。\n「はあっ、はあっ、はぁ……」\nしかし、食料庫が襲われる可能性は、現実問題として存在した。\n警戒しておくに越したことはない。\nこの際、後回しにしていた補強や修繕をしてしまおうとレイセンは考えた。\n翌日、まずは貯蔵庫の修理が必要な箇所を洗い出してから、内壁の補強や二重扉の設置、入口の隠蔽などの計画を立てる。\nけれど、いずれも計画止まりで、実行へ移されることはなかった。\n\n恐怖も憂いも、次第に薄れてしまう。\nどれほど強い雨も、止んでしまえばことさら意識しなくなるように。\n\n彼女の一日は、今日も眠たげに目をこすりながら何事もなく始まる。",
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"DiscIP.213021.1": "フル",
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"DiscIP.213021.2": "サビ",
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"DiscIP.213021.3": "とろける言の葉",
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"DiscIP.213021.4": "鏡を見つめながら、あなたはなにを思うのですか?\n失意に満ちた過去、落ち着いた暮らしの現在、それとも遠くに霞む未来?\n\n目を閉じて、あなたはなにを思い出しているのですか?\nかつて誓った約束、わずかに残る信仰、それとも気づけば離れ離れになっていた仲間?\n\nこの世界に生まれ落ちたとき、最初に喜んでくれた人は誰でしたか?\n最初に涙を流してくれた人は誰でしたか?\nはじめて温もりに触れた瞬間を、あなたは覚えているのですか?\n\nもし進み続ける覚悟があるのなら、この鏡の前に立つのです。\n過去の仮面を脱ぎ捨て、怯えた本心をさらけ出せば、願いは叶うでしょう。\n\nあなたが舞台に立てば、すべての予言は成就するのです。\nそのためには、ひたむきに進み、耐え抜いてください。\nたとえ強敵に圧倒されようと、必ず立ち上がるのです。\n他人の決めたルールを打ち破り、鎖から抜け出した先に、望んだ未来が存在するのですよ。\n\n苦しみを感じたのなら、それは正しい道である証拠。\n過程には試練がつきものです。\n余計な迷いを捨て飛び込めば、やがて絶望は希望の結晶に変化するでしょう。\n\nあなたが永遠の眠りにつくと、預言者は再び現れます。\n亡骸は私が花びらで包みましょう。\n鏡の中で揺らめく炎は、ゆっくりと静まっていくのです。\n孤独を恐れる必要はありませんよ。\nいつの日か、必ず私たちは再会できるのですから。",
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"DiscIP.213022.1": "フル",
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"DiscIP.213022.2": "サビ",
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"DiscIP.213022.3": "川より深い愛で",
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"DiscIP.213022.4": "華やかな舞台に挑む挑戦者よ、ワタシに従いなさい。\n迷う必要はないのよ。\nアナタの渇きを潤せる存在は、ワタシだけだもの。\n\n闘技場に絶対的な強者なんて存在しない。\n偶然敗北したからといって、実力を否定しなくていいのよ。\n運命の鍵は、いつだってアナタの手の中にある。\n諦めたらダーメ。\n思い出すのよ、スポットライトが灯る瞬間を。\n\n疲れたなら、ワタシが癒やしてあげる。\nおしゃべりにだって、好きなだけ付き合ってあげる。\nだから、もう少し頑張るのよ。\n\nワタシはひとりでいる時も、アナタのことが頭から離れなかったの。\nでも、だからこそワタシは、この呪いを深い塔の底に封じた。\n「ワタシを忘れないでちょうだい。アナタにとっても、まだ必要な存在でしょう?」",
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|
"DiscIP.213023.1": "フル",
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"DiscIP.213023.2": "サビ",
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"DiscIP.213023.3": "穢れなき純白",
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"DiscIP.213023.4": "純白の狭間で、少女は目を覚ました。\nしばらく彷徨っていると、彼女は自分が大切な使命を忘れていることに気づく。\nけれど、それが何なのかはわからなかった。\n外の世界でいくら時間が過ぎようと、少女は変わらぬ姿で、この場所を守り続ける。\n\nやがて、静寂の地に来訪者が訪れるようになった。\n少女はひっそりと、彼らが群れを成し、身の回りの装備を整えていく姿を見届ける。\n彼女は知っていたのだ。\n自分と彼らが、本質的に異なる存在であることを。\n\nある日、少女の前に満身創痍の巡遊者が現れた。\n「あなたが神の使いですね……やっと、たどり着いたんだ……」\n「はい?塔の頂はまだ先ですよ」\n「もしかして、迎えに……?」\n「いえ、そういうわけでもありませんが」\n\n少女は冷たい口調で答えた。\nしかし、巡遊者は藁にも縋る思いで、傷だらけの手を伸ばす。\n\n「どうか、助けてください。まだ、死にたくないんです……」\n\nその一言で少女は自らの使命を思い出し、巡遊者の傷を癒やす。\n巡遊者が目を覚ますと、周囲には誰の姿もなかった。\n少女は一度きりの関係だとばかり思っていたが、それ以来、新しい傷を負うたびに訪れる巡遊者に困惑する。\n\n「あんな重武装されたら敵わないって!あの鎧さえなければ勝てるのに……」\n「最近、仲間のひとりが神器を手に入れたんだ。いいよなぁ……」\n「大砂漠って行ったことあるか?あそこで砂蠍の肉を煮て食べたんだけど、味はちょっと……」\n「星ノ塔だけじゃない、いろんな場所に行ったよ。でもさ……時々、故郷の夜空が恋しくなるんだ」\n\n少女の存在を知る者は徐々に増えていったが、彼女は新しい顔ぶれに対してはなにも答えない。\n言葉を交わす相手は、いつもの巡遊者だけ。\n\nあれから長い時が経過した。\nこの日は、一人の老いた男が少女の前に姿を表す。\n\n「何年経っても、お前は変わらないな……」\n「……あなたの命は尽きかけてますね」\n「ははっ。棺桶に入る前に、これを渡しておきたかったんだ……」\n\n老人は懐から木の箱を取り出す。\nその中に入っていたのは、純白の羽だった。\n\n「お前を覚えてる奴は、もう誰も残ってない……だから、せめて俺だけでも、何かを残してやりたかった」\n「限界なんでしょう。話さないほうがいいですよ」\n「ふっ……ありがとう。あのとき、俺を助けてくれて……ありがとう」\n\n今日も少女は、変わることのない純白の羽を見つめていた。\nあれ以来、彼女は口を閉ざしている。",
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"DiscIP.213024.1": "フル",
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"DiscIP.213024.2": "サビ",
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"DiscIP.213024.3": "休日の泡",
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"DiscIP.213024.4": "早く帰りたい一心で店員が時計を眺めていると、巡遊者が慌ただしくコンビニに駆け込んできた。\n「え、今日も来たの?」\n「この前の神器が高値で売れたからって、次はどうなるかわからないんじゃない?」\n「まぁ、いいけど……星ノ塔で願いをするには、代償が必要だよ?」\n\n店員はなにやら思案し、ただぼんやりしているだけだった。\n「棚の整理は……うーん、明日でいっか。ふぁぁ~」\n徹夜でゲームをしていたせいだろう。\n勤務時間中にもかかわらず、店員は大きなあくびをした。\n「ん?なんか店内がゲームの世界に見えてきたかも……」\n「あそこに並んでるのはポーションで、これは……おっ」\n店員の視線の先には、ショッピングカートがあった。\n「……車輪がついてるし、車みたいなもんじゃない?」\n\n「ポーシア~、まだやってる?」\n――シャアアッ。\n「……って、何の音?」\n\n謎の音に疑問を持ちながら、少女は店内に足を踏み入れる。\nするといつも通りの疲れた表情で、謎の体勢をとっている店員と目があった。\n「ど、どうしてカートの中に……?」\n「いや~、色々あって……それより、出るの手伝ってくれない?」",
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"DiscIP.213025.1": "フル",
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"DiscIP.213025.2": "サビ",
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"DiscIP.213025.3": "甘い招待",
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"DiscIP.213025.4": "「もし過去に戻れるとしたら、どの日を選ぶのかしら?」\nスポットライトの下で、ヴェルナーは幻想的な音楽に合わせて踊る。\n「さぁ、いつを選んでも変わらないのですよ」\n銀髪の少女は棘だらけの鏡を丁寧に拭いている。\n「フフ、真面目過ぎるのも考えものよ」\nイタズラを思いついたヴェルナーは、ランタンを手にして仲間の背後に近づく。\n「アナタが欲しているものはなにかしら?」\n「見せてちょうだい、アナタの本当の姿を……」\nしかし、ランタンは反応を示さなかった。\nそれはつまり、対象に欲望が存在しないという証。\n「ありがとうございます。おかげで磨きやすかったのです」\nヴェルナーの小芝居に、ヴェルジュはすっかり慣れていた。\nなぜなら、これまで幾度となく繰り返されてきたからだ。\n\n「ねぇ、どうしてあの人たちは、叶いもしない願いを追い求めるのかしら?」\n「人間の性なのですよ。同時に弱点にもなっているのです」\n「きっと、ワタシたちのやり方が上手だから罠にかかってるのよ」\nショートヘアの少女は、得意げにウサ耳を揺らす。\nこの格好をしていれば、誰も彼女の誘いを断ることはできない。\n\n銀髪の少女は挑戦者たちの目を思い返す。\n彼らは異なる願いを抱いていたが、たどる道は同じだった。\nその理由は、なぜなのだろう。\n「なにかを捧げることに意味を見出していたのですよ」\n「私たちは、ちょっと背中を押しただけなのです」\n\n「ヴェルナー、リボンの結び目を直してほしいのですよ」\nバニーの衣装にヴェルジュはなかなか慣れない。\n背中に感じる挑戦者の視線は、熱を帯びていた。\n遠くから慌ただしい足音が近づいてくる。\n約束の時間がやってきたようだ。\nそろそろ出発しなければならない。",
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"DiscIP.213026.1": "フル",
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"DiscIP.213026.2": "サビ",
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"DiscIP.213026.3": "♥配信たいむ♥",
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"DiscIP.213026.4": "「こんにちくま~♪アマツカ・クマの配信にようこそ♥初見さんもイツメンさんもヒトもそれ以外も、みんな、来てくれてありがとぉ♪」\n本日はいつもより20分早く配信を開始してみた。\nにもかかわらず、コメント欄はいつもどおり賑わっている……という設定だ。\n「今日はみんなとおしゃべりしたいな♪付き合ってくれるよね?」\n「それじゃ、相談コーナーってことで、最近の悩みとかつらかったことをみんな聞かせて?アマツカが聞いて癒やしてあげるから♥」\n「えっ!?『ガキに戻ってやり直し隊』さん、片思いの子にフラれちゃったの!?かわいそ~!でも、これでずっとアマツカの配信が見られるね♥」\n「三百六十五日、二十四時間ずっと、アマツカのことを見てね♥いっぱい癒してあげるから♪」\n「わっ、『忠犬社チ公』さんは今日お仕事でムカつくことがあったんだね」\n「そういう時はムカついた相手を殴るのがイチバン!あ、でもそこは自己責任でよろしくね♪」\n「んん?『ガチャガチ勢引退済み』さんは、今日もガチャでピックアップキャラ4連続ですり抜けちゃったの?先週も3連すり抜けてたよね?うわぁ、かわいそ~」\n「まあ、あれだよ、もうガチャは辞めてアマツカにお金を使うといいよ。よく考えて?アマツカはすり抜けなし、しかもコメントに反応しちゃうんだよ♥」\n「は?『なにこいつ、声作りすぎじゃね?』って……」\n「……ぐすん、ひっく。ひどいよぉ……アマツカ、この声でいじめられてたから、そういうこと言われると傷ついちゃうよぉ……ぐすんぐすん」\n「うん。ごめんね、急にネガっちゃって……でも、みんなの優しいコメで元気出てきた気がする……」\n「ありがとう♪アマツカ、みんなのことだ~いすきだよ♥」\nそれからも盛り上がって、今日も配信は最後まで大盛況……という設定になっている。\nまあ私の配信は誰も見ていないから、あくまで設定の話なのだけれど。",
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"DiscIP.213027.1": "???",
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"DiscIP.213027.2": "???",
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"DiscIP.213027.3": "???",
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"DiscIP.213027.4": "???",
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"DiscIP.213028.1": "???",
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"DiscIP.213028.2": "???",
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"DiscIP.213028.3": "???",
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"DiscIP.213028.4": "???",
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"DiscIP.213029.1": "???",
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"DiscIP.213029.2": "???",
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"DiscIP.213029.3": "???",
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"DiscIP.213029.4": "???",
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"DiscIP.213030.1": "???",
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"DiscIP.213030.2": "???",
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"DiscIP.213030.3": "???",
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"DiscIP.213030.4": "???",
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"DiscIP.213031.1": "???",
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"DiscIP.213031.2": "???",
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"DiscIP.213031.3": "???",
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"DiscIP.213031.4": "???",
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"DiscIP.213032.1": "???",
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"DiscIP.213032.2": "???",
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"DiscIP.213032.3": "???",
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"DiscIP.213032.4": "???",
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"DiscIP.214001.1": "フル",
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"DiscIP.214001.2": "サビ",
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"DiscIP.214001.3": "在りし日の記憶",
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"DiscIP.214001.4": "「古の猫神ネコニャーニャーニャンコ!」\n……うぅ、言いづらいし威厳も足りない。\n次のページを見てみよう。\n「我の行く手を阻む者は、誰であれ許さぬ――魔神の眼、開放!」\n良い、参考にしよう!\n「ねーカシミラ!これ決め台詞にどうかな?」\nシャトンは本の山から顔を出し、ボロボロの魔法書をカシミラに見せた。\n「ああ。いいんじゃないか」\n適当に返事をしつつも、魔法書に危ない呪文が書かれていないか一瞬で判断する。\nいかにも子ども騙しの内容は、部屋をぴょんぴょん跳ね回ってるシャトンにピッタリだった。\nちょっとしたことで人を呼び、カッコいいセリフを考える姿を見ていると、本当に子どものように思えてくる。\n「……劇団白猫の隊員は、なにがあっても仲間に銃口を向けてはいけない」\n「シャトン、これで今月何回目だ?」\n「わかった、わかったって。反省してまーす」\nシャトンはしぶしぶスナイパーライフルを置いた。\n戦闘シーンの妄想をしていたせいで、勢い余ってカシミラに照準を合わせてしまったのだ。\n\nこれまでシャトンは、何度捨てられてきたか数え切れない。\n幼さの残る瞳で、哀れみを買っていれば結果は違ったはず。\nそれでも少女は、自分の力で価値を証明したかった。\n\n――カシミラ、彼女を連れて行って。\n少女は手を引かれながら、建物の影を縫うように足を進める。\n「団長の言葉は気にしなくていい」\n彼女の手は、とても温かかった。\n「大丈夫だ、私が手を握っている」\n\n「シャトン、星ノ塔でぼーっとするな」\nその言葉でシャトンの意識は現実に引き戻される。\nしかし、巨大な星骸の腕が容赦なく振り下ろされようとしていた。\n「魔神の眼――開放!」\n\n「ふふん。劇団白猫のメンバーは、爆発しても振り返らないんだよ」\n「そんなどうでもいいルールだけは覚えてるのか」\nため息をつくカシミラと次の戦闘準備に取りかかるシャトンの動きは対象的だった。\n\n「カシミラ!カシミラ!」\nシャトンはポスターのポーズを真似しながら、カシミラの背中に向かって敬礼をする。\nその背中は、あの日と変わらないように見えた。\n\n「大丈夫だ、私が手を握っている」\nたとえ、君が約束を忘れたとしても。\n置いていかれたところで、追いついてみせる。",
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"DiscIP.214002.1": "フル",
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"DiscIP.214002.2": "サビ",
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"DiscIP.214002.3": "空と花の詩",
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"DiscIP.214002.4": "清月二十一日、雨のち晴れ。\n「この日を私は記しておかなくてはなりません。星ノ塔に記憶を奪われたときのために……」\n\nあの時、ナノハは用意周到に逃亡計画を立てた。\n朝焼けの時刻に出発し、途中で3回休憩を挟みながら、痕跡を残さぬように注意を払いつつ進んだ。\nそれは師匠に弟子入りして以来、最も大胆かつ規律を逸脱した行動だった。\nしかし、彼女は日が沈む頃になって、師匠が弟子の家出に気づいていないだけの可能性に思い至る。\nそう思ったナノハは、夜遅くにこっそり庭へ戻った。\n遠くから師匠の部屋に灯りがついていることを確認して安堵する。\n荷物を片付けてから、いつものように就寝の挨拶をしに行った。\n気づかれていないのであれば良かったが、そう都合良くはいかない。\n「屋敷の外は楽しかったかい?」\n突然の言葉に驚いたナノハは、言い訳する余裕もなく頭を下げた。\n「ナノハ……お前さんは今日、隠密術の訓練をしてたようだが……ふふ。その程度では、まだまだ修行が足りないね」\n師匠に叱られなかったことが、ナノハには信じられなかった。\nだが、それで終わりではない。\n「けれど、なんにも言わずに姿を消したのはなぜだい?もしアチキが、行先も告げずに姿を消したら、お前さんは……」\n\nあの夜をどんな気持ちで過ごしていたのか、ナノハはよく思い出せなかった。\n「師匠がいなくなってしまうかもしれない」という恐怖心を抱いていたことは、はっきりと覚えている。\n翌日、抜け殻のような状態で筆を執り、何枚もの反省文を書いた。\n\nそれから7日間、師匠とは一言も話さずに過ごす。\n寝坊しても叱られなかった日は、逆に怖くなってさらに長い反省文を書いた。\n8日目の朝。\n扉を開けると、そこには師匠が立っていた。\n――ああ、許してくださったのですね。\n\nけれど、それは勘違いだったのかもしれない。\nある日、師匠は組織の命で極秘任務に派遣された。\n彼女が不在の間も、ナノハは黙々と訓練に励んだ。\n少しでも師匠の負担を軽くしたい一心で。\nナノハは信じていた。\nいつものように、今回も数日で帰ってきてくれるはず。\n長くても半月ほどだろう、と。\nなぜなら、師匠が言っていたように、忍者にとっての家はここだけだからだ。\nしかし、いつになっても彼女は帰ってこなかった。\n――これは、きっとあの時の罰に違いない。\n\n出発前、アチキが様子を見に行くと、ナノハは気持ち良さそうに眠っていた。\nそこで先日、そっと塀を越えて戻ってきたナノハが、何食わぬ顔で就寝の挨拶をしにきた時の会話を思い出す。\n少し厳しくすると、涙目になっていたことが記憶にも新しい。\n7日目の朝。\n滲んだ文字で、「師匠、行かないでください」と書かれていた。\n\nもっとも、アチキはとっくに彼女を許していた。",
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"DiscIP.214003.1": "???",
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"DiscIP.214003.2": "???",
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"DiscIP.214003.3": "???",
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"DiscIP.214003.4": "???",
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"DiscIP.214004.1": "フル",
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"DiscIP.214004.2": "サビ",
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"DiscIP.214004.3": "ミルク色の夢",
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"DiscIP.214004.4": "この世界に妖精の里が存在するとしたら、それはどんな場所だろう?\n美しいものであふれた理想郷か、はたまた人をたぶらかす夢の楽園か。\nそれとも――\n\nそれはある日の会議後のこと。\nオフィスのデスクの上に上品なデザインの封筒が置かれていた。\n『親愛なるフィレン様へ』\n差出人の名前はない。\nフィレンは繊細な装飾が施されたペーパーナイフを滑らせ封を開ける。\n\n『親愛なるフィレン様へ\n貴女を妖精のお茶会にご招待いたします\n下記の日時に藤棚の庭園へお越しください』\n\n一見すると悪戯にも思える文面にフィレンはふっと口元を綻ばせる。\n指定された日時にはまるで狙ったかのように予定がない。\n(この私を招待しようなんて、主催はどんな妖精なのかしら)\n幼子のように胸を高鳴らせるのはいつ以来だろうか。\n好奇心の赴くままにフィレンは軽い足取りで妖精の里へ足を踏み入れる。\n\n清らかな小川を渡り、背の高い生垣の迷路を越えていく。\n不意に上品な甘い香りが鼻腔をくすぐった。\n暖かい南風が紫の花びらを散らした先に広がっていたのは見渡す限りの藤棚。\n妖精の里は本当にあったのかと、フィレンも思わず感嘆の息を吐いた。\n(こんなにキレイな場所があったのね……あら?)\nすると藤とは異なる香りも漂っていることに気づいた。\nその香りを道しるべに一歩、また一歩と誘われるように歩を進めていると、\n花のカーテンの向こうから声が聞こえた。\n\n「ルビィ、もうすぐフィレン様がいらっしゃる時間だよ」\n「ね~サフィ、どうしよう!この茶葉、ティーバッグだった!」\n「え!?なんで買うとききちんと確認しなかったの!」\n「どうしよう……本格アフタヌーンティーにしようと思ったのに」\n「いまから買いに行ったら、フィレン様をお待たせすることになるし……」\n\nどうやら妖精たちはお茶会の準備中のようである。\nどうしたものかとフィレンは思案する。\n準備が整った頃を見計らって姿を現すべきだろうか。\nしかし、それでは招待を受けたにも関わらず遅刻した無礼者になってしまう。\nなによりも時間がもったいない。\n(たまにはあの子たちの様子を観察するのも悪くないけど)\nそれよりもフィレンには優先したいことがあった。\n気配を消して、そっと準備に夢中な妖精たちの背後に回る。\n\n「あら、ティーバッグだって美味しく淹れられるわよ?」\n「フィレン様!!」\n\n妖精たち――もとい、ルビィとサファイアはびくりと肩を震わせながら振り返る。\nその手には宙ぶらりんになったティーバッグが握られていた。\n「今日はお茶会へのご招待ありがとう。その銘柄、私も好きよ。いい選択ね」\n「ほ、本当ですか!?」\nルビィはホッとしたように笑みを見せる。\n「サファイアも気にしないで。それよりもお茶会を始めましょう。\nせっかくの素敵なアフタヌーンティーだもの。\nふたりと一緒に紅茶を味わう時間を楽しみたいわ」\n「はい!!」\nルビィとサファイアは右に左に飛び回り、主賓のフィレンをもてなすのだった。\n\n藤と紅茶の香りに誘われて花のカーテンを潜り抜けていく。\nその先には妖精たちを寝かしつける女王がいた。\n「ごめんなさい。今日のお茶会は私たちだけの秘密なの。用件はまた後で」\n\n紅茶の華やかな香りを楽しんだらミルクを足そう。\nほのかな甘みとまろやかさが心を癒してくれる。\n忙しない日々にも数滴のミルクのような\n優しい夢を見てもいいのかもしれない。",
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"DiscIP.214005.1": "フル",
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"DiscIP.214005.2": "サビ",
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"DiscIP.214005.3": "晴天の彩花",
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"DiscIP.214005.4": "屋敷の裏に、見たことのない花が咲いていた。\n\n花壇の手入れは、専門の作業員が毎日おこなっている。\nおそらく、彼らは特別な魔法を使い、すべての花を同じタイミングで咲かせているはずだ。\nしかし、はじめて目にするこの一輪の花は、花壇の奥でひっそりと成長している。\n気づけば私にとって、少しずつ大きくなっていく花を眺めることが日々の楽しみになっていた。\n\n散歩を始めたばかりの頃は、いつも決闘について考えていたせいで、気分転換になっていなかった。\nけれど、この花を目にすると、なぜか心が落ち着いた。\n植物に関する知識を持たない私は、書庫の植物図鑑を見てみることに。\nだが、その花の情報はどこにも載っていない。\n「もしかして、新種を発見したのでしょうか?」\nしかし、それを母に話してみたところ、期待と違う答えが返ってきた。\n「おそらく、これではないかしら?」\n母が開いたページの隅に描かれていたのは、なんの変哲もない白い小さな花。\n書庫で図鑑を見た時は、おそらく見落としていたのだろう。\n冷静になってみると、それくらい特徴のない花だった。\nしかし、ここでひとつの疑問が浮かぶ。\n「私ははじめて見たのですが……」\n「わざわざ植えるほどの花ではないもの。山の斜面にはたくさん咲いてるはずよ」\n\nその後家を離れた私は、雨上がりの郊外であの花と再会する。\n懐かしい思いを味わいながら眺めていたところ、後ろから少女に声をかけられた。\n「あなたも星点花が好きなの?」\n「これは、点地花と呼ばれているはずですが……」\n「私たち巡遊者は、星点花って呼んでるんだ。ほら、花びらが星みたいな形をしてるでしょ?」\n「言われてみると……たしかに」\n「しかも、花の蜜は薬としても使えるんだよ」\n「この花も、人のために役立つのですね。勉強になりましたわ、ありがとうございます」\n「どういたしまして!そうだ、これから町に手紙を届けに行くんだけど、同じ方向なら一緒に行かない?」\n「……ええ、ご一緒させていただきます」",
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"DiscIP.214006.1": "フル",
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"DiscIP.214006.2": "サビ",
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"DiscIP.214006.3": "魔女の秘薬",
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"DiscIP.214006.4": "魔女――\n彼女たちの言葉は蜜のように甘く、溶けるまで毒を感じさせない。\nなかでもミスティは、ひときわ目立つ存在だ。\nホットな話題を食材にして、スパイスに感情の揺れ動きを加え、世間を賑わすスクープ記事を書き上げる。\n\n「読者に合わせて、ちょ~っと刺激を加えてるだけよ♪」\nミスティは常に笑みを浮かべ、勉強に来た同業者に対して自らの魔法をこう語る。\nその言葉を聞いた者は、満足そうに大きく頷いて帰っていく。\nおそらく皆、今頃は刺激的なスクープを求めているだろう。\nただ、魔女学校を卒業したばかりのような少女は、不慣れな手つきで箒を握りながら、ミスティに質問を投げる。\n「このような記事が、本当に私たちの目指すものなんでしょうか?」\n「うふふ……魔女にだって、生活があるもの」\n「それに、お腹が空いてたら、本当に書きたい記事も書けないわよ?」\n\n風の音に混じって、微かな物音が聞こえてくる。\n魔女の地獄耳は聞き逃さなかった。\nミスティは箒に飛び乗ると、相手の魔法を軽々回避していく。\n「あら、怒っちゃったの?」\n狙われながらもご機嫌なミスティは、さらに箒の速度を上げ、入り組んだ小路に飛び込む。\nこの天然の隠れ家を利用して、彼女はこれまで様々な懸賞金付きの追跡から逃れてきた。\n――そう、世界に埋もれた真実を探し出す、探究者としての顔もミスティは持っているのだ。\n\n町を縦横無尽に駆け巡る。\nそこにはなんの躊躇いも見られない。\n彼女の召喚霊も楽しそうな様子でピンクの霧を撒き、追っ手の視界を奪っていた。\n「うふふっ、捕まえられるものなら捕まえてちょうだい★」",
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"DiscIP.214007.1": "フル",
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"DiscIP.214007.2": "サビ",
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"DiscIP.214007.3": "真夜中の堕天使",
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"DiscIP.214007.4": "ステラキネマに、こんなセリフがあった。\n「人の心には、黒と白がある。多くの人は、中間のグレーに身を置く。だが、私は――」\nその続きは思い出せない。\nおそらく、星ノ塔に奪われたのだろう。\nしかし、偶然にも店先で見かけたステラキネマのポスターのおかげで、思い出せそうな気がしてきた。\n\nモヤモヤする時は、夜中にアッシュエリアを散歩するのが習慣になっている。\n港から水道橋のほうまで、ゆっくりと。\n\n夏の終わり頃、川辺を吹き抜ける風は一日の疲れを吹き飛ばしてくれる。\n夜になると騒ぎ出すのは、カエルの声や虫の羽音くらいのもの。\nそれらに耳を傾けていると、不思議と心が落ち着く。\n文学の成績が優秀とは言えない彼女だったが、それでもつい感傷的になる。\n「これが夜の鼓動ってやつか」\n\nとはいえ、静けさはそう長く続かない。\nいつだって、空気の読めない存在が場を荒らしていく。\n\n帝国護衛隊の騎士たちが、行く手を塞いでくる。\n「ハハッ、着替え忘れてたな。まぁ、付き合ってやるか」\nスケボーを近くに置き、バットを握りしめ、包囲網を突破する。\nその場で全員倒さなかった理由は、彼女が怖気づいたからではない。\n勢い余って、誰かの夢まで壊してしまいそうだったからだ。\n\n入り組んだ路地を抜けて、ひとけのない場所まで誘導することに成功した。\nミネルバが立ち止まると、リーダー格は得意げな顔で彼女に近づいていく。\n\n「3対1だ、逃げられると思ったか?」\n次の瞬間、ミネルバの仲間が駆けつけ、バイクごと吹き飛ばしていった。\n「すまねえ、姉御!待たせたじゃん!」\n「いや、ナイスタイミングだ。ネール」\n「調子に乗るな!お前たち、こいつらを――ぐはっ!」\n「これで3対3ですね〜。ね、アネサン?」\n\nミネルバは目の前で震え上がっている騎士を見下ろす。\n結局、ステラキネマのセリフを彼女は最後まで思い出せなかった。\nけれど、そんなことはもうどうでも良くなっている。\n\n「テメェら、新米騎士だな?今日は特別にあたしがルールを教えてやるよ」\n「いいか、よく聞け――ここは、あたしたちの縄張りだ!」",
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|
"DiscIP.214008.1": "フル",
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"DiscIP.214008.2": "サビ",
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"DiscIP.214008.3": "青空を越えて",
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"DiscIP.214008.4": "「私、遊園地って行ったことないんだけど、どんなところなの?」\n「えっ、星ノ塔の中にあるの!?どこ?どの星ノ塔!?今度絶対行ってみるよ!」\n\n彼女は遊園地を見たことがなかった。\nそもそも、その言葉の意味するところすら知らない。\nベイリーンを通りかかった若い巡遊者いわく、それは星ノ塔の中に存在する夢の楽園とのこと。\nゆっくりと上昇して楽園全体を見下ろせるアトラクションや、トロッコに乗ってレールを駆け抜けるスリリングなアトラクションがあるらしい。\nほかにも、風船やリボン、陽気な音楽……一歩足を踏み入れると、別世界のように感じるのだとか。\n\n「いつか行ってみたいな……」\n\nある日、トーナたちは通りかかった星ノ塔に、何気なく入ることにした。\n運命の導きなのか、補給が必要だったからなのか――それとも、いまにも雨宿りのためだったのか。\n理由はさておき、彼女たちが塔の中へ入ると、そこには見たことのない巨大な施設がいくつも並んでいた。\n「ようこそ、スターランドへ!」\nアナウンスのガイドに従って、施設が動き出す。\n久しぶりの来訪者を歓迎しているかのように。\n「これって、まさか遊園地……!?見て、あそこで馬が回ってる!あっちには巨大なティーカップが!」\n「危険はないのでしょうか?」\n「おっきいにゃぁ……」\n「とにかく、近くに行ってみようよ!」\nトーナはふたりの手を引き、このカラフルな楽園を見て回る。\nあの巡遊者の言葉は本当だったのだ。\nはじめてのアトラクションに、誰もが興奮を隠せなかった。\n「まるで、本当に……」\n\n彼女はいまも、夢の中にいる。",
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"DiscIP.214009.1": "フル",
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"DiscIP.214009.2": "サビ",
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"DiscIP.214009.3": "『空白』の序章",
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"DiscIP.214009.4": "人生は1冊の本だ。\n少なくとも、あなたはそう信じている。\nただし、ある人の人生は豪華な装丁にもかかわらず、あなたの人生は粗末な小冊子だった。\nだが、あなたたちにはそれが3冊もある。\nパンを分け合う時も、遊ぶ時も、孤児院を離れる時も、3人は幼い頃から一緒に過ごしてきた。\nだからこそ、信じて疑わなかった。\nもし星ノ塔に記憶を消されても、必ず再会して仲良くなれる、と。\n\nこの小冊子は、どんな本になっていくのだろうか。\n騎士の冒険小説か、謎を明らかにする百科事典か、それとも写真集か。\nどんな本になるのか頭を悩ましたところで、なりたい本がはっきりしていなければ意味がない。\nみんなのように「普通の本」を目指すべきかもしれない。\nしかし、残念ながらあなたたちは「普通」から距離がある。\n財布は空っぽ、食料はギリギリ……それでも、仲間がいる。\n\nもう一度、一緒に写真を撮って、小冊子のどこかに挟んでおこう。\nそうすれば、いつまでも楽しかった瞬間が残るはずだ。\n何度も失敗を繰り返して、スタート地点に戻ってきたとしても、笑顔でシャッターを切った瞬間は間違いなく幸せだった。\n\n嫌な現実に直面したら、ページを破って書き直せばいい。\nもちろん、それには限界がある。\nページを破るごとに、本は薄くなっていく。\nもしかしたら、思い出したくない過去や痛みを掘り起こして、捨てたページを拾わなくては、本の体裁を保てなくなるかもしれない。\n「あなた」の一部をなかったことにはできないが、気にしなくたっていい。\n次のページをめくれば、新しい冒険が待っている。\nさぁ、「オアシス号」に乗って出発しよう。",
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"DiscIP.214010.1": "フル",
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"DiscIP.214010.2": "サビ",
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"DiscIP.214010.3": "清浄なる祈り",
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"DiscIP.214010.4": "この日もアンジュは天空院に現れなかった。\nアルベドはため息をつく。\n「あのお方」の最も頼れる補佐官として、彼女はアンジュの代わりに上層部の会議に出席していた。\nそれも、一度や二度の話ではない。\nたくさんの秘密が記された手帳を片手に、アルベドは真面目な表情で廊下を歩いていた。\n\n「アンジュ様、来月こそ顔を出してくださいね。本部の皆さんに顔を忘れられちゃいますよ」\n「私には、もっと大事な用がある」\n「ですが、前回の会議では――」\n「それはあなたに任せるわ」\n一方的に通信が切られてしまった。\n近くに誰もいないことを確認してから、アルベドはため息をついた。\nアンジュの代行者であり、恩恵の最高意思を体現する存在として、誰かに弱さを見せるわけにはいかないからだ。\n\n「アルベド様でも、ため息なんてつくんですね?」\n警戒していたはずが、白髪の少女の接近にアルベドは気づけなかった。\n「……ベスティナさんは今、研修部署にいるはずでは?」\n「お~、さすがアルベド様!って、全員のシフトを覚えているんですか……?」\n「いえ、ただアンジュ様から、あなた……の動きを見ておくよう言われたので」\nアルベドは、危うく「あなた様」と言ってしまいそうだった。\n\n同僚は何人もいるが、この少し変わった「研修生」だけは手に負えなかった。\nいったい、何者なんだろうか。\nなぜアンジュはベスティナと話す時、いつも何かを言いたそうにしているんだろうか。\n\n「そんなにピリピリしないでくださいよ。休む時はちゃんと休まないと、あのお方に心配かけちゃいますよ」\nベスティナはアルベドの背中を軽く叩き、意味深に囁く。\n「そうだ……たまにはアルベド様も、外の空気を吸ったらどうですか?」",
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"DiscIP.214011.1": "フル",
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"DiscIP.214011.2": "サビ",
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"DiscIP.214011.3": "昼下がりの雨",
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"DiscIP.214011.4": "朝から雨が降っているにもかかわらず、どこか楽しそうな様子で外を眺めたり窓辺で本を読んだりして過ごすフリージアを見て、トーナの頭には疑問が浮かんだ。\n「雨が好きなんて意外だね」\n「変でしょうか……?」\n「そうは思わないけど、珍しいんじゃないかな?だって、髪が湿気で跳ねちゃうし」\n「テレサは雨、好きですか?」\n「にゃ~、どうだろう。雨は好きだけど、外で遊べないから……」\n「そうだよ、美味しい食べ物を買いに行けなくなっちゃう!」\n「では、雨を凍らせてみるのはどうですか?」\n「そんなことができるの!?」\n「分かりませんが……まずは挑戦してみましょう!」\n\nこうして少女たちは、実践してみることに。\nフリージアは原理を――\n「周囲の水を一箇所に集められれば、濡れる範囲を制御できるはずです」\nテレサは感情を――\n「ウチは魔法が下手だし、やっぱりトーナに任せたほうが……」\nトーナは勇気を――\n「えっ、私!?」\n\nすべての準備が整った。\nトーナは扉の近くに立ち、雨水を一箇所に集めようと試みる。\n順調に雨水をひとつの塊にすると、泡のような形に変化させた。\n宙に浮かぶ泡を傘のように使えば、雨が降っていても濡れずに歩ける。\n「すごい、本当にできた!」\n「私は何でもできるヨロズ配達のトーナだから――」\nなんて話をしていると、水の塊が破裂してトーナは頭から水を被ってしまった。\n「あはは、失敗しちゃったね……」\n「早く戻ってきてください!体を拭きますよ!」\n「ああっ、タオルタオル!」",
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"DiscIP.214012.1": "フル",
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"DiscIP.214012.2": "サビ",
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"DiscIP.214012.3": "見据える先に",
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"DiscIP.214012.4": "アグリ・ユニオン本部。\n会議が始まってから、すでに4時間が経過している。\nカーン、カーン。\n正午を知らせる時計の音に驚いた鳥たちは、一斉に羽ばたいていった。\n\n会議室のドアが内側から開かれた。\n制服を身にまとった従業員たちは頭を下げ、上座に座る老人が出てくるところを待っている。\nそれは、老人の右隣に座っていた少女――ダリシアも例外ではない。\nドア付近で立ち止まった老人は、杖で地面を軽く叩いた。\nダリシアは顔を上げると、相手の襟元で輝く鳥の形をしたブローチを目で追う。\nブラックオパールに鮮やかなルビーを添えた、飛び立つカラスのデザイン。\nそれは、アグリ・ユニオン元老院のオウム議会のメンバーである証。\n\n「ダリシア、失望させるなよ」\n「はい」\n\n会議の終了後、ダリシアは廊下の突き当りの部屋に戻った。\n部屋の主人は、いつものように落ち着いて帽子をかける。\n先ほどの会議で得た成果――1枚の書類を机に放ると、彼女はわずかに笑みを浮かべた。\n\n「どうやら、うまく進んだようですね」\n「まだ計画の第一歩に過ぎない」\n彼女は部下の男を気にも留めず、ノヴァ大陸の地図を見つめていた。\n「資金や材料、実験場所は提供するわ」\n「できるだけ早く結果を出してちょうだい……元老院が入れ替わる前にね」\nダーツはきれいな弧を描きながら、次の赴任先――フィーリエに命中した。",
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"DiscIP.214013.1": "フル",
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"DiscIP.214013.2": "サビ",
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"DiscIP.214013.3": "白紙の航海図",
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"DiscIP.214013.4": "海の果ては、どこにあるのだろうか?\n海の向こう側には、何があるのだろうか?\n海と空の境界は、どうなっているのだろうか?\n様々な仮説を想像するだけで、人は気分が高揚する。\nもし遠くへ行けたら、もし海を征服できたら、きっと……\n\n――ドンッ!\n「いててっ……」\n「また居眠りをしてたんですか?」\nカナタが目を開けると、目の前にはファイルを抱えたウィローの姿があった。\n「あははっ、どこまで話したっけ?」\n「造船の予算……」\nスグハがこそっと呟く。\n「あー、そうそう!星ノ塔で重要な動力部は手に入れたから、ほんの少しお金があれば、遠征できる船が手に入るんだよ」\nカナタはチラッとウィローの顔色を窺った。\n「そんで、ウィローはどう思う?」\n「……こんな造船計画は前例がありません。それに、この設計図は自分で書いたものですよね?」\n「えっと……」\n「この図面通り船を作ったら、出港する前に沈みますよ!」\n「どうして断言できんの?試してみないと分からないでしょ」\n「そもそも、船がまだなのに物資のリストまで用意されても困ります」\n「いやいや、お金と人さえ集まれば、すぐ完成するから!ナビゲーターのスグハにも仕事をさせてあげたいし!ほら、そうでしょ?」\n「……え、私?」\n「もしキンシャさんと一緒に出資者を見つけられたら、地理協会も力を合わせる形で船を作れるかもしれませんね」\n「本当にぃ?」\n\nもしかしたら、実現するかもしれない。\nそう思わせるくらい、カナタの熱意が伝わってきた。\n自由と大海原を追い求める人の気持ちを否定するのは難しい。\n人は自信を希望や勇気、そして幸運に変えていける。\n\n「はい、分かりました。この案には問題点も多いですが、良い部分もありますし、じっくり検討してみましょうか」\n「えー?全部いいと思うんだけど」\n「何か言いたいことがあるなら、協会投票で否決になりますよ?」\n「そ、そんなぁ!でも、例えばここを変えちゃうと――」\n\n今すぐ旅立つことはできなかったとしても、この希望だけは守りたい。\nそして、いつの日か――",
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"DiscIP.214014.1": "フル",
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"DiscIP.214014.2": "サビ",
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"DiscIP.214014.3": "甘く咲く時間",
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"DiscIP.214014.4": "「こっちに果物がたくさんある。魔法で全部落とすよ」\n「キャッチは任せて……わっ、こんなにたくさん!」\n「お、降りられなくなっちゃった……」\n「フユカ、気をつけて!大丈夫、ゆっくり……」\n「うぅ……」\n「安心して、私がちゃーんと受け止めるから」\n\n仲間たちが話している様子を、ナズナは幸せそうに見つめている。\n「みんな、頑張ってね~、わたしは隣で休んでおくよ」\n「お腹空いたし、先にもらっちゃおうかな」\n熟した果物を前にして、ナズナは生唾を飲み込む。\n\n口を大きく開けて果物をかじると、甘い果汁が口の中に広がった。\n「おっ、すごく甘いじゃーん」\nナズナは満足そうに目を細めて足を揺らす。\n「ねぇ、一口食べる?」\n肌身離さず持ち歩いているぬいぐるみに話しかける。\n「ふふっ、あーん……って、わたしが食べるんだけどね~」\n\n「ナズナ、もう食べちゃってるの?」\n「食べる担当の人も必要かなーって」\n「よくもそんな言い訳を……」\n「はいはい、ケンカしないの。みんなで一緒に食べましょー」\n\nいつもと変わらない一日。\n豊作の季節、再会の季節。\n果物よりも、友達と過ごした日々のほうが甘かった。",
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"DiscIP.214015.1": "フル",
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"DiscIP.214015.2": "サビ",
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"DiscIP.214015.3": "鹿の声",
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"DiscIP.214015.4": "これは、随分と昔の出来事だ。\nある日の午後、巡遊者のナツカは奇妙な出会いを果たす。\n\n魔物の行方を調べるために、彼女は一人で森を調査していた。\n開けた場所にテントを設置し、環境情報や一日の行動記録をノートにまとめていく。\n一通り書き終えると、疲れからか少女はうとうとしてしまう。\nすると、近くから動物の鳴き声が聞こえてきた。\nどうやら、鹿が集まってきたようだ。\n\n「疲れてるのよね?」\n「……ちょっとだけ」\n「一人で大変だったでしょう?」\n「ううん、平気」\n「あなたは悪くないのに、いつまでこんな生活を続けるの?」\n「……」\n「あなたのことを知る人はいない。そうやってノートをまとめて巡遊者に共有したところで、誰も感謝しない。だから――」\n「やめてっ!少し、休みたい……」\n\n「こんなお話は知ってる?女の子は湖の近くで奇妙な白いうさぎを見つけると、行き先が気になって付いていったんだ。すると、奇妙な世界に迷い込んじゃってね……」\n「あ、知ってます。女の子が部屋に戻って休んでたら、鏡を通して現実と反対の世界に――」\n「――ところで、どうして今この話をしているのか分かるかな?」\n「……その女の子と同じように、私も夢を?」\n\nナツカは自分と会話している鹿をまじまじと見つめる。\n「ここが星ノ塔の中なら理解できるけど……」\n\n――パッ。\n手から滑り落ちた本の音で、彼女は現実に引き戻される。\nやはり、夢だったようだ。",
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"DiscIP.214016.1": "フル",
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"DiscIP.214016.2": "サビ",
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"DiscIP.214016.3": "桜花爛漫",
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"DiscIP.214016.4": "目を覚ましたレイスは、光に目が眩んだ。\n強烈な光が彼女から居場所を奪う。\nだが、諦めずに床を這って部屋の隅まで移動する。\n暗い場所にたどり着いたことで、一息つけたようだ。\n彼女は自分がどれくらい気を失っていたのか、はっきりと分からなかった。\nただ、意識を失いかけていた状態で、\nなんとか拠点の小屋まで戻ってきたことだけは覚えている。\n\n「永夜」は常に慎重だ。\nだからこそ、彼女は長期間にわたる追跡や潜伏の技術を磨いていった。\nハンターである以上、獲物より辛抱強くなくてはならない。\n\nしかし、不用意にサソリの縄張りに入ってしまった彼女は、珍しく怪我を負う。\n傷口の処置は終えたが、栄養も薬品もない状況では、毒が体を蝕んでいく。\nだが、この小屋にはどちらもなかった。\nキャビネットには乾パンが数袋残っていたが、\n状況を見るに、どうやら泥棒に荒らされてしまったようだ。\nこんな事態に備えて、保管場所は複数に分けておくべきだったと彼女は後悔する。\n\nそうして肉体が毒に打ち克つまでを静かにやり過ごしていたのだ。\n地中で眠る種のように、ただじっと耐え忍ぶ時間。\n死ねばそれまでの運命。\n瞼を閉じて呼吸を整えながら、凍てついたまま時を止めた故郷に思いを馳せる。\n\n――まだ終わるわけにはいかない。\n\n生への渇望は芽吹きの原動力となった。\n小屋を出たレイスは、なぜ強い光を感じたのか理解する。\n記憶の最後に残っている氷に覆われた世界は、消えてしまっていたのだ。\n太陽が照りつける地面から、土の匂いが漂っている。\n気づけば、彼女の頬はほんのりと熱くなっていた。\n\nこの日、レイスは春を知った。",
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"DiscIP.214017.1": "フル",
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"DiscIP.214017.2": "サビ",
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"DiscIP.214017.3": "ハナビ",
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"DiscIP.214017.4": "「わぁ、すっごくきれい!これが花火ですか?」\n「ああ、このように手で持ちながら楽しむのだ」\n\nフユカは慣れない手つきで、慎重に火をつける。\nパチパチと音を立てる鮮やかな花火は、夢に向かって進む新人を応援しているかのようだった。\n\n火の勢いが徐々に落ちていくと、光だけでなく音まで失われていった。\nどんなに美しいものも、いつかは色褪せてしまうことを感じさせる。\nしかし、命には限りがあるからこそ、巡遊者は花火のように輝きを放つのかもしれない。\n\n少女は一本ずつ、大事そうに火をつけていった。\n花火の色の変化に合わせて、風に揺られる少女の髪は異なる表情を見せる。\nその様子を師匠は温かい表情で見守っていた。\n\n最後の一本が終わると、少女は名残惜しそうに体を起こした。\n「楽しかったか?」\n「はい!ありがとうございます、師匠!」\n「ふふっ、それなら良かった」",
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"DiscIP.214018.1": "フル",
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"DiscIP.214018.2": "サビ",
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"DiscIP.214018.3": "レモネードと紅茶",
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"DiscIP.214018.4": "フィレンは予定よりも早く約束の場所に着いていた。\n時間が経つにつれて、コップの表面に水滴が浮かび上がってくる。\n彼女はテーブルに置かれた盆栽を静かに見つめていた。\nオフィスの萎れた植物とは異なり、どことなく勢いがある。\n\nカンパニー執行官は、一瞬で数百万ドーラを稼いでしまう。\nこの時間で仕事をしていれば、きっとたくさんのお金を稼げていたはずだ。\nけれど、彼女はそんなことを気にしていない。\n\n「ごめんね、遅くなったわ」\nフィレンの待ち人がようやく現れた。\n彼女は先ほど仕事を終えたばかりのような、疲れ切った顔をしている。\n\n「あまりにも遅いので、花が散ってしまいましたよ」\n「……3分しか経ってないわよ?」\n「正確には、2分46秒です。でも、驚きましたね。遅刻常習犯のニュクスのことですから、20分は待つと思っていましたよ」\nフィレンの言葉に嫌味や皮肉はない。\nこれは彼女たちにとって、挨拶のようなものだ。\n\n「飲み物は紅茶にしますか?私と同じレモネードでも良いですけど」\n「学生時代よりも、庶民の味に馴染んできたわね」\n「巡遊者は、これを飲んで元気をつけると聞きましたから」\n「楽しそうで何よりよ。うーん、私は紅茶にするわ。ケーキは適当で」\nニュクスがドリンクとケーキを注文すると、温かい飲み物がすぐに運ばれてきた。\n\n「それで、ここに呼んだ理由は来週の業務報告会議のためかしら?」\n「あなたの報告書は信用してます。ただ、アグリ・ユニオンの方々は、色々と文句をつけてくるかもしれませんから」\n「はぁ、まだ何か企んでるのね」\n「千載一遇のチャンスですし……だからこそ、ここは2人で手を取り合いましょう」\n\n「ふふっ。金輪際、招待されないと思ってたわ」\nニュクスは正直に胸の内を話す。\nそれから二人は、心が通じ合ったかのようにお茶を楽しんだ。",
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"DiscIP.214019.1": "フル",
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"DiscIP.214019.2": "サビ",
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"DiscIP.214019.3": "一撃必中",
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"DiscIP.214019.4": "再び約束の日が来た。\nシャトンは念入りに銃を磨いていた。\nよく整備されているからか、内部の部品が動く音まで聞こえる。\n白猫の団員は本来、このような粗悪品に命を預けたりはしない。\nだが、今回はこれこそが切り札になる。\nなぜなら、カシミラとの射撃勝負は、このおもちゃで行なうからだ。\n\n「フフ、悪くない。よく手に馴染んでいる」\nシャトンは満足げな表情で、的の中心に狙いを定める。\nそして、脳内の『ネコ神宣戦布告語録』の中から、最適なセリフを引っ張り出す。\n「赤き月が空に浮かぶ時、血の扉は開かれる。そして、敗北を喫した者は、呪いにより深淵へ堕ちる」\n「ここで……あっ!」\n決め台詞の途中で、命中を知らせるエフェクトが出た。\n点数を得たのは、シャトンではなく、もう一人の主人公――カシミラだった。\n「だから、セリフが長すぎる。相手に隙を与えるだけだぞ、シャトン」\n「私なら、こうして先手を取る」\n\n「……でも、これはゲーム」\nシャトンは流れるように、ゲーム機のリセットボタンを押す。\n「今のノーカン、もう1回」\n「何度やったところで、結果は同じ」\n「今日のネコ占いはシャトンが1位。ラッキーアイテムの缶詰も食べたから、絶対に勝てる!」\n「それで、わざわざ今日呼び出されたのか」\n別の銃を取り出して姿勢を整えたカシミラは、シャトンに開始の合図を伝える。\n\nラウンド1、ラウンド2……\n2人のポイントは拮抗した状態で、37ラウンドまで続いた。\n現在、13対14でシャトンの優勢。\n次のポイントをシャトンが取れば、勝敗が決定する。\nしかし、緊張したのかトリガーに指がうまくかからず、弾道がブレてしまう。\n赤色のバツ印が表示され、ポイントの変動は発生しなかった。\n「惜しかったな、シャトン」\n最終結果は、15対14でカシミラの勝利。\n「あと少しだったのに!もう1回、もう1回だけやろう!」\nカシミラはシャトンの頭を撫で、興奮を落ち着かせる。\n「今日はここまでにしよう。そろそろ次の依頼の準備を始めないとな」",
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"DiscIP.214020.1": "フル",
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"DiscIP.214020.2": "サビ",
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"DiscIP.214020.3": "かけがえのない時間",
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"DiscIP.214020.4": "「決めたっ。今日から『ヨロズ配達事件簿』をつけよう!」\n「事件簿って……?」\n「ヨロズ配達の大事なイベントを記録するんだよ。例えば、大きな商売に成功したとか、自転車を買ったとか……」\n「良いアイデアですね!ですが、なぜ急に……?」\n「本屋さんに手紙を届けた時、このノートをもらったんだ。でも、せっかく可愛いデザインだし、帳簿用にするのはもったいないかなって」\n「確かに、書き心地も良さそうですね」\n「でしょ?それじゃ、さっそく今日から始めよっか!」\n\n1日目:特になし\n2日目:特になし\n3日目:特になし\n\n何を書こうか迷いつつも、結局書くほどのことはなく、初日のワクワク感はあっさり消えていた。\n「2人とも~、何か面白いことなかった?」\n「そうだ、昨日おっきいウサギを見たよ!」\n「年代不明のコインを拾いましたが、持ち帰るのもどうかと思い、元の場所に戻しましたね」\n「ダメダメ、もっと違うやつは?」\n「転んだ拍子に頭をぶつけそうになったとか……」\n「新聞配達の帰りにアオイと会ったので、一緒にケンケンパをしましたわ」\n「だからテレサは、昨日アヒルみたいな歩き方をしてたんだね……」\n「ていうか、フリージアはずっと遊んでたの?帰りが遅いから、トラブルに巻き込まれたのかと思って心配してたのに」\n「ご、ごめんなさい……」\n「ううん、何でもないってことが分かって良かったけど……」\n「……事件簿はやめとこっか」\n「いえ、自由に書けばいいんですわ。どんなに些細なことでも、書きたいと思ったらそれで……」\n「じゃあ、ケーキを食べたいとか、そんな内容でいいのかな?」\n「もちろんです。いつか見返した時、当時の気持ちを思い出せますよ」\n\nすると、トーナはノートを閉じ、心の中である決定をした。\n「ケーキを買いに行こう!もちろん、私たちにとって大事なイベントだから、ノートにも書くよ!」\n「ケーキの味とか大きさとか、色とか形とか……たくさんかけそうだね」\n「そうと決まれば、準備するよっ!」\n「では、私は自転車に空気を入れてきますね。せっかくですし、ヘレンおばさんにも会いに行きましょうか」\n「何のケーキにしようかな?」\n\n机の上に残されたノートは、先ほどよりも輝いて見えた。",
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"DiscIP.214021.1": "フル",
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"DiscIP.214021.2": "サビ",
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"DiscIP.214021.3": "一期一会",
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"DiscIP.214021.4": "渡り鳥は北で繁殖してから、南に戻って冬を越す。\nしかし、群れを比較すると、それぞれ行動が異なってくる。\n\n北に住む鳥は、温暖な環境を求めて冬は南へ向かう。\n一方、南に住む鳥は、暑さを避けて夏は北へ向かう。\n\nもしお互いの距離が離れていたとしても、旅をしていればいつか出会える。\nだから、別れることになったとしても、悲しむ必要はない。\n何も起きない関係であれば、そもそも最初から縁は結ばれなかったはずだ。\n\n「みんなはどう思う?」\n静かな夜空の下に、カエデの声が響く。\n遊び疲れたナツカは芝生の上で横になっていた。\nナズナは楽しそうにフユカを追いかけている。\nカエデは両手で足を抱えながら、優しい笑みを浮かべていた。\n「こうやって遊ぶ機会も、なかなかないよね?」\n「いつも色々と忙しいから、こうやって一息つくのもいいね」\n「それで、ナッちゃんはどう思うの?」\n「私は……いえ、私の考えは重要じゃないです」\n\n渡り鳥が星空の下で水遊びをしている。\n湖に映る自分を見ながら毛づくろいをすることで、生まれる絆が存在するはずだ。\n\n「いずれ、私たちは違う旅に出る。それでみんなの夢が叶うなら、それで充分だと思う」\n「……ナッちゃんは、それでいいの?」\n「ちょっと待って!まだ水遊びは終わりじゃないよ!\n「ナズナ、忘れたの?私は魔法が使えるよ」\n「それはなしだよ!カエデねえさん、何か言って!」\n「うふふ……」\n\nどこにいようと、長い旅路の中では自由と孤独を味わうことになる。\nいつか別れの日が来たとしても、思い出と希望を背負って、少女たちは新しい季節を迎えるだろう。",
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"DiscIP.214022.1": "フル",
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"DiscIP.214022.2": "サビ",
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"DiscIP.214022.3": "真夜中の鈴",
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"DiscIP.214022.4": "コハクは数日間、黒猫のところに来ていなかった。\n屋根の上で日向ぼっこをしている黒猫は、退屈そうに雲を眺めている。\n「にゃー」\n黒猫は屋根から降りると、巡遊者たちのキャンプへ向かった。\n\nオアシス号の中で、空白旅団のみんなは映写機を囲い、顔を見合わせる。\n願いで得た新しい神器が動かなかったのだ。\n「恩恵が足りない?」\n「そんなはずないと思う。出発前に心相石を満タンにしたし、戦闘も避けてきたから……」\n「そういえば、都市で神機を修理するのって、かなり高かったような……もう少し試してみようよ」\n「どうやって?」\n「えっと、確か『アモール住民生活指南書』には、故障した神器の修理方法も書いてあったはず……そうだ、上から3分の2の場所を叩けば、すぐ直るみたいだよ!」\n\n――ポンッ!\n映写機の画面が一瞬光った。\nそれから、カラフルな色で作られた円盤状の図形が出てくる。\n「直ったのかな……?」\n「つまり、これで依頼完了だね」\n「でも、今からだと少し遅いかも」\n「じゃあ、何しよっか?」\n「映写機を試してみよう」\n映写機の下には、いつの間にか録画箱があった。\nしかし、古びたパッケージの文字は読めそうにない。\n「飲み物準備してくる!」\n「おやつは任せて!」\n少し怪しかったが、最終的に使うことにした。\n日が落ちると、すぐに周囲は暗くなっていく。\n黒猫はよく知る匂いを頼りに、コハクのもとまでやってきた。\n「映画、微妙だったね……」\n「あ、ちょっと寒いから真ん中に座ってもいい?」\n「いいよ……あれ、変なものが映ってる」\n真っ暗な車内を照らす唯一の光が映写機だった。\n録画箱の中身は面白くないというよりも、どことなく不気味だった。\n時折ノイズが走り、BGMもなく、聞こえてくるのはかすかな風の音だけ。\nそれ以上の情報は得られそうになかった。\n\n「シャーッ」\n黒猫は爪でオアシス号のドアを開けようとしたが、びくともしなかった。\n\n「えっ、外……?誰もいないけど、アヤメの聞き間違いじゃないの?」\nセイナがドアを開けたタイミング的に、黒猫とすれ違ってしまった。\n\n「くしゅんっ。あれ、こんなところに毛が……」\nくしゃみをしたセイナは、寒さからか怯えからか、真ん中で縮こまった。\n\n「セイナ、あんまり動くとポップコーンがこぼれちゃうから……」\nそう言いつつ、アヤメも二人の近くへ体を寄せる。\n\n「トン、トン、トン……」\n頭上から奇妙な音が聞こえてきた。\n\n「車の上から、足音が……」\nコハクは手を伸ばし、セイナに抱きついた。\n何かがおかしかった。\nけれど、それをうまく言葉にはできない。\n\n「……私も聞こえた」\n「ちょっと、外の様子を……えっ、画面が……井戸の中から何か出てこようと……」\n\n外にいた黒猫は、ようやく入口――車のサンルーフを見つけた。\n器用に体を伸ばして、そのまま中に滑り込む。\n落下した位置は、ちょうどソファで重要なシーンを見ている3人の真ん中だった。\n\n「きゃあーーーっ!」\n「にゃーーー!」\n人間と猫の叫び声が、静かな夜にひびきわたった。",
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"DiscIP.214023.1": "フル",
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"DiscIP.214023.2": "サビ",
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"DiscIP.214023.3": "虹を描こう",
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"DiscIP.214023.4": "最近、スケートボードのベアリングが錆びたせいで、滑りが悪くなった。\nそれに、バットも手に馴染んでいない。\nミネルバは少し疲れを感じているようだが、原因は分からなかった。\n学業の調子が悪かったのだろうか?\nそうではない。\n今学期もプラチナ貴族学院の奨学金をもらえる自信はあった。\nなら、ウィンドアッシュにトラブルが?\nいや……ここしばらく、縄張り争いはしていない。\n残るは帝国騎士と日課のように繰り返している鬼ごっこだが、それもまた違う。\nこれといったトラブルもないのにもかかわらず、なぜか疲れている。\n日常生活に興味が湧かないのだ。\n\n「これがあれば、姉御が元気になってくれんのか?」\n「そこまで私たちと年齢差があるわけじゃないし、本当はもっと遊びたいはず」\n二人は大量のスプレーを持って、ウィンドアッシュに帰ってきた。\n\n「遊びにいきましょう、姉御」\n「でもよ……」\n「これを見たら、気が変わるかもしれないじゃん!」\nシュッ――\n鮮やかな赤が、ミネルバの視界を染める。\n「今日は天気もいいじゃん、姉御」\n\nいまいち気乗りしない様子だったが、ミネルバは港まで行った。\nどうやら、しばらく外の空気を吸っていなかったようだ。\n「姉御、このボールが打てるかな!」\nミネルバは反射的にバットを振った。\nバットにボールがヒットした瞬間、悩みがすっと軽くなったように感じる。\n「姉御の笑顔、久しぶりに見た気がしますね」\n「なんか、私たちと変わらない女の子って感じじゃん!」\n「あっ、顔に塗料が……」\n「気にする必要ねぇよ。喧嘩になったら血くらい付くだろ。そういや、何を描くんだ?」\n「うーん、そうですね……虹なんてどうです?」",
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|
"DiscIP.214024.1": "フル",
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"DiscIP.214024.2": "サビ",
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"DiscIP.214024.3": "地底の彼方へ!",
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"DiscIP.214024.4": "宝探し――\n巡遊者の目標が星ノ塔から神器に変化した時、勇気と希望に満ちた言葉は、人々の生活から徐々に消えていった。\n\n「宝探しをしよう!」\nランチの準備をしているアヤメは手を止めた。\n「ほ、本気で言ってるの!?」\nセイナは朝早く出かけたが、条件の良い依頼はすでになくなっていたようだ。\nしかし、その帰り道に見つけたドーラを稼ぐ方法が、宝探しだった。\n神器は希少性の高さから、探し求めている上流階級の人は少なくない。\n遺跡から発掘された骨董品は特に人気があり、想像もつかない値段で取引されることもある。\n\n「ほら、この都市の周辺には、未探索の遺跡がたくさんあるはずだよ」\n「うーん……でも、星ノ塔を登るより大変じゃないかな?」\nこれ以上は何を言っても無駄だと悟ったアヤメは、荷物をまとめて準備をする。\n「そういえば、コハクは?あっ、パンも持っていくよね」\nコハクは猫のようにサンルーフから飛び降りてきた……1匹のリスと共に。\n「この子、迷子みたい」\n「なら、お宝を探しながら、家を探してあげようか」\nこうして宝探し小隊は森へ向かって出発した。\n\n森に来てから、数時間が経過している。\n想像以上の広さから、迷う危険性が出てきた。\n「ここまで来て諦めるのは……」\n「も、もう少し進んでみようよ」\nそろそろ帰ろうか、という空気になっていたところで、突然コハクの懐からリスが飛び降り、森の奥へ走っていく。\n3人は顔を見合わせ、そのまま追いかけることに。\n行く手を塞ぐ蔓や根を処理していくと、地下に続く遺跡の入口が現れた。\n「遺跡の入口だよ!」\n「セイナ、気をつけて」\n「大丈夫、ちょっと様子見てくるね!」\n\n「キーキー」\nリスは家を見つけてくれた感謝を伝えるかのように、コハクのそばに寄ってきた。\n一方のコハクは、遺跡を見つけてくれたお礼に、リスを優しく撫でる。\nセイナは下に繋がる蔓を掴むと、深呼吸をしてからカウントを始めた。\n「3、2、1……ジャンプ!」",
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"DiscIP.214025.1": "???",
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"DiscIP.214025.2": "???",
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"DiscIP.214025.3": "???",
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"DiscIP.214025.4": "???",
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"DiscIP.214026.1": "フル",
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"DiscIP.214026.2": "サビ",
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"DiscIP.214026.3": "古池の水音",
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"DiscIP.214026.4": "「出発してもよろしいでしょうか?」\n「もう少し待つんだ」\n「御意」\n\n水は勢いよく岩壁から流れ落ち、視界の外へ消えていく。\n大邸宅の次に、チトセはよくここに訪れる。\nなぜなら、水と関わる修行をするには最適だからだ。\nチトセ自身、悩んでいた。\n樹木や岩だけでなく、草葉や泥まで斬れるようになったが、果たして水が対象の場合はどうすれば良いのだろうか、と。\nいくら斬ったところで、水は形を変えるだけだ。\n\n刀を水中に突き刺せば、斬ったと言えるのか?\nそれとも、刀を振って波を起こせば良いのか?\n\nチトセには理解できなかった。\nそれでも彼女は、今日も刀を振るい瞑想を繰り返す。\n\n疲労が溜まってきたせいで足元の水に気づかず、チトセは足を滑らせ水の中に落ちてしまう。\n「――っ!?」\n幸い、膝ほどの深さしかなく、溺れるような事態にはならなかった。\n「なるほど……」\n濡れた髪を見つめていたチトセは、どうやらなにかに気づいたようだ。\nこれまでは刀に執着していたせいで、水を理解できていなかったのかもしれない。\nしかし、この日を境に彼女は水と一体になる。\n\nチトセは息を整え、刀を握りしめた。\n体に流れる水は徐々に遅くなり、指先と刃先から分離していく。\nそして、何かに導かれたかのように刀を振るうと、水が空中で円を描いた。\n果たして、これで斬ったことになるのだろうか。\n彼女も確信は持てずにいたが、少なくとも気持ちは晴れたようだ。\n「本当に、水とは不思議なものです」\n\n「そろそろ出発しても?」\n「い、急ぎすぎではないか?せめて、体を拭いて服を乾かしてから……」",
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"DiscIP.214027.1": "フル",
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"DiscIP.214027.2": "サビ",
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"DiscIP.214027.3": "自由自在",
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"DiscIP.214027.4": "「何を描いてるんだ?」\n\nチーシアの霊符に奇妙な表情を浮かべる人間は、これが初めてではない。\n本来、霊符とは白い紙に墨で描くもの。\nしかし、彼女の場合は異なっていた。\n歪んだ文字や謎の記号、動物を描いたり、紙を真っ黒に塗りつぶしてしまう時もある。\n常人とはかけ離れた感性を持つ彼女に、厳しい言葉をぶつける人もいた。\n「本当に効果はあるんだろうな……」\n「なんだこれ、ナメてんのか?」\n「おいおい、素人かよ」\nしかし、そのような声を聞いても、チーシアは一切動じない。\n彼女は自分自身の法則に従って霊符を描いている。\nどれだけ疑いの目を向けられようと、術式には絶対の自信を持っていた。\n「もし効果がなければ、ここに戻ってくるのじゃ。おぬしが支払った金額を3倍にして返そう」\n墨だらけの顔で、彼女いつもこう答える。\n\nチーシアの意味不明な落書き――霊符は、徐々に「最強のご利益」として重宝されるようになった。\nそれでも、彼女が筆を執っている様子を見て、眉をひそめる者は今もいる。\nもっとも、他人の論争にチーシアは興味がない。\n玄師になった時、彼女は師匠から筆を託された。\n「自分の想像力を過小に評価するな。良いか、俗世のルールに縛られたり、創造を恐れたりしてはならない」\n\n彼女は今日も、霊符を通して異様な恐怖に立ち向かっている。\nそう、これは玄師の戦いだ。",
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"DiscIP.214028.1": "フル",
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"DiscIP.214028.2": "サビ",
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"DiscIP.214028.3": "白日の花園",
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"DiscIP.214028.4": "「目を閉じて、ゆっくり深呼吸をするんだ。いま、お前さんは暖かい部屋にいる。邪魔者は誰も存在しない。さあ……なにが見える?」\nナノハは師匠の言葉に従って想像してみるが、なにも見ることができなかった。\nけれど、正直には答えられない。\nなぜなら、修行不足を師匠に叱られてしまうからだ。\nずっと黙っていては、バレてしまう。\n早くなにか言わなくては、とナノハは焦るばかり。\n「お花が、たくさん見えました……」\n「へえ、どんな花が咲いてるんだい?」\n「あ、その……」\nナノハは嘘がバレていることに気づいた。\n目を閉じて、師匠の言葉を待つ。\n「心の鍛錬では、己と向き合うことがなによりも大切だ。嘘をついていちゃあ、なんにもならないね」\n「谷風家政の一員である以上、いつか必ず受け入れがたい問題と向き合わなきゃなんない日がくる。その日に備えて、心を鍛えとくといい」\n「けれどいつもの鍛錬と違って、焦る必要はないよ」\n――どうして怒られなかったんだろう。\nナノハは師匠の言葉の意味を理解できなかった。\n「ところで、『花畑』は例の庭園をイメージしたのかい?」\n「はい」\nたまたま最初に浮かんだのが、あの懐かしい向日葵の花畑だったのだ。\n\n翌日、ナノハが外出から戻ると、畑の土が耕されていた。\n何事かと思っていたら、師匠に声をかけられた。\n「水やりはお前さんに任せたよ、ナノハ」\n\nその後、彼女はきれいに向日葵を咲かせてみせた。\n空っぽだった世界に、ようやく自分だけの居場所を作り出せたのだ。\n\nまたしばらく経ち、傷を負った先輩を手当するために向かった先が、記憶の中の庭だった。\nその先輩は、ナノハの師匠とも面識がある。\n「いい場所ね、ここは。昔、何度か訪ねたことがあるんだけど、その時のあなたはもっと小さかったわ」\n「あなたの師匠には、なにか植えたほうがいいんじゃないのって言ったんだけど、結局このままだったのね」\n「一度、向日葵を植えたことがあります……」\n「本当に……?組織のルールで、誰も住んでいないように見せかけなくてはならないって聞いたような。それに、私は一度も見たことが……」\n\n黄金の部屋で、ナノハは次の可能性を探っていた。\n塔に登ると、記憶を失うことがある。\n向日葵の思い出は、いつの話なのだろうか?\nあれは実際の出来事だったのだろうか?\nもしかしたら、自分自身で作り出した幻かもしれない。\nどうか、先輩の記憶が間違いであるように願った。\n師匠が言っていたように、自分は騙せない。\nけれど、唯一証明できる人は、もういなくなってしまった。\n師匠を見つければ、すべての謎が明らかになるはず。\n何としても、彼女を見つけなくてはならない。\n\nナノハは立ち上がると、日の差すほうへ歩き出した。\nたとえ、それが終わりなき旅だと分かっていたとしても。",
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"DiscIP.214029.1": "???",
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"DiscIP.214029.2": "???",
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"DiscIP.214029.3": "???",
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"DiscIP.214029.4": "???",
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"DiscIP.214030.1": "フル",
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"DiscIP.214030.2": "サビ",
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"DiscIP.214030.3": "穴あきおサボり",
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"DiscIP.214030.4": "眩しい太陽に、木々を揺らすそよ風……今日も静かで平和な一日が過ぎていく。\nウィローはいつものように仕事をしていた。\n先ほどから手は動いているが、どこか集中できていないようだ。\nしかし、もうすぐ客が訪れるという直感があった。\n「ハロー!ウィローは何をしているの~?」\n「もちろん仕事ですよ、ラールさん」\n窓から現れたサボり少女は、今日も手土産のスイーツを持っていた。\n「とりあえず、ティータイムでもどう?」\n\nもしラールがドアから入ってきたら、とんでもないミスを犯したか、地理協会と恩恵意志が完全に決別したかのどちらかだ。\n少なくとも、ウィローはそう考えている。\n\n前に一度、ラールに窓から入ってくる理由を聞いてみたところ、こう返ってきた。\n「だって、サボりよ?堂々とドアから入れるわけないでしょう!だから、少しでもひと目につかないように、ひっそり行動してるの」\n\nラールの自由な性格を、ウィローは少し羨ましく思っていた。\n毎回スイーツを持ってきてくれるラールのために、ウィローのオフィスの窓は雨の日でも少し開いている。\n「今日は何味のポテトですか?」\nウィローは書類を片付けて場所を空けた。\n楽しそうな表情で、ラールは食べ物を並べていく。\n「この前、ポテトはもう飽きたって言ってなかった?ちょうど近くに新しいパン屋さんができたから、今日はドーナツとパンにしたよ~」\n「まさか、覚えていてくれるなんて……それじゃあ、お茶を用意してきますね」\n「ふふっ、ありがとう」",
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"DiscIP.214031.1": "フル",
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"DiscIP.214031.2": "サビ",
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"DiscIP.214031.3": "強者を求めて",
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"DiscIP.214031.4": "二人が初めて出会ったのは、とある雨の日のこと。\nチトセは日課のベッドメイキングをしてから、三本の刀を順番に並べた。\n修行のルールは決めず、心の赴くままに取り組むほうが良いと彼女は考えている。\nそれにしても、いつもより修行の開始時間が遅い理由は、このお店で売られているおにぎりがこの上なく美味しかったからだ。\nとはいえ、さすがにそろそろ戻らなくてはならない。\n\n荷物をまとめてドアを開けると、下の階から揉めている声が聞こえてきた。\n「ここのおにぎり、腐ってたぞ!食べてから腹が痛いんだ。どう責任を取ってくれる?」\n「納得いくまで絶対に帰らないからな!」\nお店の前には、人だかりができていた。\nこのような場面を見るのが、チトセは苦手だ。\nもっと強ければ成敗することもできたが、今はまだそうもいかない。\n最後にもうひとつおにぎりを食べたかったようだが、この状況では難しいだろう。\n\n「大変申し訳ございません。ですが、どうか落ち着いてください。詳しい状況を教えていただけませんか?」\n黒装束を身にまとった青髪の少女の存在が、チトセは気になった。\n彼女はトラブルを起こした客だけを、じっと見つめている。\n「あの格好……弁護士か」\n「あーあ、いくらお金を請求されるんだろうな……」\nどうやら、弁護士とはあまり良いイメージの仕事ではないようだ。\n「……なるほど、状況は理解しましたわ」\n「おにぎりを購入したのは、3日前でしたか。それで、食べたのは昨晩、と」\n「適切な環境で保存していれば別ですが、今回は常温で保存していたあなたに落ち度があります」\n\n騒動が解決すると、すぐに人は散っていった。\nしかし、チトセはその場を離れずにいる。\n「あの弁護士に果たし合いを申し込むには……」\n彼女と勝負をすれば、さらに剣技が研ぎ澄まされるはずだという直感がチトセにはあった。\n向こうも視線に気づいたのか、鋭い目を向けてくる。\n\n2年後、チトセの修行の旅は一段落ついた。\nほとんど人が訪れないボロボロの宿場に、彼女は「あまぎく」と名付けた。\n今日は朝方から強い雨が降っている。\nしかし、そんな雨風に耐えながら宿に向かってくる人の影があった。\n「こちらで少しお休みになりませんか?」\nチトセは刀を抜きながら尋ねる。\nこれは彼女なりの礼儀作法だが、ほとんどの者は驚いて逃げてしまう。\nしかし、その者は違った。\n強大な斧を真正面から振り下ろして「返事」をする。\n「ご厚意は嬉しいのですが、あいにくといまは急いでおりますので……手短に済ませましょう」\nチトセは喜びを抑え、一瞬で集中状態に入る。\n今度こそ、あの日の心残りを晴らすべく。\n果たして、一戦を交えてから、彼女は手作りのおにぎりを食べて一休みしてくれるのだろうか。",
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"DiscIP.214032.1": "フル",
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"DiscIP.214032.2": "サビ",
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"DiscIP.214032.3": "真理の大釜",
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"DiscIP.214032.4": "「合言葉は!?」\n「ピカピカリピララ!」\n合言葉を確認して急ぎドアを開けると、ミスティちゃんが駆け込んできた。\n「ふぅ、バレずに逃げ込めたわね♪」\n「もしかして、結構危なかった?」\n「まあね。でも、私にかかればこれくらいどうってことないない★」\n\n世界は暗い霧に覆われている。\nいろいろな人の思惑や謀略、野心、それに悪意やこじれた善意……\nそういったものが濃く、そして深い霧を生み出してしまう。\nこの霧をかきわけ、場合によっては吹き飛ばして、その奥の『モノ』を暴き出すような真似を私たちはしている。\n結果、ある程度その身を危険にさらさねばならないのは致し方のないことだけど……\n\n「ったく……まんまと踊らされて偽情報を掴まされてたってわけね」\n「みたい……だね……せっかく潜入調査までしていたのに……」\n「全部パーになっちゃった……★」\nさすがのミスティちゃんも落ち込んでいるように見える。\n久々の特ダネだと意気込んでいただけに、ショックは大きそうだ。\n\n「……でもま、落ち込んでたってしかたないし、次のスクープを探しましょ!」\nと思いきや、案外切り替えがはやかったようだ。\n\n「人は誰しも好奇心を止められないもの……人類皆ことごとく真実を求めている!」\n「そ、そうだね……!」\n「だというのに、レッドアイズはスポンサーや権力におもねってばかりで!メディアとしての義務を忘れ、都合の悪い真実を隠そうとしているの!」\n「う、うんうん……!その通りだと思うよ……!」\n「魔女として、アタシ、こんなの看過することできない!」\n「さ、さすがミスティちゃん……!一流の魔女は言うことが違うね……!」\n「そういうわけで、どんなにレッドアイズのお偉方に嫌われようと!弾圧されようと!アタシは真実を追い求め、伝え続けるわ!」\n「い、いよっ!ノヴァイチの敏腕魔女!」\n\nこのくだりを聞くのも何度目だろう……\nどんなに酷い目に遭ってもくじけないのだから、ミスティちゃんは本当にすごい。\n正直なところ、なにが彼女をそこまで突き動かしているのかは深く理解できてはいないが……\nそのバイタリティは本当にすごいと思っているし、尊敬している。\n私も本当は……あれくらいじゃなきゃいけないんだろうなぁ……\n\n「私はアナウンサーだから……できることは限られているけど……」\n「ノンノン!そんなこと言わないの!アタシはオフィールが一緒にいてくれるだけでうれしいんだから♪」\n「そ、そう……?なら、良かった……のかな?」\n「というわけで……アタシたち、秘密結社『真理の大釜』は、これからも真実を追い求め続けるわよ!」\n「う、うん……!その、一緒にがんばろうね、ミスティちゃん……!」",
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"DiscIP.214033.1": "フル",
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"DiscIP.214033.2": "サビ",
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"DiscIP.214033.3": "メメント×モリ",
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"DiscIP.214033.4": "診療所に面白い患者がやってきた。\nクルニスはカルテを手に取ると、名前の欄に印をつける。\n「恩恵意志、黄昏庁の審判官……フフ」\n\n「最近、すごく体調が悪いのよ」\nシスター姿の患者が、とても苦しそうな表情で深呼吸をしている。\n「肺……いえ、心臓のあたりがズキズキして……」\nクルニスは彼女の嘘を感じ取った。\nあまりにも分かりやすい嘘が、目の前の「患者」の危険な目的を教えてくれる。\n\n「先生……ワタシの右腕ばかり見て、診察を始めないのはどうして?」\n患者は別の話題を持ち出してきた。\n「この腕章がきになるかしら?ウフフ、懐かしいのよね?」\n「うるさい患者には、いつも声が出せなくなる薬を飲ましているんだけど……」\nクルニスは笑みを浮かべながら、紫色に光る薬を手に取る。\nしかし、次の瞬間、それは患者の手にわたっていた。\n「苦い?それとも痛い?飲めば分かるわぁ~」\nワクワクした表情の患者は、口の端を徐々に上げていく。\n\n薬を飲み干したグレイの体には、熱い感覚が残っていた。\nもっとも、彼女にとってはちょうど良い刺激でしかない。\nだが、声を出そうとしたところ――\n「い……あっ、うぅ……!」\n声にならない音が喉から出る。\nグレイはクルニスに向かって親指を立てた。\nこの薬が尋問用のものよりも強いことを伝えるために。\nそして、なぜ自分のような貴重なサンプルを追い出したのか聞くために。\n\n診察室を追い出されたグレイは、軽く服の汚れを払うと、置いておいたシャベルを抱える。\n「死神」の異名を持つ先生に挨拶する目的は達成できた。\n思った以上の収穫――確かな匂いを感じ取った。\nそう、「死」が舞う香りを。",
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"DiscIP.214034.1": "???",
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"DiscIP.214034.2": "???",
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"DiscIP.214034.3": "???",
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"DiscIP.214034.4": "???",
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"DiscIP.214035.1": "???",
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"DiscIP.214035.2": "???",
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"DiscIP.214035.3": "???",
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"DiscIP.214035.4": "???",
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"DiscIP.214036.1": "フル",
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"DiscIP.214036.2": "サビ",
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"DiscIP.214036.3": "痛みは救済",
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"DiscIP.214036.4": "「天使が迎えに来たの……?」\n「ワタシは天使じゃないわよ。ほら、修道服を着てるでしょう?」\n「ごめんなさい……目が悪くて、よく見えないの」\n「先生の言いつけを破って、暗い部屋でマンガを読んでたから……」\n部屋の中は、人を不快にさせる医療用神器の音が鳴り響いていた。\n病床に伏せている女の子は、修道女を見つめている。\n白い空間の中で、彼女の異質な赤色修道服は輝いていた。\n\n「大丈夫。みんな、ワタシのことを死神って呼ぶのよ」\n「死神は修道服なんて着ないんじゃ……?」\nグレイは何も言わずに、数日前の出来事を思い出す。\n\n「アモール大聖所を代表して、数日間あそこにいなさい。何かする必要はないわ。神は見捨てていないことを伝えてくれたら、それで充分」\n女性はグレイの身分を知っていたが、ここでは年長者として命令を下していた。\n「断るつもりはないけど、ワタシよりも適任な人がいるんじゃないかしら?」\n「頑固な年寄とは言い争いたくないわ。だから、代わりに行ってちょうだい」\n「それと、出発前にちゃんと着替えること。その格好だと、悪魔に見えるわ……」\n\nグレイは軽く荷物をまとめると、すぐに出発した。\n毎日、血を浴びている彼女には、真っ当な修道士の仕事をどうやってこなせば良いのか分からない。\nしかし、現場に到着してみると、彼女のよく知る「死の匂い」が漂っていた。\n\n院長はグレイを奥の部屋に連れて行った。\nそこには衰弱した少女が横たわっている。\n「この子は幼い頃、両親に捨てられました。以来、ここで育った敬虔な信徒ですが、おそらくもう長くはないでしょう……」\n「だ、誰かいるの?」\n「いい子だ、今日はシスター様が会いに来てくれたよ」\n「いえ、シスターでは……」\n「ありがとうございます……良かった、神様がお願いを聞いてくれたんだ」\nグレイは初めて見る彼女の慌てように驚いた。\n「……やっぱり、お姉ちゃんって呼んでもらえる?今のワタシは、シスター見習いよ」\n\n「痛い……痛いよ、お姉ちゃん!」\n神器の警報音と苦痛に悶える声が、グレイを現実世界へ引き戻した。\n他人を癒すよりも傷つけるほうが得意な彼女は、少女に自分の腕を強く掴むよう助言する。\n腕の痛みに意識が向いたのか、少しずつ落ち着いていく。\n「お姉ちゃん……痛いよ」\n「痛みは生きている証拠よ」\n「お姉ちゃんは、痛いのが平気なの?」\n「ワタシは痛みを感じないと生きていけないのよ……だから、また痛くなったらワタシに痛みを分けてちょうだい」\n「お姉ちゃんは、苦しい時に神様のことを考えたりするの?」\n「神様はお願いを聞いてくれるのかな?」\n「ねぇ、お姉ちゃんはどうして痛みがないと生きていけないの?」\n「お姉ちゃん。ねぇ、お姉ちゃん……どこ?」\n\n遠くから鐘の音が聞こえてきた。\n子どもたちは黒い服に身を包み、院長と一緒に頌歌を歌っている。\nグレイは身をかがめ、腕に残る傷を撫でながら、白いバラを墓碑に供えた。\n「人の一生は、苦痛に満ちた巡礼……アナタは今、苦難から解放されたのよ」\n「どうか、神のご加護があらんことを……」\n目を閉じて、グレイは少女に祈りを捧げる。",
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"DiscIP.214037.1": "フル",
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"DiscIP.214037.2": "サビ",
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"DiscIP.214037.3": "伝説のアラシ",
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"DiscIP.214037.4": "新しくオープンしたクレーンゲーム専門店は繁盛していた。\nここで取れるぬいぐるみの品質はとても良い。\nプロの目線で評価すると――\n「大事に育ててるから、魂が宿ってるよ」\n「つまり、ぬいぐるみが手入れされてるってこと?」\n「そういうこと!しかも、ぬいぐるみに合わせた装飾品まで作ってくれてるらしいんだよ」\nぬいぐるみの話になると、ナズナは饒舌になる。\n「いやぁ、愛がないとできないね!」\n「そうだ、せっかくだから、新しいぬいぐるみを……」\n\n「ダメよー、もう置く場所がないでしょ?それに、今日は見るだけって約束だから、いったん落ち着こう?」\n「しかも、ナズナが本気を出したら、このお店が今日中に閉店する可能性が出てきちゃうし」\n「フフーン♪『クレーンマスター』の腕の見せどころだね~」\n\n「あの、クレーンゲーム得意なんですか……?」\n急に小さな男の子が会話に入ってきた。\n「あっ……え?」\n「さっき、『クレーンマスター』って言ってたから、得意なのかなって……」\n「うん、一応超得意だよ?」\n「お願いします、『まん丸マルコ』を取ってください!」\n「ええっ?」\n\n『まん丸マルコ』とは、子どもに人気のぬいぐるみだ。\n男の子はお小遣いをたくさん使ったが、思うように取れなかったらしい。\nしかし、ナズナは台の仕様を確認すると、あっさり取ってしまった。\n「はい、大事にしてあげてね」\n「わっ!やったぁ、ありがとうございます!」\n「さすがナズナ……」\n「確かにすごかったわ……」\n「これくらい朝飯前だよ~♪でも、今日はそろそろ帰ろっか」\n\n店を出ると、男の子の『まん丸マルコ』を女の子が奪おうとしていた。\n「離して、これは僕のだよ!さっき『クレーンマスター』に取ってもらったんだ!」\n「そっちこそ、あたしの『おにぎりちゃん』を離して!」\n「僕の!」\n「あたしの!」\n\n「どうすれば……?」\n「ぬいぐるみのことは、ナズナに聞いてみたら……」\n「うーん……何かおかしいよね」\nナズナは子どもたちのもとへ駆け寄った。\n「二人とも、やめて!何があったのか教えてくれる?」\n\n……どうやら、女の子は『おにぎりちゃん』と名付けた『まん丸マルコ』を失くしてしまったらしい。\n「見た目が同じだけじゃなくて、毛玉や細かい汚れまで一緒……?」\n\n「クレーン泥棒だよ!」\n「どういうこと……?」\n女の子の話によると、このあたりのクレーンゲーム店では、ぬいぐるみがよく失くなるのだとか。\nどうやら店側もなかなかあくどいことをしているらしい。\n「……なるほど、そういうことかぁ」\n「安心して!この『クレーンマスター』が、みんなの大事な友達を解放してあげる!」\n「ナーちゃん、すごいやる気ねー」\n「好きにさせよう。一応、私たちは戦いの準備を」\n「えっ、誰と戦うの?」\nただ一人、フユカだけが状況を掴めずにいた。\n\nその後、謎の『クレーンマスター』が現れ、1日で全部のぬいぐるみを取ったという伝説が生まれた。",
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"DiscIP.214038.1": "フル",
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"DiscIP.214038.2": "サビ",
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"DiscIP.214038.3": "波にゆられて",
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"DiscIP.214038.4": "「今日はいちだんと暑いなぁ……」\n背中や首に髪が引っ付くほどの暑さに、何度姿勢を変えてもシアは昼寝ができなかった。\n毎年、この時期は長い髪を切ってしまおうか悩むが、いつも決断できずにいる。\n昼寝を諦めた彼女は、少し散歩することにした。\nしかし、ドアを開けた瞬間、外の熱気にやられてしまう。\n目の前のビーチは、熱せられた網のようにとてつもない温度になっていた。\nこのような猛暑日だと、もはや逃げ場はない。\n\n「助けて!誰か、誰か助けてっ!」\n海の中で女の子が溺れている。\n女の子の友達は皆パニックになり、なにもできずに立ち尽くしていた。\nそれを見たシアは、靴を脱いで海のほうへ走り出す。\n幸い、女の子は岸からそれほど離れていない。\n身長が低いため、足が地面につかなかったのだろう。\n「落ち着いて……!すぐ助けるからね……!」\nシアが女の子を抱きかかえて岸に戻ると、友達が駆け寄ってきた。\n「だ、大丈夫……?バカにしてごめん、リラ……」\n「なにがあったの?」\n「魚の友達がいるって話したんだけど、みんな信じてくれなくて……」\n「でもね、昨日ママと魚釣りに行ったら、頭が大きい灰色の魚がついてきてくれたの」\n「最後に明日も会おうねって約束して、尻尾を振ってくれたんだ」\n「でも、なかなか来てくれなくって……」\n「それで……足が届かない場所まで泳いでいっちゃったんだね」\n\nシアは子どもたちを落ち着かせてから、再びトラブルにならないよう、近くの木陰で見守っていた。\n「お姉ちゃん……この浮き輪、あげる」\n振り返ると、期待に満ちた女の子と目が合った。\nそれをきっかけに、心の奥深くに眠る記憶が呼び起こされる。\n\n――幼い頃、シアも魚を友達だと思っていた。\nいや、魚だけではない。\n貝やカニ、ヒトデ……海の生き物すべてが友達だった。\n当時、泳げなかったシアは、浮き輪で海に浮かびながら夏の暑さに耐えていた。\nふと、そんな過去を思い出しながら、女の子と手を繋いで海へ歩き出す。",
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"DiscIP.214039.1": "フル",
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"DiscIP.214039.2": "サビ",
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"DiscIP.214039.3": "夕涼み",
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"DiscIP.214039.4": "カリンは少し落ち込んでいた。\n祖母の件は無事に解決したものの、それとは別に悩みごとが生まれていたのだ。\nそよ風が気持ち良い今日のような晴れた日なら、夏を満喫できたはず。\nシアと一緒に浜辺でカニや貝をとったり、シアとサーフィンを楽しんだり、夕暮れには砂浜でシアとバーベキューを楽しみながら夕日を見たり……\nだが、その計画は叶わなかった。\nなぜなら、浜辺に人が沢山いたからだ。\n本来いるはずのない人々が、あまりにも沢山いたのである。\n\n「わぁ、このサーフボードかっこいい!ねえ、アヤメ!ミドリちゃんの見た目、変えられないかな?このサーフボードみたいに!」\n「それはちょっと……いまは改造の予算がないから、大きな依頼を受けるまで待つしか……」\n「ふふ、セイナちゃんが興味あるなら、サーフィンを教えてあげてもいいよー?」\n「ほんと!?やってみたい!」\n「ねえシア、出航した時の話を聞かせてくれない?カーロタウンで一番の航海巡遊者ならおもしろい話くらい知ってるでしょ?」\n「ミスティさんは面白い話が、聞きたいの?」\n「そう!めちゃくちゃ奇妙で、怖ければ怖いほど最高★」\n\n……この人たち、いったい、いつになったら帰るんデス!?\n木陰に座ったカリンは、人だかりに囲まれているシアを見つめながら、持っていた缶を握り潰していた。\nそのとき、カリンのケータイが鳴った。\n画面を開くと、そこにはコハクからのメッセージが届いていた。\n「どうして一緒に遊ばないの?」\nカリンは目を見開いた。\n数日前に彼女たちと仕方なく連絡先を交換していたが、本当は余計なつながりなど持ちたくなかった。\n来るはずもないと思っていた連絡が届くとは。\nしかも、普段はあまり話さないコハクから。\nどう返事をしようか悩んでいると、二件目が届いた。\n「正直に言わないと、相手に気持ちは伝わらないよ」\n\n冷たい飲み物が売られている屋台の横に、コハクは立っていた。\nどうやら、自分の一挙一動を観察していたらしい。\n\nカリンは勢いよく立ち上がると、ぷりぷり怒りながらコハクの元に駆け寄り、目を見据えて言い放った。\n「なんであたしのこと見てるんデス?」\nコハクの瞳には驚き、動揺、戸惑いが浮かび上がり、頬がじわじわと赤く染まっていくのが見えた。\n「それ、どういう意味……?」\nコハクの返答に、カリンのほうもどうしていいかわからなくなり、太陽の熱もあってかますます顔が熱くなっていった。\n\n「コハクちゃん、カリンちゃん?なんを話してるの?あれ?ふたりの顔……スイカジュースみたいに真っ赤だよ?」\n「……もう行く」\nそう言い残すと、コハクは慌てて走り去ってしまった。\n「ちょっと!さっきのはどういう意味デスか……!」\nカリンの呼びかけに返事はなく、カリンはただコハクの背中を見つめ続けた。\nその背後に、危険が忍び寄っているとも知らずに。\n「ひゃあ——み、耳が!触るなデス!!」\n「やっと触れた、最高ー!ずっと触ってみたかったんだ……アヤメも触ってみなよ!」\n「セイナ、それはさすがに……」\n「本当にだめデス!?なんで触っていいと思ったんデスか!?」\n必死にもがくカリンだが、セイナの力のほうがはるかに強い。\n抗えないカリンは、ついに胸の奥にしまっていた言葉を叫んでしまった。\n「お姉ちゃん!早く、早く助けてください!!それから、ほかの人とばっかりじゃなくて、あたしとも遊んでほしいデス!」",
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"DiscIP.214040.1": "フル",
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"DiscIP.214040.2": "サビ",
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"DiscIP.214040.3": "迷いを断つ拳",
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"DiscIP.214040.4": "――刹那、少女の頭は真っ白になった。\nまだ答えは出ていない。最適解なんてわからない。けれど、頭より先に体が動いていた。\n\n「はああああっ!」\n少女の拳が爆風を巻き起こす。不動の敵は怒りの咆哮と共に後退する。\n\n破砕ノ牙はその巨躯にふさわしい生命力を誇っており、先の一撃だけでは倒れない。\nいくら退けようとも、マスクボアの濁流も留まるところを知らない。\n戦況は依然として膠着状態。仲間の消耗も激しく予断を許さない状況だ。\nだが、不思議なことに――まったく負ける気がしなかった。\n生まれてはじめての高揚感。未知なる感情への戸惑いの後、少女はその正体を確信する。\nそれは――\n\n『信頼』『信じること』『背中を預けること』\n……それから、ほんの少しの『自信』。\n\n誰かと一緒に戦えるなんて思わなかった。\nこんなにも早く、仲間に出会えるなんて思わなかった。\n数えきれないほど練習しても、努力しても、祈っても、願っても、\nそれでも夢の中でしか叶わないと、とっくに諦めていたはずだった。\n\n心臓が激しく高鳴り、額からは汗が滴り落ちる。\nかつてない危機。背負ったことのない重圧。\nそれでも少女の心は、彼女の人生の中で一番軽やかで、穏やかで、\n思わず笑みがこぼれてしまうような大きな喜びに満ちていた。\n仲間を守るための拳を繰り出すたびに、これまでの迷いを晴らすような爽快感があった。\n\n少女は悟る。すべて大切な人たちのおかげなのだ。\n\nわたしを信じてチャンスを与えてくれたあの人。\n黙ってわたしを守って、導いてくれた仲間たち。\nだったら今度は、今度こそ、わたしがみんなを守る番……!\n\n過去と決別した途端、無限の勇気が湧いてくる。\n少女は絶対に負けない。\n敵の巨躯が崩れ落ちる――その瞬間まで。\n\n――仲間の歓声を背に受けながら、少女は己の拳を見つめる。\n下を向いていた自分はもういない。心の炎は灯された。\n燃え盛る自信がもたらした勝利を固く握りしめ、少女は木漏れ日に目を細めた。",
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"DiscIP.214041.1": "フル",
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"DiscIP.214041.2": "サビ",
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"DiscIP.214041.3": "ジングルラール",
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"DiscIP.214041.4": "むかしむかし、これはとある世界のおはなし。\nその世界では冬の記念日を盛大にお祝いしていました。\n大切な人と過ごし、おいしいローストチキンを食べ、共に笑いあう素敵な一日。\n素敵なことはそれだけではありません。\n記念日の夜には、空を駆けるトナカイがひくソリが世界中を飛び回り\n子どもたちにプレゼントを配って回っていたのです――\n\n星ノ塔で拾った絵本をラールは閉じる。\n絵本に書かれていた記念日はノヴァ大陸の「クリスマス」とかなり似ているようだった。\n(トナカイでプレゼントを届ける……か)\n脳裏に浮かんだのは恩恵意志の倉庫である。\n一週間後に控えたクリスマスに向けて、整備されたピカピカのソリが並んでいた。\n(そういえば、アルベドにもらったアレ使えるか……?)\nラールはにんまりと口角を持ち上げ、星ノ塔をあとにした。\n\n翌日の早朝、ラールは森へと出向いた。\n(お!いたいた!)\nラールの視線の先には苔を食べている2頭のトナカイ。\n秘密兵器でも取り出すようにニンジンを高々とかかげると、\nそれをそっとトナカイの鼻先に近づける。\nトナカイはフンフンと鼻を鳴らしながらニンジンに引き寄せられはじめた。\n(よし、釣れた!)\n\nラールは巧みにトナカイを恩恵意志の倉庫の近くまで誘導する。\n(釣り師ラール様にかかれば魚以外を釣るのもお手の物ってね!\nトナカイたちがニンジンに夢中なうちに、ソリを拝借して……っと。\nあ、せっかくのクリスマスなんだし、派手な方が気分アガるよね)\nなにかないものかと倉庫を見回してみると、\n子どもたちに贈るおもちゃの山の中からあるものが目についた。\n(これいいじゃん!)\n\nかくしてラールのサプライズクリスマス大作戦は幕を開けた。\n倉庫の外に引きずり出したソリに友人たちへのプレゼントをどっさり積み込む。\nそしておもちゃの山から見つけた愛らしい兵隊人形たちでソリを飾り付けた。\n「あとはトナカイ!あんたたちには空を飛んでもらう!」\n\nラールは昔、空を飛ぶ魔法を習ったことがあった。\n当時の実習で教官が話していたことを記憶の底から拾い上げる。\n(えーっと……たしか魔力の調節はこんな感じで……)\n記憶を頼りに決められた手順で自身の魔力を操るラール。\nその手には鞭が握られていた。\n(魔力は十分……あとはこの鞭に込めるだけ!)\nラールは勢いよく鞭を振り上げる。\nパシィンッ!\n乾いた音と共に打ち付けられた鞭は白い雪を空へ舞い上げた。\n雪のカケラは朝日を受けて清らかに煌めき、\nその光は踊る精霊のようにソリとトナカイの間を飛び跳ねる。\n\nするとどういうことだろう。\nいっせいに飾り付けられた人形たちが動き出したのだ!\n驚いたトナカイは頭を振って手綱を振りほどいてしまう。\n「ちょ、まっ、あんたたち!ソリをひいてもらわなきゃ困るんだけど!」\n\nラールがあわてて手綱に手を伸ばそうとしたそのとき――\n\n「うえええええ!?どういうこと!?」\n\n手綱をつかんだのはトナカイでもラールでもなく、動き出した人形たちだった!\n人形は手綱をつかむとソリを引っ張りながら猛スピードで走りだす。\n\nザッザッザッザッザッザッザッザッ\n\n人形たちが雪をかきわける音は、まるで規則正しい行進曲のよう。\nリズミカルなフレーズに合わせ、ソリは雪原にシュプールを描いていく。\nその隣ではトナカイたちが楽し気に並走するように駆けている。\n\nなんて奇妙な光景だろう。\nこんなことになるなんて、誰が予想できただろうか。\nでも……でも……\n\n「あっははは!なにこれ、サイコー!」\n\nソリに倒れこんでいたラールは笑いながら立ち上がる。\n明るい朝日に照らされながら、こんな失敗は大したことないように思えてしまう。\nだってもうすぐクリスマス。\nこんな面白いサプライズ、むしろ最高ではないか。\n\n「よーし、このまま出発!\nみんな、一緒にウィローにプレゼントを届けに行くよ!」\n\nパシィンッ!\n再び乾いた音がベルの代わりに青天に響く。\n目指すは大事な友の家!届けるは素敵なサプライズ!",
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"DiscIP.214042.1": "フル",
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"DiscIP.214042.2": "サビ",
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"DiscIP.214042.3": "友と囲む新春の灯火",
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"DiscIP.214042.4": "物語には『大団円』という名の幕が下りる瞬間がいつか必ず訪れる。\n\n今回の事件を無事に解決した一行は、火鍋店『紅鼎記』で宴を楽しんでいた。\n個性豊かな巡遊者たちの宴が賑やかにならないわけがない。\nこの一年の冒険を熱く語る者。\n新年の抱負を威勢よく口にする者。\n皿に残った最後のエビを巡って子供のように取りあう者。\nそんなどんちゃん騒ぎの中、新年の訪れを告げる零時の鐘が鳴り響いた。\n\n窓の外で爆ぜる花火の音に誘われるように、\nクルニスはグラスを片手にバルコニーへと出た。\n\n冷たい夜風が火照った頬を撫でる。宴の熱に浮かされた頭が醒めてきたのか、\n彼女はこの賑わいに『ある人の声』が足りないことに気づく。\n(……どこへ行ったのかな?)\nつい先ほどまでは、身振り手振りを交えながら熱く語るセイナの冒険譚に\nテーブルのすぐそばで楽しそうに耳を傾けていたはずだ。\n\nそのあとはどうしたのだったか。\nクルニスはおぼろげな記憶を呼び起こす。\n(そうだ、新しく開発した薬を試さないかと誘ったんだっけ)\n宴の空気にあてられた今ならば首を縦に振ってくれるだろうと期待したのだが、\n残念なことに逃げるように席を立たれてしまったのだった。\n\n(半分は冗談だったのに。それから……ああ、買い物に出たんだったね)\nふわふわした記憶が線でつながる。\nちょうど飲み物が底をつき、優秀な助手は自ら買い出しに行くと申し出たのだ。\nこれ幸いにと仲間たちは次々と好みの飲み物を注文し、\n長いリストと共に店を出ていく背中を見送ったのを思い出した。\n\n(そろそろ戻ってくる頃合いかな)\n店内では笑い声が沸き起こり、遠くでは花火が弾ける音が響く。\nいつもなら静かに眠る夜の空気も、今宵ばかりは浮かれているようだ。\n\nふと階下に視線を落とすと、ちょうど袋を提げて店に戻る姿が目に留まった。\nふいにその顔が上げられると、ふたりの視線が重なる。\nクルニスは愛おしげに目を細めると、手元のグラスをそっと掲げた。\n\n「新春おめでとう、助手くん」\n\nその声が届いたのだろうか。\n笑いながらこちらに向けて手を振る姿に胸が温かくなる。\nなんてことはない一瞬。花火のように儚く短いひととき。\nけれどこの一瞬の光景は、彼女の心の奥底に\nかけがえのない思い出として刻まれることだろう。",
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"DiscIP.214043.1": "フル",
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"DiscIP.214043.2": "サビ",
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"DiscIP.214043.3": "革命の萌芽",
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"DiscIP.214043.4": "「フィレン様、ご要望の資料です。」\nフィーリエの混乱が収束し、4年前の事件の真相も白日のもとに晒された。\nフィレンは長らく封印されていた事件のファイルを受け取ると、\nそのページをめくっていく。\n黄ばんだ紙を丁寧になぞる指先が、馴染み深い名前の上でぴたりと止まる。\n『ジョット・ダ・フェルトロ』\n元アグリ・ユニオン研究開発部部長。\n業務上横領及び機密保持違反の罪で無期禁錮刑に処された。\n(お父様――)\n\nあれは何歳ぐらいのことだっただろうか。\nすっかり朧げな記憶となってしまった過去の出来事である。\n幼い自分は母の視線をかいくぐって、こっそり父のもとへ駆け寄ったのだ。\n「パパ……あ、おとうさま、ごきげんよう」\n慌てて小さな口をおさえて言い直す。\nいつ如何なるときも淑女たれというのは母の教えだ。\n拙い仕草でスカートの裾をつまんでレディの挨拶を披露したかと思えば、\nソファに座る父の膝に手をついて背伸びをする。\n「あの!その……わたくし、おとうさまの研究室を見てみたいのです。\nお仕事のお邪魔はいたしません!ですから……」\n服を握る小さな手にぎゅっと力をこめながら、父の顔を見つめるフィレン。\nすると父は大きな手で優しく頭を撫でてくれた。\n「もちろんかまわないさ。でも母さんには内緒だよ。\nもしバレてしまったら、私も一緒に怒られて罰を受けなければならないかもしれない」\n父の回答にフィレンは花が咲いたような笑顔を浮かべる。\nこうして父子ふたりだけの秘密の研究計画が始まったのだった。\n\n(あの日が遠い昔のようだわ)\n希望と夢と憧れに目を輝かせていたあの笑顔を\nいまの自分はとても浮かべられない。\nためしに真似をしてみても、無意識に歯を食いしばって\n口内に鉄錆の味が広がるだけだった。\n\n「ついに真相が明らかになったわね」\n隣に並んだ親友が感慨深げにつぶやく。\n「4年待った。4年……よく待ち続けたよ、私たち」\n「そうね」\n「フラヴィオからたくさん魔女が来てるわ。\n狙いはあなたの独占インタビューだろうけど、どうするつもり?」\n「もちろん受けないわ」\nフィレンは迷わず答える。\n「『真実』を求めるのであれば、取材すべきは私ではないでしょう?」\n「そう言うと思ったわ。資料整理が終わったら、報道担当の魔女を選んでおくから」\n\n(この結末に、お父様は満足してくれるかしら?)\nフィレンは遠くを見つめる。\nその翠の瞳は思い出の中の父を映していた。\n「私はこの革命的な研究を成功させる。\nこの研究は人々を幸せにすると信じているから。\nフィレンが大きくなる頃には、私たちの研究が\nみんなの生活をより良く変えているかもしれないね」\n\n――であれば、私はあなたの夢を叶えましょう。\n\n甲高い靴音がアグリ・ユニオンに響き渡る。\nそれは紛れもなく未来への一歩だった。",
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"DiscIP.214044.1": "フル",
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"DiscIP.214044.2": "サビ",
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"DiscIP.214044.3": "帳の内の秘め事",
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"DiscIP.214044.4": "クルニスは秘薬の研究をしているらしい。\n\nせっかくの休暇だというのに、近頃は蒼梧城の外へ赴き2、3日は戻らない。\n見たこともない薬草や小型の魔物と共に宿に戻ったかと思えば、また1日ほど姿を消す。\nそして次に彼女を見かけたときには、彼女の手にはもちろん宿の部屋にも\nそれらの痕跡は跡形もなく消え去っているのだ。\n\n傍目から見ればなにも変わっていないように見えるだろう。\nただ一点、彼女が携える巨大な注射器の中身以外は。\n気のせいなどではない。確実に中身が増えているのだ。\n\nあの注射器に満たされている薬はいったいなんなのか。\nあるときは魔物だけでなく星骸をも葬る『猛毒』として命を奪い、\nまたあるときは今際の際の患者を救う『特効薬』として命をつなぐ。\n\n「その注射器の中身はどんな薬なのか」\n好奇心に負けた問いが口をついて出る。\nするとクルニスは妖艶な微笑みと共に言葉を返す。\n「この薬の効能が知りたいのかい?ふふ、難しい質問をしてくれるね」\n彼女は巨大な注射器の薬液を小型の注射器へと移し替える。\nその表情はまるで愛しい我が子を見つめるかのごとく慈愛に満ちていた。\n「実はその時々に合わせて調合を変えているんだ。\n病を治すための調合もあれば、命を奪うための調合もある。あるいは……」\n\nシリンジに薬液が満たされると、彼女はゆるりと顔をあげてこちらを見つめてくる。\n「そんなに気になるなら、今日の薬はどんな効能のものか試してみる?」\n時すでに遅し。\n寝台から立ち上がるよりも前に、クルニスの白い手で肩を軽く押される。\n視界が回転し、次の瞬間には天井しか見えなくなる。\n音もなく帳が下され、いともたやすくふたりきりの世界が完成した。\n寝台に腰を下した彼女の手にはあの注射器。\nシリンジを満たす薬液が帳越しの明かりに照らされ妖しく揺らめいている。\n滑らせた視線は冷徹な針先に釘付けにならざるを得ない。\n\n「ま、待て!早まるな……!」\n「ふふ……怖がる必要はないよ。痛みは一瞬。なに、死にはしないさ」\n「そういう問題ではない!!」\n\n冷や汗が額から頬へと伝う。心臓の鼓動がいやにうるさい。\nいよいよ鋭い針が皮膚に突き立てられると思ったその瞬間――\n肉体が軽くなり自由が戻った。\n恐る恐る目を開けると、クルニスは満足げな笑みを浮かべていた。\n\n「ふふ、冗談だよ。この薬はまだ試験段階。人に使うようなものじゃない」\n彼女は何事もなかったように注射器をしまう。\n\n「でも……キミは少し私を信じすぎだね。あんなときはすぐに逃げるべきだ。\n好奇心は猫をも殺す……と言うだろう?」\nどこか含みを持たせた言葉は、まるで媚薬のように鼓動を高鳴らせるのだった。",
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"DiscIP.214045.1": "フル",
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"DiscIP.214045.2": "サビ",
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"DiscIP.214045.3": "千変万花",
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"DiscIP.214045.4": "山風が林を吹き抜け、枝を揺らし、静寂の中で微かに衣擦れのような音を立てる。\nしかし次の瞬間、静寂を打ち破る荒々しい罵声が木々の間から響き渡った――\n \n「両側から回り込め!逃がすな!」\n数名の傭兵が林から飛び出し、ブーツが落ち葉と土を踏み荒らしていく。\n彼らは彼女を山麓から長い時間をかけて追い立て、ついに鬱蒼と生い茂る森から標的をあぶり出した。\n――森が尽きたその場所は、開けた一面の花畑だった。\n風が吹き抜けると、名もなき野花の大群が揺れ動き、まるで寄せては返す波のようだった。花畑の中央で、オトハは静かに佇み、包囲してくる傭兵たちを一瞥した。\n彼女にはもう、逃げ場はない。\n\n「そこまでだ」\nリーダー格の傭兵が息を切らしつつ、冷ややかに告げる。\n「おとなしく持ち出した物を返せば、話を聞いてやってもいい」\nオトハは答えない。\nただ俯き、腕に抱いた番傘を見つめ、ゆっくりと、少しずつ傘を畳んでいく。その動作はまるで装飾品をやさしく愛おしげに手入れするかのようで、自分を取り囲む傭兵たちなど、目に入っていないかのようだった。\n「おい!聞いているのか!」\n「もちろん聞いておりんす」\nオトハはようやく顔を上げた。\n「ご親切な忠告、痛み入るでありんす。が――」\n彼女は小首をかしげ、傭兵たちを見据える。\n「なぜ、ヌシらが追っているこのアチキが『本物』のアチキであると、思っているのかぇ?」\nオトハが言い終わると同時に、一陣の山風が花畑を吹き抜けた。\n花たちが波打つ。無数の花弁が空へと巻き上げられ、舞い散る花弁の隙間から、傭兵たちはオトハが浮かべた微かな笑みを目撃する。そして、彼らは絶句した。\n谷風家政の代表を自称するその少女の背後に、一列に並んだ番傘が現れたのだ。\n1張り、2張り……次々と開いていく。\n次の瞬間、強風が散乱する花弁を一気に巻き上げた。傭兵たちが花弁に気を取られたほんの一瞬ののち、再びオトハに目を向けると、そこには誰の姿もなく、ただ一張りの番傘だけが残されていた。",
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"DiscIP.214046.1": "フル",
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"DiscIP.214046.2": "サビ",
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"DiscIP.214046.3": "雪解け告げる黎明",
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"DiscIP.214046.4": "尊者降臨の儀式は阻まれ、ノースハイムの事件は幕を下ろした。\n事件に巻き込まれた関係者が全員帰路につくのを見届けたレイスは、\nひとり無人となったキャンプ地を後にする。\n向かう先は氷に閉ざされ、静寂が支配する廃都だ。\n\n思い返せば久しぶりの帰郷にも関わらず、感傷にひたる間もなかった。\n(せっかく訪れたのだから、里帰りらしいことでもしていこうか)\nレイスは眩しいものでも見るかのように目を細めた。\n\n常に即断即決で戦場を駆け抜ける彼女にしては珍しく、その歩みは緩やかだった。\nすっぽりと雪に覆われた大通りだった地に一歩、また一歩と足跡を残していく。\n行き先も目的もない。ただあてもない『里帰り』。\n時間すら凍りついたこの街では、誰に急かされることもない。\n記憶に呼び起こされるまま、気の向くままに流れても咎められない。\n緩慢に悠長に、ただ穏やかなひとときに身をまかせてよいのだ。\n\n(あそこは……一番好きだったパン屋だ)\n視線の先に看板の文字が半分欠けた小さな店を見つける。\n店名が読めなくとも忘れるはずがない。\n幼い頃、週末の開店に合わせてお店へ駆け込んだ記憶が鮮やかに蘇る。\n焼きたての限定パンにありつくために、祖父からもらったお小遣いを貯めていたものだ。\nさらに進むと、見る影もなく崩れた通りがある。\nかつては塔から凱旋した燦烈の戦士たちが華々しく行進していた。\n戦士の勇気と栄誉を祝福するべく、街の中心部の公園では\nノースハイムの祭りである『燦烈祭』が盛大に執り行われていたのだ。\n\nその公園だった場所には、噴水の名残が氷の花と化していた。\n朝の稽古を終えるたび、そこで服や武器の汚れを洗い流すのがお決まりである。\n常連客はレイスだけではない。\n噴水の傍らのベンチには、いつもひとりで本を読んでいる少女がいた。\n互いに名乗り合うことはとうとうなかったが、\n決まって同じ時間に現れては無言で同じ時間を共有していた。\n\n(この店は……)\n古びた酒場の前に差しかかると、レイスはふと思い出したように\n迷いのない足取りで中へと踏み入った。\nそこはかつて、祖父の友人たちが営んでいた店だった。\n祖父を迎えにいくたび、「子どもの来る場所じゃない」と\n店主に摘まみだされた日々がひどく懐かしい。\n早く帰らない祖父が悪いとふてくされながら、\nいつも外で待たされていたことを思い出す。\n\n(私が一人前の戦士になった暁には、自分もこの店で戦果を\n自慢するのだと誓っていたのだがな……)\n朽ちたカウンターに手を置き、視線を落とす。\nふと視界の端をかすめたのは、カウンターの隅に置かれた箱だった。\n防寒のために巻かれた布の上から一枚の紙が貼られている。\n\n「道に迷える巡遊者へ\nささやかではありますが、ご自由にお持ちください\nどうかあなたの歩みが止まることがありませんように」\n\nそれはこの廃都に迷い込んだ巡遊者のために店主が遺した補給物資だった。\n箱の中にはわずかな物資と共に数枚の紙がおさめられている。\nまだ比較的新しい物資も残されていた。\nどうやら補給物資を持ち出すだけでなく、\n返礼として自らの持ち物を置いていった者もいるようだ。\nレイスは紙を拾い上げる。\n実際に救われた巡遊者がいたのだろう。\nそこには補給物資の存在への感謝や後続の巡遊者を励ます言葉がつづられていた。\n\nレイスも先人にならい、キャンプ地から持ち帰っていた缶詰を箱におさめる。\nその代わりに冷え切ったジンジャーソーダの瓶を一本だけ手に取った。\n\n「ノースハイムとすべての明日に――乾杯」\n\n誰もいないひとりきりの酒場で、静かに杯を掲げる。\nかつてこの場で酒を酌み交わしていた同胞に向けて。\n言葉はない。\nしかし、不思議と杯を返されたようなあたたかな活気が感じられた。\n\n(ああ……存外に悲しくはないものだな)\nノースハイムを知る人々は今も生きている。\n彼らは新たな土地で新たな故郷を築くべく、今日もたくましく力を尽くしているはずだ。\n故郷が失われようとも、絆と誇りは失われない。\n忘れない限り己の胸に息づいているのだ。\n\n立ち去る間際、レイスも他の巡遊者と同じように書き置きを残す。\nいつかの未来で彼女の言葉を目にする者もまた現れるのだろう。\n\n「この帰郷をもって、ノースハイムでの私の物語は終わった。\n戦士を育んだ雪の大地に感謝を――レイス」",
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|
"DiscIP.214047.1": "フル",
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"DiscIP.214047.2": "サビ",
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"DiscIP.214047.3": "風に舞う想い",
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"DiscIP.214047.4": "穏やかなそよ風がヨロズ配達の窓を抜け、机の前に座る三人の少女のもとへと届く。 \n机の上にはさまざまな書簡が積み重なっていた。新しいものから、かなり年季の入ったものまで。あの魔物を片づけたことで、滞っていた手紙もようやく届けられるようになったのだ。 \nそしていま、少女たちは紙とペンを手に、それぞれが想う人へ、胸の内を綴ろうとしている。\n\nボスへ。 \n時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。前回のお便りから、すでに数日が経ちましたが、新しいご連絡がありません。\nこのまま連絡が途絶えるようでしたら、我々ヨロズ配達も特殊な手段を用いざるを得なくなります……\n\n「ねえ、フリージア。どうしてそんな堅苦しく書いてるの?」\nトーナは机に両手をつきながら身を乗り出し、フリージアが書いた文面を見て、不満げに頬を膨らませる。\n「トーナちゃんがそう言っていたからですわ。返事をくれなかったら、ココチャでボスに催促すると」\nフリージアの真剣な眼差しに毒気を抜かれ、トーナは頬に貯めた空気をふうと吐き出した。\n「それはたしかに“特殊な手段”だけど~!その書き方じゃ、ヨロズ配達が悪の組織みたいじゃない?」\n「そう、でしょうか……それなら、もう一度考えてみますわ……」\nフリージアは静かにうなずき、新しい便箋を取り出して、また黙々と書き始めた。\n次にトーナは机に突っ伏しているテレサへ視線を移す。テレサは便箋の同じ場所に万年筆を下ろしては持ち上げる動きを繰り返し、真っ黒なインク溜まりを作っていた。インクの付いた指をこすったせいで、紙の上には大きな猫の肉球の跡が浮かび上がっている。\nふと顔を上げたテレサとトーナの目が合った。\n「トーナ……ウチも書かないとダメ?」\n「もちろん。テレサは魔王さんにお手紙書きたくないの?」\n「ううん……ただ、その、あの決まった書き方じゃなきゃダメなのかなって……」\nトーナは顔を伏せたテレサの黒髪をくしゃっと撫でた。\n「どんな書き方でもいいんだよ。魔王さんに、私たちの気持ちが伝わればいいんだから」\nテレサの目がきらりと輝き、すぐさま手紙を書くことに没頭する。トーナもようやく、椅子に腰を落ち着けることができた。\nフリージアとテレサが真剣な表情を浮かべている。手紙の一文字一文字、紡がれる一行一行に、心の奥底から溢れ出た感情が込もることを、トーナは知っていた。\n手紙は、とても軽い。けれど時に、その取るに足らない一枚の紙切れに込められた想いが、きつく絡まった心の結び目を解くきっかけになることがある。配達員とは、そうした想いを背負う仕事なのだ。\n逡巡を切り上げたトーナは封筒を取り出し、書き終えた手紙を収めようとした。\nそのとき、突然吹いた強い風が音を立てて室内へ吹き込んできた。机に積まれた手紙と便箋が、木の葉のように天井へと舞い上がり、部屋中に散っていく。\n「あ……」\n「うわあああ!手紙が~~!!」\n「ありゃりゃ。」\nトーナは頭を軽くかいたあと、勢いよく立ち上がった。\n「みんな、緊急任務だよ!部屋中に散らばった手紙を、一枚残らず探し出すこと!」\nトーナは力強く宣言する。\nヨロズ配達は、手紙に込められた大切な想いを、きちんと届けなければならないのだから。",
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|
"DiscIP.214048.1": "フル",
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"DiscIP.214048.2": "サビ",
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|
"DiscIP.214048.3": "メリーサプライズ",
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"DiscIP.214048.4": "『クリスマス・イブ』\nそれは人々が親しい者へプレゼントを贈り、祝福と感謝を伝え合う尊いひととき――\n\nそんなもの、恩恵意志の従業員には関係ない!\nクリスマス前夜にプライベートな時間など存在しないのだ。\n\nクリスマス前の恩恵意志は、入社したての新人スタッフからエリート上司まで、\n全員もれなく明日の準備に追われる地獄絵図しかない修羅の現場である。\nある者は「もうリボンを見たくない」と言い、\nまたある者は「プレゼントの仕分けが終わらない」とうわ言をつぶやいている。\n倉庫にはいまだにラッピングと仕分けを待つおもちゃの山がそびえ立つ。\n――おそらく今夜は徹夜だ。\n誰も口にしないが、そこはかとない絶望感がカンパニーにただよっていた。\nたとえ幸運なことに退勤できたとしても、その背中には恨めし気な祝福の声が\n呪詛のようにかけられ、屍のように帰宅してとれるのは気休めの仮眠ばかりという現実。\n\nいずれにせよ、クリスマス当日という戦場に駆り出されるのは、\n恩恵意志の従業員である限り避けられない宿命なのである。 \n\n「プレゼントがひゃくなな……プレゼントがひゃくはち……」\nそしてそれはいつもならサボる彼女も例外ではなかった。\n睡魔の誘惑に抗いながら、プレゼントの数を確認していると――\n\n「え、あのサボり魔ラールも徹夜組!?マジで!?」\n\n休憩を終えて戻ってきたスタッフにその肩をたたかれてしまう。\nサボり常習犯で有名な同僚が0時過ぎまで残っているとは\n思わなかったがゆえの衝動的な行為だったのだろう。\nその瞬間、ラールの口が止まる。\n暫しの沈黙から数秒後、ラールは頭を抱えながら大きな悲鳴をあげた。\n「ああああ!あと少しで終わらせて帰れたのにいいい!\nどこまで数えたかわからなくなったじゃん!!」\n「ごめんってばああああああ!!」\nこれが毎年の恒例行事。恩恵意志、冬の風物詩である。\n\n\n(でも、もしかしたら今年のクリスマスは違うかも?)\n\nそんな確証もない淡い希望を胸に抱きながら、\nラールはクリスマスムード漂う街を歩いていた。\nするとおもちゃ屋のショーウィンドウに飾られていた一体の人形と目が合う。\nその姿はどことなく自分と似ているような気がした。\n(木製の兵隊人形か……こういうのが代わりに働いてくれたらなあ)\n起こりえない夢物語を想像する自分に思わず笑い声を漏らしてしまう。\n(ちょっと見ていこうかな)\n誘われるようにラールはおもちゃ屋の扉をくぐった。\n\n(お、思ったよりこいつかわいいじゃん)\nラールは自分に似た兵隊人形をまじまじと見つめる。\n(これをプレゼントするとしたら誰に贈ろっかな……)\n\nまず頭に浮かんだのはウィローの名前だった。\n(でもウィローはこういうのもらっても困るかなあ)\n苦笑している友人の姿が想像できたラールは他の相手を探し出す。\n\n次に浮かんだのはアルベドの姿である。\n(馬車馬みたいにこき使ってくる上司にプレゼントをあげる義理なんてないない)\nラールは一瞬の気の迷いを払うかのように手をひらひらと振る。\n\n最後に浮かんだのは魔王の顔だった。\n(魔王っちか……。え、こういうの好きかな)\nいくら唸っても答えが出るわけがない。なぜなら自分は魔王ではないのだから。\n\n買うべきか、買わざるべきか。\n(ま、買ってから贈る相手を決めてもいいよね)\n妙に後ろ髪を引かれてしまい、とうとうラールは人形を買うことにしたのだった。\n\n結局、この年のクリスマスも慌しく過ぎ去った。\n真夜中の鐘が鳴り、クリスマスの修羅場は終わりを告げる。\n帰宅したラールはどさりとベッドに倒れこむ。\n(もー無理……今日は一日サボっても許されるべき……)\nごろんと寝返りをうつと、キレイに包装されたプレゼントに気がつく。\n朝日を受けた金のリボンがキラキラと輝き、その存在を主張していた。\n(あ……アレ、誰に贈るか決めないまま机に放置してたんだっけ)\n\nさあ、誰に贈ろうか。\nウィロー?アルベド?魔王?それとも――\n\n(自分へのプレゼント……とか?)\n\nクリスマスの使者として、ラールは一日中プレゼントを届け続けた。\nクリスマスツリーの精霊としても、子どもたちに夢と喜びを与えた。\nそんな自分なのだから、ご褒美を受け取る権利があっても罰は当たらないはず……\n(ってかこんなに働いたんだから、むしろご褒美もらうべきでしょ!)\n\nラールはベッドから飛び起きると、プレゼントを手に取る。\n「メリークリスマス、ラール」\nしゅるりとリボンを解き、中で眠っていた人形を机に飾る。\n満足そうに微笑むと、ラールはもう限界とばかりに再びベッドに飛び込んだ。\n\nこうして今年のクリスマスは幕を下ろした。\n夢の世界へ旅立ったラールは、やがて出会うだろう。\n新たな冬の冒険に誘う、自分にそっくりな愛らしい兵隊人形たちに。",
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"DiscIP.214049.1": "インスト",
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"DiscIP.214049.2": "ボーカル",
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"DiscIP.214049.3": "星光の道標",
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"DiscIP.214049.4": "駆け出した足が ひとすじのさざ波を起こす\n夜空に星図を広げて 旅の始まりを告げよう\nほら見て 羅針盤が回り出し あなたを導くように針を揺らす\n遥かなる高みへと進もう あの星々に手が届くまで\n \n恐れないで 暗闇に危険が潜んでいても\nその一筋の光を頼りに 一緒に前へ進もう\nさあ 荷物を背負って 未来をどう描こうか\n物語のページをめくるたび たくさんの風景を刻み込んでいこう\n \n何光年離れていようと 決して変わらない\n心の弦が奏でるこの鼓動は\n \n未知なる高い塔は 今日も静かにそびえ立つ\n荒野に吹く風が 文明の痕跡を覆い隠していく\n巨大な壁を乗り越え 自由のための悔いなき決断を\n昼も夜も駆け抜け 決して立ち止まりはしない\n \n暗闇に浮かび上がる 夢のきらめき\n温かな共鳴が 互いの瞳で交差する\nもう忘れたくない 私たちの新しい世界を創り出そう\n星の光で編んだ冠を あなたに授けよう\n \n絆の欠片を拾い集め そのすべてを胸に抱き\n過去に別れを告げて 過ぎ去りし日々の幻にさよならを\n今 勇気を胸に 次なる始まりへ\n運命の糸をたぐり寄せれば きっと限界だって超えられる\n \n星の灯りは揺れ 月は満ち欠け\n流れる雲は形を変えて 遠ざかっていく\n幾光年を越えようと 決して変わらない\n心の弦が奏でるこの鼓動は\n \n登り続けよう あの傲慢な神を打ち倒すため\n荒野の風は止み 巡遊者の足跡だけが残される\n巨大な壁を乗り越え あなたとだけ永遠を誓い合おう\n重ね合わせた両手で 奇跡を強く握りしめて\n \nささやかな希望が あなたと私の心をつなぐ\n肩を並べて歩める幸運 同じ信念を分かち合おう\nすべての瞬間を胸に留めて 永遠に記憶の底へ刻み込もう\n星のきらめきよ この長い夜を照らしておくれ\n \n記憶の迷宮を巡り 探し求めている\nまだ叶えられていない願いを\n愛――それは解き明かせない最後の謎\n終着点に辿り着いたとき\n私たちは再び思い出せるだろうか\n \n痛みに引き裂かれたって構わない\n傷ついても、挫折しても構わない\n全力を尽くすんだ 自分が無力だなんて信じない\n \nたとえ行く手が果てしなくとも\n霧はいずれ晴れるから\nあなたがそばにいるのなら\n孤独な道のりを恐れる理由なんてない\n \n未知なる高い塔は 今日も静かにそびえ立つ\n荒野の上に ついに新たな文明が芽吹く\n巨大な壁を乗り越え 自由のための悔いなき決断を\n昼も夜も駆け抜け 決して立ち止まりはしない\n \n暗闇に浮かび上がる 夢のきらめき\n温かな共鳴が 互いの瞳で交差する\nもう二度と忘れない\n私たちの新しい世界を創り出そう\n星の光で編んだ冠を あなたに授けよう",
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"DiscIP.214050.1": "フル",
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"DiscIP.214050.2": "サビ",
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"DiscIP.214050.3": "夜宴に踊る影",
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"DiscIP.214050.4": "その晩餐会は、円満に幕を下ろそうとしていた。\n交わされるグラスの底にどれほどの思惑が渦巻いていようと、振る舞われるケーキにどれほどの悪意が隠されていようと、終始和やかな空気が会場を包み込んでいた。\n少なくとも、表向きは。\n\n――バンッ。\n\n突如、鋭い銃声が響き、あたり一面真っ暗な闇に包まれる。\n人々は悲鳴を上げ、不安げにあたりを見回していたが、やがて、示し合わせたかのように視線が窓へと集まっていった。\n\n一筋の月明かりが、窓から会場に差し込む。\n明かりの中を、しなやかで引き締まった影が躍動する。\nなびく長い髪、ふさふさとした尻尾、そして――特徴的なクナイ。\nその影の主に、心当たりがあった。\nしかし口には出さず、彼女の『悪戯』がどんな結末を迎えるのか黙って見守ることにした。\n\nやがて影は急激に膨れ上がり、光を完全に覆い隠した。\n会場が再び暗闇に包まれる。\n直後、ガラスが砕け散る音が鳴り響き、暗闇の中でいくつもの悲鳴があがった。\n冷たい秋の夜風が吹き込み、背筋をぞくりとさせる。\n\nシャンデリアが何度か明滅し、再び会場に明かりが戻った。\nさざなみのように騒ぎが収まっていくと、人々は互いの無事を確かめ合い、先ほどけたたましい音がした方へと足を向ける。\n不思議なことに、窓ガラスは無傷で、鍵もしっかりと掛けられていた。\nただ一つだけ、おかしなもの――一通の封筒が、窓枠に残されていた。\n\n群衆の一人が封筒を拾い上げ、おそるおそる中を開く。その内容が、会場の新たな話の種となっていく。\n何が書かれているのか気にならないでもなかったが、その輪から離れ、周囲に視線を巡らせて探し物を探す。\n\n――やがて、上階へ続く螺旋階段に目当てのものを見つけた。\n \n蒼き衣を身にまとい、和傘をくるりと回す白髪のメイド。\n彼女はあなたと目が合うと、人差し指を唇に当ててふわりと微笑んだ。\nそして優雅に身を翻すと、さらに上階の暗がりへと、音もなく姿を消していった。\n\n「このまま何事もなく終わるなんて、ちぃと退屈でありんすなあ」\n\n彼女のそんな声が聞こえた気がした。\nどうやら『悪戯』はまだ始まったばかりらしい。"
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