Update - 1.9.0.103
EN: 1.9.0.103 CN: 1.9.0.104 JP: 1.9.0.106 KR: 1.9.0.108
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"CharacterArchiveContent.11111.2": "「円および、それに外接する正方形が同一の対称軸を中心に1周すると、円柱の中に球体が入った立体図形になる。では、この立体図形において、以下の事を証明せよ。1.球体の体積が円柱の体積の3分の2であること。2.球体の表面積が円柱の表面積の3分の2であること……」\r\n\r\n別段難しい問題ではない。\r\n一通り問題文を読んだあと、アヤメはすぐに問題の解き方を思いつき、素早くペンを走らせた。\r\nオアシス号の中はとても静かで、聞こえるのは紙をめくる音とペン先が紙をこする音。そして、時計の針のチクタクという音だけ。\r\nアヤメはこの音がとても好きだった。それは正確さや規律正しさの象徴であり、絶対裏切ることのない音だから。\r\n1時間は60分。どこまでいってもそれは変わらない。\r\n\r\nそれと同じように、アヤメは問題を解くのが好きだった。\r\n問題には必ず答えがある。言い換えれば、努力が必ず報われるということだ。\r\n正解であれば、答えを見た瞬間の喜びこそがそのご褒美であり、\r\n不正解でも、新しい知識を学べたことも一種のご褒美と言えるだろう。\r\n頑張れば報われる。これ以上に素晴らしいことはない。\r\n\r\n「法線ベクトルを用いて以下の問題を証明せよ。四角形の対角線の交点が、2本の対角線のそれぞれの中点であるならば、その四角形は平行四辺形であること」\r\n\r\n次の問題は少しだけ難しい。\r\nこれらの問題はどれも、アヤメが星ノ塔の本屋で撮影したものだ。\r\n星ノ塔の物は、祈願箱から出た神器以外、持ち出すことはできないが、\r\n巡遊者の記憶だけは例外だ。\r\n目についた問題を片っ端から集めているだけなので、アヤメの試験用紙には、いつもさまざまな難易度の問題が詰め込まれている。\r\nアヤメは、簡単な問題よりも、複雑な問題が好きだった。脳みそから知恵を絞り出して難問と戦い、最終的に勝利を得る快感は、筆舌に尽くしがたいものだ。\r\n\r\n「空のプールが満タンになるまで水を注ぐには8時間必要で、同じプールを満タンの状態から空になるまで放水するには10時間必要だ。では、空のプールに水を注ぎながら放水した場合、満タンになるまで何時間かかるでしょう?」\r\n\r\nもちろん、初心者向きの問題も嫌いじゃない。\r\n前にセイナがこの問題を見て、「なんで水を注ぎながら水を抜くの? もったいないじゃん!」とぼやいていた。\r\nでも、アヤメはそうは思わない。\r\nもしも水を空白旅団の経費とし、プールを旅団の財布だとしたら。リアルでも成立する問題になるだろう。\r\nもっとも、空白旅団のプールは、注水より放水の方が速いが……\r\n\r\n設定していたアラームが鳴り、アヤメはペンを置いた。\r\n写真を組み合わせてできた『模擬試験』を解いたあと、彼女は心が穏やかになったのを感じた。今なら、もう一度勇気を出して、まだ答えを見つけられていない……いや、もしかしたら正解なんて存在しない世界に、向き合える気がした。",
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"CharacterArchiveContent.11112.1": "占い師アヤメ",
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"CharacterArchiveContent.11112.2": "「あなたの仕事は、現実的なアドバイスをすることではなく、お客さんにマッサージをすることなのよ」\r\n「ま、マッサージ……? あの、私、占い師の募集を見て来たんですけど……マッサージはできません……」\r\n「心のマッサージよ。こう言えば分かる? つまり、相手が喜ぶことを言ってあげるの」\r\n「ああ、それでしたら、テストの時にやりました」\r\n「よろしい。では、ここは任せたわ。夜になったら様子を見に来るから」\r\n「はい。頑張ります」\r\n\r\nこれは、アヤメがまだ巡遊者じゃなかった時のことだ。\r\n彼女はアルバイトのために、高い学費を払って、「占い師資格証書」を手に入れた。\r\nそして、彼女は先がとがった帽子を被り、レンタルした暗いテントの中で、お客さんが来てくれるのを待った。\r\n\r\nこの世界には、人の心を読み取る魔法が存在する。\r\nしかし、どうぞご心配なく。街角の占いブースで心の内を読まれるなんて、万に一つもないのだから。\r\n読心術に使う恩恵エネルギーは高価すぎる。1000ドーラの占い料のために、100万ドーラを使う者なんていない。\r\nアヤメが勉強したのは、別の種類の「占い」だった。\r\nコールドリーディングも、遠まわしの話術も必要なく、\r\nただ、お客さんの話を聞き、その人の心を温められるような言葉をあげるだけでいいのだ。\r\n例えば――\r\n「水晶玉によると、恩恵の神はあなたの扉を閉じてしまいました……しかし、もう少しで、再びその扉は開かれます」\r\n「来月になれば、運気が回復していきます。だから元気を出してください」と言ってみたり。\r\nもしくは――\r\n「あなたと同僚の運命は、少しずつ混ざり合ってきています。あと少し我慢すれば、あなたたちの仕事での衝突は少なくなることでしょう」\r\n「今月は食事の月です。レストランの商売はよくなり、あなたはクビになどされませんよ」と言ってみたりだ。\r\nここに来るお客さんの大半は、明確なアドバイスではなく、辛い日々を乗り越えるための小さな慰めが欲しいのだ。\r\n1か月ヨタカブレッドを食べ続けたアヤメが、自分へのご褒美としてクッキーを1切れ頬張ったように。\r\n\r\nすぐに、アヤメの占いブースは一部の界隈で有名になった。\r\n彼女の柔らかな笑顔が安心感を与えるというのが理由の一つで、\r\nもう一つの理由は、彼女の人生経験に、多くのお客さんが共感したことだ。アヤメの話を聞いているうちに、みんな、自分が遭遇した困難なんて、大したことないと思えるようになった。\r\n\r\nアヤメは一度、この仕事を生涯続けようかとも思った。『占い師アヤメ』というのも、悪くはないと。\r\nしかしある日、\r\n彼女は本物の「占い」、いや、本物の「人生相談」とは何なのかを思い知った。\r\nあれは雨の日だった。一人の子どもがアヤメのテントに駆け込み、「自分はこのまま学校に行くべきなのか、それとも働いた方がいいのかを知りたい。もし働くなら、どんな仕事に就いた方がいいかを占って欲しい」と、そう依頼した。\r\nアヤメは初めて、質問に答えることが出来ないと感じた。\r\n彼女はいままでずっと、テクニックで問題の答えを推測し、それを回答欄に埋めてきた。しかし、どうしてそれが正解なのかは、少しも理解できていなかった。\r\nその時、子どもから向けられた真剣な視線と、硬貨を1枚1枚並べて料金を支払う姿に、\r\nいままでのように、相手が求めている答えをすんなりと口にすることが出来ない自分に気がついた。\r\n結局彼女は、この問題を解けなかったのだ。\r\n\r\n『占い師アヤメ』の物語は終わった。\r\n答えを推測するテクニックはテクニックでしかなく、「人生」という問題を紐解くには、もっとたくさんの経験が必要だ。\r\nそれらは別の物語――『巡遊者アヤメ』で語られることだろう。",
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"CharacterArchiveContent.11113.1": "武器逸話:286型魔導書",
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"CharacterArchiveContent.11113.2": "アヤメが巡遊者になってからはじめての、そして、空白旅団が成立してからはじめての塔の探索は、驚くほど順調だった。\r\n出発前に、アヤメはたくさんの予習をしていた。\r\nギルドのため、都市からそう離れていない星ノ塔を選び、オアシス号の試運転の旅とした。\r\nこの塔には、過去にたくさんの巡遊者が訪れたことがあり、地理協会には詳細な資料がある。たとえ新人の巡遊者でも、資料を読むだけで内部の状況をほぼ把握することができた。\r\nまた、この塔からは、「知的労働」に役立つ神器が出やすいというのも、アヤメがここに決めた大きなポイントだった。このような神器は大変人気があり、ほとんどの場合は高い値段で売却することができる。\r\n\r\n知識をしっかりと身につけていれば、自然と問題をサクサクと解いていける。\r\n駆け出しのギルドとして、彼女たちは一歩一歩慎重に前へと進んだ。アヤメはどの部屋にどのタイプの星骸が出現しやすいのか、どこの曲がり角で待ち伏せされやすいのかまで把握していて、その上、セイナとコハクのために詳しい心韻の使用計画書まで用意していた。\r\n普通の新人ギルドであれば、星骸を見るなり魔法を湯水のように使ってしまうのだが、アヤメの場合は、少しでも恩恵エネルギーを節約するために、緻密な計算に基づいて魔法を使うようにしていた。恩恵エネルギーは、恩恵意志にドーラを払って買うものだから。\r\nそうして、彼女たちはなんと初めての探索で、一気に魔王の間を3つも踏破し、アヤメの願いで、祈願箱からいきなり大変貴重な「外付けブレイン」が出てきた。\r\n\r\n名前の通り、この神器は外部から取り付けられる脳のような代物だ。\r\nキーボードで魔法の呪文を入力すれば、神器が計算や資料の整理といった作業を代わりにしてくれる。\r\nたとえゴールドエリアにカンパニーを構える人でも、外付けブレインを持っていることは大きなステータスとなるだろう。\r\nセイナは、この神器は売らずに、アヤメが使うべきだと主張した。コハクもそれに賛成した。\r\nアヤメは魔法を使うたびに計算で頭を使っていたので、塔から出る時、明らかに入る時よりも顔色が悪くなっていた。\r\nセイナはこう言った、「これはアヤメが使って。アヤメの体調のためにも」と。\r\n\r\nしかし最終的に、アヤメは外付けブレインを売ってしまった。\r\n計算に使われるエネルギーより、空白旅団の予算の方が、彼女の体調にとってよっぽど脅威であったからだ。\r\n経験豊富な巡遊者はみんなこう言う。「願掛けは、初回が一番運がいい。その巡遊者が生まれてから今までの願い、または怨念の力がこもっているから。だから反対に、願掛けが日常茶飯事になってしまったら、いい物はなかなか出なくなってしまう」と。\r\nアヤメは考えた。もし次の願掛けで売りやすい神器が出なかったらどうしよう……\r\n戦闘中の計算なら、紙とペンを使ってもできるし、自分がもっと頑張れば済むだけの話だ。\r\n\r\nそして、アヤメは外付けブレインを売ったお金を持ってオアシス号に戻ってきたが、彼女を出迎えたのは、四角いプレゼントの箱だった。\r\nこれはセイナとコハクが全財産をはたいて彼女のために購入した贈り物――どこかのカンパニーが作った、外付けブレインの下位互換品、286型魔導書だ。\r\n神器と比べると性能はだいぶ低いし、外付けブレインではボタンになっているところが魔法の文字で代替されている。しかし、使い方自体は同じで、どちらも開いてから横にして使う物だ。\r\nその夜、セイナとコハクは、『無駄遣い』をしたことでアヤメにくどくどと説教されてしまった。\r\nしかしそれでも、この魔導書がとうに型落ちとなった今でも、アヤメはずっと、これを大切に使い続けている。",
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"CharacterArchiveContent.11113.1": "武器逸話:286型魔法書",
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"CharacterArchiveContent.11113.2": "アヤメが巡遊者になってからはじめての、そして、空白旅団が成立してからはじめての塔の探索は、驚くほど順調だった。\r\n出発前に、アヤメはたくさんの予習をしていた。\r\nギルドのため、都市からそう離れていない星ノ塔を選び、オアシス号の試運転の旅とした。\r\nこの塔には、過去にたくさんの巡遊者が訪れたことがあり、地理協会には詳細な資料がある。たとえ新人の巡遊者でも、資料を読むだけで内部の状況をほぼ把握することができた。\r\nまた、この塔からは、「知的労働」に役立つ神器が出やすいというのも、アヤメがここに決めた大きなポイントだった。このような神器は大変人気があり、ほとんどの場合は高い値段で売却することができる。\r\n\r\n知識をしっかりと身につけていれば、自然と問題をサクサクと解いていける。\r\n駆け出しのギルドとして、彼女たちは一歩一歩慎重に前へと進んだ。アヤメはどの部屋にどのタイプの星骸が出現しやすいのか、どこの曲がり角で待ち伏せされやすいのかまで把握していて、その上、セイナとコハクのために詳しい心韻の使用計画書まで用意していた。\r\n普通の新人ギルドであれば、星骸を見るなり魔法を湯水のように使ってしまうのだが、アヤメの場合は、少しでも恩恵エネルギーを節約するために、緻密な計算に基づいて魔法を使うようにしていた。恩恵エネルギーは、恩恵意志にドーラを払って買うものだから。\r\nそうして、彼女たちはなんと初めての探索で、一気に魔王の間を3つも踏破し、アヤメの願いで、祈願箱からいきなり大変貴重な「外付けブレイン」が出てきた。\r\n\r\n名前の通り、この神器は外部から取り付けられる脳のような代物だ。\r\nキーボードで魔法の呪文を入力すれば、神器が計算や資料の整理といった作業を代わりにしてくれる。\r\nたとえゴールドエリアにカンパニーを構える人でも、外付けブレインを持っていることは大きなステータスとなるだろう。\r\nセイナは、この神器は売らずに、アヤメが使うべきだと主張した。コハクもそれに賛成した。\r\nアヤメは魔法を使うたびに計算で頭を使っていたので、塔から出る時、明らかに入る時よりも顔色が悪くなっていた。\r\nセイナはこう言った、「これはアヤメが使って。アヤメの体調のためにも」と。\r\n\r\nしかし最終的に、アヤメは外付けブレインを売ってしまった。\r\n計算に使われるエネルギーより、空白旅団の予算の方が、彼女の体調にとってよっぽど脅威であったからだ。\r\n経験豊富な巡遊者はみんなこう言う。「願掛けは、初回が一番運がいい。その巡遊者が生まれてから今までの願い、または怨念の力がこもっているから。だから反対に、願掛けが日常茶飯事になってしまったら、いい物はなかなか出なくなってしまう」と。\r\nアヤメは考えた。もし次の願掛けで売りやすい神器が出なかったらどうしよう……\r\n戦闘中の計算なら、紙とペンを使ってもできるし、自分がもっと頑張れば済むだけの話だ。\r\n\r\nそして、アヤメは外付けブレインを売ったお金を持ってオアシス号に戻ってきたが、彼女を出迎えたのは、四角いプレゼントの箱だった。\r\nこれはセイナとコハクが全財産をはたいて彼女のために購入した贈り物――どこかのカンパニーが作った、外付けブレインの下位互換品、286型魔法書だ。\r\n神器と比べると性能はだいぶ低いし、外付けブレインではボタンになっているところが魔法の文字で代替されている。しかし、使い方自体は同じで、どちらも開いてから横にして使う物だ。\r\nその夜、セイナとコハクは、『無駄遣い』をしたことでアヤメにくどくどと説教されてしまった。\r\nしかしそれでも、この魔法書がとうに型落ちとなった今でも、アヤメはずっと、これを大切に使い続けている。",
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"CharacterArchiveContent.11201.1": "基本情報",
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"CharacterArchiveContent.11201.2": "*****",
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"CharacterArchiveContent.11202.1": "巡遊者になった理由",
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"CharacterArchiveContent.11912.1": "空白の花(下)",
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"CharacterArchiveContent.11912.2": "月日は一日一日と過ぎていき、スイーツショップは予想以上の人気店になっていった。ナノハは、自分はここにいるべきなのではと錯覚するようになった。\r\nナノハは慎ましい少女だ。贅沢を求めたことなど一度もない。しかし、口にこそ出さないが、心の中の考えは、まるで発酵した生地のようにゆっくりと膨れ上がっていた。\r\n「もし本当にそんな日が来たら、どれほど良かったでしょう……」\r\n\r\n「きゃあ!!」\r\n両手を振り回していた女の子が、うっかりガラスのコップを割ってしまったようだ。溶けたチェリーのアイスクリームが、ドロドロと地面に落ちる。\r\n「大丈夫ですよ。私が拭きますね」\r\nナノハはいつものように、いまにも泣き出しそうな子どもをなだめてから、テーブルや床を丁寧に拭いた。\r\n「お姉ちゃん、手袋……シロップがついてる」\r\n手元を見てみると、真っ白なアイスクリームの上に、とろみがついた暗い赤色が滴っていた。不意に、向日葵の露に触れたときのことを思い出した。あのときの既視感の正体に気づいたのだ。\r\nはじめての任務を終えてから、彼女はいつも手袋をするようになった。他人の血に触れないようにするためだった。\r\n\r\nチリン\r\nドアベルが澄んだ音を立てる。また客が来てくれた。\r\n「いらっしゃいませ。何名……」\r\n「特製の梅甘露酒ってやつをちょうだい。あ、トッピングは寒天で」\r\nその人は微笑んだ。ナノハが待っていた人が、やっと現れたのだ。\r\n\r\n長い夜はまだ半分も過ぎておらず、どこにでもある狭い路地は静まり返っていた。そこには、もう二度と口を開くことがない人々がいた。\r\n地面に散らばった向日葵の花びらは、とうに元の色を失っていたが、少女はそれらを丁寧に拾い集めた。まるで、最期の別れを告げるように。\r\n「そんなに綺麗にする必要あんの?あんた、師匠とそっくりだね」\r\n塀の上に座っていた女性は、退屈そうに両脚をバタつかせ、特別な形をした手裏剣を取り出し、月明かりにかざしてじっくりと観察した。\r\n彼女がナノハと組んだのはその日がはじめてであり、その寡黙な後輩に少々手を焼いていたのだ。\r\n「聞いたことある?忍者にとって、『満月』ってやつは不吉の象徴なんだって。でも、今日は順調にいってよかったね」\r\n「はい。私がはじめての任務に行った日も、満月でした」\r\n「へー?その日はどうだった?」\r\n\r\nナノハは返事をしなかった。彼女は最後の花びらを拾うと、自分たちに繋がる痕跡が残されていないことを確認し、振り向いて月の下にいるその人を見た。\r\n「もう行きますか?」\r\n「行こ行こ。お腹ペコペコ。帰ったら夜食だね」\r\n\r\n「あのさ……あんた、あのままあの店で働いたら?私も今回は流石にくたびれたし、早く引退したいけどさ」\r\n「このお店は組織の拠点です。担当者を勝手に変えるのは……」\r\n「冗談だよ、ジョーダン!ったく、相変わらず真面目だね~」\r\n\r\nその日が来ることはない。\r\nナノハは、誰よりもわかっていた。あの満月の夜に足を踏み入れた瞬間、夢は、永遠に届かないものになってしまったことを。",
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"CharacterArchiveContent.11913.1": "武器逸話:葵嵐",
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"CharacterArchiveContent.11913.2": "過去とは愛おしいものだ。例えるならば、寒い冬につけた暖炉。幼い日に描いた絵。\r\nあるいは、はじめて手裏剣が的に命中したときの驚き、綺麗に洗った包帯、窓辺から遠ざかって行く後ろ姿。\r\n成熟した蕾がはじめて結んだ種、色を変えた茎。\r\nそして、花が散る夜。\r\n\r\n「……13……14」\r\n「おや、なにを数えてんだい?」\r\n「……」\r\n「もし花の種を数えてたなら、それはそれでかまわないよ。強い日の下で目標を観察するのも、訓練と言えば訓練だからね」\r\n「はい、師匠」\r\n「少し休んで、午後になったらまたおいで」\r\n「はい、師匠」\r\n\r\n「今年は冷え込みが厳しいです。この向日葵たちは、春まで耐えられるのでしょうか?」\r\n「……どうしてそんな顔をする?枯れたなら、また植えればいいだろう?」\r\n「……それは、違います」\r\n「違う?向日葵も、あちきら谷風の忍と同じ。任務を完遂させたなら、それでいい。それが誰かなんて、関係ない。なくなれば、交換すればいいだけの話」\r\n「承知しました」\r\n\r\n「ナノハ、一緒に茶でも飲まないかい?」\r\n「なにを描いてるんだい?これは……手裏剣?いや、向日葵か?」\r\n「向日葵の形をした手裏剣です」\r\n「かかっ。これはなかなかおもしろい。しかし、特殊な形の武器は、敵に正体を悟られやすい」\r\n「……ナノハは、覚えられたいです」\r\n「ほう?ならば頂点に立ち、みなから恐れられる忍となればよい」\r\n\r\n「ナノハ様。ご提供いただいた設計図を基に、およそ1週間後には試作品が出来上がる予定です。完成した際は、ぜひご確認いただければと。もし問題がなければ、そのまま量産に入ります。本来このようなサービスは、谷風の上忍様にしかご提供していないので……どうぞ他の方にはご内密に」\r\n「ありがとうございます」\r\n「それで、こちらの手裏剣のお名前ですが、すでに決めてらっしゃるのでしょうか?」\r\n「はい、『葵嵐』と」",
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"CharacterArchiveContent.11913.2": "過去とは愛おしいものだ。例えるならば、寒い冬につけた暖炉。幼い日に描いた絵。\r\nあるいは、はじめて手裏剣が的に命中したときの驚き、綺麗に洗った包帯、窓辺から遠ざかって行く後ろ姿。\r\n成熟した蕾がはじめて結んだ種、色を変えた茎。\r\nそして、花が散る夜。\r\n\r\n「……13……14」\r\n「おや、なにを数えてんだい?」\r\n「……」\r\n「もし花の種を数えてたなら、それはそれでかまわないよ。強い日の下で目標を観察するのも、訓練と言えば訓練だからね」\r\n「はい、師匠」\r\n「少し休んで、午後になったらまたおいで」\r\n「はい、師匠」\r\n\r\n「今年は冷え込みが厳しいです。この向日葵たちは、春まで耐えられるのでしょうか?」\r\n「……どうしてそんな顔をする?枯れたなら、また植えればいいだろう?」\r\n「……それは、違います」\r\n「違う?向日葵も、アチキら谷風の忍と同じ。任務を完遂させたなら、それでいい。それが誰かなんて、関係ない。なくなれば、交換すればいいだけの話」\r\n「承知しました」\r\n\r\n「ナノハ、一緒に茶でも飲まないかい?」\r\n「なにを描いてるんだい?これは……手裏剣?いや、向日葵か?」\r\n「向日葵の形をした手裏剣です」\r\n「かかっ。これはなかなかおもしろい。しかし、特殊な形の武器は、敵に正体を悟られやすい」\r\n「……ナノハは、覚えられたいです」\r\n「ほう?ならば頂点に立ち、みなから恐れられる忍となればよい」\r\n\r\n「ナノハ様。ご提供いただいた設計図を基に、およそ1週間後には試作品が出来上がる予定です。完成した際は、ぜひご確認いただければと。もし問題がなければ、そのまま量産に入ります。本来このようなサービスは、谷風の上忍様にしかご提供していないので……どうぞ他の方にはご内密に」\r\n「ありがとうございます」\r\n「それで、こちらの手裏剣のお名前ですが、すでに決めてらっしゃるのでしょうか?」\r\n「はい、『葵嵐』と」",
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"CharacterArchiveContent.12001.1": "基本情報",
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"CharacterArchiveContent.12001.2": "*****",
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"CharacterArchiveContent.12002.1": "教育者になった理由",
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"CharacterArchiveContent.13609.1": "???",
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"CharacterArchiveContent.13610.1": "???",
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"CharacterArchiveContent.13701.1": "基本情報",
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"CharacterArchiveContent.13701.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13702.1": "巡遊者になった理由",
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"CharacterArchiveContent.13702.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13703.1": "履歴書からの抜粋(1)",
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"CharacterArchiveContent.13703.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13704.1": "履歴書からの抜粋(2)",
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"CharacterArchiveContent.13704.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13705.1": "履歴書からの抜粋(3)",
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"CharacterArchiveContent.13705.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13706.1": "履歴書からの抜粋(4)",
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"CharacterArchiveContent.13706.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13707.1": "履歴書からの抜粋(5)",
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"CharacterArchiveContent.13707.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13708.1": "同業者の評価",
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"CharacterArchiveContent.13708.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13709.1": "地理協会の評価",
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"CharacterArchiveContent.13709.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13710.1": "備考欄",
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"CharacterArchiveContent.13710.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13711.1": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13711.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13713.1": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.13713.2": "乞うご期待",
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"CharacterArchiveContent.14412.2": "「わあ!すごい雨!」\r\n「あそこで雨宿りができそう!行ってみようか!」\r\n\r\n雷月のノヴァ大陸の天気は常に変化し続けている。朝、雲一つない空だったとしても、昼には雨雲が空を覆い尽くし、大雨に襲われることもある。\r\n\r\n「ごめんくださーい」\r\nふたりの巡遊者が宿に入ると、静かに刀を手入れしている少女が居た。\r\n「雨宿りのために改築したものですから、どうぞご自由に」\r\n少女が身を起こし、暖かいお茶を手渡した。\r\n\r\n「ありがとうございます!」\r\n巡遊者たちはお茶を受け取り、少女の厚意に感謝を述べる。\r\n少女は軽く会釈し、そのまま刀の手入れを続けた。\r\n\r\n「師匠、時間通りにフィーリエへとたどり着けるでしょうか?」\r\n「日暮れまでに雨が止んでくれればね」\r\n「止まなかったら……夜道を歩くのですか?」\r\n「そうなってしまうね。時間通りに手紙を届けられなかったら、報酬が半分になってしまうから」\r\n年長の巡遊者は雨雲を見ながら眉をひそめ、心の中で早く雨が止むようにと祈った。\r\n\r\nすると、すぐに雨がやみ、霧で隠れた山々も姿を現し始めた。\r\n「さあ、出発するよ!」\r\n年長の巡遊者は言いながら、荷物を片づけた。\r\n\r\n「雨はまだ止んでいません。あと2、3日は降るかと思います」\r\n少女は刀を置き、巡遊者に目を向けた。\r\n「なぜわかるのですか?」\r\n「もし本当なら、むしろ今すぐに出発しないと!」\r\nそう言いながら外に出ると、すぐに大雨が降ってきた。豆のような大粒の雨が降り注ぎ、大きな水しぶきを上げている。\r\n巡遊者は呆然としながら少女を見る。\r\n\r\n「大雨の中、山道を進むのはおすすめしません」\r\n「どうしてですか?」\r\n「フィーリエまでは山々を越えなければなりません。このような大雨の中では地面も滑りやすく、大変危険ですから」\r\n巡遊者が少女を観察すると、その少女は全く雨具を持っていないことに気づく。天気が読めない雷月でも、雨に濡れない自信があるようだ。\r\n\r\n「今夜は風も強くなります。いますぐ都市に戻って、依頼人に事情を説明すれば、まだ間に合うかもしれません」\r\n少女は遠くを見つめる。その目には自信が満ち溢れていた。\r\n\r\n「戻ろうか」\r\n「師匠?どこに戻るのですか?」\r\n「アモールさ」\r\nアモールの郊外に「あまぎく」という宿があるという。\r\nその宿にいる少女が雨が降ると言うと必ず雨が降り。風が吹くと言えば必ず暴風が来ると言われている。",
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"CharacterArchiveContent.14413.1": "武器逸話:名刀・チトセ",
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"CharacterArchiveContent.14413.2": "「剣を極めるには、明鏡止水の心を持たねばなりません。必ず覚えておくように」\r\n「御意」\r\n「ではもう一度」\r\n少女が刀を鞘に納め、ゆっくりと目を閉じた。その瞬間、まるで時間が止まったかのように、周囲が静寂に包まれる。\r\n「ハッ——」\r\n刹那、刀は鞘から抜かれ、白く輝く斬撃が空気を切り裂き、前方に十字の痕を残した。\r\n少女は一度しか刀を振っていないように見えたが、実際は二度斬撃を放っていたのだ。\r\n魔法に頼らず、己の肉体のみでこの神速に到達している。並大抵の者には決して真似できない芸当だ。\r\nしかし——\r\n「まだです。まだ足りません」\r\n「師匠……」\r\n「今日はここまでにしましょう」\r\n少女が大太刀を持ち上げ、丁寧に刀身を拭き、ゆっくりと刀掛けに戻した。\r\n「いつまで続けるのですか?主君様」\r\n道場の隣の部屋から微かな声が伝わる。\r\n「あれから何年も経っているのに、まだあの『伝説の技』が使えないとは!まさか、噂は噓だったのか?」\r\n「ならば……」\r\n「明日以降、道場にいる者を全て追い出せ」\r\n「彼女の『両親』もですか?」\r\n「『師匠』すら居なくなるのだ。『両親』を残す意味があるか?」\r\n「御意」\r\nその日以降、少女はたったひとりで生活するようになった。「両親」と「師匠」も彼女と言葉を交わすことがなくなり、読書と剣技の修行が彼女の世界を埋め尽くした。\r\n月日が流れ、老朽化によって道場の屋根に雨漏りが発生し、雨に濡れた床は腐食されボロボロになっていた。\r\n陽がまだ登り切っていない朝方のことだった。少女がいつものように刀を拭いていると、刀身に映りこんだ自分を見て、ある事に気づいた。——「両親」と「師匠」の沈黙は自分への罰ではなかった。なぜなら、あの日彼らはこの手に持つ刀になったからだ。",
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"CharacterArchiveContent.14501.1": "基本情報",
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"CharacterArchiveContent.14501.2": "*****",
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"CharacterArchiveContent.14502.1": "巡遊者になった理由",
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"CharacterArchiveContent.14502.2": "巡遊者とは、数ある身分の中のひとつにすぎないでありんす。",
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"CharacterArchiveContent.14503.1": "履歴書からの抜粋(1)",
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"CharacterArchiveContent.14503.2": "凪島における履歴\r\n \r\n 谷風暦█年、オトハは凪島松川旧部に生まれ、█(戦死)に師事する。\r\n 見習い期間中は本分を守り、規則を破ることはなかった。\r\n 谷風暦1150年、谷風忍者資格試験に合格し、中級忍者に認定される。\r\n ——谷風家政 資料室",
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"CharacterArchiveContent.14504.1": "履歴書からの抜粋(2)",
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"CharacterArchiveContent.14504.2": "ノヴァにおける履歴\r\n \r\n 谷風暦1153年、オトハはノヴァ大陸へ移住し、フラヴィオ支部に所属。\r\n 谷風暦1156年、█作戦において優れた功績を挙げ、上級忍者に昇進、フィーリエ支部へ転属。\r\n 谷風暦1159年、█作戦の責任者を務め、顕著な成果を収め、『暗影』に昇格。\r\n 谷風暦1161年、█作戦中に消息不明となる。\r\n \r\n ——谷風家政 資料室",
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"CharacterArchiveContent.14505.1": "履歴書からの抜粋(3)",
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"CharacterArchiveContent.14505.2": "オトハ失踪における疑問点\r\n \r\n 調査の結果、作戦当夜、オトハは目標003と激しい口論をしていた。目標003はその場から逃走した後、室内の隠し区画に仕掛けられていた爆弾を起爆し、建物はほぼ完全に破壊された。\r\n 現場に残された、3体の遺体のうち2体は目標の護衛であることが確認されている。3体目の身元は特定できなかったが、その皮膚にはオトハの衣服の断片が付着していた。\r\n ——『█作戦調査報告書』\r\n \r\n これは間違いなくオトハの策略だ。彼女がこんな愚を犯すはずがない。\r\n ——谷風家政現首領「█」",
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"CharacterArchiveContent.14506.1": "履歴書からの抜粋(4)",
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"CharacterArchiveContent.14506.2": "谷風家政 一級指名手配書\r\n \r\n 『暗影』オトハは、谷風暦1161年4月21日、█作戦中に逃亡した。当該構成員は離反した可能性が極めて高く、組織に不利益をもたらす行為を企図している疑いがある。よって、ここに全構成員へ通達する。オトハに関連する情報を発見した場合、どんな些細なものでもただちに報告すること。また、オトハをかくまった者は厳罰に処される。\r\n (オトハの写真を添付)",
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"CharacterArchiveContent.14507.1": "履歴書からの抜粋(5)",
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"CharacterArchiveContent.14507.2": "目撃報告\r\n \r\n 其の1:目撃者の証言によれば、フィーリエ市郊外のあるギルドにおいて、オトハとよく似た団員が目撃されたが、団長に確認したところ当該する人物は見つからなかった。\r\n \r\n 其の2:目撃者の証言によれば、フラヴィオ市のスターライト撮影スタジオで任務を遂行中、群衆に囲まれていた女優がオトハ本人であることを確認した。フラヴィオ支部は通報を受けて現場へ急行したが、確保には至らなかった。\r\n \r\n 其の3:ある団員が、星ノ塔衣装店のガラスの反射にオトハの姿を見たと主張しているが、信憑性は低い。",
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"CharacterArchiveContent.14508.1": "同業者の評価",
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"CharacterArchiveContent.14508.2": "師匠はいつまでも師匠です。\r\n ――ナノハ\r\n \r\n いちばん気前のいいお客さん、いや……患者さん。\r\n あのすました顔で抱えている秘密を、じっくり研究できたらいいのに。\r\n ――クルニス",
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"CharacterArchiveContent.14509.1": "地理協会の評価",
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"CharacterArchiveContent.14509.2": "判別不能。<sprite name=\"acrchives_falsified_richtext\">\r\n谷風家政の上層メンバーであったという特殊な経歴上、彼女の記録が偽造されている可能性は排除できません。\r\nオトハに関する噂や伝説は実にさまざまで、できれば一度、直接会ってみたいものですが……彼女が現れる場所は決まって穏やかではありません。やはりやめておくことにしましょう。\r\n ——ウィロー",
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"CharacterArchiveContent.14510.1": "備考欄",
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"CharacterArchiveContent.14510.2": "1本の録音テープ\r\n \r\n 「師匠が組織を裏切ることなど決してありません。師匠は、谷風の忍者が背負う使命を常に忘れるなと教えてくれました」\r\n 「調査には協力します。自分が知っていることはすべて正直に報告しますが、根も葉もない噂については……信じません」\r\n 「師匠が生きていてくれたらと、誰よりも願っていますが……あれ以来、師匠からの連絡は一度もありません」",
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"CharacterArchiveContent.14511.1": "真紅の海岸線より(上)",
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"CharacterArchiveContent.14511.2": "初めて凪島からノヴァ大陸へ渡ったのがいつだったか、オトハはもう覚えていなかった。\r\n曖昧な記憶として残っているのは、言われるがまま慌ただしく荷物をまとめ、泥水を踏みしめて甲板に上がり、蒸し暑く窮屈な下層船室に潜り込み、そのまま海を越えて辿り着いた、という程度のものである。\r\n燦々と降り注ぐ陽光のもとノヴァ大陸に降り立ったオトハは、他の忍者たちのように故郷の方角を眺めることもなく、笠を深く引き下げながら人波に紛れ、衛兵に見咎められないよう気を張っていた。\r\n「あんな状況で、感傷に浸る余裕なんてありんせん。ただ生き延びることだけ考えていたでありんす」\r\n——オトハはそう語っている。\r\n彼女は間違いなく幸運なほうだった。次の船は、接岸する寸前、船内で大規模な騒乱が勃発したからだ。原因として囁かれたのは、不公平な分け前や裏切りなどありふれたもので、結局は両陣営とも共倒れになったという。荒れ狂う海は船が載せた財宝と欲望を呑み込み、砂浜には暗赤色の泡が立ち上っていたが、そんな痕跡も数日で波に洗い流されて消え去った。\r\n\r\n渡航直後のオトハには定まった住まいがなく、仲間たちとともに安宿を転々とした。ノヴァに送られた組織はマストが折れた難破船のように頼りなく、再び航海できるかどうか誰にも分からなかった。オトハはただの中級忍者に過ぎず、上層の者たちと接触する機会もなく、彼らが描く壮大な計画など知る由もなかった。\r\n『復讐の標的はどこにいるでありんすか。故郷へ戻れる日は、いったいいつになるでありんすか』\r\n同行者は次第に減っていった。安定した仕事に就く者もいれば、土地の人と新たな家庭を築く者もいた——なるほど、海を渡り、故郷を離れるとはこういうことになるのか。オトハは初めて、鉄板のように揺るがぬと思われていた規則も、綻ぶ日が来るのだと知った。資金があまりにも乏しかったため、組織を抜けたい者は多額のドーラを納めるだけで名簿から外してもらえた。\r\n尊厳も、名誉も、秘密も、現実の前ではあまりにも薄っぺらだった。\r\n \r\nオトハはそれまでの人生で最も不思議な時間を過ごした。任務もなく、危険もない日々。\r\n見知らぬ土地をあてもなく歩き回っているうち、忍者たちを流浪の境遇へ追いやった張本人である貴族の頭目を偶然目の当たりにした。\r\n頭目は仕立ての良いスーツに身を包み、満面の笑みを浮かべ、鳥の頭を模した被り物をした黒マントの男に続いて幌付きの馬車に乗り込んでいく——彼は実に幸せそうだった。\r\nオトハは彼を始末する方法を数十通り考え、上に報告した。\r\nだが、上から計画実施の指示はなかった。指示がない以上、彼女は行動を起こせない。\r\nその夜、彼女は海辺へ赴き、袖口から短刀を取り出して、月光にかざしながら長いこと見つめた。\r\n短刀を大きく振り、力任せに海へ投げ込んだ。まるで、今にも崩れそうな世界と自分を繋ぎ留める錨を打ち込むかのように。\r\n\r\nそれから何年も経った後、彼女はあの夜、海に投げた短刀のことを思い出すことがあった。深海へ沈んでいるのかもしれないし、あるいは、岸へ打ち上げられ、浜辺で放浪者の手に渡ったのかもしれない。\r\nだがあの短刀は、いまも、たしかな錨として、オトハの心に在り続けている。",
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"CharacterArchiveContent.14512.1": "真紅の海岸線より(下)",
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"CharacterArchiveContent.14512.2": "最初の取材は、霧雨降りしきる秋の夕暮れ、カフェにて行われた。\r\nオトハがカフェの前で足を止め傘を畳んでいると、すぐさま給仕が扉を開けて招き入れてくれた。\r\nまばらな客の向こうに、華奢な背中を見つける。すると相手も何かを感じたのか、振り返り、驚きと控えめな微笑を浮かべた。\r\n \r\n雨音がしとしとと響く中、少女はテーブルに身を乗り出し、取材した内容を一つも書き逃すまいと興奮のあまり震える手で必死にペンを走らせる。オトハは静かに、その光景を見つめ続けた。\r\n日が暮れて他の客たちは去り、夜の静寂がカフェを包みこんだ。\r\n給仕が近づいてきて、2人の前に蝋燭を灯してくれる。\r\n炎が揺らめいたその一瞬、給仕がおずおずとオトハに声をかけてきた。\r\n「あの……私のこと、覚えていますか?」\r\n記録を取っていた少女はペンを置き、ナンパのようにも見えるやり取りを興味深そうに眺めた。\r\n「ん?」オトハが小首を傾げながら視線を向けると、給仕はたじろいだ。\r\n「し、失礼しました。昔の知り合い……後輩とあまりに似ている気がしたので勘違いしてしまいました。あの子は内気で、堂々としたあなたとは似ても似つきません。私ったら、なんであの子だと思ったんでしょう……」\r\nオトハは微笑みを崩さぬまま軽くうなずき、小さな出来事は波風を立てずに終わった。\r\n\r\n取材は閉店時間まで続いた。少女は満足げにノートを閉じ、今日聞いたことで心躍る小説が何本も書けそうだと言い、改めてオトハに感謝を伝えた。\r\n「本当に取材を受けていただけるなんて思いもしませんでした。あなたはまさに伝説で、私はただの下っ端ですから」\r\nオトハはその称賛を微笑みで受け止めた。彼女が語ったことは過去という巨大な氷山の小さな小さな一角に、ほんの少しの美化を施したものに過ぎない。それでも目の前の少女はすっかり信じ込んでいる。\r\n取材を受けた理由――小さな愛弟子の姿が目の前の少女に重なる。華奢だが、頑なで、常人とは少し違う奇想天外な考えを胸に秘めているところもよく似ていた。\r\n \r\n少女と別れた後、オトハは襟を立て、月光を頼りに海辺へと歩いた。\r\n隅々まで知り尽くしているはずの都市ではあるが、続々と建っていく高層ビル群を見ると、本当に知っているのか自信がなくなってしまう。\r\nあの給仕と同じだ。かつてはともに天井の低い平屋で寝起きしていた仲だというのに、年月を重ねてしまえば、間近で顔を合わせても気づかない。\r\nたしかにオトハの容貌は変わっていた。月日の中で、少しずつ。自分も、この街と同じように全く別物になっているのかもしれない。\r\n \r\n最後の取材は翌年の春に行われた。組織の指示により、オトハは次の任地へ向かうことが決まっていた。取材を終えると、少女は深々と頭を下げた。それは谷風忍者が最高の敬意を示す所作だった。\r\n「あなたの物語を伝記として書き残します。文章は拙いですが、それでも記録したいんです」\r\n「あなたは、私が出会った中で最も凄い忍者です。あれほど過酷な環境でも決して諦めず、ここまで歩んできた……」\r\nそのときオトハはふと、今なら本音を口にしてもいい気がした。\r\n「他の人の自伝を読んだことがありんす。彼らはたいてい、自分の欠点や過ちをそっと消して、清廉潔白で、世界から迫害された哀れな被害者として自分を飾り立てていたでありんす」\r\n「アチキは、そういうことを望む人間だと思いんすか?」\r\n少女は立ち尽くし、言葉の意味を考え込んだ。オトハは軽く手を振った。もう行く時間だ。\r\n \r\nオトハは少女に背を向けて歩き出す。\r\n草木は新緑に染まり、鳥のさえずりは次第に遠のき、桜はすでに散っていた。",
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"CharacterArchiveContent.14513.1": "武器逸話:ツキカクシ",
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"CharacterArchiveContent.14513.2": "「聞いたか?武器職人を探し回ってる巡遊者の話」\r\n「聞いた聞いた。武器への細かい要求が20枚以上書かれた紙を突きつけて回ってるってヤツだろ。報酬は桁外れにいいらしいが、職人たちは要求書の一枚目を見ただけで逃げ出したらしい」\r\n「いったいどんな武器を作ろうとしてるんだろうなあ……」\r\n\r\n分かれ道に立ったオトハは殴り書きされた地図を取り出し、なんとかルートを読み取り、右手の細い道へと進んだ。\r\n今月で7人目となる職人への訪問だった。これまで武器作成の依頼書を差し出すたび、相場の何倍もの報酬を提示しているにも関わらず、職人は皆一様に丁重な言葉で、しかしプライドを傷つけられたせいか、不愉快さも覗かせる表情で断ってきた。\r\n果たして今回の職人は、どれくらい話を聞いてくれるだろうか。また、あっという間に追い返されてしまうだろうか。\r\n諦めに似た不安と微かな期待を胸に抱き、オトハは職人が住む小屋の扉を叩いた。その職人はすでに隠居しているらしかったが、それでも訪ねてみないわけにはいかなかった。\r\n\r\nしばらくして、老人といっても差し支えのない見た目の職人が出てきた。オトハが手短に訪問の意図を伝えると――\r\n「ずっと待っておったんじゃ!」\r\n以外なことに老職人は満面の笑みを浮かべた。\r\n彼はオトハの手から、23ページにものぼる詳細な要求が記された依頼書をひったくり、勢いよくページをめくっていく。\r\n「大げさな依頼書を持って武器職人を探し回っている者がいると聞いてから、どんなやつが、どんな武器を望んでいるのか、気になって気になって仕方がなかったんじゃ!」\r\n依頼書に目を落としながら、老職人が楽しげに言う。\r\nオトハはひとまず胸を撫で下ろした。少なくとも、今回は門前払いではなさそうだ。\r\n「でしたら、ご存じのはずでありんす。この依頼の報酬はいくらでも問題ござりんせん。唯一の問題は――この武器が、実際に作れるかどうかでありんす」\r\n「ふぅむ……非常に複雑な構造じゃが、核となる要素は『銃』だ。違うか?」\r\n「形にはこだわっておりんせん。もし銃だと判断されるなら、それで構いんせん」\r\n「なるほど、分かった」\r\n老職人は笑みを浮かべて依頼書をオトハに返した。再び断られるのかと思ったその時、老職人は机のほうへと歩いていった。\r\n「この依頼書はまだまだ荒い。ここへ座りなさい。まずは、この武器がどんな姿を欲しているのか、とことん話し合おうじゃないか」\r\n\r\n……\r\n2ヶ月後のある夕暮れ時、オトハは老職人に深く礼を述べ、別れを告げた。\r\n老人は、彼女の手にある一本の長い傘を見つめ、何度もため息をつく。\r\n「せっかく美しい銃身を作ったというのに、傘布で隠してしまうとはな」\r\n「それほど綺麗だからこそ、隠す必要があるでありんす」\r\n「まったく、調子のいいことを言いおって」\r\n老職人は誤魔化されんぞとばかりに、手をひらひらと振る。\r\n「まあ……その武器が、お前さんの望みの助けになるといいな」\r\n「必ずなりんす。約束しんす」",
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"CharacterArchiveContent.14701.1": "基本情報",
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"CharacterArchiveContent.14701.2": "*****",
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"CharacterArchiveContent.14702.1": "巡遊者になった理由",
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